オリンピックのケイリンとPIST6

今日からオリンピックの自転車競技では「ケイリン」がスタートした。

日本で行われている競輪の先頭固定競走を参考に作られたトラックレースである。

日本の競輪そのものではないし、日本勢もなかなか苦戦しているが、

プロ選手としてオリンピックに参戦するにはメダルを目指したいものである。


日本では男子の競輪はほとんどが「先頭固定競走(オリジナル)」で行われ、

女子の競輪(ガールズケイリン)では「先頭固定競走(インターナショナル)」で行われる。

先頭固定競走(インターナショナル)の方がトラックレースのケイリンに近いとされている。

ただ、これも全く同じというわけではないようだ。


一方で千葉競輪場で行われているPIST6はトラックレースのケイリンのルールに沿っている。

PIST6は制度上は「250競走」という名前が付いている。

千葉競輪場は改築時に国際規格の250mバンクを導入し、その250mバンクを使う競輪としてルールが制定された。

「先頭固定競走(インターナショナル)」とはまた違うルールなんですね。

コースの形状に合わせたルールの違いが主なところに思えたが、

最も違うと思ったのがPIST6だけにあるこのルールである。

第6条第3項

選手は、第1周回終了時において、スプリンターレーンを並び順のとおりに走行していなければならない。

(250競走競技ガイド)

これもトラックレースのケイリンに合わせたルールみたいですね。


一般的な競輪では並び順というのは選手間の駆け引きで決まることになる。

男子の競輪では複数人でチームを組むラインという戦法が認められている。

最終的には個人で競り合うものの、途中までは並んで動くことで有利に進めようという考えである。

そういう戦法が認められるのが「先頭固定競走(オリジナル)」なんですね。

予想の上でも重要なので、発走前の脚見せ(選手紹介)で並び順を見せる慣例がある。

先頭固定競走(インターナショナル)にしても並び順が駆け引きによって決まる点は同じである。

一方でトラックレースのケイリン、あるいはPIST6では最初の1周終わった時点での並び順が抽選で決まる。

PIST6の開始当初は並び順は発走直前に発表され、車券購入時はわからない仕組みだったが、

現在は出走表に並び順が記載されるようになっている。


このルールが導入された背景が定かではないが、

並び順が決まっているのでスタート直後に牽制し合う意味は無いとは言える。

ただ、くじ運に結果が左右されるという側面もあるのでなんともかんとも。

トラックレースのケイリンに敗者復活戦が存在するのもそのためかもしれない。


ただ、PIST6にしてもオリンピックとは日程面ではけっこう異なる。

そもそも従来の競輪は1日1走で、1日目の結果で2日目の走るレースが決まり……

という感じなのだが、PIST6では1日2走が基本となっている。

前半6レースをデイ、後半6レースをナイトということで間は2時間ぐらい開いている。

デイの結果が出てナイトの出走表が出る形になってるはず。


一方のオリンピックのケイリンだが、

1日目は1回戦と敗者復活戦で最大2走となっている。1回戦で勝ち抜けば1走である。

2日目は2回戦・準決勝・決勝と最大3走、上位に残れなければそこで終わり。

1日3走もなかなかだが、準決勝~決勝は1時間も間がない。

他の競技も間に挟みながらなので見てる人が暇になることはないが、

ここまで短期決戦だとそれはそれで大変だなと思う。


PIST6について25分間隔での発走ということで間延びするという指摘もある。

これは車券発売の都合を考えるとやむを得ないレース間隔とは言える。

通常の競輪ならば複数の競輪場で同時にレースをやることで間を持たせるが、

PIST6は千葉でしかやってないですからね。

実力を出せるという点でもレース間隔もある程度空いた方がいいでしょうしね。


パリオリンピックのケイリンの映像で気になったのがペーサーの車である。

いかにもバイクという見た目の乗り物で、これで自転車を引っ張るの? と。

競輪の先頭固定競走は普通競走のとき6番車(成績が下の選手が入る)がトップ引きをしていたことに由来することもあり、

先頭固定競走の先頭員は順位は付かないが選手という位置づけである。

正式には先頭誘導選手という言い方をするみたいですね。

乗っている自転車も一般的な競輪に使われる自転車である。

なお現在のルールでは先頭員はガールズケイリンでも男子選手が行うことになっている。


一方でPIST6のルールを見てみると、ペーサーは審判の1人に位置づけられる。

「電動アシスト付き自転車又は電動バイクを使用し」と記載されている。

これはトラックレースのケイリンも同様である。

日本ではペーサーは電動アシスト自転車を使うことが多いようだ。

東京オリンピックもそうだったし、PIST6もそうである。

ただ、世界的に見るとそもそも電動バイクを使うことも多いようだ。

ルール上はそれでもOKだし、電動アシスト自転車といってもほぼ電動なんだろう。


あと最後にPIST6については現在は女子競技が行われていない。

これは女子選手が少ないってのもあるのかもね。

男子選手だとS級・A級1~2班・A級3班で分けてレースが組まれているけど、

女子選手は全員L級1班に位置づけられ、クラス分けが存在しない状況、

そんな中で別ルールのPIST6までやる余裕はないのはその通りなんだろう。

一方でトラックレースのケイリンは女子競技もあって、

というかガールズケイリンをやることになった背景がトラックレースのケイリン合わせだったので。

そのために「先頭固定競走(インターナショナル)」というルールを作ったわけですよね。


というわけでPIST6にしてもトラックレースのケイリンそのものではない部分はあるようだ。

とはいえ、PIST6には国際ルールに合わせることで外国からの参戦を期待しているところもあるはず。

なかなか日本は自転車大国とは言えないところもありますが、

プロスポーツとしての競輪は世界でも有数のものであることは確かである。

こちらにも期待はしているということで。