労働組合の組合員の増減について書いた資料に、「非組合員化による脱退」とか「組合員復帰に伴う加入」と書いてあった。
非組合員化って管理職登用ってこと? と思ったけど、どうも違いそう。
というか、組合員復帰ってどういうことよ。
この労働組合の加入資格はこの会社の従業員であることだが、除外されている人がいる。
管理職、シニア社員などの条件で働く人、そして「会社の利益を代表する者」……って何なんでしょうね。
この会社の利益を代表するという理由で、労働組合に加入できない人は会社との取り決めで決めているようだが、
具体的には秘書室の人とかが対象になっているみたい。でもどういう根拠で決めてるんだろうね?
というわけで、管理職登用されなくても特定の職場に異動になると労働組合を脱退することになる。
とはいえ、逆に特定の職場から外れると、それは労働組合に加入できない理由がなくなるので、労働組合に再加入することになる。
そのため「組合員復帰に伴う加入」という現象が発生するようだ。
でも、そもそも、会社の利益を代表する者が労働組合に参加してはいけないのかな?
会社の利益を代表する人だけで構成された労働組合は、労働者の代表として不適当かもしれないけど、
そんな人はわずかで、組合全体としては労働者の総意に従って動くわけだから、さほど問題なさそうだけど。
と思って労働組合法を見てみると、こう書いてあった。
労働組合法 第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。
一 役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
労働組合法上の労働組合として認められるためには、いくつかの条件がある。
その1つとして、労働組合として認められるには参加できる人を制限しなければならないと書かれている。
それにしても読みにくい条文だ。
解説を調べてみたらこうなっていた。
まず役員、これはわかりやすい。確かに役員が加入している労働組合は論外だ。
次に管理職のうち、人事に関し直接の権限を持つ人と労働関係上の機密の事項に接する人。
人事に関する権限はない管理職が加入していてもそれは労働組合として認められるようだ。
最後に「その他使用者の利益を代表する者」と書かれている。これは非常におおざっぱだが、一般に社長秘書などが含まれるようだ。
この条文が争いになるのは、労働組合が団体交渉権の行使をするときのようだ。
すなわち、会社の利益を代表する労働者が入っているから、労働組合ではないので、交渉しなくてもよいと会社は主張できると。
あと、労働組合を法人化するときには、労働組合としての条件を満たしているか、労働委員会の審査を受けるようなので、
「会社の利益を代表する者は加入できない」とか規約に書いておかないと、法人化できないのだろう。
とはいえ、会社はこの条件を満たさない労働者の集まりと交渉してはいけないわけではないんですけどね。
秘書室の人が集まって会社に団体交渉を申し入れたとして、交渉に応じなくてもよいかもしれないけど、応じてもよいと。
ところで、会社と労働組合は労働協約を結んでいる。
労働協約では例えば「日曜・土曜……を休日とする」とか「採用初年の有給休暇は15日とする」とかそういうことを決めている。
ここに書いた2つの例は、いずれも労働基準法よりも労働者に有利な条件だが、会社はこの条件を守る必要がある。
ところが、この労働協約は「組合員は――」とか、労働組合に加入している労働者にさえ適用すればよいことになる。
ということは、会社の利益を代表するという理由で労働組合に加入できない労働者にはこの条件を適用しなくていいの?
と思ったら、これも労働組合法に書いてあった。
労働組合法 第一七条 一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。
労働組合の組織率が十分高ければ、労働組合には参加できなかったとしても、労働組合が勝ち取った労働条件は適用されるというのが答えらしい。
「会社の利益を代表する者は加入できない」とか規約に書かないと労働組合として認められないと書いたが、
加入できる労働者の範囲を狭めるのは基本的には自由だ。といっても「人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと」が条件だが。
少なくとも、多くの労働組合では、加入できる勤務先を制限している。
それが会社単位なのか、事業所単位なのか、地域制限なのか、それはその労働組合の立場によるでしょうけど。
あと、この労働組合では管理職は全て加入できないとなっているけど、労働組合として認められるためには一切管理職の参加ができないわけではない。
人事上の権限を持っているのは特定の階層、特定の部署の管理職に限られるというなら、そこだけ除外すればOKとも言える。
現実には非管理職と管理職では労働条件が違うのもあるので、全ての管理職を対象から外しているのかも知れないけど、必ずしもそうする必要はないということだ。
僕の勤め先だとどうですかね? 多分、全く人事上の権限を持っていない管理職というのはそこまで多くないだろう。(ただ、いないわけではないと思う)
ただ、課長レベルだと管理職と非管理職が混在しているので、人事上の権限があるって言っても大したものではないという話はあるかもしれない。
なので、加入できる範囲を広げる余地はありそうだが、その一方で加入範囲を広げる必然性もない。
しかし、「会社の利益を代表する者は加入できない」って労働組合法の規定に由来するものだったんだね。
こう書かないと労働組合を法人化できないっていうのなら、それは仕方ないのかなぁと思うけど、なんか杓子定規に過ぎる気はする。
実際、秘書室の労働者が結束して団体交渉を申し込んできたのを、拒んだとしたら、労働委員会はどういう裁定を下すんだろうね。
労働組合の視点にとって会社の利益を代表されるのは困るけど、労働者としての立場で意見を述べる自由はあるはずだし、それ自体は歓迎なのでは?
そう考えると変な規定だなとは思いますけどね。職場によってはこの規定がために労働者同士が分断されることも起きかねないわけですし。