JR西日本が桜島~夢洲の鉄道延伸に乗り気らしいとは以前から言われていたが……
開業時期について「2030年代後半に実現したい」と述べました。
延伸に必要な工期等を考慮すると、IRの開業には間に合わないとしています。
現在、大阪市・JR西日本はともに なにわ筋線事業を進めている。
これの開業が見通せる時期にならないと具体的なスタートは切れないだろうと。
そう考えると2030年代後半というのも早いなとは思うのだが、可能な限りスピードアップを図りたいようだ。
ところでこの路線ってどういうスキームで整備されるんだろう?
大阪周辺の鉄道整備についてこれまでの事例を考えて見る。
JR東西線・阪神なんば線・京阪中之島線、そして なにわ筋線、
これらの路線は沿線府県・市と鉄道会社、その他企業の出資する会社が線路を保有している。
制度としては 地下高速鉄道整備事業費補助 を適用している。
この制度は公営事業者、準公営事業者に限られている。
このために線路を保有する会社を設立しているんですね。
公営という点では大阪市営地下鉄として建設した今里筋線なども同様である。
(現在もOsakaMetroは準公営事業者として補助対象である)
より補助率が高い制度として都市モノレールというのがある。
モノレールはインフラ部を道路事業として整備することができ、
道路の整備には社会資本整備総合交付金という制度で国が最大50%の補助を出せる。
現在は関連事業として電気設備など付ける事業、効果促進事業として車両を購入する事業も補助対象である。
大阪モノレールもそうなのだが、北大阪急行の千里中央~萱野もそうである。
電車専用道路とモノレール専用道
後半の方に書いてあるが、箕面船場~萱野に地下鉄規格のモノレール専用道、両駅に交通広場を整備、
ただ、この区間だけでは用を為さないので、千里中央~箕面船場の地下鉄を関連事業で整備したという。
これにより国の補助と競艇マネーをフル活用し、箕面市は都心直結の鉄道を整備したわけである。
実はOsakaMetro中央線のコスモスクエア~夢洲も似ているのである。
といってもこれは道路事業ではなく港湾事業である。
ポートライナー、ニュートラム、ゆりかもめ と埋立地を走る新交通システム(AGT)はおなじみだが、
いずれも道路事業と港湾事業が組み合わさったものである。
一般的な道路は建設省所掌なのに対し、港湾道路は運輸省の所掌だった。
この縄張り争いにより、港湾道路上を通る区間は臨港交通施設として、
一般的な道路上を走る区間は都市モノレールとして道路事業で整備することを求めたわけである。
(ただ、調べた限りでは臨港道路上が鉄道、一般道路上が軌道と厳密に分かれているわけではなさそう)
とはいえ、どちらも国の補助率は最大50%である。
さらに言えば、現在はどちらの役所も国土交通省なのでまとめて申請できる。
OsakaMetroの高速電気軌道事業は歴史的経緯で軌道法という路面電車の法律を適用している。
(ただし、モノレールのように道路事業で地下鉄を整備しているわけでもない)
しかしながら、大阪港~夢洲は臨港交通施設のため鉄道事業法が適用されている。
これらの区間は道路・鉄道一体のトンネルとなっていて、
さらに言えば咲洲トンネル・夢咲トンネルも臨港交通施設(臨港道路)である。
さらに特徴的なのは埋立地の土地貸付・売却収益もアテにしていること。
これは港湾事業として整備する特色でもあったわけですね。
というわけで、他の地下鉄区間とは整備方式がかなり違ったわけですね。
なお、大阪港~コスモスクエア~中ふ頭の区間は元々大阪港トランスポートシステム(OTS)という別会社があり、
かつてはこの区間は市営地下鉄・ニュートラムとは別の運賃体系だった。
2005年にOTSは市営交通に統合、ただし臨港鉄道区間の設備保有は続けていた。
コスモスクエア~夢洲もインフラ部以外はOTSが保有することとなったので、
OsakaMetroはOTSに線路使用料を払って建設費を返済する形をとっている。
この部分だけ見ると、JR東西線のような準公営地下鉄と似ているように思う。
大阪港港湾計画を見ると、夢洲~新桜島(仮称)に「臨港鉄道 北港テクノポート線」という線が引かれている。
さらに大阪都市計画でも同区間に都市高速鉄道の計画が存在する。
新桜島というのはJR桜島駅とは少し違う場所にあるので、
現在有力視されているJRの桜島~夢洲延伸には計画変更が必要になる。
ただ、基礎となる計画は双方に存在するわけですね。
これを臨港交通施設として整備するか、地下高速鉄道として整備するかというオプションはあるが、
前者の方が補助率が高くて有利というのが通常の考えである。
ただ、臨港交通施設で整備された一般的な旅客鉄道ってどれぐらいあるんでしょうね。
中央線の大阪港~夢洲でもなかなか異例という感じはあるが。
とはいえ、港では珍しいかもしれないが、空港で似たような話はある。
どうも空港敷地内の鉄道というのはインフラ部は空港事業で作ってくれるらしい。
JR東日本が行っている羽田空港アクセス線はこれによる部分が相当を占める。
こういう事業をJRが単独で実現できるのはちゃんと理由があるんですね。