漫画でどうやって儲けるか

Cygamesの漫画配信サービス「サイコミ」、

木曜・金曜あたり更新の作品をメインで見ているので、だいたい金曜ぐらいに開くんだけど、

アプリのアップデートが求められ、起動すると「再創刊」と出てきた。

どうもリニューアルがあったようだ。


再創刊の内容について説明する「再創刊ってなぁに?」と書いた説明があったが、

リニューアル内容をコミカルに説明したもので、昼休みに見てクスクス笑っていたら、職場の人に何ごとと言われたのだった。

このリニューアルは11作品の新連載が始まるというのもあるのだが、もう1つの大きな差が有料コンテンツの追加という。

カサイ編集長「なぜですか? 新連載が11作品も始まるし、作品のファングッズ的なコンテンツも買えるようになるし、最新話の先読みまでできるようになるんですよ!?」

太郎くん「あ、拝金主義だ! ぶちころせ!」

こういうことを思うユーザーもいるかなぁということだろう。


有料コンテンツを追加する目的は「面白いマンガを増やすため」と書いてある。

従来、サイコミは無料で漫画が読めるだけのアプリだった。

サイコミの作品は講談社から単行本として発売されているので、それの売上は多少あるかもしれないが、その程度だ。

一般的な漫画雑誌では人気作品目当てに雑誌を買うファンに支えられていると言われている。

とはいえ、Cygames自体はモバイル向けのゲームで莫大な利益を上げているので、これまではそれをサイコミに投じてきたのが実情ではないかと思う。

そうしてサイコミにはいくつかの人気作が生まれてきた。

次なるステップとしてサイコミが自身の儲けを自身に再投資できるようにしたいというのが意図のようだ。


有料コンテンツの購入にはコインが必要だが、コインは1日1回ガチャでランダムに配給される。

説明によれば1日平均20コインと書いてある。習慣的にアクセスしてねってことなんだろう。

その上でコインの用途としては、漫画の先読みと「スペコン」の2つがあると書いてある。

先読みは1~2回先の更新で公開される作品を、数十コインを払うことで先んじて読める機能。

本来の更新日が到達すれば無料で読めるようになるので、その点では従来と変わらない。

書きだめのある作品しか先読み対応できないので、一体どのぐらいの作品が先読み対応するのかなぁという疑問もある。

ほかの漫画配信アプリでもこういう機能はあるらしいね。


どちらかというとメインは「スペコン」という追加コンテンツでしょうね。

オーディオドラマ、ノベル、おまけマンガ、イラストなどと書かれている。

オーディオドラマってのは漫画との相性がよさそうで、うまくやれば稼げそうだなと思う。

これまでも単行本にドラマCDを付けたものはあったが、なかなかそういうことができる作品は限られている。

サイコミのスペコンという仕組みを使えば、こういうことに挑戦できる作品も増えそうだ。


サイコミの作品の中には自社関係のゲームの漫画もあるけど、大半を占めるのはそれとは無関係に作られた作品である。

ゲームは非常にお金も労力もかかるので、あまり多くの作品を世に出すのは難しいが、漫画であれば小さく始めることができる。

おそらく、それがCygamesが漫画を始めた理由なんじゃないかなと。

サイコミ編集長インタビュー (コミックナタリー)

ここにいろいろ書いてあるが、ゲーム作りのリソースやノウハウは漫画作りにも生かせるようだ。

それぞれの漫画家の強みを生かすために、弱い部分は分業して他の人に任せたりということができる体制があると。

それなりに考えられてるんですねぇ。


ガチャほど大きく儲けられる商売ではないけど、ファンにとってもうれしい話なのかなと。

使うかしらないけど、毎日チマチマと配給のコインを集めておきますかね。

よく考えたらこれも大阪駅か

この前、大阪に行った時に梅田を散歩していたときに、新梅田シティからの帰りに南側に回ってきた。

メインルートではなくて、隣接地で工事をしていることもあって歩行者は少ないが、

今後、うめきたの開発が進めば、ここも多くの人が歩くようになるはず。

そして、大阪駅(ノースゲートビルディング)が見えてきたあたりで、地面がアスファルトから四角いフタを並べたようなものになった。

四角いフタというのは地下工事のときに使われる覆工板のことで、この地下で工事をやっているということ。

この工事こそが北梅田駅(仮称)の工事である。


印象としては思ったよりも大阪駅から近いということ。

道路のはす向かいがすぐに桜橋口ですからね。

もともと存在した梅田貨物線の線路よりを東に移設しているのは知っていたが、こんなに近いんだね。

この新駅設置の主な目的は、新大阪から環状線に直行していた はるか・くろしお が梅田付近に停車できるようにすることだが、

そうはいっても、駅が離れたところだと微妙だなと思ってたが、この立地ならそこそこ便利そう。

梅田のことだから、どうせ導線は複雑だと思うけど、そのうち慣れるでしょう。


この駅の名前はまだ決まっていない。北梅田駅という仮称が広く使われているが、実際にはよくわからない。

わりと仮称はあてにならないもので、JR東西線では全ての駅で建設中の仮称から名前が変わった実績もある。

来年春に開業する嵯峨野線の梅小路京都西駅も、仮称は七条駅だった。七条駅になると思っていた人はほとんどいなかっただろうが。

北梅田駅についての最近のJRの認識は、

(仮称)うめきた(大阪)地下駅の開業に向けて

(「JR西日本技術ビジョン」の具体化に向け、(仮称)うめきた(大阪)地下駅における新しいサービスを募集 (JR西日本))

という、ずいぶんふわっとした書き方なのだが、意外だったのが (大阪) と書いてあること。

よくよく考えてみると、この駅って大阪駅と同一駅扱いになるはずの駅なんだよね。


どうしてこの駅が大阪駅と同一駅扱いになるはずなのかというと、現在も はるか・くろしお は運賃計算上は大阪駅を通っているから。

今回地下化を進めている梅田貨物線と呼ばれている路線は新大阪~福島の短絡線なのだが、

短絡線を走行する列車を利用する場合の運賃・料金は 新大阪~大阪~福島 と乗車したものとして扱うとなっている。

おそらく、この考えは今後も継承されるだろう。

そうすると新駅は大阪駅と同一駅扱いにするのが自然だ。なぜならば新駅の目的は大阪駅の代替だから。


JR九州にこれと似たような駅がある。それが北九州市の折尾駅だ。

簡単に言えばメインの駅とは別に、短絡線上のホームがあって、改札が別になっている。

改札は別だが、どちらも折尾駅には違いなく、改札を出ての乗換もできる。

連続立体交差事業にあわせて、短絡線のホームをメインの駅に集約する計画があるので、今後解消される見込みだ。

ともあれ、折尾駅の例によれば、新駅も大阪駅でよいことになる。


そうはいっても、どっちも大阪駅だと混乱の元になりそうである。

そうすると制度上は同一駅だが、駅名を使い分けるという取扱が考えられる。

JRではそういうことをやっている駅はないはずだが、

他社では近鉄の大和八木駅・八木西口駅、東武の とうきょうスカイツリー駅(旧業平橋駅)・押上駅がそれにあたる。

どちらも歴史的経緯で同一駅扱いの駅が2つ存在している。


近鉄は八木駅を現在地に移設する前の、旧八木駅を八木西口駅の名前で残したことに由来する。

橿原線は特急以外は両駅に連続停車するが、駅間は400mほどで、同じ名前のバス停が2つあるのと似たような趣である。

あえて旧駅を残した理由は一見よくわからないが、大阪線と橿原線の間に短絡線があって、

これを使って大阪上本町~橿原神宮前の直通列車(かつては定期列車にあったらしい)を走らせると、

八木駅は停車できないが、八木西口駅は停車できるので残しておいたと言われている。


東武は浅草駅が手狭なので、業平橋駅に10両編成対応ホームを置いていたが、この機能を押上駅に移して半蔵門線への直通運転に改めた。

このとき、曳舟~押上の新線を建設したが、これは曳舟~業平橋の増線扱いということになった。

ゆえに春日部~浅草などの定期券で、押上駅を利用することができる。逆も同様。

その後、業平橋駅の10両編成対応ホーム跡地を含めた一体はスカイツリータウンになり、業平橋駅もとうきょうスカイツリー駅に改められた。

ちょうどスカイツリータウンの西側にとうきょうスカイツリー駅、東側に押上駅がある感じですね。


JRが北梅田駅の取扱をどうするかはよくわからないが、どちらかになるんじゃないかなぁ。

北新地駅は大阪駅とは基本的に別の駅だけど(京橋~大阪・北新地または尼崎~大阪・北新地を含む定期券・回数券で他方の駅が使える特例はある)、

これは両ルートで明確に途中駅が違うという事情もある。(実際、定期券で他方のルートを使う場合は、途中駅での乗降はできない)

でも、北梅田駅はそういう問題はないし、現に運賃計算は大阪駅を経由するルートで行っている。

問題はこれを大阪駅と言うかどうかだが、どうでしょうかね?

離れていても改札内でつながっていれば、すごく遠いけど京葉線の東京駅は完全に同一駅だったりするけど。

アソビで本気の商売

バンダイナムコエンターテインメントの公式通販サイトが「アソビストア」という名前で存在している。

主にキャラクタグッズやイベントグッズを販売しているが、ゲーム会社の直営店らしく限定特典付きでゲームソフトなどの販売もしている。

アソビストアとはバンダイナムコエンターテインメントが運営するエンタメコマースサイトです。
イベントグッズの先行販売や、豪華特典を付けた「アソビストア」限定版ゲームソフトなど、アソビストアならではの限定商品をお買い求めいただけるだけでなく、
声優によるラジオ番組やオリジナルアニメなどを配信し、「アソビきれない毎日を。」提供いたします。

基本的には通販サイトなのだが、ラジオの配信もやっているし、有料会員制度もある。

かつて「ララビット」という名前で、普通の通販サイトだった。今年4月にリニューアルして名前を改め、通販サイトらしからぬ機能が増えた。


アソビストアの有料会員は、イベントのチケットに優先応募する権利があって、それでチケットを応募した人が、

「アソビストアっていうけど、遊びじゃないぞ」というようなことを言っていた。

そう言われるとアソビストアってちょっと変な名前だなぁと。

でも、ここには明確な理由があるんですよね。


というのもバンダイナムコエンターテインメントの企業理念が「アソビきれない毎日を。」なんですよね。

ちなみにバンダイナムコエンターテインメントは、2015年にバンダイナムコゲームスから改名している。

事業領域が拡大していることを踏まえての改名ではあるが、現在も主たる事業はコンピュータゲームである。

この企業理念も2015年の社名変更のときに決められたものだ。

事業内容はゲームに留まらないが、この会社が提供するものの根本は「アソビ」ですよという意味なんだろう。


というわけだから「アソビストア」というのは、そのまま企業理念を書いてるんですね。

よく考えたら最初に引用した説明に「『アソビきれない毎日を。』提供いたします」って書いてあるよね。

だから「アソビストアっていうけど、遊びじゃないぞ」に対する答えは「企業理念を付けてるんだから、本気の商売だ」ということになる。


かつて、高専時代に電車で通ってたとき、車窓から天理教の大きな教会が見えてたんだけど、

「陽気ぐらしのキーワード」という看板が立ててあった。

一見すると大したことなさそうな話なのだが、実はこの「陽気ぐらし」というのは天理教の根本的な教えらしく、

なんとなくありふれた言葉をつなげただけに見える「陽気ぐらし」というのは、実はとても大きな意味があるんだなと思ったものである。

バンダイナムコエンターテインメントにとっての「アソビ」っていうのも、そういうもんなのかなと思うところ。


最初に書いたとおり、ゲームというより、キャラクタグッズであったりイベントグッズの販売がメインで、

アソビストアになってからはイベント会場でのグッズ販売所にも「アソビストア」の旗を掲げて販売している。

アソビストアって通販サイトじゃなかったのとは思ったけど、実は違うのかも知れない。

そういうところも通販サイトらしからぬところかなと思っている。

まぁ何も知らない人がイベント会場に行って「アソビストア」という旗を見たら、なんだこれは? と思うかも知れないが。

通り抜けはPiTaPaでOK

そういえば、先日、名古屋駅で近鉄から新幹線に乗り換えたとき、

久しぶりに近鉄・JR連絡改札を使った。

そもそも、新幹線というよりはJRハイウェイバスとの乗換目的で使うことが多いのもあるんだけど、

新幹線との乗り換えとしても、改札外を回って乗り換えることが最近は多かった。

特に新幹線到着の場合、一旦改札口に出ると割切ってしまった方が楽なことは多い。


ご存じない方のために説明すると、近鉄名古屋駅はJRと名鉄と直接乗換できる改札口を持っている。

かつては有人改札だったのだが、現在はどちらも自動化されている。

両方が紙のきっぷの場合は近鉄とJRのきっぷを同時投入、どちらもICカードの場合は1枚でタッチ、

どちらかが紙、どちらかがICカードの場合は、紙のきっぷを先に入れてICカードをタッチとなっている。

名鉄の乗り換え改札はしょぼい感じもするんだけど、JRとの乗り換え改札は利用者も多く、

JR→近鉄には近鉄特急券売り場が、JR→近鉄にはみどりの窓口・特急券券売機が設置されている。

ほとんど鶴橋駅と同じものなんだけど、あれに比べればずいぶん慎ましやかな乗換口である。


近鉄がPiTaPa、JRが紙のきっぷという時代は、ここでJRのきっぷを先に入れてPiTaPaをタッチして乗り換えていた。

JRといっても基本的に新幹線なので、ICカードで乗ることは想定していなかった。

ところが現在は新幹線はEX-ICで乗るようになったから、さて、どうするか。

新幹線改札ではEX-ICだけタッチすればよいが、在来線改札から入る場合は新幹線乗換改札への通り抜けに都市圏のICカードが必要になる。

(適当なICカードがなくて、新幹線改札を直接利用しにくい場合は、在来線改札の駅員に言えば通行証をもらえるようだが)

それで、近鉄・JR乗換改札を通り抜けた先は在来線改札内なので、通り抜けにはEX-ICとは別にJRで有効なICカードが必要になる。


近鉄・JR乗換改札で近鉄・JR両方でICカードを利用する場合の取扱は複雑な経緯がある。

2007年~2012年は、近鉄のICカードとJRのICカードを2枚重ねて通過することになっていた。

この当時、近鉄で使えたのはPiTaPa・ICOCA、JRで使えたのはTOICA・manaca・Suica・SUGOCAだったよう。

JRを利用するICカードとしてICOCAが使えないという特徴があった。(近鉄が紙のきっぷでも)

2012年以降は2枚重ねで通過することはできなくなったが、2013年までの間は近鉄・JR両方で使えるのはICOCAだけだった。

2013年以降は近鉄・JRとも使えるICカードの種類が増えたので、ICOCA以外でも1枚での通り抜けができるようになった。


僕が近鉄を使う場合はPiTaPaを使うわけだが、JRを通り抜けるのにPiTaPaが使えるかというのは謎だった。

PiTaPa自体はJR東海でも使えるのだが、僕はPiTaPaに1円もチャージしていない。

そしてJR東海はPiTaPaポストペイ利用エリアではない。すなわち0円のPiTaPaは何も払えないということである。

0円のPiTaPaでJRを通り抜けることができなければ、僕がPiTaPaとEX-ICの組み合わせで近鉄・JR乗換改札を使うのは困難ということになる。


これだが、結論から言えば、0円のPiTaPaで近鉄・JR乗換改札を越えて、新幹線乗り換え改札に到達することができる。

なぜかというと、JR東海ではICカードは0円でも有効なものとして扱われるから。

地域によって、この考えには差があり、JR東日本とPASMO加盟社では初乗り運賃以上あれば有効、

JR西日本では1円以上、PiTaPa加盟社では10円以上(PiTaPa以外)となっている。

現在はJR西日本でも近畿圏ではPiTaPaはポストペイになったから、0円のPiTaPaでもOKだ。

もっとも運賃不足のままでは改札を出られないのはどの地域でも同じで、改札を出るまでにチャージが必要になる。

でも、在来線改札を通り抜けるだけなら0円のままでOKですからね。


というわけで、近鉄がPiTaPa、新幹線がEX-ICでも近鉄・JR乗換改札が使えるわけだが、

久しぶりに使って思ったのは通路が複雑ということ。

改札外に出ると遠回りだという人もいるけど、大差ないんじゃないかなぁ。

特にJRのきっぷを持っていない場合(EX予約の引き取りが必要な場合を含む)、

乗換改札口のみどりの窓口、券売機は混雑しやすいので改札外に出た方が空いている。

特にEX予約の引き取りは改札外には専用の装置があるので、その点でもよい。


JR東海が残高0円のICカードでも有効としているメリットがこんなところにあるとは。

まさか近鉄名古屋駅のことを想定していたのかどうかは知らないけど、僕にはありがたかった。

なにもない人工島の割には

2025年に大阪で国際博覧会を行うことが決まったが、

その会場、舞洲は大半が未完成の埋立地である。航空写真で見ると水たまりも多く見えている。

道路はすでに通じているし、すでに一部は港湾地区として岸壁や倉庫が整備されている。

とはいえ、こんなところで万博やるの? という見た目である。


舞洲はもともと2008年の大阪オリンピック構想では選手村になる予定だった。

選手村は後で住宅に転用されるのが普通だから、これが実現していたら第二のポートタウンになっていたのかもしれない。

とはいえ、この計画は実現しなかった。

それでも夢洲の開発は遅れながら進み、2009年には咲洲と夢洲を結ぶ夢咲トンネルが開通、コンテナターミナルも開業した。

もっともコンテナターミナルに使われたのは夢洲の一部だけなのだけど。


物流基地としての機能を強化してきた夢洲だが、その流れが変わったのが統合型リゾート(IR)構想だった。

IR構想自体は大阪に限らず、いろいろな地域にあるけど、もっとも早期に具体化したのが大阪だったような気がする。

いろいろは背景はあるだろうけど、ほとんど未使用のままの夢洲が使えるというのは大きな動機だったに違いない。

IRに乗っかれば、カジノの金で未開発の人工島を開発し、観光客であったり、国際会議や展示会の誘致をしていきたいと。

大阪は国際会議や展示会などの会場としてポテンシャルはあると思うんだが、施設面ではあまり充実していないように見える。(これでも日本では充実している方だが)

カジノをはじめとするエンターテイメントの充実も1つの目的だけど、ビジネスの舞台としての期待も大きな目的と理解している。


さらに、夢洲の街開きにあわせて万博を開こうというのは、これまで2度の国際博覧会をやってきた大阪らしい発想かもしれない。

そんなわけで、2024年にIR開業、2025年に万博開催というシナリオが立てられたのだろう。

ちなみに、博覧会と言うのはうまくやれば黒字を出せるイベントで、日本で開催された国際博覧会は全て黒字で終わっている。

補助金や寄付金あっての黒字ではあるんだけど、万博そのものはお金が垂れ流しになるようなイベントでもない。

博覧会のために整備した施設の一部は、今後も活用できるだろうから、その点でもメリットはある。


そうはいっても、今は何にもないじゃないかという話である。

今回の万博誘致が決定したことで、この3つを行うことは確定した。

  • 夢洲の埋立を完成させる
  • 地下鉄中央線をコスモスクエアから夢洲まで延長する
  • 此花大橋・夢舞大橋(現状4車線)を6車線化する

夢洲だが、北側の一部は廃棄物、残る大半は浚渫土や建設残土を埋め立てている。

廃棄物を埋め立てたところは公園ぐらいにしかならず、現在は一部をメガソーラーとして使っている。

万博やIRに使用するのは浚渫土・建設残土というきれいな土を埋めているエリアで、ここを完成させるということだろう。

中央線の延伸はもともとあった計画で、夢咲トンネルには鉄道用の空間もすでに確保されている。なので、比較的容易に完成できる。

此花大橋・夢舞大橋も当初構想は6車線なので、これを完成させると言っているだけである。


ただ、これ以外に決まっていることはあんまりないんだよね。

構想路線としては、京阪中之島線に中之島~西九条~新桜島(現在のJR桜島駅とは別)、中央線にコスモスクエア~夢洲~新桜島というのがある。

それをつないで京阪が夢洲に来るという説もあるのだが、京阪は計画を変更して九条駅で中央線と接続することで夢洲へのアクセスを考えているそう。

一方で、JRの構想ではゆめ咲線を桜島駅から夢洲に延長するというものもある。

直感的にはこちらの方が実現は容易そうだが、ゆめ咲線はUSJの利用者で混雑している。

いずれにしても2025年までに実現できる計画かという問題はあって、万博の計画には特段記載されていない。

実際にはバスに頼る部分が多くなりそうだと思っている。

幸いなことに、阪神高速 淀川左岸線が2020年度に豊崎まで開通予定(本当に2020年度かは怪しいけど、万博には間に合うとして)で、

これを使えば梅田や新大阪から夢洲へのアクセスはかなりよくなる。なにしろ高速を出たら、そのまま舞洲・夢洲に渡れますから。

ちょうど2024年が うめきた2期の街開きなので、梅田に万博行きの暫定ターミナルでも作ってそうだけど。


本当にできるんかよという話はある一方で、なにもない空き地の割には準備は進んでいたし、いろいろ構想があったんですね。

それもこれも2008年のオリンピック構想があったからである。

とはいえ、完成しているものは道路ぐらいで、このままでは万博どころではない。

あと、IR構想も国内の他の候補地に比べれば進んでいるとはいえ、そこまで多くのことが決まっているわけでもない。

だいたい具体的な事業者も決まってないしね。国外の数社が興味を持っていることは明らかになっているが。

今着手して2024年完成予定ならともかく、着手できるのは2020年頃なのではと言われているのだから厳しい。


万博をやるのはよいことだし、IR構想も基本的にはよいと思うのだが、

もっとも懐疑的なのは、カジノが儲かるという前提で、それが一番うさんくさい。

夢洲に対する投資が報われるか否かはその1点にかかっていると思うんだけど、そこがうーんって。

全て計画通りに進めば、夢洲に多少お金を費やしたとしても、それ以上のものは得られると思うが、これが崩れるとね。

現実味のない話でもないんだけど、懸念はいくらでもあるということ。

nanacoに10万円も積んでおこう

とあるクレジットカードで年末までの特別キャンペーンの案内が届いていた。

Webで登録して、2万円以上使うと5%相当のポイントがもらえる上限ポイントあり)というもの。

普段あまりつかっていないカードなのだが、さて2万円も使えるものか。


いろいろ考えたところ、nanacoチャージすれば容易に2万円以上使えることがわかった。

珍しくもnanacoチャージでポイントが貯まるカードなのだ。

しかも、nanacoは最大で5万円までチャージ出来る。

年末までにまとめてチャージしておけば、このキャンペーンを有効活用できる。


さらにnanacoはセンター預かり分というのがある。

これはWebでチャージなどしてから、残高確認するまでの残高を置いておくところなのだが、

こちらの上限はカードの残高とは無関係に5万円までとなっている。

ということはnanacoはカード内の5万円とセンター預かり分の5万円で計10万円の残高を持てるってこと?

これを使って1枚のカードで5~10万円の公共料金の支払いをする人もいるんだとか。(支払いの途中で残高確認をしてもらう)


普段は月に1~2回、1万円のnanacoチャージをしている。

普通にやっていても年末までには2~3回(2~3万円)はチャージするだろう。

これに加えて年末までにnanacoに5万円弱+センターに5万円を積むということで、12~13万円ぐらいを年末までにチャージすると言っている。

残高5万円弱で年明けを迎えると、去年の実績から残高確認が必要になるのは4月上旬ごろ。

ここで残高確認するとまた残高5万円からスタートして、今度クレジットチャージが必要になるのは今年の実績では8月中旬ごろとなる。

イトーヨーカドーでの買い物を9ヶ月分ぐらい先払いするということで、すさまじい話である。


とはいえ、これによって得られるものはかなり大きい。

nanacoで12~13万円ほど、他の買い物で1~2万円ぐらいは使えるでしょう。

計14万円として、この5%というと7000円相当となる。

普段、セゾンカード(SoftBankカード)で払っても0.97%相当のポイントしかつかないのだから。

先払いする金額は大きいが、ボーナスでなんとか。(引き落としの大半は翌2月だけど)


さて、今回nanacoを使ってキャンペーン期間にまとめてお金を使うわけだが、

かつて弟がライフカードで誕生月はポイント5倍になるから、ここでAmazonギフトを1年分まとめ買いすればよいということを言っていた。

現在は制度変更で3倍になったようだけど、それでも特定の月だけポイント付与率が高くなる制度はある。

問題はチャージ先が普段使うものであるかどうかで、僕にとってはAmazonギフトはさほど役に立たない。

いや、使おうと思えば使えますけどね。でもnanacoみたいに何も考えずに生活して消えるものではないので。


こういうキャンペーンを行う目的はショッピングリボ手数料だろうなぁ。

このカードって利用額の全てがリボ払いなんだよね。

僕は作って速攻で全額引き落としコースに変更したから、特に操作をせずとも全額落ちるようになってるけど。

それでも根本的にリボであることに違いはなく、支払金額の変更はできる。(もっともたいていのカードで後からリボはできるのだが)

すなわち、年の瀬に乗じてクレジットカードをたくさん使わせて、支払いを繰り延べさせて手数料で稼ごうという意図があるんだろう。

それだけで5%のポイントの元が取れるかはさておき、今後習慣的に使ってもらいたいという思いもあるのかもしれない。


その手には乗らないぞと思っているけど、一方でショッピングリボで稼ごうと企てるカード会社をあまり悪くも言えない。

僕みたいに翌月一括払いで使っている客というのは、客からクレジットカード会社にお金を落とすことは基本的にない。(年会費も無料だし)

ということは加盟店からの決済手数料ぐらいしか取れないわけだけど、利用に応じてポイントを付与していたのではそんなに儲からないだろう。

かつてのクレジットカード会社はキャッシングでたくさん儲けていたと言われているが、それはグレーゾーン金利なんてものがあった時代の話。

そんな状況だから、いかにショッピングリボの手数料を稼ぐかって話になるわけで、どこもそこに躍起にやっているのではないだろうか。

そうやってショッピングリボ手数料を落としてくれる客がいるからこそ、クレジットカード会社の経営は成り立っているのだと、内心は感謝しているのだ。


キャッシュレス決済を普及させるためには加盟店手数料を下げないといけないという話があるけど、

じゃあ加盟店手数料で稼げなければ、どこで稼ぐかという話である。

中国だと預かり金を運用して儲けているから、低コストでキャッシュレス決済が実現できているという話もある。

今の日本でとれる手段はショッピングリボでいかに稼ぐかということぐらいじゃないかなと。

今は翌月一括払いでも利用高を増やせば儲かるようだが(法人向けカードの拡販に取り組んでいる会社があるのはそういうことだろう)、

将来、外的要因で手数料がズルズル下がったら、そうも言ってられなくなる時代が来るかも知れない。

クレジットカード会社がいまのままの商売で行くとすれば、その将来はショッピングリボ手数料にかかっていると思うが、僕はリボ手数料なんてまっぴらごめんだ。

どうして国立美術館にやってきた

2025年の国際博覧会が大阪で行われることが決まったという。

確かに熱心にやってたけど、本当に誘致できるとはなぁ。

博覧会は3度やってくるか

ヨーロッパではパリなど国際博覧会を何度も開いた都市もあるが、3回以上というのはそんなにない。

今回の博覧会誘致が実現した背景には、地元の熱意が大きかったようで、関西は博覧会好きということなのだろう。


今日は東京国立近代美術館に行っていた。

この前行こうとしたら、ちょうど友の会の有効期限が切れていたのだ。

その翌週、大阪で更新してきたから、さて行こうと。


展示を見ていると作品の説明に「東京国立博物館管理換」という記載があった。

作品の入手方法について記載する欄で「購入」とか「寄託」とか「作者寄贈」とか書かれるところにこう書いてあった。

日本語で見るとちょっとわかりにくいけど、英語表記だと “Transfer from Tokyo National Museum” となっている。

すなわち、東京国立博物館から移管された作品ということになる。

そんな作品もあるんだね。


わりとよく見るのが「文化庁管理換」という表記、これは国が購入した作品を美術館に移管したことを表している。

国は重要文化財などの買取要求があれば、それに応じることができる。すると購入した文化財は文化庁の所有になる。

とはいえ、文化庁は保管・展示のための施設を持っていないので、国立の博物館・美術館に移管して保管・展示してもらうことにしていた。

こうして、美術館にやってきた作品を「文化庁管理換」と表記している。

ただし、国立の博物館・美術館が法人化してからは、文化庁所有のまま、博物館・美術館で保管・展示されるという仕組みになっている。

実務上はあまり変わっていないと思うけど。


もともと国が文化財を保管・展示する施設というのは帝室博物館(後の国立博物館)ぐらいしかなかった。

ここから1952年に東京国立近代美術館、1959年に国立西洋美術館、1963年に京都国立近代美術館(当初は東京の分館)が設立され、

これらの美術館のコレクションにするのが適切と判断された作品は管理換されたということだろう。

ただ、実際のところは国立博物館も引き続き、この時代の美術品を多数所有している。

お互い何らかのテーマを持って所蔵品を整理したということなんだと思うけど。


国立博物館では展示物について所有者を記載している。(自館の場合は通常省略)

「奈良・室生寺」と書いてあれば、室生寺の所蔵品を寄託されているという意味になる。

寄付で入手したものは「○○氏寄贈」と書かれていたりするけど、そうでなければ入手の経緯はわからない。

国立博物館にも文化庁からの管理換でやってきた文化財は多数あるが、一見してわからない。

文化庁所有のままの文化財は「文化庁」と書かれるからわかるけど。


一方で、国立美術館では展示物について「購入」など入手方法を記載している。

寄託品の場合は「寄託」と書かれているが、所有者の名前は書かれていないものが多い。個人蔵なのかなという気もするけど。

このポリシーの違いは何だろうと思ったけど、設立以来、美術品を収集してコレクションすることを重視してきたということなんだろう。

今でこそ美術館のコレクション展は当たり前のものだけど、1952年に東京国立近代美術館ができたときにはコレクションを展示する美術館は他になかったらしい。

寄贈や管理換という形でコレクションに入った作品もあるが、美術館から作品を選んで収集するとなれば、これは購入にならざるを得ない。

そういう成果を明らかにするのが入手方法を記載している理由なのかなと。

鑑賞するだけならあまり重要ではない情報のような気もするけどね。

右車線がバスレーンだと

とうとう、通帳が尽きたので、繰り越しのためにみずほ銀行に行ってきた。

運動がてら少し遠回りして歩いて行った。

そこで普段あまり通らない道も通ったんだけど、片側2車線の道路の右車線にカラー舗装がされている。

なんだ? と思って、標示を見てみるとバスレーンのようだ。

バス停のある左車線をバスレーンにするのはよく見るけど、右車線をバスレーンにするとは珍しい。


なぜ、右車線がバスレーンになっていたか。

さらに進むとわかったのだが、この先の交差点でバスはターミナルに入るために右折する。

バスターミナルとかっこよくいったはいいものの、実際には路上バス停なのだが。

詳しく調べたところ、バスレーンは終点の2つ手前のバス停を出た付近から始まっている。

ただし、バスレーンの時間帯は1つ手前のバス停はすべてのバスが通過するので、この間にはバス停は実質ない。

他の車に邪魔されず、そのまま右折レーンに突っ込んで、ターミナルに入れるということだ。


僕が通ったときはバスレーン対象の時間帯ではなかったのだが、右車線を走る車はほとんどバスだった。

というのも、この交差点を右折する車の大半がバスというのが実情のようで、

右折しない車が右車線を走ってしまったとしても、交差点では右車線は右折専用だから、左車線に入らないといけない。

ところが左車線は詰まっているので、手前で左車線に車線変更することは実態としてできない。

というわけで、詰まっている左車線を走り続けるしかないわけだ。

そう考えると、右折しない車に邪魔されることを防ぐのがこのバスレーンの目的なのかなと。


一番左側の車線にバスレーンを設けるのが一般的だが、中央車線にバスレーンを設けている有名な例が名古屋の基幹2号系統だ。

道路中央のバスレーンというのは、一般車に使われる心配もなく、実効性の高いバスレーンになっているのだろう。

ただ、一般車の走行車線とバスレーンの間にバス停があるということで、交差点付近でレーンが湾曲しているのが難しい。

(名古屋の変な乗り物巡り)

中央にバスレーンを設けることの難しさは2つ、1つはバス停の安全地帯を作る必要があること。もう1つが交差点付近の処理だ。

交差点付近の処理は難しく、当初は交通事故が多発したと言われている。

様々な対策が行われ、現在は問題なく運用されているが、その難しさからか他地域には普及しなかった。


最強のバスレーンは大阪の大正通だと思うけど、これはこれでなかなかマネできない。

大正通は朝5時から深夜1時までのほぼ終日にわたって、一番左側の車線をバスレーンにしている。

最大の特徴が駐停車車両にバスレーンをつぶされないように駐車帯を設けていること。

そして、バス停の部分は駐車帯がないので、バス停が張り出したテラス式バス停になっていることだ。

これによりバスはかならず優先して走れて、バス停が歩道から張り出しているので、バス待ちも安全、バスの発進もスムーズだ。

バス停がへこんでいると、バス停付近で歩道が狭くなるし、バスが発進するときは右に出る必要がある。テラス式バス停はその逆でとてもよい。

ただ、大正通は3車線+駐車帯という、とても広い道路だ。

だから駐車帯を確保して、バスレーンを1車線確保してとやっても、他の車の走行にはさほど影響はないし、

というかバスでも急行バスはバスレーンを無視して追い越し車線を走っているほど。そんなことができるのは大正通ぐらいしかない。


道幅に余裕がないのに大正通のマネをしたのが、京都の四条通である。

四条通(烏丸通~川端通)は京都を代表する商店街で、とても多くのバスが走る。

もともと2車線あったのだが路上駐車が多く、実態として車が流れているのは右車線だけだった。

京都市では「歩くまち京都」ということで公共交通の利用を推進しているが、その一環で四条通の1車線化が行われた。

歩道拡幅とバス停の改善が目的だったはずで、1車線をつぶして駐車帯またはテラス式バス停に置き換え、残りを歩道拡幅に回した。

もともと1車線しか流れていないんだから1車線なくしても問題ないはず、と言っていたが、当初はいろいろ混乱があった。

というのも、テラス式バス停では、バス停に停車中のバスを後ろから追い越すことはできない。

なおかつ、四条通は1車線だから、後ろの車は完全に停止してしまう。(実際には緊急車両用に確保されているゼブラゾーンを通って追い越す車もいるが)

その結果、バスすら四条通に入れないという問題が発生し、バス利用者にとっても不都合という問題が起きた。

現在は平行する御池通、五条通などに車が分散したことなどで、バスの定時性改善などの効果も見えてきているようだが。


バスレーンも一筋縄にはいかないものだけど、今日発見した右車線のバスレーンは理にかなったものだなと思った。

バスが特に集中するターミナル直前であること。区間内にバス停がないこと。右折するという目的が明確であること。

一般車にとっての不都合もあるが、実際には右折車以外が右車線を走っても意味は無く、バス以外の右折車は少ないのだから。

距離はそこまで長くはないけどね。そもそも片側2車線確保できているのがここだけなんだけど。

電気エネルギーが先に決まるということ

プランク定数でキログラムを定義すると言うことはどういうことかをたびたび書いている。

新しいSIの定義は直感的? 直感的ではない? , プランク定数ってそうだったの?

そもそもプランク定数は光の振動数と光量子のエネルギーを結びつける定数で、直接、質量を定義するものではない。

NHKは「簡単に言うと、1キログラムを原子何個分の重さで表すということです」というけど、

これは、精度良く測定されている他の物理定数を使うと、プランク定数と原子1つの質量を結べることを意味している。

日本の産業技術総合研究所は、アボガドロ定数を精度良く測定することで、プランク定数を求め、

これがプランク定数によるキログラム定義に大きな役目を果たしたのだ。と書いた。


プランク定数を求めるもう1つのアプローチとして、ワットバランス法がある。

こちらもプランク定数によるキログラム定義に大きな役目を果たしたアプローチである。

ワットバランス法というのは、電磁力と分銅をつり合わせる天秤だそう。

この手の装置は従来の定義で電流を定めるために使われていた装置に似ている。

というのも、従来のアンペアの定義は電流の流れる導線の間に働く電磁力の大きさを使って定義されていた。

ワットバランス法のポイントは、ここに流す電流をプランク定数を使って決められることらしい。


ここで使われるのが、ジョセフソン効果を使用した標準電圧と、量子ホール効果を使った標準電気抵抗だそう。

あれ? なんか聞いたことあるなと思って調べると、この2つは現在の電気標準を決める上で重要な役目を果たしているものらしい。

ジョセフソン効果を決めるジョセフソン定数は 2e/hで、量子ホール効果を決めるフォン・クリッツィング定数は h/e2 とのこと。(e:電気素量. h:プランク定数)

ここで気づいたが、新しいSIの定義ではプランク定数と電気素量がそれぞれ定義値になる。

ということは、電気標準に使われる2つの重要な定数が定義値になるということである。

でも、実はすでにこの2つの定数は実務上は定義値らしい。

そこで、1988年に国際度量衡委員会(CIPM)は電圧標準供給における実用上の協定値として、KJ-90=483597.9GHz/V という値を、1990年1月1日より世界中で統一して用いることを勧告しました。この値不確かさをもたない定義値として、量子ホール抵抗標準におけるフォンクチッツィング定数の協定値RK-90 とともに、電気標準体系において今日まで用いられています。

(Calibration (産業技術総合研究所 物理計測標準研究部 量子電気標準グループ))

すなわち、今はアンペアの定義を天秤で決めるということはやらないんですね。この定数を使って標準電圧・標準抵抗を作ればOKと。

今後は名実ともに定義値になる。厳密に KJ=483597.8484[GHz/V]ですね。


すなわち、ワットバランス法でキログラムを決める場合は、まず最初に電圧の単位Vと抵抗の単位Ωが先に決める。

これにより電流と電圧を精密に測定できるようになる。

ワットバランス法で質量を決める方法は次の通りである。

  1. ある磁場Bの中で、長さLの導線に電流Iを流したときの電磁力が質量mの分銅とつりあうと BLI=mg (g:重力加速度) の式が成り立つ
  2. 同じ磁場Bの中で、長さLの導線を速度vで動かしたときの起電力Uを測定すると、 U=BLv の式が成り立つ
  3. 1, 2の式から UI=mgv の関係が成り立つ

重力加速度g、導線を動かす速度vは精密に測定できる。

あとは 導線に流した電流 I と導線を動かしたときに発生した起電力 U を精密に測定すればよいわけだ。


僕が最初にプランク定数でキログラムを決めると聞いたとき「まずエネルギーの単位 Jが決まり、それからkgが導かれる」と書いたけど、

ワットバランス法で質量を決める場合は、まさにそうなってるよね。

電流Iと起電力Uのかけ算って電力(時間あたりの電気エネルギー)ですからね。エネルギーを決めて質量を決めるということだから。

どちらかというと、こちらの方が質量標準のメインになりそうではある。


それにしても電気関係の単位はすでに電磁力の測定ではなく、物理定数と量子デバイスで標準器を作ってやってたとはね。

アンペアの定義が変わることについて、影響はほとんどないと言っていたけど、そりゃそうだ。

実質的には28年前の1990年から先取りしてやっていたわけだから。

取り残されていたのはキログラムばかりという感じもするが、分銅を上回るのは意外と難しかったということなんだろう。

解体しきれないプリント板

最近、職場の大掃除をして、古い製品や試作品などの不要品が大量に発生した。

社内のリサイクルセンター(ようはゴミ置き場)に持って行くためには、これを分別しなければならない。

解体して、プラスチック、金属、プリント板を分別している。

実はリサイクルセンターに有償で依頼すると解体をやってくれるらしいんだけど、

一方で大半が自分たちがよく知っている製品なわけで、分解もそう難しくない。


そんなわけで解体をしていたのだが、中には首をかしげるようなものもある。

端子台のついたユニットが捨てられていて、これを解体しようと思った。

まず、プラスチック製のフタを外した。するとプリント板が見えたのだが、

このプリント板、端子台の付いたプラスチック筐体と分離することができない。

変だなぁと思って詳しい人に聞いてみると、どうも端子台のついた筐体にプリント板を手ではんだ付けしてあるらしい。

というわけで、筐体部分まで含めてプリント板として処分することになった。分解できないんだから仕方ない。


リサイクルという点ではあんまり問題はないのかなと。

そもそもプリント板はプラスチックと金属の複合材ですからね。それを前提としてリサイクルが行われる。

当然、先に分離出来ればそれに越したことはないけど、どうせリサイクルプロセスの中で分離されるでしょうしね。

この前処理をどの段階でやっているかはよくわからないけどね。

リサイクルセンターの中でやっているのか、一切合切を引き受けた業者でやっているのか。

プリント板だと言い張れる状態にさえしてしまえば、リサイクルセンターには引き受けてもらえるので。


最近の製品だとプリント板に端子台を取り付けて、これを筐体に取り付けるというやり方をしている。

この方法であれば、プリント板に端子台を差し込む部分は手作業だが、そこからはんだ槽に入れればはんだ付けが完了する。

それを筐体に取り付けるのも、最近はネジを使わずに取り付ける方式が多くなっている。

コツはいるけど、解体もマイナスドライバー1本でガンガン解体していける。

すき間からプリント板が垣間見れるが、それはそういうものということで。


端子台を埋め込んだ筐体を作って、そこにプリント板を手ではんだ付けというのはいかにもめんどくさそうである。

外からの見た目はきれいなんだけど、それが目的だったかはよくわからない。

今の感覚からすればいかにも作りにくそうなんだよね。

もしかすると、当時は端子台関係のはんだ付けはどれもこれも手作業でやっていたのかもしれない。

だから、こんな構造でもあまり問題視はされなかったのかなぁと。


1世代前の製品はネジと放熱用のアルミ板が多くて、それはそれで手を焼くところ。

いかにも大きなアルミ板が見えているところとか、ネジを外さないとプリント板にならないところは頑張って外すけど、

あんまり細かいところはもういいかと妥協している。