昨日、こんなことを書いた。
果たして岸田総理大臣がスターフライヤーの黒い飛行機に乗り込むのを見て「全日空3821便」と書けるものだろうか?
この件についてはこう思うのだけど、他のケースもある。
飛行機の便名と運航会社が違うケースには、コードシェア、ウェットリース、共同引受 の3ケースが考えられると思う。
コードシェアは同じ飛行機に他社の便名も付くというもの。
他社運航便を自社便として販売できる仕組みですね。
冒頭のケースはスターフライヤー運航便にANAが相乗りしている形であり、
スターフライヤーとしての便名も存在して、特に断りがなければスターフライヤーの便名で呼ばれるのではないか。
ウェットリースは最近は日本の航空会社ではなくなったのかなぁ。
ウェットリースとは飛行機を乗務員付きで借りることを表している。
(飛行機だけを借りて、乗務員は借主が用意するものをドライリースと呼ぶ)
かつては JALウェイズ と JAL の間で見られた。
JALウェイズはJALグループでチャーター便とハワイ・グアム・サイパン路線の一部を担当していた。
それ以外にもJAL便名のバンコク線、ハワイ線の運航も担っていて、
これについてはJALがJALウェイズの機材・乗務員をウェットリースで借りている扱いだった。
この逆にJALウェイズ便名のリゾート路線をJALの機材・乗務員で運航するものもあったよう。
JALウェイズはタイ人乗務員を多く採用して、リゾート路線を専門に担当してきたが、
これがなかなか見合わなくなってきたのか2010年にJALに吸収された。
共同引受というのは複数の航空会社で連帯して運送責任を負うもので、
JALグループでは 日本航空、J-AIR、日本エアコミューター、北海道エアシステム、日本トランスオーシャン航空(一部便) の5社、
共同引受対象の便はJAL便名での運航になっている。
ANAグループでは 全日本空輸、ANAウイングスの2社がANA便名になる。
とはいえ、ANAウイングスなんて外見からするとANAと区別は付きにくい。
JALグループの5社についてはそれなりに運航会社の違いは意識するかも。
J-AIRについてはJALの完全子会社でリージョナルジェット専門で全国を飛ぶが、
他3社は奄美・北海道・沖縄の歴史ある航空会社である。
JALが地域航空会社を共同引受に加えた理由はいくつかある。
1つは国際線とこれらの会社の航空券を同時購入できるようにするため。
この目的のためならコードシェアでもいいような気はするが。
JALの販売システムにそのまま乗っかれるという解釈でよいのかも。
もう1つが共同引受の会社同士で機動的に運航会社を変更できるという。
日本トランスオーシャン航空(JTA)の羽田空港発着便がJAL便名になったのはこのためだという。
JTAは737-800のみの保有で繁忙期に大型化するという対応はできない。
そこで繁忙期はJALの運航により大型化するということを考えた。
これで浮いたJTAの機材は沖縄県とは関係ないJAL路線に入ることになる。
なぜ”うちなーの翼”JTAが羽田-小松・岡山を飛ぶのか JALグループで737フル活用 (Aviation Wire)
なお、JTAについては羽田便以外は引き続き自社便名での運航になる。
(このためJTAには共同引受用と自社便名用の2つの運送約款がある)
また、JTAは以前より国際線との同時購入に対応しており、JALの国際線時刻表にも接続便として記載があった。
ウェットリースについてはコードシェアとの合わせ技でない限りは、運航会社の便名は付かない。
共同引受の場合は、代表会社の便名にしか見えない。
JTAのジンベエジェットに乗っても「日本航空971便」と書くしかない。
こういうケースだと運航会社と便名の表記が合わないことは普通だろう。
これとは少し異なるケースで共通事業機として他社機材を借りて運航する場合がある。
常時行われているのがオリエンタルエアブリッジ(ORC)がANAウイングスの機材を借りるもの。
これはORCの自社機材が不足しているのを、ANAウイングスのQ400で穴埋めしているため。
借りるのは飛行機だけでORCの乗務員でORC便名での運航である。
ORCは長崎県の航空会社で、長崎県の離島路線の運航が基本だが、
ANAから機材を借りた都合か、長崎県と関係ない路線の運航も担当している。
ORC全便にコードシェアでANA便名が付いていることと相まって、ANA便にしか見えないかも。
なお、ORCは自社のQ200の後継機としてATR42を購入しすでに納入されている。
ATR42導入後は操縦資格の違いもあるため、Q400の借用は終わると思ったが、
ATR42が納入される傍ら、借用するQ400による路線網拡張も続いていてよくわからんなと。
グループ会社内で共通事業機でやりくりするのはそういうものだとして、
それ以外だと天草エアラインの機材整備時に日本エアコミューター(JAC)からの借用が知られている。
天草は1機しか持っていないので、かつては整備時は全便欠航になっていたが、
両社ともATR42を導入したことでこのような対応が可能になった。
元々JACは北海道エアシステムの機材整備時に貸出を行っていた。
(当初はSAAB340の貸出でスタート、現在はATR42の貸出が行われている)
このたびATR42を購入したORCも整備時にはJACから借用するのではないか。
だから、見た目と便名表記が合わないケース自体はけっこうあるんですよね。
共同引受は参加した会社については一蓮托生ということではあるけど、
JTAは自社便名も一部残っているのがどうにも微妙である。
最後の方に書いたANAウイングスの機材を借りて、ORCが運航し、ANAとのコードシェアなんていうのは、
形式上はORCの自主運航便にANAが相乗りする形ではあるけど、
ANAがORCの乗務員を借りているようにしか見えないんだよね。