小笠原諸島が日本統治下に復帰してから50年ということで各所で特集が組まれている。
東京都ですから、関東甲信越のローカルニュースでも取り上げられている。
しかし、東京からはとても遠い。日本のどこからも遠いけど。
小笠原諸島が遠いのは距離もそうだが、時間も問題である。
東京から月5便程度の船「おがさわら丸」しかなく、所要時間は24時間、こりゃ遠いな。
そして、おがさわら丸 が小笠原諸島のほぼ唯一のアクセス手段というのが大変なことだ。
そう、航空路がないんですね。
小笠原諸島で一般人の住む父島・母島ともに空港がないのだ。
厳密に言えば、小笠原諸島に属する島で、硫黄島には自衛隊の飛行場がある。
もっとも小笠原諸島と一口に言うけど、父島~硫黄島は280kmも離れている。東京~名古屋ぐらいある。
それでも小笠原諸島からすればもっとも近い飛行場のため、急患輸送にとって重要な役目を果たしている。
小笠原諸島からの急患輸送の方法は2つある。
1つが硫黄島までヘリコプターで輸送し、そこで固定翼機に引き継いで本土に運ぶ方法。
もう1つは飛行艇で直接飛ぶ方法。海上自衛隊 厚木基地の飛行艇を呼び寄せるそうだ。
小笠原諸島への航空路がないことはずっと問題にされてきたのだが、未だに解決していない。
最大の問題が島内に空港を作るのが難しいということ。環境への影響が無視できないからだ。
じゃあ、飛行艇だという考えをする人もいた。
飛行艇ならば水面に離発着するので空港が作れなくてもなんとかなる。
自衛隊でも採用されている新明和工業 US-2は民間航空での使用も想定されているらしい。
しかし、実際に使用するのはハードルが高く、飛行艇による航空路開設は実現していない。
そんな中、東京都知事の小池さんは就任以来、父島への空港設置に熱心らしい。
島民の悲願「空港を」 26日で小笠原返還50年 小池百合子都知事は前向きも課題多く (産経ニュース)
小笠原諸島は世界自然遺産に登録されており、その区域内は特に環境保全に気を遣う必要がある。
そのため、区域外の場所で考える必要がある。まずこの時点で場所が限られる。
それで1200mの滑走路を確保して、安全に離発着できるようにしようとすると、海の埋め立てて、近くの山を削り取る必要がある。
これで環境保全に配慮した案というのだから、小笠原諸島に空港を開設することの難しさがよくわかる。
空港の新設に比べれば些細な問題かも知れないけど、飛行機の運用もちょっと難しそう。
想定されているプロペラ機はATR42だろうかな。今後、日本で導入されるプロペラ機はここに集約されていくのでは?
滑走路1200mで1000km程度飛べるという点でも小笠原諸島への航空路に適するだろう。というかそれぐらいしか選択肢がないらしい。
ATR42は西日本各地で大活躍している。日本エアコミューターが鹿児島空港と大阪・伊丹空港を拠点に各地に飛ばしているから。
ところが、東日本では活躍の場はないようで、東京・羽田空港への乗り入れはない。
というのも羽田空港って60席以下の飛行機の乗り入れは禁止なんだよね。さすがに小笠原路線なら緩和されそうだけど。
伊豆諸島への小型機は調布飛行場発着で運航されているのも、そういう背景があるんだろう。(ジェット機で運航されている八丈島路線のみ羽田空港発着)
ちなみに調布飛行場は滑走路800m、もっと小さい19人乗りのDo228が運用されている。これでは小笠原には飛べない。
なお、ATRは800m程度の滑走路で離発着できる ATR42-600S を発売する予定だそう。
父島の空港で、滑走路800m程度なら埋立が不要だとどこかで見たので、1つの道かもしれない。
ただ、ATR42-600Sは航続距離の面で厳しいようで、結局使えなさそうとも。
滑走路1200mというのも小笠原諸島の本土からの遠さを考えるとギリギリと言えるが、
環境面からこれ以上の滑走路を確保するのが難しいのは理解でき、綱渡りだが仕方なしということなのかなと。
いずれにせよ一朝一夕で解決する問題ではないことは確かだ。
別に今まで放ったらかしにしてきたわけではなく、小笠原諸島への空港開設はこれまでも真摯に議論されていたことらしい。
ところが環境面での問題が本当に難しいようで、実現していないのが実情なのだろう。
今、検討されている案を見ても、なかなか厳しい案だと思ったから。
距離の問題がなければ、ヘリコミューターってのがあるんだよね。
実際、伊豆諸島では空港がない島でもヘリコプター定期航路が設定されており、海の状況によらず行き来できるようになっている。
定期路線のある空港がない島にとってはとても画期的なことだったようだ。
航続距離の長いヘリコプターと言われて思い浮かぶのが V-22 オスプレイ、でもあれは民間で使えるものではないよね。
取れる手が少ないってのはこういうことですよ。