昨日、青森・盛岡・秋田周辺でSuicaを導入する話を紹介した。
山形県内のSuica導入状況について「仙山線に特化していて、県内移動にはあまり使えない」と書いたが、
Suica仙台エリアの路線図を見ると、一見して山形線(奥羽本線)にも導入されてるように見える。
福島~山形~鳴子温泉~古川が破線で書かれている。
これだけ見るとわからないけど、山形~鳴子温泉・古川は同じ路線ではなく、新庄で山形線と陸羽東線をつないでいる。
破線区間は未導入駅で乗降しない場合は使えるということで、仙山線の愛子~山形(途中駅は山寺・作並のみ導入)と同じだが、
問題は福島~山形とか、山形~鳴子温泉という利用がそんなにあるのかという話である。
前提としてSuicaはつばさ号(いわゆる 山形新幹線)では利用できない。
通常の乗車券+特急券、あるいは 新幹線eチケットサービス で乗車する必要がある。
制度上は福島~新庄のつばさ号は在来線特急なのだが、福島駅で新幹線ホームに発着するなどの都合もある。
福島~新庄では山形線の普通列車と つばさ号 が混在して走っているのだが、
このうち福島~米沢は全国的にも普通列車の少ない(1日6往復)区間で、運行列車の大半がつばさ号になっている。
このため、福島~山形をSuicaで利用するのは制度上可能でも、実用上は困難である。
また、山形~鳴子温泉・古川についても、新庄経由での利用は少ないとみられる。
山形~古川だと最短ルートは(在来線のみ利用としても)仙台経由ですからね。
じゃあ、なんでこんな書き方になっているのかというと、同区間へのSuica導入時に設定された仙台近郊区間との整合だと思う。
大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例 (JR東日本)
これによれば山形~古川などの区間は仙台経由のきっぷで、新庄経由で利用してもよい。
ただし、大都市近郊区間の特例に該当する場合は、そのきっぷが100km超であっても途中下車はできない。
このため運賃が高い方のきっぷを購入するメリットがないので、安い方(山形~古川なら仙台経由)しか通常は売らない。
なお、新幹線や つばさ号を利用する場合は大都市近郊区間の特例が適用されず、経路通りの乗車券を購入する必要がある。
また、特例が適用されない以上は100km超であれば途中下車が可能になる。経路通りなら気が変わって普通列車を使ってもよい。
JR東日本はこう言ってるのだが、昨日、JR九州のSUGOCAの案内ページを見るとこういう記載があることに気づいた。
SUGOCA/運賃計算/「SUGOCA」のカード内残額利用乗車の場合 (JR九州)
福岡・佐賀・大分・熊本エリアでは、路線自体は未導入区間があるが、両端はSUGOCA導入駅という路線がいくつかある。
原田線(原田・桂川のみ導入) や 久大本線(久留米~善通寺・大分~向之原のみ導入)などが該当する。
これらについてこういう記載がある。
ご乗車の区間の運賃を計算する際、「運賃計算の特例に使用する路線」を経由して計算した方が最も安くなる場合、実際には異なる経路で乗車する場合でもこれらの線区を経由したものとして運賃を計算します。また、カード残額を利用して、JR九州のSUGOCAエリア内の駅から乗車し、これらの線区を通過して、JR九州のSUGOCAエリア内の駅で下車することができます。(運賃計算の特例に使用する路線の途中の駅では下車できません。)
例えば、小倉~久留米 と移動する場合、普通に考えれば博多経由で移動すると思うが、
実はこの区間は小倉~折尾~桂川~原田~久留米が最安ルート(ただし、明らかに遅い)なんですね。
Yahoo!路線検索で同区間を「現金(きっぷ)優先」で検索すると2170円と出て、「ICカード優先」にすると1850円と出る。
なお、同エリアでも福岡近郊区間という制度があり、紙のきっぷでも乗車区間によらず最安ルートになる場合もあるが、
小倉~久留米は対象外(鳥栖~久留米が福岡近郊区間に該当しない)となっている。
このあたり、類似する制度があっても紙のきっぷとICカードで同じではないのは、JR西日本のICOCAも同様である。
さらに驚いたのが、非導入区間を通過する場合でも、SUGOCA導入駅同士の利用ならばICカードが使えるんですね。
久留米~大分を久大本線で通り抜けるなら、ICカードでいいんですね。
これはまさにJR東日本が福島~山形~鳴子温泉~古川を破線表記しているのと同じことだ。
実際問題として、これらの区間をICカードで通り抜ける意義があるのかはよくわからないが、
久留米~大分は特急が直通してるし、原田線は本数は少ないが短絡ルートとして無意味とも言えない。
なお、福岡・佐賀・大分・熊本エリア同士でも、唐津~佐賀を唐津線経由で使うのはNGと書かれている。
これは姪浜~唐津~西唐津の筑肥線は地下鉄空港線経由での利用しか想定していないから。
一方で、姪浜~博多を挟んでJRの駅同士で利用する場合は、JR分の運賃を通算するルールがあるので、孤立したエリアでもない。
なので、一般的に未導入区間を通過して良いわけではなく、このケースに限ってはOKということである。
かつてはJR東海のTOICAでも岐阜~多治見を当時はTOICA非導入だった高山本線・大多線経由で通過できるルールがあった。
同区間を含めて最安ルートとなる場合は、その運賃を適用するというルールもあった。
岐阜~多治見だと高山本線・大多線経由だと直通列車もあるし、両側とも岐阜県ですからね。
というわけでこれは実用面でも一定の意義があったと思う。
現在は同区間にもTOICAが導入されているので、一般的なルールとして最安ルートで計算される。
一方、JR西日本は「ICOCAエリア以外の区間を通過してご利用いただくことはできません」と明示している。
過去にさかのぼっても非導入区間を通過してよいルールはなかったはず。
では、非導入区間を通過した方が安くなる区間はどうなのか?
もはやICOCA導入区間が広がりすぎて非導入区間を通過した方が安くなるケースは少なくなったが、
規定上は一部の非導入区間は最短経路として考慮するルールがあるようで。
別表1の破線区間がそうで、現在は加古川線の西脇市~谷川のみが該当している。
この区間は大都市近郊区間との整合性も考慮してると見られるが、この制度の対象外でも最安経路として考慮される。
というわけで各社事情はいろいろなのだが、Suica仙台エリアの山形県内の表示は非常に紛らわしい。
嘘は言っていないのだが、仙山線以外をSuicaで利用するのは実用上困難である。
あと、仙山線にしてもSuica定期券は買えないんですよね。(非対応駅を含む=破線区間を含む場合は定期券は売らない)
仙台~山形は大学生の通学利用が多い区間と知られている。(仙台への通学も山形への通学も多いらしい)
にもかかわらず定期券がSuicaで買えないということで、こういうところも山形では実質的にSuicaが使えないという話につながっている。
確かに仙山線の途中駅はけっこうな秘境駅もあるのは事実で(都市間の通勤電車とは思えない車窓だった)、
ICカード非対応駅になるのもわからなくはないのだが、それと定期券が買えないのは別問題だよな。
なるほど、山形県民のいうことはそういう事情もあったんですね。