挑戦的なトワイライトエクスプレス瑞風

日本最長の旅客列車として名高かったトワイライトエクスプレス、

車両の老朽化、路線の変化などなど、2015年に廃止となった。

その後、しばらくは貸切列車として走っていたが、それもすぐに終わって、

一部車両は京都鉄道博物館で保存・展示されている。


こうして過去の物になってしまったトワイライトエクスプレスだが、

この名前を引き継いだ団体専用車両「トワイライトエクスプレス瑞風」の製造が行われている。

JR九州の「ななつ星 in 九州」と同じようなクルーズトレイン専用の寝台車ですね。

完成した車両から順次、車庫に運ばれているようで、ニュースにもなっていた。

黒いベールに包まれた「トワイライトエクスプレス瑞風」先頭車公開! (鉄道新聞ガタンゴトン.net)

近畿車輛と川崎重工業で分担して作っているらしくて、運んで組み合わせるのはこれが初めてだったみたい。


ところで今回運び込まれた車両の形式は「キイテ87」とある。

テは展望車を表し、イはかつての一等車(後に廃止されて、二等車が一等車に繰り上げられている)を表す記号、

ということで豪華な展望車だということは読み取れる。実際、すごい見た目の車両だ。

一方の中間の寝台車の形式は「キサイネ86」とのこと。(cf. JR西日本87系「トワイライトエクスプレス瑞風」搬入始まる (マイナビニュース))

ネは寝台車を表す記号だけど、サってなんだっけ?


後で調べたところ、驚くべき事実がわかった。

トワイライトエクスプレス瑞風 は 気動車 だったのだ。

気動車ってディーゼルカーのことね。

今まで寝台列車といえば機関車で引っ張ってもらう客車で作られるのが普通だった。

もっとも電車の寝台列車というのもあって、それが「サンライズ瀬戸・出雲」である。

そういう例外を除けば寝台列車=客車だから、きっと客車だろうと思い込んでたが、よく考えれば「キ」って気動車だよね。

ただし、ディーゼルエンジンがぶんぶん言ってる上で寝るのは寝苦しいだろうという考えか、寝台車はエンジンなしにしている。

通常、ディーゼルカーは全部エンジン付きなのだが、エンジンなしの車両形式は「キサ」(先頭車の場合は「キク」)と決まっている。

「キサイネ86」 の「キサ」ってそういう意味だったのね。


なお、動力形式としてはディーゼルエンジンと蓄電池のハイブリッド方式とのこと。(cf. 車両 (トワイライトエクスプレス瑞風))

そして、そこで気づいたのだ。

以前、川崎重工が納入したのは中間の寝台車、そしてこのたび近畿車輛が納入したのは先頭の展望車、

これって、川崎重工が無動力車、近畿車輛が動力車って分担ってことなのかな?

そして近畿車輛とハイブリッドカーといえば、「Smart BEST」である。(cf. ハイブリッドカーとかバッテリーカーとか)

Smart BESTは近畿車輛いわく「自己充電型バッテリー電車」の試作車なのだが、それはハイブリッドカーって言うんじゃないかね。

技術的に全く同じものであるかは分からないけど、多かれ少なかれ、このSmart BESTで培われた技術が使われているのではないんかな?


それにしても、なんで客車じゃなくて気動車にしたんだろうね?

客車と比べてのメリットは機関車の手配が不要で、取扱が楽なことだろう。

基本的に機関車は先頭に付ける必要があるので、基本的には方向転換するときには機関車を付け替える必要がある。

気動車ならば両側に運転台があって、それで運転士を乗せ替えればそれだけで対応できる。

10両編成に対応できる路線ならば、非電化路線でも簡単に走ることが出来る。

これが トワイライトエクスプレス瑞風 が気動車で作られた理由なのだろう。


先代、トワイライトエクスプレスはかつて量産されたブルートレインの車両を改造して作られ、

見た目はかなりのものだったが、技術的には枯れたものを集めて作られたものだった。

それに対して、トワイライトエクスプレス瑞風 は技術的にもかなり挑戦的な車両のように思える。

走りというところに着目して書いたが、色、形も鉄道車両としてはかなりユニークだ。

こんなところに力を入れる必要があるのか? そこはよくわからないが、JR西日本にも思うところがあるのだろう。