特別会計の登録番号

水道の検針票が入っていて、適格請求書対応でフォーマットが変わっていて、

ふーん、と見ていたら登録番号が2つ書いてあることに気づいた。

水道事業会計と下水道事業会計で異なる登録番号があるという。


そもそも適格請求書発行事業者の登録番号の多くは法人番号と一致する。

例えばイオンリテール(株)の法人番号は 2040001000456 だが、

同社の登録番号は T2040001000456 なので、イオンで発行されるレシートにはこの番号が記載されている。

個人事業主については法人番号がなくてマイナンバーはむやみに使えないので、消費税専用の登録番号が付与される。

個人事業主に振られる登録番号は2桁目が「8」になっているようだ。

(法人番号=登録番号の1桁目はチェックディジットである)


地方公共団体も当然のことながら法人番号を持っている。

地方公共団体の法人番号は2~7桁目が 000020 となっている。

(財産区については2~7桁目が 000030)

例えば、川崎市の法人番号は 7000020141305 である。

川崎市が税務署に送信する源泉徴収票にはこの数字が書かれているはず。

それならば川崎市の適格請求書発行事業者の登録番号も T7000020141305 となるはずである。

確かにこの登録番号は存在する。でも、これ以外にも存在しているのである。


というのも公法人の消費税の課税については、特別会計ごとに行うこととなっている。

特別会計によって課税事業者か非課税事業者かわかれることもありうる。

このため一般的な法人ではありえないことが発生してしまう。

当初から特別会計ごとに法人番号を振っていればよかったとも言えるが、

1つの法人の財布ごとに振るというのは法人番号として不適切と見たか。

(もっとも国の機関には省庁や裁判所に1つずつ番号を振っているのだが)

このため、個人事業主と同様に消費税専用の登録番号を振っている。


消費税の登録番号は法人については列挙したデータがダウンロードできる。

法人番号とは異なり法人名からの検索は出来ない。

でも、ダウンロードしたデータを検索すればわかるのはその通り。

公法人の特別会計の登録番号については、下記のようになっている。

  • 国の特別会計: 2~6桁目が80001 (ex.農林水産省 食料安定供給特別会計: T5800012000002)
  • 地方公共団体の特別会計: 2~6桁目が80002 (ex.川崎市病院事業: T3800020002124)
  • 財産区の特別会計: 2~6桁目が80003 (ex.芦原温泉上水道財産区水道事業: T3800030000002)
  • その他: 2~6桁目が80005 (ex.竹原市学校給食センター: T6800051000003)

ちなみに国の一般会計については財務省がT8000012050001という登録番号を持っている。

土地以外の国有財産の貸付などで課税取引が発生する場合に使うそう。


地方公共団体の場合、上下水道や病院の特別会計が多く登録されている。

保険診療は非課税取引だが、自費診療・選定療養費・文書料や物販などは課税対象である。

診療所レベルだと免税事業者で済んでいるケースも多いとは思う。

ただ、病院レベルになるとそこそこ課税取引が発生してしまうので、課税事業者になっているケースが多いのではないか。

一般会計と特別会計の内部取引の存在を考えると、一般会計も課税事業者にならざるを得ないところもある。

そもそも、ごみ処理手数料や公共施設(公民館、駐車場など)の使用料は課税取引である。

ちなみに先ほど例に出した川崎市には11個の登録番号があるようだ。

インボイス発行事業者の登録を行いました (川崎市)


上水道と下水道が別々の特別会計で、1枚の検針票に2つの特別会計が絡むのはよくある。

この場合、上水道と下水道でそれぞれ適格請求書を発行する方法がまず考えられ、

冒頭に書いた登録番号を2つ書いた検針票はそれを意図したものである。

1枚の検針票だが、2取引の適格請求書が含まれているということである。

ただ、これが唯一の方法ではなく、媒介者交付特例を使う方法もある。

媒介者交付特例は委託販売の場合に、受託者が適格請求書を発行する方法である。

委託販売の場合、本来は委託者の名前で適格請求書を発行するべきだが、

委託者ごとに請求書を作成するのは手間が大きい。

(先ほどの上下水道の検針票のように1枚に複数併記することはできる)


そこで、委託者と受託者がともに課税事業者であることを前提して、

受託者の名前で適格請求書を発行できるのが媒介者交付特例である。

委託者が課税事業者の分はすべて受託者の名前でまとめて発行できると。

これを使うことと、例えば上水道特別会計の名前で下水道分もあわせた適格請求書を発行するということも可能だという。

検針票のフォーマットを大きく変えずに済むので、こちらを採用しているところも多いんじゃないか。


一般の法人ではあり得ないことなんですけどね。

まさかこんな理由で法人にも消費税専用の登録番号が振られるとは思ってなかった。