話題になっていたのですが……
読売新聞「当社を通さずに……」 Netflixの「ワールドベースボールクラシック」独占配信が物議 (ITmedia)
これまでWBCの試合は日本戦は地上波・BSの無料放送、それ以外はJ SPORTSで放送されていたが、
2026年開催の次回WBCでは日本における放映権をNetflixが独占したという話である。
ここに書かれているが、従来は東京プールの試合は東京プールの主催者の読売新聞が国内外の放送事業者に販売していた。
ただ、今回はWBC全体の主催者側でNetflixに放映権を売ってしまったので、
東京プールの主催者としては何も出来ませんねということが書かれている。
確かに昨今のスポーツ中継ではインターネット配信が幅をきかせており、
サッカーの日本代表戦がDAZNでしか見られないことが多く残念がる意見はある。
なかなかテレビ局にとっても費用面や番組枠の問題で見合わないところがあるようだ。
今回のWBCの話も同様に思えるが、少し違うのではないかと思う。
そもそも日本とDAZNという話をすれば、2017年にJリーグの放映権を獲得したのが大きなことである。
これはJリーグの試合を有料放送することの独占権であり、
無料放送はその限りではなく、NHK(全国放送・地域放送)や各地の放送局で放送が行われている。
このためサッカーファンにとってDAZNはよく知られた存在で契約者も多い。
DAZNの料金はそこそこ高いので、気軽に見てもらえないことは残念だが、
熱心なファンであれば契約しているので、それで国際試合も楽しめますねと。
DAZNはこの期待に応えるべく、AFCから放映権を獲得しているわけである。
なお、国内開催の試合は比較的テレビ放映されることが多いようである。
これはDAZNからサブライセンスという形でバラ売りを受けていると。
時間帯がよくスポンサーも付く国内開催だけでも頑張ろうということらしい。
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一方、Netflixは野球中継を行うメディアとしては知られていない。
NPBの放映権は主催者に帰属しており、同じリーグでも主催球団により差が多い。
パ・リーグはパ・リーグTVなど一元的に観戦できる手段がある。
この背景にはソフトバンクホークスの存在があるとされている。
ソフトバンク傘下のYahoo!での配信が順次拡大しパ・リーグ全球団に達したためである。
一方、名門チームが多いセ・リーグは各球団事情は様々である。
比較的カバレッジが高いのがDAZNだが、広島カープが参加していない。
かつては広島県内からの視聴を制限するという条件でDAZNに参加していたという。
地元民放との関係を重視するがゆえの事情とされている。
阪神タイガースの虎テレなど各チーム独自の配信サービスもあり、
虎テレの場合、巨人戦とパ・リーグの交流戦はビジターゲームも配信している。
相互主義によるもので、GIANTS TVやパ・リーグTVなどでも阪神戦は配信されている。
NPBに限って言えば、誰も放映権を独占できていないんですよね。
NPB各球団が選手派遣を行う以上、普段から応援しているファンが見られないのは論外。
そういう状況でどこか1社が放映権を独占し有料で提供するのはおおよそ許されないとみるべきだろう。
WBCの開催にはMLBが多く関わっているので、MLBの配信プラットフォームで独占する、
というならNPBとしては落胆だろうが、これも理解できなくはない。
が、Netflixはそういうわけでもなく、門外漢が独占したような状況である。
NPBとしては地上波で放送したいという意向は伝えていたようである。
ただ、交渉とかいう以前にNetflixに売られてしまったわけですね。
Netflixはサブライセンスという形で他の放送事業者などに小売することはできる。
とはいえ、それでテレビ放映できる可能性は低いのではないかと思う。
それはNetflixは独占することを目的に買っているとみられるためである。
そこは金の問題ではなく、そこが動くとすればお金以外の事情だろう。
これに比べれば可能性がありそうなのはラジオ中継ですかね。
テレビ中継をNetflixが独占するのは絶対条件としても、
Netflix自体はラジオ中継ができるわけではないので、
他のラジオ局にサブライセンスしてもかまわないという判断はありうる。
過去のWBCでもニッポン放送でラジオ中継が行われており、
ラジオ放送は代替性がなく必須という主張は成り立つ余地はある。
そしたらみんなでラジオとかradikoで応援するのか。
Netflixにはよっぽど高額で放映権を売ったのだと思うが、
このWBCの収益というのはMLBが多くを持って行くことになる。
一応、それに次いで分配が多いのがNPBではあるのだけど。
他の競技だと国内で付いたスポンサーからの収入は国内で還流するが、
WBCでは一旦WBCにとりまとめられてしまうのが問題視されたが、
侍ジャパン常設化や東京プールの運営などで日本国内である程度還流できる体制ができたため、
NPB各球団によるWBCへの選手派遣が続いているわけですね。
当然、Netflixに売却した放映権料はNPBにももたらされるわけだが、
それ以上にMLBへの分配が多くなるわけですよね。
普段からNPBを応援しているファンが容易に見られないならば、
NPBは選手派遣を行わないという話も考え得る話である。
それでもアジア大会のように社会人代表を送り込めば国際大会に参加するという責務は果たせる。
さすがに2026年大会は東京プールの運営などで関与している状況で、
今から選手派遣を拒否するのは現実的ではないが、不可能とはいえない。
ましてや次回大会となればその制約はないだろう。
放映権は高く売れても、WBCが失った物は大きいのではないか。
NPBがそこまで強硬措置に出るかはわからないし、
現実問題として地上波放送は折りあいが付かない可能性はあるけど。
そこで思い起こされるのは2022年のサッカーワールドカップのことである。
このときは金額面で放映権の交渉が難航したわけである。
そこで助け船を出したのがABEMAだったわけである。
従来はNHKと民放で放映権を共同購入していたが、
ABEMAが多くを負担して、残りはNHK、テレビ朝日、フジテレビで分担できる範囲に収めた。
ABEMAは全試合をインターネットで無料配信、一部試合を上記の各社で放送した。
ABEMAとしては相当な持出にはなっているが、従来のスキームを活用したことで、
なんやかんや言ってもNHKにけっこう払ってもらってるんですけどね。
その中でABEMAと協業相手のテレビ朝日が有利に立ち回れるようにしたわけですね。
Netflix自体は野球とは無関係に契約している人も多いため、
別にそれでもかまわないという声もあるんですけどね。
でもやっぱりその先につながるものがないじゃないかという話なんですよね。
独占するというのはそれだけの責任を負うものである。
Netflixの優位は保てて、一定の責任を果たせる方法なんてラジオ中継のサブライセンスぐらいしか思いつきませんが。
果たしてどうなることやら。