海外馬券の発売対象レース拡大の噂はあったが、
てっきりサウジカップデーやドバイワールドカップデーに合わせての実施とおもいきや変わらず。
しかし秋シーズンの大レースを念頭にか告示の改正が官報に出たらしい。
見てみると予想以上に追加レースが多かった。
そもそもJRAによる海外馬券発売の対象レースは法令上このように定められている。
第十四条の規定による登録(=JRAの競走馬登録)を受けた馬を出走させることができる海外競馬の競走であつて、当該登録を受けた馬を出走させた場合に馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与すると見込まれるものについて、するものとする。
なんとでも解釈できそうだが、種牡馬・繁殖牝馬選定に重要なレースということだろう。
そのようなレースをリストアップしたものが International Cataloguing Standards Book である。
そこにはG1~G3の格付けがあるか、これらの格付けのないリステッドレースがある。
JRAではこのG1~G3のレースの成績はJRAのレース同等に認めている。
このため、サラブレッドの国際競走でG1~G3の格付けがあるレースであれば最低条件は満たすと考えられる。
その中から発売対象にふさわしいと選ばれたレースが告示されると。
なお、実運用としては一定の実績のあるJRA所属馬が出走する予定がある場合に発売する。
(出走予定で決めるので、両にらみで登録して出走しなくなったレース方のレースが発売されることがある)
その代表例が凱旋門賞だったわけですね。元々凱旋門賞の馬券を売りたいところからスタートしてるので。
このように国際的に評価の高いG1レースを並べたわけだが、なんでこれ発売対象じゃないんだろうというのはある。
特にブリーダーズカップ(BC)開催の BCディスタフとBCスプリントはなんで対象レースじゃないの? と思った人は多いはず。
ダート牝馬路線とダートスプリント路線の世界チャンピオンを決めるレースである。
また、ドバイワールドカップデーに行われるUAEダービーはG2だが、ケンタッキーダービーの前哨戦として重要である。
後につながるレースという点では海外馬券対象になるべきレースとも考えられる。
G2というのが気になるが、G2も法令上の要件は十分満たしているといえる。
官報 号外(第163号)に「平成二十七年農林水産省告示第二千七百八十七号及び令和二年農林水産省告示第三百三十五号の一部を改正する告示」という意味不明なタイトルででている。
なんと現在32レースのところ116レースまで増えた。予想外に多かった。
全体的にはヨーロッパのレースが多く増えている。
発売機会は限られるレースが多そうだが、期待はあるのだろう。
発売機会という点では UAE・サウジアラビア・香港・アメリカでしょうね。
まずアメリカなのだが、BC開催については2歳戦を除く9レースが全てリストアップされた。
BCスプリント、BCディスタフあたりは発売頻度が多くなりそう。
この他ではケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス の三冠レースが元々あった。
今回、それに続く夏の3歳戦トラヴァースステークスも追加された。
一方、BC開催以外では古馬戦は全くなかったが、ここが大幅に拡充される。
フォーエバーヤングがBC前哨戦に選んだ ジョッキークラブゴールドカップも含まれている。
あと、アーリントンミリオンステークスなど芝のレースが多く追加されている。
アーリントンミリオンは総賞金100万US$で昔は高額賞金と言われた。
でも1着1億円(60.8US$)って言うほど高額か? と今の感覚では思う。
アーリントンパーク競馬場はなくなったが、名前だけ残してコロニアルダウンズ競馬場に移管されている。
合計してダート12レース(うちBC 5レース)、芝9レース(うちBC 4レース)である。
次にUAEだが、いずれもドバイワールドカップ関係である。
ドバイワールドカップデーのサラブレッドの国際競走8レースは全て対象になった。
G2のUAEダービー、ゴドルフィンマイル、ドバイゴールドカップも含まれる。
ゴドルフィンマイルもマイルにこだわって転戦するのはけっこういますね。
そしてもう1つ、ドバイワールドカップの前哨戦のマクトゥームチャレンジも追加される。
前哨戦だけどこれ自体がG1である。主催者的には重要レースなんですよね。
でも世界的にはドバイワールドカップデーの前といえばサウジカップデーですよね。
これは2024年にサウジカップがピンポイントで追加された。
当初はG3から始まったアンダーカードもだんだん格上げされていったが、
このたびサラブレッドの国際競走6レースが全てリストアップされることに。
G1が2レース、G2が3レース、そしてG3のサウジダービーまで入った。
G3でリストアップされるのは意外だったが、それだけの価値はあると認められたのだろう。
というわけでブリーダーズカップ、ドバイワールドカップデー、サウジカップデーと日本馬が遠征すれば海外馬券をたくさん売ることになる。
近国ということで香港ですが、元々年末の香港国際競走、春の香港チャンピオンズデーは全レースが対象だった。
これに5レース加えて12レースとなるが、これは香港の全G1が対象になるという意味である。これはなかなかすごいですね。
近いとはいえ日本馬が遠征するかは別問題だが、チャンピオンズ&チャターカップ はあるだろう。
地元馬の層が比較的薄い2400m戦で、1着1.5億円(728万HK$)とそこそこ高額賞金ですから。
今年は2頭遠征しており、発売機会は比較的ありそうだ。
オーストラリアは昔は多かったが、ばっさり削られ コックスプレート と クイーンエリザベスステークス の2レースになっていた。
これが14レースに一気に増える。
もともと補欠システムで売りにくく外れたというメルボルンカップ、
さらにはその前哨戦のコーフィールドカップも入る。
ジ・エベレストなどスプリント戦もいくつか入っている。
ジ・エベレストはいつかここに挑戦するような日本馬が出れば馬券売りたいですからね。
さて、ヨーロッパなのだが、これが大量に追加されているが……
元からの対象レースで異彩を放っていたのがイギリスのダービーである。
誰が3歳春にイギリスに遠征するんだと。
ジャスティンミラノが登録したことはありましたけど。(その後、皐月賞を優勝し、日本ダービーに転戦)
そんなことを言っていたらイギリスのクラシックレースの残り4つ、
アイルランドの3歳G1 4つ、フランスの3歳G1 5つ が追加された。
誰が行くんだよという感じはある。
凱旋門賞の前哨戦としてのパリ大賞典はあるかもしれないけど。
現在もイギリスのレースは7レースで比較的多いが25レースに激増する。
イギリス競馬は貧乏だと言っていたが、最近は高額賞金レースの賞金積み増しをしている。
日本の競馬関係者の興味も引いているようで、イギリス遠征の話を聞くことも増えてきた気がする。
ロイヤルアスコット開催、ブリティッシュチャンピオンズデーなど。
この中にはサトノレーヴが2年連続で参戦したクイーンエリザベス2世ジュビリーステークスもある。
従来は中長距離ばかりだったが、スプリント、マイルもだいぶ増えたし、4000mのゴールドカップなんてのも。
フランスも3レースから16レースに増えたが、凱旋門賞絡みで発売機会がありそうなレースがいくつか。
まず前哨戦としてはヴェルメイユ賞、牝馬の凱旋門賞前哨戦として知られる。
同日のG2の前哨戦も入る噂はあったが、それは入ってない。
凱旋門賞と同日の他のG1も追加されて、オペラ賞(牝馬限定)とフォレ賞である。
フォレ賞といえば、エントシャイデンが凱旋門賞に参戦するディープボンドとともに2年連続で走っている。
アイルランドは1レースから10レースに、うち4レースは3歳戦だけど。
おもしろそうな条件のレースがあって、それがフライングファイブステークスとアイリッシュセントレジャーである。
これらはアイリッシュチャンピオンステークスと同じ週末に行われる。
フライングファイブステークスは1000mのG1、距離にこだわって行くのがいるかも。
アイリッシュセントレジャーはセントレジャーとはなっているが3歳以上の2800m戦である。
日本で秋に3000m級だとステイヤーズステークスはあるがG1はない。
メルボルンカップはハンデ戦だし、こういう選択肢もあるのでは。
それはフランスのロワイヤルオーク賞(3100m、これも元は3歳戦)にも言えますが。
この他ドイツの3レースも追加、それこそ行くやつおるのかという感じだが。
全体的にヨーロッパでは54レースが発売対象になる。
ヨーロッパのレースは凱旋門賞を別とすれば毎年恒例で売るようなレースはなかなかないけど、
売上はよい傾向にあるので、とりあえずリストアップした側面はありそう。
今後もイギリス遠征が続けば効果は大きそうだな。
ところでこれらはJRAが海外馬券発売できるレースの話だが、
実は地方競馬が海外馬券発売できるレースというのも告示にある。
サンタアニタダービーが元々あったが、サンタアニタハンデキャップ(G1)も追加された。
これは大井競馬場とサンタアニタ競馬場の提携関係で遠征が見込まれるということで、
地方競馬が馬券発売できるレースになっているのだろうが、これまで発売されたことはない。
JRAが発売可能なレース(特にダート)で地方所属馬だけが遠征した場合、
現在の内規ではJRAは馬券発売しないことになっているそう。
内規だけの問題だから売ること自体は可能だろうが、現状そういうことは想定していないと。
ブリーダーズカップでは最大9レースの海外馬券を売る可能性があるので、
それに応じたシステム対応も必要だろうが、9レース全部売ることはそうそうないだろう。
ドバイワールドカップデーの8レースはほぼ日本馬いる印象なので、これが正味一番忙しいかも。
しかしレース数が増えたからといって売上が増えるかはなんとも。
UAEダービー以外のG2 2レースはどれぐらい興味を引くだろうか。
ヨーロッパでも同日に複数レース発売の日は増えそうだ。
外国の競馬主催者が日本馬の誘致に力を入れることも増えそうだ。
凱旋門賞にわざとらしい輸送費補助が導入された話もありましたけど。
凱旋門賞が日本馬を招致したい理由
ブリーダーズカップは馬券発売対象外のレースも含めて輸送費補助が積み増されていたというし、
最近の日本馬のイギリス遠征も輸送費補助のオファーがあると言われている。
今後はこういうのもより増えて行くのでは。それで日本馬が遠征するかはよくわかりませんが。