横並びで運賃変更をする意味

昨日、今日とニュースを賑わせていたのが、東京のタクシー運賃変更のことである。

これまで初乗り運賃は2kmまで730円だったのが、初乗りが約1kmで410円になる。

2km超なら大差ないという話だが、6.5km以上は若干高くなるとのこと。

都心タクシー「ちょい乗り」広がるか 初乗り410円 (朝日新聞)


日本のタクシーが近隣諸国のタクシーに比べて高いというのはよく言われていることである。

洗濯とタクシーは高いが、日用品と医療費は安い

なかなか手軽に使える乗り物ではないなぁと思うんだけど。

そんな中でせめて初乗り運賃だけでも、と変更したわけである。

チップ込みの運賃で、ニューヨークが初乗り320mで420円程度、ロンドンが初乗り260mで420円程度だそうだから、

それと同程度にしたって話らしい。


今回の運賃変更の特徴は東京のタクシー事業者が連帯して新しい運賃体系に移行したことである。

いままで一部の事業者が初乗り運賃を下げた運賃体系を導入するようなこともあったような気がする。

その当時は運賃規制が緩かったからそういうこともできたんだろうな。今は上下限が厳密に決められてるから。

ただ、一部の事業者が運賃体系を変えてもタクシー業界全体の中では少数派なわけで大したことはなかったはず。

そんな中で今回は全ての事業者が一斉に運賃を変えると言うことで、非常に存在感があったわけである。

運賃規制が厳しくなったので、こう言う形で横並びで変わる方法しかなかったのだが、それはそれでメリットがあったのだ。


この運賃体系、2km以上の移動に使う分にはあまり差はない。

ゆえに郊外のタクシー会社がこういう運賃体系を取り入れても、ほとんど差はないだろう。

それでも中心市街地内々利用ならば1km程度の利用はあるだろうから無意味ではないだろうけど。

その一方で東京では短距離利用が多いので、これによる影響はかなり大きい。


そこでいくつかの例題を作って見た。

まず、都営バス有数の本数を誇る都01系統の走る、六本木通り沿いで渋谷駅~南青山六丁目、これが1.5kmだから、570円程度となる。

地図で見てみると、どの鉄道駅にも1km程度の距離があるので、ターミナルからタクシーで直行はメリットがありそう。

次に鉄道のかみ合いがあまりよくないように見える中央区の海側の地域、

バスでも鉄道でも中途半端に見える、聖路加国際病院~有楽町駅で1.5km程度、これが570円程度となる。

病院だからそういう利用は多そうだな。東京駅からは病院の近くに行くバスがあるみたいだけど、それ以外だとちょっと歩くようだし。

明らかに2km以内でメリット大と示せる例はなかなか思いつかなくて、

ここタクシーだとよさそうだなと思ったところを測ってみると2kmぐらいになっちゃうんだよなぁ。


とはいえ、たいていの人は歩くだろうというところでもタクシーに乗る人はいるでしょうからね。

新宿駅から西新宿界隈とか1km内で収まるし、歩きにくいわけでもないから多くの人は歩くけど、

そこを410円で済むかも知れないタクシーでという需要はあるかもしれない。(信号待ちでメーターが回る可能性はあるが)

あと、道に迷った人がタクシーに頼るというケースも増えるのでは? という期待もあるらしい。

そんなタクシーなんてアホらしいと思っても、絶対的な金額が安ければ選択肢に入るか。


今まで初乗りもらえてた利用が、それより安くなってしまうというのはタクシー事業者からすれば気がかりなところだという。

近距離の利用で裾野は広がったとしても、それに見合うほど回転がよくなるのか? というところに疑問があると。

確かに、昔は近距離利用者をないがしろにするタクシーもあったようだ。

道路運送法では、運送の申込みを受けた順に運送を行うこと、正当な理由なく運送を拒否することを禁止している。

ただ、昔は近距離の利用を拒否するようなタクシーもいたという話を聞いたことがある。あきらかに法令違反なのだが。

現在は近距離の利用で拒否するようなタクシーはないだろう。だって、えり好みできるほど客がいないんだから。

とはいえ、本音はまとまった距離を利用してくれる客にこそ出会いたいと思っているんじゃないのかなぁ。


本音はわからないけど、タクシー事業者が連帯して運賃体系を変えたことの意義は大きい。

これがうまくいけば他都市でも採用される可能性はあるんじゃないのかな?

なにをもって成功とするか? タクシー乗務員の稼ぎが上がることですよね。

ハンドルを握ってる時間に対して、多くの運賃が稼げるかどうか。そこが大切だと。

大きな挑戦だが、そこに業界全体で期待を寄せているということで、今後も注目していきたい。

永住者でも容赦ない

アメリカで特定の国籍の人が永住者でも容赦なく入国拒否されているという話を聞いて、

そりゃひどい話だなと思ったが、永住者といえども外国人だとそういうことはあるようだ。


日本人は書かないけど、外国人は日本との入出国の際に入出国カードを記載する。

日本に住んでいる外国人は出国時に再入国入出国記録を書いて、パスポート・在留カードとともに提出する。

そしたら半分にちぎられてパスポートでステープラで留められ、再入国のときに回収される。

この再入国のときに回収されるカードにはこのような質問事項が書かれているようだ。

以下の質問について、該当するものに☑を記入し、署名してください(特別永住者の方は署名のみ)

1. あなたは日本国又は日本国以外の国において、刑事事件で有罪判決を受けたことがありますか?
□はい □いいえ

2. あなたは、現在、麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤等の規制薬物又は銃砲、刀剣類若しくは火薬類を所持していますか?
□はい □いいえ

ここで「はい」と回答すると、日本への再入国にあたって厳格な審査が必要になるということだろうと思う。

場合によっては入国を拒否されることとなるわけである。


このような質問は日本人に対しては行われない。

例え、覚せい剤を持って日本にやってきても税関で捕らえれるだけで、前にいた国に戻されることはない。

そして、特別永住者も対象になっていない。

特別永住者だと外国人といえども日本以外に生活基盤がないのが通常だから、これも日本人と同じ扱いをせざるを得ない。

特別永住者が回答しなくていいのは質問をする意味がないからということだろう。

ただ、それ以外の外国人は、いかに永住者の在留資格を持っていても、再入国を拒否される可能性がある。

さらに言えば、日本にいても退去強制で国外に追い出される可能性はある。


外国人である以上は、いかに永住者であれども、入出国・滞在の取扱に裁量の余地があるのは事実のようである。

もちろん永住者だと、それ以外の外国人に比べると寛容な扱いとなることは期待されて、

例えば、本来なら有罪判決を理由に入国拒否されるところ、そのことを申告した上で、あらかじめ再入国許可の申請をすれば、

その程度にはよるけれど永住者については比較的認められやすいとか、そういう話はある。

とはいえ、そうはいっても再入国のときに拒否する余地は確かにあるという話である。


最初に書いたアメリカの件だが、さすがに永住者までも対象にしたのはおかしかったねと気づいたようで、

とりあえず永住者については除外を行うようですね。(cf. 米トランプ政権、入国制限で方針変更「永住者は適用外」 (AFP NEWS))

それ以外でもアメリカで真っ当に定住している外国人はいるわけで、永住者だけで十分とはならないが、

永住者までも一律拒否するのはさすがに理屈に合わないので、修正をかけたのだろう。


ところで今回、アメリカが原則入国拒否にした国籍の人ですが、

もともとこれらの国に入国したことがある人は慎重な審査を要する扱いになっていた。

日本人でもこれらの国への渡航歴がある場合は、ビザ免除の対象にならず、ビザ取得の必要がある。まぁ申請すれば取れることは多いんだが。

これらの国籍を有する人の入国を原則拒否するというのは、この取扱の強化という形で説明されている。

そして原則拒否というのは暫定措置で近いうちに運用方針を決めるんだとも言っている。

とはいえ、やっぱり厳しすぎるよね。

例外となるケースはちゃんと決めておくべきだったのでは? と永住者の入国拒否のニュースから思った。

ポストにポンで申告終わり

金曜に源泉徴収票を入手した話を書いた。

源泉徴収票はすでに配布されていた

これで早速、還付申告をやってきた。


まずは国税庁のWebサイトで申告書を作るところから始まる。

確定申告書等作成コーナー

ここに順次打ち込んでいくと申告書のデータが完成する。

これで申告書を作るのは2度目である。2012年に報酬の源泉徴収を取り返すために使っている。(cf. e-Taxで申告書を作った話)

あのときは雑所得、今度は寄付金控除と打ち込む内容は違うが、それぐらいだと思っていた。

ところがもう1つ違う点があった。それがマイナンバーを打ち込む必要があったことである。

そのせいで通知カードと本人確認書類(健康保険証にした)のコピーを添付する必要が生じるのだ。

税務署にマイナンバーを呈示するにも、本人確認書類がいるんだそうで。


所得税で寄付金控除を申告すると、それで住民税の寄付金控除の申告も同時にできる。

ただし、そのためには自分の寄付金が住民税の控除対象になるかどうかは事前に調べておく必要がある。

今回の日本赤十字社への寄付は東京都と市が指定した寄付金なので、「都道府県・市町村の両方が指定した寄付金」を選んで登録する。

すると申告書の「住民税に関する事項」に反映されるわけだ。

市町村も住民税の申告というのをやっているが、これは所得税の申告対象じゃない人を対象としているので、

所得税の申告を行う場合は、それで住民税の申告に足りるだけの情報も書くことになっている。


ここまでできたら、申告書(2枚)と台紙を印刷して、申告書には印鑑を押して、

台紙に源泉徴収票とマイナンバーの通知カード・本人確認書類のコピーを貼り付け、寄付金の領収書も付けて、完成である。

あとはこれを税務署に持っていくだけなので、早速、今日、税務署に持って行ってきた。

比較的近くに税務署があるので、直接持参してきたのだ。

税務署には「時間外文書収受箱」が置かれている。ようはポストですね。

ここに申告書一式を入れれば、それで提出できるってわけ。

確定申告コーナーとか行っても、ポストに投げ込むという点では差がないので、近くに税務署があるならこれがいいですね。

もちろん郵送でもいいんだけど、散歩がてらいけるところなので、それなら直接持っていくわという話である。


あとは所得税の還付金が戻ってくるのと、住民税の税額決定通知書に寄付金控除が反映されてるのを待つだけである。

なお、典型的なサラリーマンは確定申告を行う必要はないが、還付がある場合は所得税の申告を任意にすることができる。

この申告を還付申告といい、確定申告とは区別される。といっても使う書類は全く一緒なんだけどね。

なにが違うかというとその期間で、確定申告は翌年2月15日~3月15日に必ず行う必要がある。

一方で還付申告は翌年1月1日から5年間に行えばよいということで、確定申告より先取りできるというのがポイントである。

税務署としては還付申告の人は確定申告の人が来る以前の早い時期に行うことを推奨している。そっちのほうが空いてるから。

なんで確定申告はスタートの時期を厳密に決めてるのか?

それは確定申告は税金の納付が発生するケースがあるからだろうね。期日より前に税金は納められないから。


今回も2012年分申告時もWebで紙の申告書を作って、これを印刷して持参するという方法でやっている。

一方でインターネットで申告を行うシステムもある。e-Taxって言ってるやつだ。

電子証明書付きの住民基本台帳カードまたはマイナンバーカードと対応したICカードリーダーがあれば使える。

実は、この家にあるPaSoRiは対応しているので、あとは電子証明書さえあれば使えたのだ。

住民基本台帳カードのときは電子証明書は3年有効の証明書を作るのに500円とかかかったからめんどくさかった。

ところがマイナンバーカードは電子証明書が無料で付いてきて、5年間有効となっている。(その先はどうなるか不明)

というわけでe-Taxも使いやすくなったはずなのだが、僕は住民基本台帳カードしか持ってないし、電子証明書もないから使えない。


では、今回の申告でe-Taxのメリットはあったのか?

実はe-Taxを使ったとしても添付書類を紙で提出する必要がある。ところが主なものは省略できるとも決められている。

e-Taxを利用して所得税の確定申告書を提出する場合の「源泉徴収票」や「医療費の領収書」などの第三者作成書類の添付省略の制度について教えてください。 (e-Tax)

ここに源泉徴収票と寄付金控除の証明書が入っているので省略可能なようですね。(その他、医療費の領収書、保険料控除の領収書もある)

だから今回の申告は完全にペーパーレス化できたということで、e-Taxのメリットはそれなりにあったと。

ただ、一方で紙の申告書を作っても、プリンタで打ち出して、時間外文書収受箱に投げ込むだけなら大した手間でもないんだよね。

こんなこと思うのは税務署近いからかな? そりゃ印刷して封筒に入れて持参というのも見えないコストはかかってるんだけどさ。

ポケットベルが食ってしまった

以前、電話番号逼迫の話を取り上げたとき、固定電話のことも書いた。

携帯電話と固定電話の番号逼迫対策

固定電話でこのような対策が積極的に行われたのは1990年~2000年代の20年間ほどの話である。

なんでこんな時期になって固定電話の番号が足りなくなっちゃったのか?

もう電話も普通に普及していた時期でしょうから、急に足らなくなってしまったのは不思議である。


調べたところ、原因の1つはポケットベルにあったようだ。

ポケットベルはNTTドコモの商標だったから、一般的にはページャーなど呼ぶべきだったが、他社も含めてポケベルと呼ばれてたそうだ。

確かに昔はポケベルが外で唯一連絡を受けられる手段ということで重宝されたし、数字だけで物事を伝えようとした人たちがいたという話もあった。

もとは、公衆電話などから折り返しかけてもらう電話番号を伝えるだけの道具だったから、当初は数字しか送れなかったのよね。

その程度のことは知ってたが、1台のポケベルに1つの電話番号、それも基本的には固定電話の電話番号が割付いてたのは知らなかった。


現在、ポケベルのサービスを行っているのは、東京テレメッセージ・沖縄テレメッセージの1グループだけである。

電気通信番号指定状況を見てみると、3から始まる市外局番(=東京MA)の割り当てには「東京テレメッセージ」がたくさんある。

4から始まる市外局番でも千葉MA、川崎MA、横浜MA、浦和MAに東京テレメッセージの割り当てがある。

現在、全国展開しているポケベル事業者がいないので確かなことは言えないが、

県庁所在地やそれに準じる都市でポケベル用に固定電話の電話番号が多く払い出されたことがわかる。

今となってみれば県庁所在地で4桁の市外局番を使ってる地域はかなり減ってしまったが、この原因はだいたいポケベルのせいだとされている。


ポケベルはいつ頃まで活躍したのか?

基本的にこの代替とされたのは携帯電話である。それも第2世代のPDCからである。

PDCは1993年にNTTドコモがサービス開始し、1994年にIDO・DDIセルラー(現KDDI)がPDCを開始、デジタルホン(現SoftBank)がPDCで新規参入という状況。

1996年~1999年にかけてポケベルの利用者は激減し、その一方で携帯電話の利用者は爆発的に増えていったわけである。

爆発的に増えた携帯電話利用者のために080番号が2002年から新規に使われるようになったということである。


ただし、これだけでは固定電話向けの番号逼迫の理由はすべて説明できない。

なぜならば、電話番号2桁化まで追い込まれた柏MA・所沢MA・鴨川MAはポケベル向け電話番号の払い出しの影響を受けたとは思えないからだ。

これはNTT東日本・西日本以外が固定電話に新規参入するために新たな番号帯の割り当てをうけたからだと言われている。

新規参入するには番号帯をもってないとどうにもならないから、各社が割り当てを受けた結果、足りなくなってしまったと。

NTTからしてみれば番号が歯抜けになってしまうが(番号ポータビリティで持って行かれる場合もあるが)、

その一方で既存の電話番号を整理して返上するなんてこともできないから、なんとか工夫して新規番号帯を作ったわけである。

もともと狭かったから新規参入の余地が全くなかったのよね。逆にもともと広かった地域はポケベルに食われちゃったと。


しかしポケベルねぇ。

文字を伝える手段としては意外と長く使われたという話もあって、

例えばニュースが流れる自動販売機はポケベル網で文字を送って表示してたとか聞いたことがある。

通信できる情報は少ないが遠くまで電波が届く(なんとVHF帯である)ということにこだわっていた人もいたようだし、

電波の放射がないので医療現場などで使うこともあったらしい。(この用途ではPHSも長く使われたが)

しかし、全国規模で展開していたNTTドコモが2004年に新規申込み停止、2007年にサービス終了ということで、

ほとんどの地域でポケットベルは使えなくなってしまった。

全滅ではないんだけど、全国展開されなくなってしまうとなかなか。


今にして見ればポケベル1台に固定回線の電話番号1つというのはもったいない気がするが、

電話というインターフェースを使う上で好都合なように考えた結果がこの方式だったんだろうね。

個別に電話番号がなくても、基地局に電話をかけて、ローカルな識別記号とメッセージを伝えてもよかったはずだから。

この電話番号(ベル番とも呼ばれたらしい)は端末を識別する記号としても使われていたそうである。

後に電子メールというインターフェースもできたが、こちらも端末を識別するのは電話番号だったのだ。


しかし、これでもまだ電話がかかる前提で電話番号を割りあててるわけで、データ専用回線の携帯電話番号はもっともったいない。

こいつらは絶対に電話がかかることはないし、SMSを送ることもないのだから、識別記号以外の意味は無い。

だからこそ人間が電話かけない・SMS送らない電話番号には020番号を使ってくれって話になったんだろうけど。

源泉徴収票はすでに配布されていた

今月の給料日になっても源泉徴収票が来ないから、いつ送ってくるんだ? と思った。

けど、おととし分は12月の給料日にもらったのに、なんで去年分は1ヶ月経っても届かないんだって。

このままじゃ還付申告できんぞ。


そこで源泉徴収票の配布予定について、年末調整についての通達を見返してみた。

そしたら源泉徴収票は12月給与支給日から電子データで提供しているので、必要な数だけ印刷して使えと書いてあった。

えっ、そうだったの。

というわけで職場のプリンタで印刷して家に持ち帰ってきた。


昨年度分から源泉徴収票の形式が変わった。

これまでA6サイズだったのが、A5サイズと倍になった。

理由はマイナンバー対応のためで、本人・扶養親族のマイナンバー、給与支払者の法人番号またはマイナンバーを書く欄ができたから。

ただし、従業員に配布される源泉徴収票にはマイナンバー・法人番号は書かれていない。

あれ? と思ったんだけど、給与支払者→従業員というマイナンバー提供は本来の用途ではないのでNGなんだと。(cf. 法定調書に関するFAQ (国税庁))

従来、圧着ハガキで従業員に配布していたのだが、形式変更に対応せずに電子化するという対策を取ったそうで。


源泉徴収票は給与支払者が税務署と本人に提出するものだが、税務署への提出は電子的に行っているだろう。

あと、源泉徴収票とほぼ同じ形をした給与支払報告書を従業員の住所地の市町村に提出する必要があるが、

こちらも一定以上の規模の事業所では電子的に提出することになっている。

小規模な事業所だと複写式用紙で源泉徴収票と給与支払報告書を一気に作るようなこともするらしいけど。

実は給与支払報告書の方が会社にとっては圧倒的に重要な書類である。

なぜかというと源泉徴収票は税務署に提出する必要がある人は限られる。(支払総額500万円超など)

しかし、給与支払報告書は全従業員分を提出しなければならない。

いずれにせよ、従業員に渡すのはこれらの書類の写しに相当するもので、もはや紙ではないのだから、電子的に表示するのは妥当である。


このことに気づいてない人はきっと多いんだろうなぁ。

電子化したことで、昨年分以降は過去にさかのぼって表示できるというメリットはあるのだが、

今まで社内便で勝手に送ってきてくれてたことを思うとめんどくさいという話はある。

ただ、源泉徴収票って必ずしも必要なものではないので、いらないなら何もしないというのは合理的なんだけどね。

僕は還付申告するからどうしても欲しかったけど、そうじゃなければ参考資料にしかならないものだし。一応は取っておくけど。


早速、これを使って還付申告用の書類を作ってたが、それはまた改めて。

しかし、1年積み重なると意外と大きな金額になるものだな。

こりゃ5月からの住民税特別徴収はかなり重そうだ。

所得税は月給でも賞与でもそれぞれ源泉徴収するけど、住民税は去年1年分の所得一切合切に対する税金を月給だけから引くからね。

賞与相当の住民税も月給から引かれるとちょっと重すぎるかも。年間を通じてみれば帳尻は合うのだけどさ。

三多摩とはなんぞや

都議会議員が活動報告のビラをポストに投げ込んでいたから読んでいた。

当然のことながら、この地域の出身の議員ですから、地元の議題を中心に取り上げている。

例えば、調布市の東京スタジアム(味の素スタジアム)隣接地に建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設の話題とかね。

多摩地域最大級の屋内施設なので、スポーツに限らずコンサートなど多目的に使えると期待しているなどなど。

それ以外の話も掲載してあったけどね。


そんなビラの中で「三多摩」という言葉が何度か出てきていた。

あまりなじみのない言葉なのだが、これは多摩地域とほとんど同じ意味である。

調べてみたんだけど、未だにこんな言葉使う人がいるんだなと。


この三多摩という言葉は 北多摩郡・南多摩郡・西多摩郡 の総称だった。

これらの地域は当初、神奈川県に属しており、1893年に東京府に移管されたという経緯がある。

北多摩郡・南多摩郡・西多摩郡のうち、西多摩郡は現在も奥多摩町や檜原村などの住所表示でも使われる。

それ以外の郡については所属していた町村がすべて市になってしまったので、現在使われることはない。

過去にさかのぼると、各郡の範囲は概ね下記の通りである。

  • 北多摩郡 : 立川市・武蔵村山市・昭島市より東側の市域
  • 南多摩郡 : 多摩川右岸にある八王子市・日野市・稲城市・多摩市・町田市
  • 西多摩郡 : あきる野市・福生市・瑞穂町より西側の地域

今でもこの区分は使われることがあって、例えば気象警報の区分とか。

ただ、この当時の北多摩郡を多摩北部と言われるとけっこう違和感はあるが。そうでもないのかなぁ。


けどなんでこんな言い方をするようになったんだろうね?

あえて、そういう言い方をしなくても単に多摩でいいじゃないかと。

今にして見ればそう思うけど、実はこれ以外の多摩があったのだ。

それが東多摩郡である。現在の中野区・杉並区が該当する。

三多摩が東京府の所属になる以前から東京府の所属になっていた地域である。

そうなんですね。実は中野区・杉並区も歴史的には多摩だったんですね。

とはいえ、現在これらの地域が多摩扱いされることはまずない。


ちなみに現在の特別区域も江戸の外側にあった地域はいずれかの郡に所属していた時期があって、だいたい下記の通り。

  • 北豊島郡 : 豊島区・北区・荒川区・板橋区・練馬区
  • 南豊島郡 : 渋谷区と新宿区の一部(旧四谷区は江戸の内側)
  • 東多摩郡 : 中野区・杉並区
  • 荏原(えばら)郡 : 目黒区・品川区・大田区と世田谷区の東部(世田谷区の西部は北多摩郡)
  • 南足立郡 : 足立区
  • 南葛飾郡 : 葛飾区・江戸川区と墨田区の北部、江東区の東部

南足立郡については、埼玉県に属する北足立郡とあわせて古くは1つの足立郡だった。

南葛飾郡については、かつて下総国に属していた葛飾郡を分割したものとなっている。

この葛飾郡は後に4府県に分かれて所属することになり、千葉県域は東葛飾郡、茨城県域は西葛飾郡、埼玉県域は北葛飾郡となった。

葛飾の範囲はあまりに広大なので、いろんなところに葛飾に由来する命名が見られるので、不思議なこともある。


東京府を構成する郡もいくつかあったのだが、市町村の区域として残った地域は結果としてすべて多摩だったんだよね。

本州で市町村の区域を表す言葉として 多摩地域 が定着したのにはそういう事情があったのである。

三多摩の方が厳密かも知れないが、東多摩郡は無視できるので、ただ単に多摩地域と言っても実用上はまったく問題が無い。

多摩地域は一枚岩かといわれると、さすがに広いんでちょっと悩む部分もあるのだが、

ほとんど神奈川県扱いされてる町田市以外はなんやかんやといって同じ地域圏にあるような気はしますね。

ツールにツッコミを入れられた

先日、プログラムを一部修正したのだが、そのソースコードの記述についてチームリーダーから指摘が入った。

意味は変わらないだろうけど、こう書いたほうがいいし、こう書かないと解析ツールに指摘されるんじゃないかという話だった。

ごもっともな話だったので、修正しておいた。コンパイル結果のバイナリは全く一緒だったけど。


他の部分は大丈夫? ということで気になって部署で使ってる解析ツールで解析してみた。

するといろいろ引っかかるのがあるのだが、全ての指摘事項を消し去る必要は必ずしもない。

「この記述方法は注意が必要ですよ」ぐらいの意味なので、「これで正しいし、書き方も妥当です」という答えでもよい。

ただ、明らかに行儀の悪い書き方ってのもあって、これは直した方がいいなぁと思う指摘事項もまぁある。

とはいえ、修正してもコンパイル結果は全く一緒になるだろうなぁという事項がほとんどに思えた。

が、指摘事項の中で1つ気になることを発見してしまった。


それがこんなコードである。

if( (0 != foo & bar) && (val < VAL_MIN_FOO ) ){
  val = VAL_MIN_FOO;
}

ある条件にあてはまったときはvalの値に下限を設けて、下限より小さければ下限値に修正するというコードである。

これに対して「bool型とshort型の&演算をしています」という指摘があったのだ。

この書き方だと 0!=foo & bar は (0!=foo) & bar と解釈されてしまうんだよね。

この解釈は明らかに間違えていて、正しくはこうである。

if( (0 != (foo & bar) ) && (val < VAL_MIN_FOO ) ){

変数fooをbarでマスクして、それでも立っているビットがあれば、補正対象にするというのが正しい解釈である。


ただ、こんなに違うと当然意図したとおりに動かないわけで、なんでここまで気づかなかったのという話である。

このソースコードを書いたのはそれなりに前の話で、すでにこの部分はすでに動作確認済みという理解だったから。

それで、この部分の動作が間違っていたことによる影響を机上検討してみたところ、

なんとこの部分のソースコードが動いても動かなくても動作にはほとんど差がないということがわかった。

そもそもの設計がダメだったのだ。

というわけでこの部分について最初から見直した結果、今回指摘された部分のコードは消えることになった。


まさかこんな問題がこのタイミングで浮き出てくるとは思わなかっただけに、関係者は驚いたわけだが、

動作を見てるだけでは気づけない問題に気づけるのが解析ツールを使うメリットなのだろう。

解析ツールの指摘内容の大半はすでに考慮済み か 記述法はまずいが意図したとおりに動くものだから、

その点では解析ツールの結果はつまらないものが多いわけだが、よくよく調べてみるとバグが潜んでいるのを見つけられることがあると。

発見してしまったがために、それで1日潰れてしまったのは痛手だったが、長い目でみればよかったのかな。と思っている。

出身地と国籍の組み合わせ

ニュースで「久々の日本出身横綱が誕生します」ということが何度も取り上げられている。

稀勢の里関が大関から横綱になるという方向でほぼ固まったということを受けての報道である。

出身は茨城県牛久市、確かに牛久に行ったときに旗がたくさん立ってるなぁと思ったけど。(cf. 大スケールの寺)


最近は外国出身の力士の活躍も目立つが、その一方で制限もある。

その制限というのが1つの部屋に外国出身力士は1人しか所属できないということである。

でもこの制限、ある時期までは外国出身ではなく外国人という条件だったらしい。


出身地と国籍の組み合わせとしておおざっぱに下記の4通りを考えればよいような気はする。

  1. 日本出身で日本人
  2. 日本出身で外国人
  3. 外国出身で外国人
  4. 外国出身で日本人

日本で住んでいる人は典型的には1のパターンである。まぁそりゃそうだよね。

2のパターンは特別永住者が典型例で、その場合は日本人と全く同じ扱いになるのが通常である。

ただ、生まれは外国なんだけど、子供の頃に日本に引っ越してきてというパターンはどこまでこれに当てはまるかの判断は難しい。

3のパターンは典型的な外国人の例だが、その一方で外国出身者というだけならば4のパターンも考慮する必要がある。

4のパターンは生まれながらにして日本人という場合と、後で帰化して日本人になったパターンがあり、後者はいろいろと問題になりやすい。

一方で生まれながらにして日本人という場合は外国出身でもあまり気に掛けられないことが多いような気がする。


スポーツの中で外国出身者の扱いが比較的ゆるいのはプロ野球ではないかと思う。

まず、日本出身の外国人となる条件だが、高校3年または大学4年を日本で過ごせばよいとなっている。

もちろんこの条件には日本生まれというケースも当然あてはまるが、留学生として日本にやってきても該当する。

非常にゆるいルールだが、プロ野球の場合はドラフト会議の対象になるかならないかという観点の方が重要なのかもしれない。

このような日本出身の外国人は日本人のアマチュア野球出身者と同じくドラフト会議の対象になる。

一方で外国人選手として日本のプロ野球にやってくる人はドラフト会議とは無関係に交渉できるのである。

それともう1つ、プロ野球特有なのが、選手登録されて7年経過してフリーエージェント権を獲得する年になると、外国人選手という扱いではなくなるということである。

日本で長く活躍した場合は、それ以後の活躍には制約を受けないということである。


一方で日本生まれであったとしても外国人であれば厳しい扱いを受けるのがサッカーである。

Jリーグでは登録できる外国人を1チーム3人までに限っている。(ただし出身国によっては別枠で1人登録できる)

その一方で日本で義務教育を終えた または 日本の高校・大学を卒業した外国人はこれとは別に1人まで登録できることになっている。

完全に日本生まれでもここに該当するというのは、けっこう厳しい気がする。

一方、帰化するとその途端に日本人選手になるので、上記の制限は全く受けなくなるのである。

日本代表チームとして国際大会に出られるかはまた別問題なんだけど。(cf. 第二中国代表かな?)

もともと日本生まれならその点でも問題はないだろうが。


では相撲ではどうなのか?

最初に書いたとおり、外国出身力士は部屋に1人までとのことだが、日本出身で外国人というパターンはどうなのか?

調べたところ、栃乃若関(2014年引退)が尼崎市出身の韓国人だったそうだが、他の日本人力士と同じ扱いだったそう。

まぁそりゃそうだよなって。日本出身とする条件は定かではないが。

次に外国出身の日本人だが、かつては部屋に1人までという制約がかかることはなかった。

しかし、ある時期から、帰化して日本人になった元外国人の力士も外国人力士とあわせて1人という制約がかかるようになったようだ。

ただ、生まれながらにして日本人ではあるが外国出身の場合はどうなんでしょうね? おそらく対象外だろうけど。

相撲の場合、外国人として相撲部屋に入ったということを重視しているのが特徴である。

長く活躍すると外国人枠から除外されるプロ野球とは対称的である。


このあたりの考えの差はなにを目的として外国人・外国出身者の制限をしているかの違いだろう。

プロ野球の場合は、チーム間の均衡を図るのが目的でしょうね。

日本のアマチュア野球出身者はドラフト会議を通じて均衡を図り、外国人選手としてやってくる人は総枠で均衡を図ると。

フリーエージェント権を獲得すれば、どの球団と交渉しようが自由になるということなので、対象外になるんですね。

サッカーの場合は、日本人選手の育成のためとされている。

ゆえに日本人になった途端に制限が外れるのだろう。逆に日本出身でも外国人である限りは一定の制約があると。

国際大会での活躍を狙ったものと考えるべきかはわからないけど。


大相撲でこのような制約が設けられた明確な理由はわからないのだが、

おそらくは日本出身の力士の活躍の場を一定確保するという意図なんじゃないかなぁ。

力士の総数に対して、外国出身力士はそんなに多いわけではない。全体の6%ぐらいらしい。

ところが、その一方で上位での活躍は著しく、幕内だけに注目すると1/3ぐらいが外国出身なんだそうで。

大相撲全体のレベルを引き上げる役割に期待することはできるが、ここら辺が限度ではないか? という考えもあったのだろう。

力士になってからの活躍を制限することはしないが、その入口で制限することはできるということで、制限してるんじゃないのかなぁ。

もちろん、部屋間の均衡を図るという目的もあるんだろうし、日本出身力士の活躍を見せることで育成にもつなげていきたいと考えているのだろうが。


どうあるべきかというのは難しい問題である。

ただ、何の目的でそういう制限をしているかというのはよく考えなければならない。

大相撲はその点で根拠が弱いかもしれない。なぜこういう制限になるのかという理由はわかりにくい。

久々に横綱に日本出身の力士が列せられたことをきっかけに考える価値はありそうだ。

年始は時空の歪みが激しかった

僕にとっては非常になじみ深い言葉に「時空の歪み」というのがあるが、

世間的にはあまり一般的ではないのか、Googleに入れても意図した結果は返ってこないな。

これ、収録番組で放送時に終わったはずの出来事が、収録時点ではまだその出来事が起きていないようなことを表す。

アニメ・ゲーム関係のラジオ番組に特有の言葉なのか、その世界ではものすごい見聞きするのに、他ではさっぱり。


典型的なパターンではこうである。仮に水曜日放送の番組として、

  • 8月31日放送 次の週末(9月3日・4日)にイベントがある
  • 9月7日放送 イベントは終わったが「時空の歪み」で詳しいことは話せない
  • 9月14日放送 リスナー・パーソナリティともども感想を述べる

収録の仕方にもよるが、だいたい1週間は遅れるね。2週間遅れることもそれなりにあるかな。

2週間遅れるってのは2本撮りのせいというのもあるのかもしれないけど。


ところが年末年始の時空の歪みはこんなものではない。

例えばこうである。

  • 12月31日放送 「時空の歪み」で12月23日にあったイベントの話題ができない
  • 1月7日放送 「時空の歪み」で年は越していないし、12月23日も過ぎていない
  • 1月14日放送 やっと12月23日の話題ができるようになったが、まだ年は越していない
  • 1月21日放送 収録も年を越してやっと「時空の歪み」が解消した

という具合に3週間ほど遅れちゃったという話である。他にも3週間ほどの遅れという番組はいくつかあった。

だからこの番組が特別なわけでなく、業界では平均的な水準ってことなんかなぁ。


どういう段取りでやってるのかは定かではない部分もあるが、通常「時空の歪み」は1週間ほどのズレと言うところから予想して、

  • 12月31日放送分・1月7日放送分 ← 12月19日~22日ぐらいにまとめて収録?
  • 1月14日放送分←12月26日~29日ぐらいに収録?
  • 1月21日放送分←1月9日~13日ぐらいに収録?

正しいかはわからないけど、これぐらいだとつじつまが合うんじゃないのかなぁ。

1月7日あたりまでは正月休みで、その間は収録をしないとすれば、こうならざるを得ないのだろう。


生放送であればこのような時空の歪みは発生しない。

もっとも年末年始休みの問題は回避しきれないので、そこは休止・収録で対応することになる。

例えば、NHK-FM「アニソンアカデミー」の場合、こうである。

  • 12月24日放送 4時間の公開生放送を実施 (後番組「ラジオマンジャック」は休止)
  • 12月31日放送 放送休止(「ラジオマンジャック」の年越し特番に転用)
  • 1月7日放送 録音放送
  • 1月14日放送 生放送再開

普段生放送だと録音ってのもいいアクセントになることはあるけどね。


年末年始はともかく、収録番組ながら普段の「時空の歪み」を小さくする工夫をしている番組もあった。

それが、ある日の夜に放送する番組を、その日の午前中に収録するという方法である。

これだと話題はほとんどズレないので視聴者にとっても違和感は小さい。

生放送だと放送時間に合わせて出演者・スタッフを集める必要があるが、夜の番組を昼間に収録できると都合は付きやすそうだ。

編集にかける時間は短くならざるを得ないが、そこは収録方法次第で対応できるだろう。

なかなかよいアイデアのような気はするけど、積極的に使ってる番組は少ないかもねぇ。


あんまり「時空の歪み」ってのは一般的とは言えない言葉のようだけど、

そういうお約束が出演者・スタッフ・視聴者で共有されている世界はあまりないのかもねぇ。

時節の話題を回避すれば、収録から開いていることは気づかれずに済むかもしれないけど、あえてそこに切り込むと。

そういうことを「時空の歪み」という隠語を通じて伝え合えるなら、それはそれで意味があるのかもしれない。

隠語なのか? 話をちょっと聞けばすぐに気づくけどね。

山の中に動物園

今日は日野市の多摩動物公園に出かけていた。

今週末はこれといって用事はなかったが、先週末も来週末も東京に行くのは決まってたので、

それ以外でなんかないかねぇ、というところでふと思い立ったのが多摩動物公園だったと。

日野市といわれてもあまりピンと来ないかも知れないが、甲州街道の宿場町に由来し、日野自動車の本社所在地として有名と。


それで多摩動物公園ってのは、ようは動物園なのだが、「公園」と付いているとおり、緑豊かな公園の中に動物の展示があるというのが特徴だ。

てっきり公園と動物園が分かれているのかと思ったのだが、広い空間全てが動物園である。

しかも、園内は広いだけでなく起伏も激しく、なかなか歩きごたえのある動物園である。

裏返せば足腰の悪い人とか、あまりに幼い子供連れにはオススメできないわけだが、

一応、そのような来園者にも配慮して園内にシャトルバスが走っている。けど、それですごく楽になるのかというと、それは疑問だが。


多摩動物公園の展示は大きくアジア園、オーストラリア園、アフリカ園、昆虫園に分かれているが、

実はアジア園ってのはオーストラリアでもアフリカでも昆虫でもない動物の展示のことなのよね。

地図で見てもオーストラリア園、アフリカ園、昆虫園を切り取った残りがアジア園って書き方だし、

ヨーロッパの動物も平然とアジア園に展示してるし。さながらユーラシア園である。

そんなわけで似たような動物でも生息する地域や環境が違えば展示場所がかなり違うというわけで、かなり歩かされるわけだが、

その分、展示・飼育方法には工夫が凝らせるというわけである。


最たるものがサルの仲間の展示である。

ニホンザル(アジア園)、オラウータンとシロテナガザル(アジア園)、チンパンジー(アフリカ園) と大きく3ヶ所に分かれている。

これらのサルの仲間の展示は順次、専用の展示場所ができて、引っ越していったという経緯があるらしい。

特に手が込んでいるのがオラウータンの展示だ。

木にぶらさがって長距離移動するように、ワイヤ伝いに移動できるようにしたスカイウォークなんて大がかりなものがある。

冬は基本的に閉鎖といいつつ、今日は暖かいからと開放していたようだが、使うかどうかはオラウータンの気まぐれ。僕が見たときには使ってなかったな。


今まで行ったことある動物園なんてそんなに多くはない気がするけど、

そんな中で特に充実していると思ったのが、オーストラリアの動物と高地の動物の展示ではないかと思う。

わざわざオーストラリア園と区切るだけのことはあって、それなりの種類がいる。

多くのカンガルーが寝そべっている姿はかなりの驚きだったし、タスマニアデビルなんて本当に珍しいよね。

コアラも人気が高いようだが、僕が見に行ったときにはお尻しか見えなかったな。

高地の動物は園内でも比較的高度の高いところに展示されているが、意図したものかはわからない。

モンゴルを意識したであろうアジアの草原(オオカミとウマの展示)なんかは特に高地を意識しているが、

それ以外でもシャモア、ターキン、ユキヒョウ、レッサーパンダ、ムフロン、ヒマラヤタール、あとはニホンカモシカもそうか。

高いところにいけば、だいたい高いところに住んでいる動物と出会えるということで、おもしろい。


あと特徴的なのが昆虫館のチョウの展示ですかね.

さながら植物園の温室のような空間に多様なチョウを多数放って展示している。

これは非常に珍しいものらしい。

昆虫の展示って、標本なら自然史系の博物館に山ほどあるけど、生きてる状態での展示はやらないわけじゃないけど限られるよね。

そんな中で、比較的小さなチョウを大空間で放し飼いにするというのはかなりおもしろい試みではないかと思う。

動物園で昆虫なんて、と思ったけど、意外と面白かった。


実際行ってみて思ったけど、ただ広いだけでなく、非常に質の高い動物園だなと思った。

当初、東京の上野動物園の分園としてできたという経緯があるようだが、

それだけに広いからこそできることというのを意識したんだろうなと思う。

今は明確な役割分担があるわけではないんだろうが、当初のコンセプトは今も大切にしてるんだろうな。

コアラと昆虫以外はどれも青空の下で展示をしていたはずだから。

なんとなく行ってみたが、思ってたよりも価値ある体験だった。

冬なのでインフルエンザ対策で鳥類の展示方法が一部変わってたり、工事中のところがあったりで、また改めて行ってみたいなと思った。


ちなみに多摩動物公園に行くというアイデアを思いついたのは、去年、東京競馬場に行ったときの話である。

ところでなんで東京競馬場に来たのかというと、京王競馬場線に乗るためである。

(略)

これで京王の未乗区間は動物園線だけになった。多摩動物公園に行くことがあれば使うかな?

(馬券売場と博物館)

今日は往復とも京王で行ったのだけど、動物園線って全区間、モノレールが並行してるのよね。車窓からもよく見えるけど。

実はうちからだとモノレールの方がちょっと行きやすい(けど運賃がすごく安いから京王にも分がある)ので、そっちに流れた人も多いのかも。

モノレール開通前は通勤・通学での利用も多かったようだが、今は行楽利用がほとんどかもねぇ。

モノレールができたことで多摩ニュータウン方面からのアクセスが非常によくなったので、

来園者のしゃべり声を聞く限りは、そちらからの来園者が相当数いるように見えた。

たいていの動物園は地元の来園者が多いけど、その地元の範囲を広げられたってことなのかなぁ。動物園にとってはよいことか。