このBlogでいろいろ銀行のことをネタにしてるけど、
銀行ごとのシェアってどんなもんなんだろ?
以前、おもしろい資料を見つけたので紹介しようと。
和歌山県下メーンバンク調査(2012年)(帝国データバンク)
帝国データバンクが各地域で調べてるんだね。
みなさんの地域での銀行の印象ってどうですかね?
うちの地元では1つ大きな地方銀行と、それに続く地方銀行が4つほどあって、うち1つは大して存在感がないと。
この調査は企業の取引先の銀行を調べているわけだけど、企業数なので、相対的に中小企業の存在感が強い。
中小企業の存在感が強いということは、主に中小企業を相手にしている信用金庫の存在感が強く出ているとも言える。
けど、実際、信用金庫の存在感って相当だよね。普通銀行ではないから忘れがちだけど。
対称的なのが奈良県と京都府だな。
奈良県全体でのメーンバンクのシェアは1位が南都銀行、シェアはなんと62%、
この62%というのは、その次に来る大和信用金庫(桜井市)の6.1%と比べても圧倒的だ。
奈良県内で南都銀行と並ぶ金融機関というのは全く無いというのだ。
ここまで存在感の強い地方銀行はなかなかお目にかかれないのだ。
地域別に見てみると、北部では6割を南都銀行、それに続いて三菱東京UFJ銀行、りそな銀行、奈良信用金庫(大和郡山市)、三井住友銀行がそれぞれ5~7%程度のシェアを持っている。
北部は大手の入り込みがそれなりにあるなと思うわけだけど、実はりそな銀行ってかつて存在した奈良銀行を引き継いでるはずなんだよね。
一体、奈良銀行ってなんぼほど小さな銀行だったんだ……
次に中部、また南都銀行が6割ほど取っているところに、大和信用金庫が10%、奈良中央信用金庫(田原本町)が9%、りそな銀行が6%、三菱東京UFJ銀行が5%、
北部に比べれば信用金庫が存在感があるにしても、南都銀行の圧倒的シェアは変わらない。
すさまじいのが南部で82%が南都銀行だという。その理由として「南都銀行以外の金融機関の店舗数が少ない」と書かれてるけど、確かに少ないわ。
紀陽銀行が五條市、りそな銀行が大淀町、新宮信用金庫が十津川村
こうして1つの都道府県全体を圧倒的に抑えている銀行なんてそうそうない。
京都府の銀行と言われて思い浮かぶのはなんだろう? まぁ京都銀行だろうなぁ。けど、事情はそう簡単ではない。
京都府全体で見ると、京都銀行が32%、京都中央信用金庫が25%、京都信用金庫が13%、京都北都信用金庫が7%と。
なんだこれ信用金庫だらけじゃないかと。これこそ京都府の姿である。
地域ごとに分けてみると事情が見えてきやすい。
京都市内でのシェアは京都中央信用金庫が30%、京都銀行が29%、京都信用金庫が15%、
実は京都市で一番シェアの高い金融機関は京都中央信用金庫なんですねぇ。日本最大の信用金庫だがその原動力は京都市での圧倒的シェアだろう。
同じく京都市に本店を置く京都信用金庫とともに異様なまでに高い信用金庫のシェアである。
ちなみにそれ以外の銀行のシェアだが、三菱東京UFJ銀行が7%、三井住友銀行、みずほ銀行、滋賀銀行がそれぞれ4%のこと。
京都市と隣接する乙訓地域もほぼ同様の傾向だが、これが南丹となるとだいぶ変わる。
南丹では京都銀行が56%、京都信用金庫が26%と、一気に京都銀行の存在感が増す。
というのもですね。京都銀行って今でこそ本店が京都都心にあるけど、元は丹波・丹後の銀行だったんですよね。
それが京都府を代表する地方銀行になるんだという意図を持って京都に進出してきたというのが実際のところだ。そういう意味では新しい銀行だ。
かといって中丹と丹後では、京都北都信用金庫(宮津市)が6割、京都銀行が3割と、存在感はいまいちなのか?
山城地域はまた傾向が変わる。京都銀行が35%、京都中央信用金庫が29%、南都銀行が13%、京都信用金庫が10%、
山城地域も木津川市・精華町に限れば南都銀行のシェアは相当じゃないんかなぁ。それにしても信用金庫は強いなぁ。
これが都市銀行がメインの地域だとどうなるのか? そんなのは大阪府しかないな。
大阪府はたくさんの銀行が入り乱れて混戦模様だが、上位2つははっきりしてる。三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行がともに20%程度、少しSMBCの方が多い。
それに続いてりそな銀行が11%だけど、8%のシェアを持つ近畿大阪銀行もりそなグループだから、3つで拮抗してるとも取れる?
けど大阪府は地域によってかなり色が異なるからねぇ。
大阪市内は三菱東京UFJ銀行が24%、三井住友銀行が23%、りそな銀行が13%、近畿大阪銀行が7%と。大阪府の数字は大阪市にひきずられてるよね。
これが北摂だと、三井住友銀行が18%、三菱東京UFJ銀行が17%、摂津水都信用金庫が12%、りそな銀行が11%、池田泉州銀行が10%、近畿大阪銀行が7%と混戦模様。
摂津水都信用金庫は現在は十三信用金庫と合併して北おおさか信用金庫となっている。本店は茨木市だそう。2つ合計すると16%になるんか。強いなぁ。
池田泉州銀行は意外にシェア低いのね。てっきり北摂を代表する地方銀行だと思ってたのに。
北河内・中河内では、三菱東京UFJ銀行が16%、三井住友銀行が16%、近畿大阪銀行が10%、りそな銀行が9%、
その次に大阪東信用金庫と大阪市信用金庫が並んでるけど、この2つと大福信用金庫が合併して大阪シティ信用金庫になっている。合わせて15%と。
河内といえば近畿大阪銀行かなぁと思ってたけどそうでもないか。まぁりそな銀行と合わせて19%だから相当ではあるわな。
和泉・南河内では三井住友銀行が18%、三菱東京UFJ銀行が14%、池田泉州銀行が13%、りそな銀行が12%、大阪信用金庫が10%、紀陽銀行が9%と。
ここで紀陽銀行が出てきてるけど、紀陽銀行は和歌山県の銀行だ。ただ、和泉で一定のシェアを獲得しているというところでみどころがある。
なんといっても他にも大阪府進出を企てる他府県の地方銀行はいろいろあるけど、一定の地域を抑えられてるのは紀陽銀行ぐらいのもんだ。
日本全体を見てみると、地方銀行の分担というのは増えつつあるようだ。
都市銀行が20%、地方銀行・第二地方銀行が49%、信用金庫が23%、半分の会社が地方銀行と取引してるというのは納得の数字だな。
この3府県の数字から見るに、地域によりこの分担率はかなり違うのだろう。
奈良県は南都銀行という強大な地方銀行が都市銀行・信用金庫をはねのけ、京都府は信用金庫が都市銀行をはじき飛ばし、京都銀行を押さえ込み、
大阪府では都市銀行が圧倒し、地方銀行を食っている。これだけ見てもだいぶ違うよね。
そんなところに地域の色が現れているのだとは思うけどね。
まぁ実際、奈良県と南都銀行は切り離せないだろうし、京都市と中信は切り離せんわな。