バンドリは台湾に行くが

少し前までバンドリは中国で大規模なライブイベントをよくやっていた。

中国・上海で再演する意味

ただ、最近はこの手のイベントの許可が出ず、今年1月に予定されていたRoseliaのアジアツアーの上海公演が中止に。

代替に同日に大阪で公演が行われたが、いかに上海~大阪の飛行機が頻発しているといっても代替とは言いがたいだろう。


そんなバンドリ、最近は台湾に目を付けているらしい。

4月に台北の大佳河濱公園で2日間、1日目はMygo・Ave Mujicaの “moment/memory” の再演、

2日目はPoppin’Party・Roseliaの DREAMS GO ONの再演……ではなく先出しか。

そう、DREAMS GO ONはちょうどおとといに東京・有明アリーナで予定されていたもので、

これが先に出ていて、後から台北が出てきたという形である。

会場が公園であることからわかるように野外、あとオールスタンディングで、

これじゃあろくに見えない席も多いというので、そこはイマイチである。


次いでAve Mujica、ツアーの追加公演として台湾・桃園の林口体育館で予定している。

やり方としてはわりと今までの上海公演の差し込み方に似ているが、

4月に8月の公演のことが発表できているので、そこは普通である。

というのも中国大陸の場合、かなり直前の発表になるのが常だからである。

これは許可など準備が揃って公表できるのが直前だからのよう。

バンドリの中国公演が再演が多いのはこのためではないかと見ている。


あと、RAISE A SUILENは8月に香港公演を行う。

香港ってのは意外と聞いたことなかったが、バンドリ単独では初めてかな。

会場がAsiaWorld-Expoと書かれていて展示場なのだが、コンサート・国際会議での利用が多いよう。

AsiaWorld-Expo/Hall 6, 8 & 10

なんかこれだけ見ると展示場の写真には見えないけどね。


ところで中国大陸から台湾に観劇に行くのは相当困難らしい。

というのも中華人民共和国の発行する往来台湾通行証の許可が出ないためである。

中華人民共和国と中華民国はお互いの政府を国として認めていない。

このためお互いのパスポートを直接受け入れることはできない。

台湾→大陸はこのポリシーだけの問題である。

台湾を出るときは中華民国のパスポートを呈示、大陸に入るときは台湾居民来往大陸通行証(台胞証)を使う。

台胞証は事前に旅行会社などを通じて取得可能である。

最近は臨時台胞証という到着後に発行できる制度も導入されたとか。

台胞証があれば追加の進入許可などは不要である。


問題はこの逆で、両政府の許可が必要である。

中華民国は制度上、台湾地区人民以外は許可が必要である。

これは親が台湾籍で、外国生まれの子供でもそうである。

台湾籍とはなにか

そもそもパスポートを受け入れないこともあるので、事前に 中華民国台湾地区入出境許可証(入台証)が必要である。

ただ、入台証の方は基準を満たしていれば発行され、許可が出れば自分で印刷して持参できる。

問題は大陸側で、大陸から台湾への渡航にはパスポートを使うことを認めていない。

なぜならば名目上は国内移動だからである。

これは昔の日本でもあった話で、アメリカ統治下の沖縄への渡航にはパスポートは使ってはならないルールだった。

総理府発行の「身分証明書」が必要だった。これにアメリカ側の許可を受ける必要がある。


中華人民共和国は国内移動のための渡航証明書として、

大陸住民には往来港澳通行証・往来台湾通行証、香港・マカオ住民には港澳居民来往内地通行証を発行している。

なお、外国に往来する場合の経由地として台湾・香港・マカオを通過する場合、

すでに外国にいる中国人が台湾・香港・マカオへ向かう場合はパスポートを渡航書類に使ってよい。

大陸籍の人が香港・マカオに渡航する場合は許可が必要だが、パスポートに許可を受けることができる。

往来台湾通行証は台湾に渡航する意志があるとか、入台証を持っているだけでは発行されない。

実は大陸から出るためにも許可が必要なのである。

この許可、2019年以降、観光目的では出ないのだという。親族訪問・商務などでは出ますが。


正直よくわからん話である。

台湾の旅行業界への嫌がらせという話もあるが。

さっきアメリカ統治下の沖縄への渡航書類の話を書いたが、

逆に沖縄から内地への渡航も「日本渡航証明書」が必要だった。

内地に到着後は「帰国」のスタンプが押される通り、日本側は日本人の帰国と同じ扱いである。

アメリカ統治下の沖縄にいても日本人ならば帰国に許可はいらない。

問題はこの証明書がアメリカ統治に批判的な人にはなかなか発行されなかったことである。


というわけで台湾でやっても中国大陸の代わりにはならないのだが、

台湾にもファンは多いし開拓の余地はあるということなのだろう。

ノウハウは積み上がったので他地域でも活用していきたいと。

それはRoseliaのアジアツアーでも感じましたけどね。

ビジネスジェットのカボタージュ規制

ふと気になったことがあった。

外国籍のビジネスジェットが国内の空港間を飛行することはできるのだろうか?

というのも、船・飛行機の世界ではカボタージュ規制があるから。


カボタージュ規制とは外国籍の船・飛行機で国内輸送を行うことを禁止することである。

船舶法第3条: 日本船舶ニ非サレハ不開港場ニ寄港シ又ハ日本各港ノ間ニ於テ物品又ハ旅客ノ運送ヲ為スコトヲ得ス但法律若クハ条約ニ別段ノ定アルトキ、海難若クハ捕獲ヲ避ケントスルトキ又ハ国土交通大臣ノ特許ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス

航空法第127条: 外国の国籍を有する航空機(外国人国際航空運送事業者の当該事業の用に供する航空機及び第百三十条の二の許可を受けた者の当該運送の用に供する航空機を除く。)は、本邦内の各地間において航空の用に供してはならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。

見ての通り、例外規定はあるのだが、原則的には禁止である。


船と飛行機では若干運用に差があるのだが、国際輸送の一部で国内のみの航海・飛行をすることは認められている。

日本の港に複数寄稿して、プサンとか基隆を経て、また日本国内で複数寄航するようなクルーズを見る。

こういうのはほとんどが外国船籍のクルーズ船である。

日本国内の寄港地で下船して観光したとしても、日本と外国を往来する区間に乗船していれば問題ないのである。

日本国内の寄港地が開港であれば特別な許可は必要ない。

不開港(例えば別府港とか)でも許可を受けて寄航していることは多い。


一方、飛行機の場合は外国籍の飛行機が国内のみの飛行を行う場合は必ず許可が必要である。

ビジネスジェット機(外国籍機)の各種申請手続き (pdf) (国土交通省)

この許可には、航空法127条によるものと、130条によるものがある。

有償運送の場合は航空法130条による許可を受ける必要がある。

無償運送としてイメージしやすいのはフェリーフライトですね。

有償運送についてはカボタージュ規制を遵守することが求められる。


この資料を見ると有償輸送で認められるパターンはこの2つ。

外国から飛来して、そこで一旦降機してもよいが、

このとき降機した人が同じ空港から同じ飛行機で国内の別地点に飛ぶ。

あるいは、国内のある地点から別地点に飛んで、一旦降機してもよいが、

このとき降機した人は必ず同じ空港から同じ飛行機で外国に飛ぶ必要がある。

陸上移動で途切れてはいけないということである。

一方で、外国から成田で人は降りて、人は関西に陸路で移動、飛行機は関西にフェリーフライト、

そして関西から再び乗って外国へ飛んでいくというのは問題ないはず。

成田~関西は無償運送、前後のフライトは外国との往来である。


なお、これとは別枠で外国人国際航空運送事業者によるものがある。

外国航空会社は許可を受けて日本と外国を結ぶ航空便を運航できるが、

「これらの航行と接続して行う本邦内の各地間における航行」も認められる。

昔、デルタ航空が成田~関西で国際線扱いの乗継便を飛ばしていたが、

これも国際線からの乗継専用であればアメリカ籍の飛行機で飛ばせる。

この場合、さっきのように同じ人が同じ飛行機に乗るという制約がない。

なので名目上は関西~ニューヨークでも、関西~成田と成田~ニューヨークで別機材を使うことができた。

関西~成田は当時は成田常置だったボーイング757で飛んでいたはず。

ただ、デルタ航空国際線とセットの客しか乗せることは出来ない。


無償輸送というのは、人や荷物を運ぶことを目的としないものしか認められないと思ったが、

自己所有の飛行機を使った移動も航空法127条による許可で認められるような書き方である。

この場合はカボタージュ規制を遵守しろという記載がない。

会社所有の飛行機で役員など乗って国内移動するのも無償輸送なら認められるのだろうか。

ちょっと変な気はしますけどね。


船の場合はこれはほとんど認められる余地がない。

外国籍の飛行機で国内だけの輸送を行うには沿岸輸送特許が必要だが、

ほとんどは空コンテナの輸送に限った許可のよう。

国内船社などが国際輸送の一部として国内の港同士で運ぶ場合も許可が出るようだが。

これはさっきのデルタ航空の国際線乗り継ぎ便みたいな話ですね。

飛行機に比べると全体的に条件は厳しい。


日本籍の飛行機・船ならこういうことは考えなくてよい……

と見せかけて、日本籍の船には国内航海に制限のある船もあるという。

これはマルシップ方式を適用している船の場合である。

日本人が所有する日本籍船を外国船主法人に裸用船で貸渡し、これを受けた外国の用船主が配乗権を持って外国人船員を配乗している船舶。

なんのこっちゃという話だが、日本籍の船に外国人船員を乗せられる仕組みである。

国際航路を中心に運航する船に対する規制緩和策で、

国をまたぐ航路はどこの船籍の船でも自由に参入できることとのバランスを取ったわけである。

日本籍の船なので国内のみの輸送も認められてはいるが、

外国の港に行かない期間が60日(かつては30日)を超えることは認められない。

日本籍のクルーズ船は基本的にマルシップ方式なので、この制約を受けるそう。

本来の使い方であれば全然問題ないはずなんですけどね。

灯油が足りないかナフサが足りないか

中東情勢により原油の輸入が滞っているという件、

代替ルート・代替調達先と模索する一方、当座は備蓄で食いつないでいる。

ただ、この備蓄はガソリンの所要量を元に考えられたものであり、

石油化学工業用のナフサは元々ナフサとして輸入する分も多かった。

この分の代替調達はまた別に考える必要があり、あれこれ走り回り、

こちらもある程度は目処が立ったという話をしている。


日本ではナフサだったが、ヨーロッパではジェット燃料が問題だという。

欧州ジェット燃料「残り6週間分」 IEA警告、EUは対策検討 (日本経済新聞)

ヨーロッパでも自動車用の燃料、ガソリンと軽油だと思うが、

これをターゲットにおいて域内生産・備蓄を行っていたわけである。

この結果、元々はジェット燃料の75%を中東から輸入していたという。

このため航空便の維持が早々難しくなるのではと言われていると。

当然、これも代替調達を考えるが、必要量が多いと容易ではない。


ところでジェット燃料というのは灯油のことである。

灯油と軽油というのは似たような性質のある油種である。

日本はガソリンの需要に比して、軽油の需要が少ないことが知られている。

このため、石油製品という観点では軽油を近国に輸出している。

軽油の確保に苦心する国が日本から軽油が届いたので当座はしのげると言っているのは、元々そうだから。

おそらくヨーロッパで灯油の確保に苦心しているのは、軽油の優先度が高いからだと思う。


日本は石油化学工業用のナフサは元々輸入による分が多い。

自動車用のガソリンもナフサの一種だが、石油化学工業用としてはより分子量の小さいものを使う。

日本では自動車用のガソリン確保がもっとも重きがおかれている。

別にそれは日本に限った話でもないと思うのだが。

そういう中で自動車用のガソリンとしては軽すぎるナフサ分を世界各地から集め回っているということかと。

これを原料にプラスチックなどの製品を作っているわけだが、

これらの製品としての在庫もある程度はバッファとして機能している。

また、天然ガスなど石油以外から製造可能なプラスチックなどの製品もある。


というわけで日本とヨーロッパの状況を比べてみると、

日本は代替調達の余地が比較的あるナフサで、製品の在庫がバッファになっている。

限られたナフサは代替性がなく在庫が不足している製品への投入を優先するなどの戦略もある。

一方のヨーロッパは世界的に軽油最優先となれば灯油の代替調達は相当な困難があり、

飛行機に給油するには灯油そのものでなければならない。

灯油需要全体という点では暖房用燃料の節約というのも考え得るが、

即効性を考えると飛行機の減便という方向へ向かわざるを得ないのかな。


最近、日本の航空会社はヨーロッパ線の需要が高く、

高額な燃油サーチャージを徴収しながらも臨時便を出すような対応もしている。

これは中東経由で飛んでいた需要が移っているためと言われている。

特に元々ヨーロッパの南部だと中東経由のメリットが多かったのだが、

運休や情勢不安による忌避でヨーロッパ直行便を選ぶ傾向が強まっているらしい。

ただ、ヨーロッパ側での給油が難しいとなれば、これも難しくなる。

そういう中でも不可欠な路線であるという判断はあるとは思うが、


構造的な差もあり、日本は比較的なんとかなっている部分もある。

ただ、やはりこの状況が続くと各種の石油製品の供給に問題は出てくるであろう。

あと代替調達によるコスト増ですよね。これは全てに及ぶ。

産油国にとっても全く良い話はないんですよね。

パイプラインを利用した代替ルートでの出荷など少しでも出荷できる策を考えているので、

そういうところに日本企業も多く関わっていくのではないか。

オマーンの飛び地の理由

ホルムズ海峡の一方はイラン、もう一方はオマーンとは聞いていたが、

地図を見るとオマーンとホルムズ海峡はちょっとズレているような。

よく見てみるとホルムズ海峡部分はオマーンの飛び地らしい。


飛び地が生じる要因として最も多いのが封建領主の領地に由来するもの。

日本でも廃藩置県直後は府県の飛び地だらけで、順次整理していったことが知られている。

このオマーンの飛び地、ムサンダム特別行政区もそのようなものである。

元々オマーンというのはホルムズ海峡両岸、アフリカのタンザニアあたりまでの海岸線に沿って支配していたそう。

マスカットというのはその時代から王宮が置かれていた都市らしい。

ただ、アフリカ側が分裂して、アラビア半島側も衰退していく中で、

現在のアラブ首長国連邦(UAE)にあたる地域などが離脱していった。

でも、現在のムサンダム特別行政区はマスカットの王の直轄地だったから残ったらしい。

もともとつながっていた真ん中が抜けて飛び地になるのもよくある話ですね。


元々海岸に沿って支配をしていたこともあり、かつては内陸部の国境は曖昧なものだったらしい。

このため国境管理もなく、UAEとつながっていたんじゃないかな。

今は厳密な国境管理が行われているようだが、例外はある。

ムサンダム特別行政区にはUAEに囲まれた飛び地、マダというのがある。

ここはオマーン領ではあるのだが、事実上はUAE扱いとなっているよう。

さらに面倒なことに、この中にはUAEの飛び地もあるという。

なんでこんなことに……と思うも、UAEの地図を見るとそういうこともあるのかもなという感想を受ける。

アラブ首長国連邦の首長国 (Wikipedia)

UAEは7の首長国から構成される。アブダビ首長国とドバイ首長国が有名だが。

アブダビ首長国が圧倒的に広く、ドバイ首長国もそこそこ広い。

で、他の首長国は大概飛び地が多いんですね。そういうものらしい。


厳密な国境管理はあるものの、基本的に両国間の往来は活発なようである。

アルアイン(UAE)とブライミ(オマーン)など市街地の中に引かれた国境もあり、

国境管理もなく行き来できた時代もあったが、現在は多数の検問所が設けられている。


さて、ホルムズ海峡の一方はオマーンという状況で、イランが海峡を事実上封鎖し、通行料を徴収しているという話も。

そんなことできるんかいという中で、2隻の日本関係船が海峡を通過していった。

商船三井系のタンカー、2隻目のホルムズ海峡通過 インドへ航行中 (朝日新聞デジタル)

最初に通過したSOHAR LNG、これはオマーン側を通過している。

ホルムズ海峡を通過する通常のルートに近いルート取りである。

実はこの船、オマーンの会社との共同保有の船で、オマーン関係船として通過した側面が強いようだ。

続いて通過したGREEN SANVI、こちらはララク島付近を通り、イラン側に大きく回り込んでいる。

このララク島付近のことを「料金所」と言う人もいるらしい。

果たして通行料を払ったのかはわからないが、この船はインド籍で目的地もインドらしい。


よくわからないところはあるが、イランとしてはオマーンと協調して通行料の徴収をしたいらしく、

そこにオマーンが合意しているのかはよくわからないが、

オマーン関係船が通るのは構わないというような確認があったのかもしれない。

果たして今後どう動くのかはわからないが、ちょっとずつ動きがありそうではある。

政令指定の麻薬

日本の薬物規制の中心になっているのが「麻薬及び向精神薬取締法」の麻薬だが、

麻薬の中には医療用医薬品として使われるものもある。

中には家庭麻薬として同じ成分でも濃度により麻薬の規制から外れるものもある。

それを家庭麻薬という


ニコニコ動画に医療用の麻薬について紹介する動画を上げている人がいた。

いわし@超ビビリ/医療用麻薬 徹底解説 (ニコニコ動画)

麻薬のうち医療用に使用されるのは11成分だそう。

麻薬として法律に列挙されているのは76成分、そのうち1/7ほど?

気になって法律を見てみると、フェンタニルが見つからないじゃないか。

なんで? と思って調べると、この一覧にはこういうものがある。

前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの

この中にフェンタニルも入っているわけですね。

「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」を見ると確かにあった。

フェンタニルはモルヒネと類似する働きをする成分なので、モルヒネと同種と政令で定めるのは妥当そう。


政令指定の麻薬というと「危険ドラッグ」と言われる新しい薬の印象があったが、

医療用に使われる物でも比較的歴史の浅いものはそういう扱いの場合があるんですね。

医療用途で重要な薬なら機を見て法律にも書いた方がよさそうだが、

モルヒネなど法律に書かれた麻薬と扱いは全く同じなので問題はない。

なお、現在政令指定の麻薬は157成分あるので、合計233成分中、医療用途で使われるのは11成分となる。


医療用麻薬の用途は、痛み止め・咳止め・手術中の麻酔 でほぼ収まるようだ。

咳止めの用途では「家庭麻薬」に該当する範囲のコデイン類が使われることも多い。

手術中の麻酔は病院内で閉じる話なので、患者が意識することは少ない。

となれば、医療用麻薬=痛み止めというのが大方の理解である。

それもほとんどはがん患者への処方だという。


元々の意味としては麻薬=ケシ(アヘン)から派生した成分だったのだろう。

アヘンそのものの規制は あへん法 という別の法律によるが。

医療用麻薬のうち、ケタミン以外はアヘンの派生成分またはそれと類似する働きを持つものと言えそう。

医療用麻薬は全てアヘンの派生成分、またはそれと類似した働きを持つよう合成されたものと言える。

ここに2023年の法改正で大麻の種子・成熟した茎以外と麻薬成分のTHCが正式に加わった。

大麻が麻薬になる


もっともこれらの似つかない成分も政令指定の麻薬には多くあるが。

医療用麻薬のうちケタミン(政令指定の麻薬)は位置づけが違うように思う。

国際的な規制の枠組みでも麻酔薬としての重要性から規制対象外で、

日本でも2007年までは麻薬扱いではなかったが、乱用が問題となり追加されたと。

医療用としては手術中の麻酔が全てで、レミフェンタニルなどの麻薬とも並ぶもの。

ただし、これは人間向けの話で、動物用としてはケタミンが圧倒的だったそう。

このため獣医師など、新たに麻薬施用者・麻薬研究者になることを迫られたものは多かったよう。

広く普及しているが目的外に流出したときの危険が大きいからこそ、麻薬にしたと言えますが。


以前、こんな話を紹介した。

日本では覚醒剤の医療目的での処方は制度上可能だが極めて厳しい。

(コンサータは歴史を繰り返している?)

麻薬の中にも別格とされる成分があり、それがヘロインである。

わざわざ麻薬及び向精神薬取締法にも「ジアセチルモルヒネ」として他の麻薬と区別して書かれている部分がしばしばある。

世界的には医療用に使われることもあるらしいが、かなり危険な薬である。

当然のことながら日本では医療用に使われることはない。

おそらくヘロインが日本では一番厳しい制限を受ける薬物なんだろうな。

次いで覚醒剤、医療用の処方は名目上可能だがほぼ使い物にならない。

他の麻薬は妥当な用途があればという話だが、妥当性が見いだせない成分が大半なのは冒頭に書いたとおり。

なぜ土地収用を使いたいか

成田空港のB滑走路延長、C滑走路新設の事業について、

B滑走路延長のための用地確保はできそうなのだが、C滑走路の用地が予定より遅れているとのこと。

以前紹介したのだが、成田空港ではセミオープンパラレル方式による滑走路増設を進めている。

誘導路が代替滑走路となり離陸用滑走路となる

B滑走路は当初計画エリアの南側の地権者からの用地取得が進まず、北側にシフトして延長、

ただ単に北側にシフトすると地上走行が長くなってしまう。

そこで南側にC滑走路を作り、風向きにより離着陸を使い分け地上走行を短くする。

さらに2本の滑走路をセミオープンパラレルの条件を満たすように作ると、

離陸と着陸を同時に出来るため空港の処理能力を高めることもできる。


ただ、C滑走路は明らかに新規に取得する用地が広域である。

なかなか大変だろうなと思っていたが、やはり大変らしい。

B滑走路も含めた事業全体での用地確保率は88.4%、

それなりとは言えるが、難しい土地ばかり残っているのだろう。

そこで土地収用に向けてまずは事業認定の手続きに入ろうという話らしい。

一見大したことない話だが、成田空港となれば大きな話である。


ところで用地買収が難航している要因としてはこう書かれている。

「親族間で土地の相続問題が解決していない」「取得の条件で折り合わない」「機能強化の趣旨に賛同しない」

3つ目の理由はともかく、あとの問題は収用で大きく進む可能性が高い。

収用の手続きは所有者の全部または一部が不明(所有者不明土地)、

遺産分割の協議が整わない場合、土地境界に争いがある場合でも進められる。

資料によれば土地収用のうち4割ほどはそんなケースらしい。

また、土地収用に当たっては収用委員会での審理が行われる。

損失補償について中立な立場で検討するのが収用委員会の役目で、

その結果をもって双方合意に至る和解というケースもけっこうあるよう。


ところで土地収用にはまず事業認定が必要だと書いたのだが、

都市計画施設については事業認定があるという扱いになる。

典型的には都市計画道路ですね。他の都市計画施設でもよいが。

成田空港は都市計画施設ではないから認定から必要だが、

理屈の上では空港を都市計画施設として決定することもできて、

調べたら調布飛行場は都市計画空港らしい。全国的にも珍しいよう。


地元からも土地収用を活用して、早期の滑走路増設を望む声はあったようだ。

用地確保に困難が生じているケースのうち、どの程度かわからないが、

土地収用の活用で円満解決するケースもそれなりなのだろう。

とはいえ、成田空港と土地収用には悲惨な歴史もある。


成田空港が用地確保に苦心した空港であるというのは知られているが、

初期には用地収用を多く活用し、それでも立ち退かない土地に行政代執行を適用した。

その中では警察官3人が集団暴行で死亡している。

そんなこんなで開港を迎えて、B滑走路などの拡張事業を進める中で、

土地収用を進めるのに不可欠な千葉県収用委員会の会長が襲撃、

これにより収用委員会の委員を務める人がいなくなってしまった。

最終的に用地収用の取り下げが行われ、1994年以降は対立は解消に向かって行ったとされている。


2002年にB滑走路が2180mで暫定運用開始したのもこの成果で、

2009年の2500mへの延長、現在計画中の3500mへの延長につながっている。

ただ、屈曲した誘導路など、いかにも合意に至らない地権者の存在を示すものもある。

しかし、これまでの経緯もあり、ここに土地収用を適用しなかったわけですね。

一見どうかと思う話だが、ここには相当な理由があったんですね。


土地収用の事業認定が出ることで交渉が進む部分もあるだろうし、

土地収用を効果的に使うことで円満解決に至ることも大いに期待できる。

でも、かえって強硬化する地権者も出てくるのかも知れない。

制度上はそれを強制的に収用することはできるが、

それが原因で争いを引き起こすのは本望ではないだろう。

となればその土地を外した計画とかも考えるのかもしれない。


余談だが、所有者不明土地については地域福利増進事業のために利用できる制度ができた。

土地収用は用地を買収してしまう制度だが、こちらは土地を借りる制度である。

裁定で定められた補償金を供託することで、原則10年、要件を満たせば20年の使用権が認められる。

収用に比べると認められる事業の範囲が広く、集会所、購買施設、発電施設なんていうのもある。

ただ、この制度、まだ思うようには活用されていないようだ。

数少ない活用事例も防災広場・公園などの空地化を目的としたものである。


活用できていない背景には様々な要因があるのだが、

そもそも前提として所有者が不明であるということがある。

手を尽くしても所有者が見あたらない土地というのはそう多くないのである。

見つかった所有者と交渉して土地を借りたり、売却・寄付してもらえれば、これはこれでよいが、

所有者が交渉に応じないとか、所有者数が多く交渉が成り立たないケースはどうにもならない。

土地収用は交渉に応じないなら裁定で決まった補償で買収できる。

でも、それより範囲が広い制度なので、そこまでの強硬措置は執れない。

けっこう期待されてる制度なんですけどね。難しいんですね。

PFIの使われ方

組織変更の対応で引越をやっていた。

といっても僕はすぐ近くの机に動くだけでほとんど変化はないが。

フロア内の人口は純増で、なかなかむさ苦しい職場である。


公共施設の整備・運営手法にPFIというのがある。

Private Finance Initiative ということで民間資金の活用ということですね。

民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)(内閣府)

これ、一体どんな風に活用されているのかというのが気になった。


形態として多いのがBTO方式である。

Build-Transfer-Operate ということで、所有権は行政が持つ一方、

その建設と維持管理という部分を民間企業に委ねる形である。

既存施設の改修に適用する場合は RO方式(Rihabilitate-Operate)となる。

その中でも件数が多いのが庁舎・官舎といった不動産の整備・管理のよう。

所有権こそ行政だが、民間が建てたビルを行政が借りる形に近い。

民間企業のノウハウが多い分野で、大きなリスクが生じにくいのも理由なのだろう。


ところでコンセッションと呼ばれる形態もある。

コンセッションというのは日本語で言えば公共施設等運営事業となるよう。

行政が所有する施設の運営権を民間企業に与えて、行政はその対価を得るという仕組みである。

この特徴から使用料収入で運営費が賄えることが前提となる。

現状、導入事例が多いのが空港ですね。

元々民間企業がやっていたターミナルビルの運営と統合することを目論んでいる。


有明アリーナがコンセッション方式だというので、どういう経緯か調べた。

有明アリーナは建設時点では東京都が自ら発注していた。

言うまでもなくオリンピック合わせの新設の体育施設の1つである。

多くの施設は使用料だけで採算が取れないことということで、

指定管理者制度で民間企業に管理を委ねる形態を取っている。

ただ、有明アリーナだけはコンセッション方式が適用可能と判断し、

公募を行った結果、電通を代表者とするコンソーシアムが運営権を得ることとなり、

その対価は年3.85億円+業績連動分となっている。

東京都はこれにより整備費の一部を賄うことができているというわけ。


整備段階から関与しているとBTO形式でいいんですけどね。

というのが愛知国際アリーナ(IGアリーナ)である。

ここは建設費400億円の想定に対して、愛知県は200億円しか払わない。

その代わり、使用料を運営者の収入としてよいということである。

「BTコンセッション方式」とか書かれているけど、全体的にはBTO方式のような気がする。


変わり種としてはパシフィコ横浜ノースがあって、BTO方式とコンセッション方式が併用されている。

どういうこと? と思うのだが、この施設はかなり複雑である。

まず、パシフィコ横浜ノースには会議・展示施設は横浜市の施設だが、併設するホテルはそうではない。

これを一括して建設・管理する必要があり、竹中工務店らによるコンソーシアムが組まれた。

一方で既存のパシフィコ横浜と一体的に運用できなくては意味がないので、

この部分の運営は(株)横浜国際平和展示場に委ねる他なかった。

そこはコンセッション方式で同社に運営権を売却する形にしている。

同社は使用料を得る一方、運営権の対価を横浜市に支払う形となる。


ちなみにパシフィコ横浜の既存部分もPFIが採用された施設である。

ここは土地は横浜市所有、国立大ホールは国が建設したが、

他の施設は横浜国際平和展示場が建設・所有するという形になっている。

もっとも横浜国際平和展示場という会社は横浜市・神奈川県が多くを出資する会社である。

実態としては行政が民間を巻き込んで作った会社である。

民間企業が主体的に経営するわけではないから許された形式と言えそう。


なんでこんな話を書いたかってこんなニュースを見たから。

千葉マリンスタジアム移転、イオンモールが事業参画 集客効果狙う (日本経済新聞)

千葉マリンスタジアムは幕張メッセ駐車場の場所に新築移転する計画が進んでいる。

ここにイオンモールが参画するという話である。

イオンモールは言うまでもなくショッピングモールの経営を主にしているが、

住宅・オフィス・物流施設など複合させた施設にも取り組んでいる。

道路を挟んだ向かいにはイオンモール幕張新都心がすでにあるため、

ショッピングモールとスタジアムの一体的な経営を目論んでいるよう。


現時点で確定しているのは、公園施設として設置され、スタジアム自体は千葉市所有となること。

そして当然のことながら、これは千葉ロッテマリーンズの本拠地として使われること。

球団経営を考えると売店なども一体経営したいはずである。

あと野球場としての運営実務は球団に任せる方がよさそうではある。

どこまでイオンモールが関与するのかというのは気になるところである。

いずれかのPFI手法は活用されるのだろうが、果たしてどういう形になるのか。

AnimeJapanの会場になるインテックス大阪

今週末は東京ビッグサイトでAnimeJapanが行われているのだが、

その中で来年・再来年についてはインテックス大阪での開催になるという告知があったそう。

東京での開催に代えて大阪での開催になるということで大きな話である。

背景には東京ビッグサイトで大規模改修工事が行われていることがある。

来年・再来年は1~2月に全館閉鎖の工事があり、その直後の3月に会場確保するのが難しいということのようだ。


東京ビッグサイトがここで大規模改修工事を行うのは有明GYM-EXの存在もある。

有明GYM-EXはオリンピックの体操競技のために作られた仮設施設の転用である。

仮設とはいうが立派なもので、展示場への転用を見込んだものである。

これがあるうちに大規模改修を終わらせておきたいということですね。

ただ、そうはいっても巨大なビッグサイトの代替には不足するが。


そこで出てくるのがインテックス大阪なのはAnimaJapanは非常に大規模なイベントだからなのだろう。

今回では東展示場(閉鎖中の1~3ホールを除く)と南展示場を全て使っている。

これが全て入るのは日本には幕張メッセとインテックス大阪の2つぐらいしかない。

この2択で大阪になったのだろう。


ただ、インテックス大阪といえばボロい展示場という印象が強い。

G20サミットの会場になった6号館を除いて1985年に作られている。

老朽化は課題である一方、夢洲のIRには展示場も設けられる。

ただしIRの展示場は当初2万m2、現在のインテックス大阪を全て代替出来るものではない。

このためインテックス大阪を単純に潰すという選択肢はない。

いろいろ検討されたようだが、1~3号館は大規模改修、4・5号館を改築の方向で固まったようだ。

26年度に基本計画策定/4・5号館建て替えインテックス大阪改修/大阪市 (建設通信新聞)

早速3号館は2027年度の丸一年休館して大規模改修が行われる。


インテックス大阪は数字の上では稼働率はあまり高くないが、需要に応え切れていない一面もあるよう。

国際見本市会場(インテックス大阪)に関するお知らせ (大阪市)

この下に「改修方針等の検討業務委託」というのがある。

インテックス大阪の現状分析、将来展望、3・4号館の改修方針案が記載されている。


IRの展示場とインテックス大阪の役割分担はどう考えるべきか。

IRは国際会議や世界レベルの展示会を中心に行うことになる一方、

インテックス大阪はIRに収まらない大規模な展示会はともかく、

製造業など地場産業に寄与する展示会を多く行うことになるだろうと。

確かにそういうのはIRでやる意味はあまりないのかもしれない。

中程度の規模の展示会では両にらみはあるかもしれないが、共存共栄は可能という見立てのようだ。


さっきインテックス大阪は数字上の稼働率はあまり高くないのに、展示会などのオファーを一部断る状況になっている。

どうしてなのかというと面積の多くを占める6号館の構造による部分が大きいよう。

インテックス大阪の展示面積の半分近くが6号館が占める。

6号館は2層構造で面積を稼いでいるが、そもそもこれが使いにくい。

さらに大規模イベントでなければ使いにくいという事情もある。

1ゾーンが1万m2、これ以上小分けすることが出来ない。

さらに上層のC・Dゾーンを分けて使うことも実務上難しいそう。

搬入車が入れるルートがCゾーンしかないためである。

(Dゾーン側は屋上駐車場の入退路と重なっているためらしい)

C・Dゾーンを一括設営するなら問題はないが、それだけで2万m2である。

6号館なら使えますよと提案されても、なかなかマッチしないのだという。


4・5号館はいずれもインテックス大阪では稼働率の高い館である。

それを改築するとなれば相当長期の閉鎖となるのは欠点である。

ただ、改築によるポテンシャルの高さから選ばれているようである。

4号館Bゾーンの上部には国際会議場があるが、これはIRとの分担を考えれば不要な施設。

その分、展示場に付帯する会議室やオープンスペースの充実に充てた方が良い。

おそらく1~3号館をIR開業までに改修、IR開業後に4・5号館を改築するということだろう。

6号館をいかに使い倒すかが改修・改築期間を乗り切るための重要ポイントなのだろう。


なおIRの展示場は2045年頃に6万m2への拡大が計画されている。

6号館の利便性の低さを考えれば、この時点でインテックス大阪を上回るといってもよいだろう。

その先にもなにか意義のある施設とするためには4・5号館の改築で、

特に6号館を含めた機能強化を実現する必要があるということだろう。

一案にはバスロータリーを6号館の隣接地に移すというのがあるよう。

インテックス大阪に行くのに朝潮橋駅などからのバスが使われていた名残だが、

コスモスクエア駅~6号館前というようなシャトルバスを設定すれば、

6号館が奥まったところにあるというデメリットが打ち消せるかもと。


ちなみに厳密に言えばインテックス大阪で開催するのはAnimeJapanのパブリックデイである。

AnimeJapanは土・日をパブリックデイとしてファン向けのイベントをした後、

今年だとビッグサイトの会議棟に場所を移して、月・火とビジネスデイが行われる。

来年の日程もパブリックデイ→ビジネスデイと連日の開催ではあるが、

ビジネスデイは会場調整中、おそらく大阪都心でやるんじゃないか。

全く別日に東京開催というのもあるかもと思ったのだが、連日なら大阪でしょうね。


AnimeJapanほど大規模なイベントではなかなかないとは思うが、

関東圏の会場が確保できず別地域にシフトというのは他にもある話らしい。

大阪開催を決断することは大きなことだったと思うが、

AnimeJapan自体が国際的なイベントと銘打っていること、

万博に前後して国際交流の活性化に取り組んでいることなど考えた結果なのだろう。

しかし、多くの来場が見込まれるということは、すべからずコスモスクエアから歩けということだよな。

国際展示場駅~東京ビッグサイトもそれなりにあるが、さらに遠いですからね。

コスモスクエアまではそんなに悪くはないのですが。

コンサータは歴史を繰り返している?

このニュースを見て、そういえばと思い出したのだが。

【独自】ADHDの治療薬、国内で不足 厚労省、供給量増を要請 ‘Yahoo!ニュース)

コンサータの供給が不安定でADHDの患者が困っているという話。

背景には世界的に需要が増加しているのに対応できないというのがあるそう。

そして代替薬に乏しいという事情もある。これは日本特有の事情もある。


何を思いだしたかというと、この薬の成分のこと。

メチルフェニデートというのは、もう1つリタリンという薬がある。

同じ成分なのだが用途が異なる薬で、こちらの方が古くからある。

僕が中学生の頃、怪しげなBlogでリタリンを乱用する人の話を見たんだよな。

処方薬というのは医療上の必要性があるから処方されるもの。

ところが当時はリタリンの不適切な処方が多く、それを狙って受診しては乱用する人がしばしばいた。

精神科分野の薬というのは、特定の薬を狙って受診する患者はけっこういる話も聞きますが。

偽造処方箋を薬局に持って行く事件なんてのもあったらしい。


そんな問題が積み重なった結果、2007年にリタリンの適応から「難治性うつ病」が外された。

「難治性うつ病」というなんとでも言いようのあるものを外したと。

これにより「ナルコレプシー」が唯一の適応になった。

コンサータとリタリンの用途が異なるというのはそういうこと。

ナルコレプシーというのは日中に耐えがたい眠気が生じる病気で、

厳格な診断基準があり、必要性が明確なので残ったようだ。

これによりこれまで問題となっていた乱用は収束していったようだ。


ところでこの薬は精神刺激薬に分類されるが、外国語の表記を見ると覚醒剤と同じ表現になる。

日本では覚醒剤取締法の規制を受けるものを覚醒剤と呼ぶので、

覚醒剤以外で精神を刺激する薬を言い分ける必要から精神刺激薬というよう。

日本では覚醒剤の医療目的での処方は制度上可能だが極めて厳しい。

現在でも覚醒剤に該当する医療用医薬品として「ヒロポン」が存在する。

太平洋戦争期から戦後にかけて薬物乱用の象徴的な薬だが、まさにそれである。

実はこの3月をもってヒロポンの全ての製剤が薬価から削除されるそう。

すなわちすでに事実上は使用されない薬になっているということである。


リタリンの乱用が問題になったのは覚醒剤と類似した効果があるからなのだろう。

もっとも日本で一般に覚醒剤と知られるメタンフェタミンよりは依存性は低いそう。

だから同種の薬とはいえ、向精神薬という比較的処方しやすい分類にあったんだろうけど。

ナルコレプシーやADHDの治療では日本で覚醒剤に分類される薬が使われることも世界的にはあるという。

ただ、先ほど書いたように日本では医療用覚醒剤は事実上ない状況である。

仮にあっても覚醒剤取締法の規制からすると薬局での処方ができないから使い物にならない。


さて、冒頭の話に戻るのだが、ADHDの治療薬もいくつかあり患者の状況により使い分けられているが、

精神刺激薬というグループではコンサータとビバンセという薬がある。

コンサータは成分としてはメチルフェニデートだが、徐放性を持つように作られている。

これにより朝飲むと晩まで効果を発揮するというわけである。

これがナルコプレシー用のリタリンとの使い分けだったんですね。

もう1つのビバンセ、成分としてはリスデキサンフェタミンメシルという。

これもかなり覚醒剤に近い薬である。

というか体内で分解されるとデキストロアンフェタミンという覚醒剤に分類される成分に化ける。

これは覚醒剤ではないというメリットとともに、長時間効果が持続するというメリットもある。


同種の薬が2つ選べるなら代替性もありそうなものだと思うが、

ビバンセは6歳から18歳未満のみ適応となっている。

18歳までに処方されていた患者が18歳以上になって継続使用するのは許容らしいが。

原理的には18歳以上にも使用できるのだが、あえて書いていないよう。

さっきも書いたように覚醒剤に近い薬で、覚醒剤原料としての規制は受けている。

安易に大人に処方しては先々危ないという製薬会社や役所の判断があったのかも。


コンサータが日本で承認されたのは2007年のこと。

ちょうどリタリンの乱用が問題となっていた時代である。

徐放性などの差はあるにせよ根本的に同じ成分となれば乱用の懸念がある。

そこで医師・薬局・患者を登録制にするという方策がとられ、

医師はADHDの診断にふさわしい専門医で教育を受講していること、

薬局は薬をきちんと管理できる体制などあること、患者の登録制は重複調剤を防ぐ意図があるそう。

さらに処方箋偽造事件もあったことから、医師が処方データを管理システムに登録して、

薬剤師は処方箋とシステム上の登録を照合しなければならないという。

同様のシステムは後にリタリンにも導入され、2019年に承認されたビバンセの承認条件にもなっている。


日本では厳しい制約により利用が進まない側面もあったようだが、

最近ではシステムの活用が進み、コンサータの処方が増えてきたようだ。

治療効果の得られる患者が増えたとすればそれはよいことだが。

ところが世界的な需要増は乱用目的もあるのでは? という話もある。

「勉強ができる薬」と誤解も…韓国でADHD治療薬、9カ月連続の供給不足 (KOREA WAVE)

韓国国内で2020年比で2024年に処方を受けた患者数は2.4倍というのだから急激な需要増が見て取れる。

で、ここにこんな話が書いてある。

一部では、コンサータが「勉強ができる薬」として誤って認識され、不適切に使用されている懸念もある。

受験戦争の厳しい韓国、そこで集中力を高める薬として不適切に利用されている? という話があると。

真相は不明な部分もあるが、日本のような厳格なルールがなければこういうことは容易に起こるのかもしれない。


薬物規制の歴史をたどると、1951年制定の日本の覚醒剤取締法は世界的にも早期のものである。

それだけ覚醒剤の蔓延がひどかったという事情はあるのだが。

新しい薬物乱用には適宜、麻薬としての規制を追加してきた。

最近では一般用医薬品の販売規制なんてところにも踏み込んでいる。

ただ、治療目的で使いたい薬が使えない、使いにくいという問題も多々生じている。

まさに精神刺激薬というのはそういう問題が詰まった領域なんだなと。

リタリンを巡る一連の騒動で、歴史は繰り返すと見た関係者も多かったんだと思う。

そして、もうこういうことを繰り返してはいけないと決意したわけですよね。

NPB選手派遣に保険問題?

WBCはベネズエラが優勝で幕を閉じた。

いろいろ要因はあるだろうけど、特に決勝で当たったアメリカと比べるとチームの士気が高いという話はあり、

この点では大会初期から気合が入っていた日本や韓国から伝わった部分もあるのかなと。

各国チームいろいろ学ぶところの多い大会ではあったのかなと思う。


ベネズエラといえば、アメリカ、ドミニカ共和国に次いでMLB選手の多いチームだったが、

そんな中で決勝戦の勝利投手は日本のオリックスバファローズに所属するマチャド選手だった。

誰が勝利投手かというのは偶然によるところも大きいのだが、

ベネズエラの優勝に大きく貢献した選手であることは確からしく、7試合中6試合で登板している。

で、どうもベネズエラは本当はもう何人かNPB所属選手を呼びたかったらしい。

でも、保険の問題で呼べなかったらしい。ん? 保険問題ってNPBでもあったの?


日本球界に不満「矛盾がある」 1400万円が“ネック”でWBC呼べず…ベネズエラ監督の指摘 (Full-Count)

NPBの球団はWBCへの選手派遣にあたって保険を掛けることを求めた。

必要な保険料は1人あたり6万~9万USドル程度とのこと。

ところがベネズエラのナショナルチーム編成に使える資金は限られており、

NPBの選手を何人も呼ぶのは困難で、絞り込まざるを得なかったらしい。

一方でMLBのチームのように、選手起用についてあれこれ制約を付けることはあまりなかったと思われる。

ひとたび派遣に同意すればナショナルチームの監督・コーチにお任せということなのだろう。


お金さえ払えば済んだという点ではMLB選手の「保険問題」とは異なる。

WBCの保険問題は影響あった?

WBCではMLBの40人枠に入っている選手の派遣にあたって包括保険を掛けている。

この包括保険でカバーされれば、各国チームは特段の負担はない。

ただ、強化試合に出られるのは3月以降などの制約はある。

実は日本は宮崎キャンプからMLBからの選出選手を呼びたいというので、

独自に保険を掛けて呼べないかということを検討したという。

結果的には実現しなかったが、包括保険の枠組みに左右される部分が相当大きい。


ここで気になったのだが、NPBから日本代表への選手派遣はどうなんだと。

正直どうなっているのかはよくわからない。

ただ、NPBは侍ジャパン常設化による利益を得る立場である。

選手派遣にあたってのリスクはチームで持つ取り決めなのか、

NPBからの補償制度があるのか、保険を掛けているのか方法は不明だが、

侍ジャパンシリーズなどで得られる収益が裏付けになっているのではないかと思う。

こういう方法が取れるのは日本・韓国・台湾ぐらいのものだろうな。


ところで、サッカーではFIFAインターナショナルマッチカレンダーに定める日程では、

各クラブはナショナルチームへの選手派遣を拒めないとなっている。

この期間に国際大会が行われたり、あるいは親善試合が組まれることとなる。

この仕組み上、各クラブは選手派遣によるリスクを負っているのだが、

FIFAはクラブベネフィッツプログラムによる分配金を与えている。

ワールドカップの予選から本戦にかけて選手派遣したチームに対して、

大会に参加した日数に応じた金額が各選手の所属チームに支払われる。

日当制で2022年のワールドカップでは1人1日あたり1万USドル程度だったそう。

報酬額によらず一定だから、高額報酬の選手を派遣するチームには必ずしも見合っていないのかもしれない。


野球にはサッカーのような制度がないので、選手派遣は所属チーム次第という実情はあるし、

保険でリスクに備える場合、負傷リスクや報酬額に依存する部分が大きい。

ベネズエラのナショナルチーム編成にあたっての懐事情からすると、

本来は野球でも包括的な補償制度を持っているべきなのだろう。

ただ、超高額報酬の選手を多く抱えるMLBチームの納得が得られる制度が実現できるかは疑問で、

それは今回、WBC側で用意していた包括保険の枠組みに入れない選手が続出したことからも想像できる。


野球のナショナルチーム強化にお金を使える国は限られてるって話ですね。

日本はさっきも書いたように侍ジャパンシリーズによる収益がある。

これは選手派遣をするNPB各チームへの分配も目的ではあるが、

アマチュアのナショナルチーム強化にも活用されている。

サッカーと異なりプロとアマチュアで統括団体が分かれている時代が長かった。

侍ジャパン常設化というのは双方の統括団体として日本野球協議会を設立することも含んでいる。

その中の収益部門としてプロ主導で設立されたNPBエンタープライズがあると。

その大義はプロチームに限らない侍ジャパンの強化ということである。