787-10の使い道は限られている

ちょっと気になった話。

ANAHD、ボーイング787-10型機を発注変更 ボーイング787-9型機に (TRAICY)

ANAがボーイング787-10を注文していたが、それを787-9に振り替えると。

同シリーズの他機種への注文振替というのはよくある話なのだが、

元々国内線用に注文していた787-10を、国際線用を想定して少し小さい787-9にすると。

ちょっと不思議な注文変更のような気がするが。


ボーイング787は低騒音・低燃費で航続距離が長く、貨物積載にも便利である。

JALの関西~ロサンゼルス線再開は787がきっかけだったというし、

新型コロナウイルス騒動のときワクチンなど貨物のみ積んで飛び回っていたこともあるし、

伊丹発着便など低騒音化が求められる路線に積極導入されたり……

最終組立はアメリカで行われているが、相当割合が愛知県で生産されている。

そんなこんなで印象深いエピソードの多い飛行機である。


787は胴体の長さが違う 787-8, 787-9, 787-10 がある。数字が大きいほど長い。

一番最初に開発されたのが787-8で2011年にANAに初納入、

追って787-9が2014年、787-10が2018年から納入されている。

最近の売れ線は787-9で、直近では787-8はあまり生産されていないようだ。

ANAはいずれも国内線用に使っている機材があり、その場合 787-8は335席、787-9は375席、787-10は429席となっている。

787-10の定員の多さに驚くが、それだけ胴体が長いんだよな。


787-10も売れてはいるけれど、787-9と比べるとニーズは少ないようだ。

この理由には787-10と787-9の最大離陸重量が同じということがあるらしい。

胴体が長くなれば飛行機自体も重くなるし、乗客・荷物も増えるはず。

なのに最大離陸重量は787-9と同じ範囲に収めなければならない。

とすると何が制限されるかというと燃料、すなわち航続距離である。

決して787-10が短距離向けの飛行機ということではないのだが、

アジア~アメリカ線、アジア~ヨーロッパ線で使うには制約が大きいという。

このため長距離線の国際線機材としては選びにくいという事情があるらしい。


この欠点が一番問題にならないのは国内線ですよね。

さっきも書いたようにANAは429席で使っている。

現状買える飛行機の中では最大クラスの座席数である。

ただ……昨今では国内線の経営は厳しく、供給過多の感もある。

国内線への787-10の導入ペースを落とすべきという判断になったのだろう。


では好調の国際線に導入しようとすると用途が限られてしまう。

日本ではANAとともにエバー航空とシンガポール航空の787-10もよくみられそう。

エバー航空は台湾の航空会社だが、日本・韓国や大陸方面に主に使用している。

台北~シアトルのような路線もあるが、ほとんどのアメリカ路線は787-9や777のよう。

シンガポール航空は日本路線に多くの787-10を投入している。

実は787-10が世界で初めて定期路線に使われたのはシンガポール~関西なんだとか。

需要旺盛で距離もほどほどということで目を付けた形である。

シンガポール航空はより長距離の路線にはエアバスA350XWBを使っている。

ちなみにANAも国際線では787-10をバンコク線などに投入している。


現在、787-10はボーイングから出荷される飛行機では最大、

エアバスを含めて見てもA350-1000がそれより少し大きい程度である。

ただ、本当はボーイングは777Xという777の後継機を出していないといけなかった。

ANAが注文しているのだが、2020年納入予定と言われて、まだ納入されていない。

787-10が777Xの代替策として開発されたわけではないと思うのだが、

実態としては距離限定で代替策として使われている部分もありそうだ。


会社間の協業もある中でANAとしてはアジア圏内の国際線はあまり注力分野ではなく、

そうなると787-10を国際線用にしても結局は使い切れない。

それなら787-9にして、より幅広く使える方がよいということのようだ。

国内線で老朽化が進む機材をどうするのかという問題はありそうだが。


ちなみに最大離陸重量の問題だが、若干引き上げできるオプションが追加されたらしい。

787-9と-10、最大離陸重量引き上げをFAA承認 ニュージーランド航空が初導入 (Aviation Wire)

このオプションを適用したところで航続距離の差が埋まるわけではないが。


そういえば全く別の話だけど、JALが737-800の後継として発注したであろう、

737-8(737 MAX 8)にファーストクラスを設定するという話が合った。

JALでは国内線は普通席・クラスJ・ファーストクラスの最大3クラスを設定している。

クラスJは多くにあるが、ファーストクラスは中型機以上にしか設定がない。

それを737-8に付けるのはどうしてだろう? というのでいろいろ憶測はあったが、

ファーストクラス搭載機材が入る幹線でも便によっては737も入る。

そういうところに1列でもファーストクラスがあると選ぶ客はいるだろうと。

全体的にはダウンサイジングのための準備ではないかという話。

当然、767の後継と言われているA321も同様なんだろう。