在宅勤務での深夜労働が多いらしい

会社と労働組合の協議の中で、在宅勤務での深夜労働が多い人がいるという話があった。

こういう形で深夜(22時以降)にシフトして働くというのは問題なんじゃないですかねということで、

労働組合としても基本的には深夜労働はもってのほかだろうという話で協議は進んだようだ。

現時点で会社との取り決めを変えることはないが、今後改定の必要があるかもしれないという話が書かれていた。


振り返れば在宅勤務制度ではもともとは深夜労働はできなかった。

在宅勤務制度の導入初期は時差を埋めるための利用の割合が高かったという。

当初、在宅勤務で深夜労働は想定していなかったが、

在宅勤務での深夜残業を認めた方が総合的によいと制度化されたり、

その深夜残業を昼間のフレックスタイムで相殺すると、制度上は欠勤扱いとなり賞与の計算で不利になると、

それを補正するための制度が導入されたり……いろいろあったんだよね。

(時差のため在宅勤務で残業)

このような時差を吸収するために在宅勤務での深夜労働を認めることになった。

そういう事情があっての深夜労働なら仕方がないのだけど……


おそらく会社との協議で問題となったのはそこまでの事情がなく、

すなわち本来は深夜労働以外でも対応できるような内容のはずなのに、

家庭の事情などで22時以降にシフトしているようなもののようだ。

そういう働き方を認めてしまう上司の問題では? というのはあるが、

深夜労働というのはそれなりに重い話であると自覚が必要であると。


人事から直接申し入れをするなどの対応もしているが、打開に至らないというような話も書かれていた。

それこそ上司が悪いのではないかと思うが……

ただ、そこで取り得る手立てを考えてみると、まずは深夜労働にならない範囲で対応すること。

定時内はきっちり働く、それ以上必要なら前後の夜業にならない範囲で対応すると。

でも、それは家庭の事情で対応できないというケースはある。

そうなれば仕事を減らして対応するしかない。他の人に仕事を振るということである。

そういうマネージメントを行うことも上司の責任ではあろうと思うが、

あまりにギャップが大きいとそういう対応はできないかもしれない。

そこで、本人も納得しているなら深夜労働でという考えはありうると。


というわけで人事と現場の管理職、労働組合と一部の組合員というギャップはけっこうあるのだと思う。

深夜労働はもってのほかだというのはおおよその組合員が共有していると信じているが、

家庭の事情など考えたとき、深夜労働でも働いた方がマシという考えを持つ人もいるだろう。

こういう働き方をするひとはおおよそ残業時間が多いので、

深夜労働が封じられて月の所定労働時間を満たせないということは考えにくいが、

もし所定労働時間が満たせない状況が続くなら退職することを迫られるだろう。

(時短勤務などの適用の余地があればその限りではないけど)

そういう状況になっては会社、とりわけ現場の管理職にとっては困るわけで……


外国の事業所を含む全社の懲戒事案というのは共有されているのだが、

その中には勤務について上司の指示に従わなかったことを理由に懲戒というのがしばしばある。

もっとも日本国内ではあまり見ないような気がするけど。

理屈の上では深夜労働からのシフトを上司が指示して、それを拒否すれば懲戒というのはありうる。

ただ、それだけを理由に懲戒というのは現実的ではないのかなと思う。

形式上は勤務の指示に従わなかったことを理由に懲戒されるケースも、

背景を見てみると、不正の疑いについて問いただそうとしても無断欠勤で問いただせず、

仕方なく懲戒解雇にしたようなケースがしばしばある。

特に日本だと不利益処分には相当な根拠が必要ですから、実害のない譴責ならともかく、それ以上は容易にはできない。


結局のところ、この問題についてあまりに厳しい立場を取ると、

最終的にいきつくのは、深夜労働をさせてまで使いたい戦力を喪失するということである。

そういう状況は会社、とりわけ現場の管理職にとっては嫌なわけで、

なかなか強硬策に出にくいという事情もあるのだと思う。

人事も困った結果として労働組合に申し入れをしているのだろう。

在宅勤務制度やフレックスタイム制度は会社と組合の取り決めによるもので、

これらの制度について会社との信頼関係を損ねるようなことをする組合員は問題だというのはある。

ただ、それを問題と思わない組合員とのギャップは埋まらないかもしれない。


会社と組合との正式な取り決めではないが、

在宅勤務制度の利用について少なくとも週に○回程度は出勤するようにという指針はある。

僕はこの指針は主に管理職に向けたものなのでは? と思っている。

確かに管理職以外にも指針はあるが、上司の判断による部分はある。

もともと仕事の内容によっては出勤して対応するように指示できるし、

逆に家庭の事情など考慮して、指針によらないことも可能である。

会社と労働組合の正式な取り決めになると、そこから逸脱できなくなる。

冒頭に書いた通り、現時点では会社との取り決めという話になっていないのは、

会社も厳密な制限を示すのは現状難しいという考えがあるようだ。


会社も在宅勤務制度について否定的なことは言いづらくて、

背景の1つには管理職が在宅勤務のインフラを活用しまくっていることがある。

さっきも書いたように管理職にはできるだけ出勤するように指針でも示されている。

定時内はできるだけ社内にいるように対応しているということだが、

一方で定時外や休日など、在宅で各種承認などして部下の仕事をバックアップする対応もみられる。

もともと在宅勤務制度は管理職限定で導入されたという背景もある。

確かに管理職とそれ以外では従うべき規範も異なり、在宅勤務制度の副作用も別々に考えるべき部分はある。

一方で制度全体としては有効に使われているという評価をせざるを得ない。

その中で深夜労働がクローズアップされたのはなるほどと思うけど、

それを問題として対処できない上司の問題がほとんどでは? とも思う。

マイナアプリの認証機能の謎

先日、とあるサービスでマイナアプリを使ったデジタル認証が走って、

その中で利用者証明用電子証明書と券面事項入力補助用暗証番号、

どちらも4桁なので同じにしている人が多いとは思うが、その2つを入力してカードを読み取るというフローがあった。

はて、これは一体何なんだろうと思ったのである。


最近、マイナポータルアプリがマイナアプリと名前が変わった。

理由は従来別に存在していたデジタル認証アプリの機能が統合されたから。

このデジタル認証アプリから引き継いだ機能が、認証機能と署名機能である。

署名機能は署名用電子証明書を使った署名で、以前はJPKI利用者ソフトというのを呼び出して対応していた。(今でも使われているかも)

今はマイナアプリを利用するように移行してるのかな?

この署名用電子証明書を使う場合は6文字以上のパスワードが求められる。

実印相当という事情があるからなのだが、けっこう厳密な仕組みである。


一方の利用者証明用電子証明書はマイナンバーカードの健康保険証利用、コンビニでの証明書取得、マイナポータルのログインなど、

マイナンバーカードで○○するというものの多くで使用されている。

ただ、この電子証明書には氏名などの情報は入っていない。

役所はシリアルナンバーと保険証情報、住民票などと対応関係が付くので、

それで必要な情報を取り出して、利用者は利用できる仕組みである。

デジタル認証サービスの認証機能では、各種サービスのユーザーアカウントとの紐付けはサービスごとに行う必要がある。

これだけでは誰のマイナンバーカードで認証したかわからないので、ほとんど使い物にならないように思う。


そこでオプション機能として券面事項入力補助APを使用して、住所・氏名・生年月日・性別を取得できるようにしている。

利用者証明用電子証明書の利用と、これらの情報の取得を1枚のカードから行えば、

それで本人確認ができるという仕組みだそうだが……

でも、それって法令上は認められてない本人確認方法なのでは?

マイナンバーの本人確認には不十分だが

このアプリはマイナンバーの申告に使うアプリではないのだが、

おおよそ法令上の本人確認の要件を満たすには署名用電子証明書の使用が求められている。


じゃあ、この認証機能での本人確認ってなんなんだよという疑問はあるが、

実用上は十分な確認能力があって、4桁の暗証番号の入力だけで事が済むというので提供されているのかなと。

デジタル庁はこの機能が法令上のどれに適合するかという書き方はしていない。

役所ならば、この機能は○○法施行規則の~に適合しますとか書いてほしいのだが。

何か法令上意味のある使い道があるのか? 僕には見いだせていない。

陸上国境の走る沙頭角

日本と他の国の国境はすべて海上に引かれている。

なので陸上国境というのはどうにもなじみがないものである。

陸上の国境も川や湖など水域を隔てている場合もあるし、

山や原野などあまり人が住まないところにひかれるものが多い。

ただ、場合によっては市街地の中に引かれる国境というのもある。


日本にはどうにもなじみのない陸上国境、事実上もっとも近いのは香港である。

中華人民共和国の香港特別行政区は独自の出入境管理を行っている。

隣接する深圳市の間は陸続きだが、この境界は国境同様に扱われている。

イギリス統治下だった時代からの経緯もありかなり厳格な管理を行っている。

香港側では境界部付近を辺境禁区という許可を得なければ入れない地域にしており、

そのような事情もあり香港の中では自然豊かな地域だとされている。


そんな香港と深圳の間なのだが、1箇所だけ市街地にひかれた境界がある。

それが沙頭角である。陸上境界の東端にあたる。

イギリスが香港のうち新界を租借するとき、河口を境界に定めたのだが、

川が干上がってしまい陸地化、そこに市街地ができてしまったということだそう。

この境界部には中英街という、片側が中国(深圳)、片側が英国(香港)という通りができた。

さて、道路を挟んで片側が深圳、片側が香港ではどうやって管理しているのかと気になるところだが……


まず、沙頭角一帯は両地域とも許可を得なければ入れない地域になっている。

香港側は中英街を除く地域は近年は比較的許可を得やすいようである。

日本人でも手続きを踏めば入ることができるので観光で訪れている人の情報が見つかる。

というのも沙頭角を香港北部の海上観光の拠点にしようとしているようで、

その目的でまずは船着き場への往来を認めるようにして、まもなく中英街を除く地域の往来が容易に認められるようになったと。

ただ、中英街については香港側から許可を得て入るのはとても難しいことが知られている。

事実上は中英街に住む香港住民以外は許可が出ないということである。

中英街と出入りする部分には検問所が設けられている。


一方の深圳側なのだが、こちらは大陸住民は一定の制約のもと許可が出るそうである。

こちらで許可を得ると中英街の香港側まで往来できることになる。

さっき出てきた検問所は中国側で許可を得て入った人を通さないという目的もある。

と、考えると便宜上は中英街の香港側までは事実上は大陸側の管理下にあるとなりそうだが、

確かに出入境管理の点ではそうだが、もう1つ観点があってそれが税関である。

この中英街一帯は香港側の関税制度が適用されているとみられる。

香港は輸入品の関税はほぼ無税だそうなので、大陸からここに来て買い物すると免税ショッピングができる。

免税ということを抜きにしても香港で売っているようなものが買えると。

このため賑わったという経緯があるのだが、それをおおっぴらにやっては密輸である。

そこで深圳側から入った人は一定額以下のものしか持ち出せないようになっている。

また、地元住民を別としてはあまり頻繁には許可が出ないようである。


国境地域への立ち入りには特別な許可を要することや、関税制度で特別な扱いがあることは多いようだ。

逆に言えば、これらの制度が同制度とみなせる場合は往来を制限する必要はない。

オランダとベルギーの国境が入り組むバールレという町があるが、

1つの町にオランダとベルギーの2つの町の行政機関があるなど、

生活面では家屋の玄関のある国の制度に従う点で国境を意識する必要はある。

しかし、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの3国は以前よりベネルクスという関税同盟を結んでいた。

しかし、その前にはさらに歴史があって、それが1815年に成立したネーデルラント連合王国である。

ちょうど現在のオランダ・ベルギー・ルクセンブルクに相当する。

組織的には現在のオランダ王国の原型と言える。

(ブリュッセル・フランダース・ワロン地域とは?)

このためこの3ヶ国の間では出入国管理を行わないと取り決めがあったそうである。

現在ではEUの枠組みで当たり前に行われていることだが、この3ヶ国ではより古くからある。


ところで冒頭で日本から事実上もっとも近い陸上国境が香港・深圳間だと書いた。

しかし、おそらく境界を感じるという点では韓国と北朝鮮の間が最も近いのだと思う。

ただ、韓国の立場としてはここより北も自国の領土であって、あくまでも軍事境界線に過ぎないということである。

立入には特別な許可が必要で、ソウル近くでも開発が抑制されているのは似ているが。

以前は観光のため板門店一帯に立ち入ることができたが、現在は行われていないそう。

境界部には開城工業地区という両国共同運営の工業団地もあったが、運用停止されて長い。


距離的には中国・ロシア間の国境が近いのかなと思うが、これもなかなか往来が難しいですね。

なんて事情を考えると、香港ってことになるのかなと思った。

香港にしても深圳にしても日本から飛行機で直行できるし、

両地域の往来の激しさは世界的にも有数のものと知られている。

厳密には国境ではないですけど、事実上は国境だし。

二級水系のような一級河川

今も昔も近所を流れる川は一級河川ばかりである。

こんな川が一級河川? という人もいるけど、一級水系に属する河川はすべて一級河川であるため、

特に内陸県にとってはほぼ全ての河川が一級河川である。

東京都も多摩地域はほぼ多摩川水系か荒川水系に属するため一級河川である。

唯一の例外が町田市と相模原市の間を流れる境川(二級河川)である。


一級水系は国が治水・利水の責任を負うという考えがある。

それ以外の二級水系については、都道府県が責任を負うという形である。

一級水系に属する河川を一級河川、二級水系に属する河川を二級河川という。

二級河川はすべて都道府県(一部は指定都市)の管理である。

一方、一級河川は国管理の区間があるが、実際には指定区間という都道府県(一部は指定都市)の管理する区間も多い。

なお、これらの河川にあたらないが市町村が河川に準じた扱いをするべきとしたものを準用河川という。これは市町村管理。


というわけで、一級河川の指定区間と二級河川は管理上は同じようなレベルにあるわけですね。

一級河川は必要であればいつでも国管理にできるので、ダムを作る場合にその前後を国管理にすることはよく行われている。

全体的な治水・利水の方針は国で決めて、都道府県はそれに従って管理するということであろう。

とはいえ、調べてみると思いのほか都道府県に委ねられている部分が多いエリアもあることがわかった。


荒川水系に着目すると東京都内では荒川は国管理だが、それ以外は全て東京都管理である。

清瀬市や青梅市あたりでは埼玉県側に流れていく荒川水系の河川があり、

これは一級水系の末端という都道府県管理となる典型的な区間と言えそう。

それとともに隅田川と神田川・石神井川など隅田川の支川というのもある。

これらの川は荒川に合流することなく海まで注ぐ。

でも、なんで荒川水系なのかというと、隅田川はもともと荒川の本川で、

荒川放水路ができたことで荒川の水は多くがそちらに流れるようになった。

しかし現在も岩淵水門を経てつながっており、隅田川は荒川の派川として荒川水系に属している。

その隅田川の支川も荒川水系ということになる。


この隅田川とその支川の治水はほとんど東京都がやっていて、さながら二級水系のようである。

近年は地下河川の整備を進めており、環状七号線地下広域調節池という事業がある。

これは白子川・石神井川・妙正寺川・善福寺川・神田川 と隅田川に注ぐ川の地下調節池をつなぐ事業である。

複数の川の調整池をつなぐことで容量の融通ができるという特徴がある。

この地下調整池も荒川水系に属する一級河川ということでしょうかね。


ちなみに将来的には目黒川水系(二級水系)の地下調整池と連結し、海まで放流できるようにする構想がある。

そうするとこの地下河川は一級河川なのか二級河川なのか? よくわかりませんが。

東京都が管理しているという点では共通しているわけだけど。


こういう話は大阪府にもある。

旧淀川(区間により大川・堂島川・安治川と呼ばれる)は大阪府管理の一級河川で、

ここに流入する河川に寝屋川というのがある。

この流域の北河内・中河内地域一帯は排水に困ることがあり、

寝屋川北部地下河川・寝屋川南部地下河川が整備され、いずれも現状は貯留に使われている。

最終的には大川や木津川までつないで排水までできるようにする計画である。


あと、神崎川というのもある。河口付近では大阪府・兵庫県の境になっている川である。

水運の都合で淀川とつながれた経緯があるそうで、それで淀川水系となっている。

ただ、ほとんど淀川とは独立しており、箕面川ダム・安威川ダムと大阪府管理のダムがある。

ここはさらに複雑でその支流の猪名川は兵庫県・大阪府の2府県にまたがるからか国管理の区間があり、

そこには一庫ダムという水資源機構が管理するダムもあるという。


どうしてこんなことが気になったのかというと、印旛放水路のことである。

印旛沼は本来は利根川に向かって流れるのだが、利根川が増水すると排水できなくなる。

そこで東京湾に向けて排水する仕組みが必要ということで作られたのが印旛放水路である。

もともとあった花見川に向けてポンプアップする仕組みで作られたので、

現在も花見川と呼ばれることが多いが、一級河川としての名前は印旛放水路である。

周辺の川が二級河川や都市下水路(雨水排水を目的とする開渠)である中、

ここだけ一級河川なので特異的なのだが、実のところ千葉県管理らしい。

というのも印旛沼やそれより上流というのは千葉県管理なのである。

印旛沼の水利用も千葉県内が基本で、というか千葉県のほとんどの地域に渡っている。

普段は利根川に流れるのでそんなことはないのだが、印旛沼から東京湾に向かっての流れを見れば二級水系のようである。

オリンピック並みに巨大なアジア大会

名古屋でアジア大会が開幕したが、驚いたことがあって……

それはオリンピックとアジア大会の参加選手数がそう変わらないことである。


夏季オリンピックの参加選手数は先の東京大会では11420人だったそう。

オリンピック種目から野球・ソフトボールから除外されたのもそうなのだが、

選手数がかさむ種目というのには全般的に厳しいものである。

これがオリンピックなのだが、今回のアジア大会は参加選手数は11000人程度になる見込みで、

スタッフなど含めると17000人程度が来るということだそう。


そんなアジア大会なのだが、当初は名古屋競馬場跡地に選手村を作る予定だった。

そのために2022年に弥富トレーニングセンターに競馬場を移転している。

それが現在の名古屋競馬場である。なかなかの立地だが、ゆえにナイター競馬ができるようになった。

ところが移転後になって選手村の整備がされないことになった。

大会にかかる経費が増大して、選手村の建設費も高騰していたのが理由だった。

当初は既存の宿泊施設に分散して宿泊するという話だったのだが、

選手同士の交流も考えれば選手村というのは必要だという話になり、

金城ふ頭に停泊させたクルーズ船とガーデンふ頭に並べたコンテナハウスを選手村とすることになった。

選手村を作らないというのもそう簡単な話ではなく、目論見が外れた部分はありそう。


実のところ、開催都市契約の中では選手団は総勢15000人となっており、

それが17000人まで拡大すると用意している宿泊施設に入りきらないのである。

なので超過する分は自分で宿泊施設を確保してくれと言っているわけだが混乱もあるようだ。

どうしてこんなにアジア大会の規模が大きいのかという原因をたどると、

これはアジアオリンピック評議会がやたらと規模を追求しているからという側面も大きいよう。


アジア大会というのはオリンピックに比べると種目数もだいぶ多い。

アジア特有の競技やアジアでよく行われている競技を入れているのもあるが、

大義がよくわからない種目もあって、急にねじ込まれたテックボールはそうではないか。

一方で日本での注目度は全体的に低く、注目度が高いのは陸上競技などに限られる。

他の大会やプロリーグの関係で選手が集められない競技というのもある。

野球は社会人代表が参加しており、これはこれで熱心なファンがいるのですが。

サッカーは次回オリンピックを目指しているU-21日本代表が参戦、

今回は日本開催とあって比較的メンバーが揃ったというが、海外組はわずかである。


そんなわけでオリンピックに比べるとはるかに注目度が低いのに、

大会運営の労力というのはオリンピック以上だろうというので割に合わない大会である。

一応はアジア大会にも大義というのはあって……

アジア競技大会は、第二次世界大戦後まだ間もない1951年、戦禍によって引き裂かれたアジア諸国の絆を、スポーツを通じて取り戻し、アジアの恒久平和に寄与したいとの願いを込め、日本を含む11か国の参加の下、第1回大会がニューデリーで開催されました。

オリンピックに比べて門戸が広いというのも理由はあるのだと思う。

ただ、さすがにこの規模では持たないだろうとは思う。

競技ごとの国際大会との関係など整理できていないところも多い。

それはあくまでも地域レベルの大会に過ぎないからという側面もある。


選手村の件もそうなのだが、全体的にケチという話はあって、

それは愛知県の風土なんだろうなと思うところもある。

というのはセントレアの話なんですけどね。

成田空港や関西空港の反省も踏まえて、実現性重視でコストはだいぶ抑えたのだが、

一方で大規模な拡張の余地に乏しい構造になっている。

国際線の処理能力が低く、後からバスゲートを増築している。

アジア大会については当初の目論見が外れた部分も多く、コスト削減を重視せざるを得なかった事情はわかるし、

この大会が後に残すものにも期待していないので問題ないのかもしれない。

小型モジュール炉に投資するメリット

ODAのようだと紹介した日本からアメリカへの投資、

その中で小型モジュール炉という新しい原子炉が候補にあるとのこと。

【独自】対米投資、次世代原発が有力 AI覇権争い、インフラを整備 (47NEWS)

アメリカとしては電力確保のため新しい原子力発電所を欲していること。

原子力発電に関わる日本企業が多く、アメリカでの受注が見込めること。

そして将来的に日本国内に展開できることなど、理由があるようだ。


この小型モジュール炉は現在の原子力発電所の1/3以下の出力である。

どうして出力が小さくなったものが次世代の原子力発電所と言われているのだろうか?

普通はこういうのは大きくなるものではないか?


それで気になって調べたのだが、2つの目論見があるそうだ。

1つは小型化したことで、万が一、ポンプなどが停止したとしても自然冷却が可能であること。

過去には原子炉を冷却する機能が失われたことで事故が起きており、

日本ではなんといっても2011年の福島第一原子力発電所の事故が知られている。

その後、地震・テロなど想定した追加対策が各地の原子力発電所で行われているが、相当な大規模な追加工事が必要になっている。

小型モジュール炉では、外部からの電源供給などが途絶えたとしても、

出力を低下させながら、熱を除去するということができるように設計されるという。


もう1つが低コスト化で、工場での量産効果を狙っているという。

1基あたりの出力が小さければ、それを多数並べればよいわけである。

オーダーメイドではなく、同様の設計の原子炉を量産すればコストが下がると。

ただ、これは本当に実現するのかはよくわからないところがある。

従来型の原子力発電所の方が結局は低コストなのでは? という話はある。


小型モジュール炉もいろいろな方式が検討されており、具体的にどのような形態になるかはわからない。

ガス炉など従来より高い温度でのエネルギー取り出しを狙っていたり、

高速炉として利用できる燃料の拡大を狙っているものもある。(cf. マイナーアクチノイドを分ける)

ただ、最初に書いたような受動的安全性能については必須要件である。

そのためならば多少コストが高くなっても実現するべきという考えはあると思う。


ゆえに勝算はよくわからない部分はあるが、うまくいけば日本でも活用したいという意図はよくわかる。

短期的には日本企業の受注という点でメリットはあるけど、それだけではないということである。

一党独裁も個人献金も危ない?

中道改革連合が議員1名を残して、他の議員は離党することになったそう。

実態としては公明党と立憲民主党に戻ると言うことであろう。

なお、衆議院の会派構成は従来通りのようである。

議員1人だけ残る背景としては政党交付金があるようで。

小川氏は衆院選を巡る民間事業者への支払いについて「まだ半分も終わっていない。支払いを猶予いただき、分割の支払いに応じていただいている」と述べ、「支払いを完済するまで解党できないというのが偽らざる実情だ」と明かした。

(中道、未交付11億円受領へ 小川氏「総選挙の支払い踏み倒していいのか。答えはノーだ」 (産経新聞))

こういうのも民主主義のコストって話なのかな。


先の衆議院議員選挙は自民党が圧勝、自民党会派が全体の68%を占め、

連立与党の日本維新の会をあわせると76%に達する。

こういう状況では国会軽視の流れもあったが、審議拒否など空転も相次ぎ、

軌道修正も迫られ、なかなか思い通りには行っていないようである。

最終的な決議という点では野党会派の関与できる部分はほぼないが、

そうであるならなおさら国会での議論の経緯が重要であろうと。


とはいえ、国会無用論みたいなのは世の中に蔓延っている。

ここには自民党内部で多様な意見が集約されて議論が行われているという背景もある。

自民党も一枚岩ではなく、様々な背景を持つ議員がいる。これがとても強いわけですね。


確かに世界を見渡せば、党内での議論を中心とすることで一党独裁を行う仕組みもある。

よく知られているのは中華人民共和国である。中国共産党による指導と、

人民の代表が集まって決まった政策には中国共産党の全党員が賛同する義務が定められている。

全国人民代表大会が国会にあたるものだと言われるが、中国共産党の決定を追認するだけの大会である。

でも、そこに至るまでのプロセスで全人民からの意見は集約されていますよという建前はある。


確かにこれは現在の自民党のようですねと思うのだが、異なる点がある。

それは自民党内には勢力争いには選挙での勝ち負けが作用する仕組みだからである。

時たま自民党同士で争う選挙というのもあるけど、それは稀なことで、

普通は他の政党の候補者と争う選挙での勝ち負けで言っていると。

そういう中で自民党の政策も少しずつ変化してきた歴史がある。

すなわち自民党は他の政党がないと事実上成り立たない仕組みなのである。

なお、中華人民共和国にも中国共産党以外の政党はあるが、政権を取ることはできず、政党間の勢力争いは存在しない。


そういう事情を考えれば中道改革連合がこさえた債務も必要なものだったとは言える。

とかく選挙というのは金がかかる。その資金源をどうするかは課題である。

政党交付金はその1つではあるが、導入の背景には企業・団体献金を削減するべきということがあった。

導入された頃には企業献金によって政策が歪められたのでは? という疑惑が様々あったそう。

このため議員数・選挙での獲得票数に応じて国から資金を分配する仕組みが作られたと。

これが政党交付金だが、企業・団体献金自体は制限もありつつなんやかんや続いている。

企業・団体献金の代替策としては個人献金というのがあり、これを後押しする税制も存在する。


ただ、最近は個人献金の方が考え物では? と思うところはある。

1つはアメリカのトランプ陣営への多額の献金である。

これは名だたるお金持ちの経営者が途方もない額を献金しているそうで、

こういう献金がトランプ政権の政策を歪めているのでは? という疑惑はある。

もう1つは参政党の躍進で、参政党は党費・イベントなどでの収入で資金を確保しているよう。

これはこれで立派なこととは言えるものの、熱狂的にお金を貢ぐ人が集まっている政党はそれはそれで怪しいのでは? とも思う。


業界団体や労働組合が政党に寄付をするとなれば、それなりの意志決定を踏むことになる。

団体の目的にかなう政策を実現できる政党であることは検討される。

この観点で献金が集まるのは自民党・立憲民主党といったところだが、

様々な団体から献金が集まるということは特定の業界のために政策を歪めるということも難しい。

アメリカの共和党も本来はそういうものだと思うのだが、

アメリカには途方もないお金持ちがいるので、そういう人たちが個人の立場で献金をすれば手が付けられない。


政党交付金もいろいろ意見はあるのだが……

民主主義のインフラとして機能する政党がいくつもある状態が続いているのは成果と言えるのでは?

とはいえ、先の自民党圧勝により、無職になった他党の議員は多い。

国会議員というのは落選すれば無職、非常に不安定な仕事である。

まともな人は国会議員なんてやらないという状況はあると思う。

先の衆議院議員選挙で落選した人にはこれで折れた人も多いのではないかと思う。

これによって基盤が揺らぐ政党は当然あるだろう。特に立憲民主党ということだと思うが。


先ほど書いたように自民党というのは他党との選挙戦がなければ事実上成立しない政党である。

ということは他党が弱体化しては党内の勢力争いがまとまらない可能性が出てくる。

この場合は自民党同士で分裂選挙をすればなんとかなるのかもしれないが。

自民党から分かれて出来たような政党も過去にもありましたしね。


もう1つは自民党に対抗しうる基盤を持つ政党は果たしてまともなのかという話である。

少数の人が熱狂的に支援する政党、勝算がなくてもイデオロギーだけで動ける政党、

そういう政党は現時点で自民党を圧倒する可能性は低いが、

なにかがきっかけで自民党への支持が失われたとき、一気に票が流れ込むかもしれない。

そうなれば手の付けられない状態にもなりかねませんが。


いろいろな懸念を考えたとき、立憲民主党や公明党の存在は重要だったのではないか。

その両党が衆議院議員選挙の仕組みを考えて合同したことには理由があるのではないか。

問題はそれを無力化するほどに自民党が強かったことだが、

だからといって自民党と争わないのは、長期的に見れば良くないことであろうと。

だからこそ選挙でこさえた債務を履行するのは、民主主義のコストですねと。

国際航海して深海に潜る小型船舶

つくばエキスポセンターでしんかい6500の模型があったが、

「神奈川」と書かれていて、一体なんだ? と考えて、これは小型船舶なのかと気づく。

調べたところ、しんかい6500は総トン数20t未満のため小型船舶に該当するのだという。


小型船舶は一般的な船舶とは登録・検査の仕組みが異なる。

このようなものがセットで並んでいる船は見たことないだろうか?

船舶番号 (日本小型船舶検査機構)

船舶検査済票という、検査が行われた年と船舶番号の番号部分が書かれたステッカーが貼られている。

そこに続いて船籍港の都道府県を表記することになっている。

しんかい6500も実際にこのセットで船体に表記があるようで……

しんかい6500/フォトギャラリー (JAMSTEC)

確かにありますね。


船籍港というのは一般的には「福岡市」のように市町村の名前で書く。

福岡市の管理する港は博多港なのでかなり違和感はあるがそういうルールである。

なお、東京都の特別区内に船籍港を置く場合は「東京都」の表記になる。

しかし、小型船舶では都道府県名の表記になるという特徴がある。

母船の「よこすか」の船籍港が横須賀市であることを考えると、

しんかい6500も船籍港は横須賀市なのだろうが、小型船舶なので「神奈川」と書くのである。


しんかい6500は世界中で調査を行っているので、航行区域は遠洋であると思われる。

単独で航行するときはほとんど海中に潜っているのでどうでもいい気はするが、

しんかい6500には船籍を表すのは漢字の「神奈川」のみである。

一般的には国際航海に入る船ならば YOKOSUKA のようにローマ字も入るものだが……

実際、母船の よこすか には、船の名前の YOKOSUKA と、船籍港のYOKOSUKA がそれぞれローマ字で入っている。


それで調べたんだけど、どうも国際航海に入る船に船籍港をローマ字で書くルールはないらしく、

国際航海に入る船にローマ字で船籍港を書くのは慣例でしかないらしい。

法令上は船籍港は国字で表記することとなっているので、漢字表記は必須で、

それにローマ字表記を併記するという慣例があるということらしい。

でも、これがないと船籍国を知る手段もないんですよね。

国際航海の際には国籍を表す旗(日本籍の商船の場合は日の丸)を掲げるルールはあるが、

しんかい6500が日の丸を掲げることはあるのだろうか?

海上自衛隊だと船体のペイントで自衛艦旗を掲示しているものもあるけど。

(これは海上での実力行使に軍艦旗が必須だからだろう)


そもそも小型船舶が国際航海というのもなかなかイメージできないけど。

プレジャーボートではそういう用途も一定あろうかと思いますが。

国際航海をする上で船体に表記が必要なものがあって、それが船名である。

実は小型船舶は船体に名前を表示するのは必須ではないらしい。

その上で必要な手続きを行うと国籍証明書が発行される。

これを備え置いて、必要時に呈示できるようにしておけばよいと。


しんかい6500の船籍港が神奈川県だったからこういう気づきがあったけど、

「大阪」とかだと大阪市ってことだなと納得してしまいますからね。

こういう違和感に気づくのは大切ですね。

みちびき に静止衛星がある意味

衛星測位と言えば、昔はGPSだったけど今はいろいろなシステムがある。

全世界でサービスを提供しているものだけで、GPS(アメリカ)・Galileo(EU)・GLONASS(ロシア)・北斗(中国)と4システムもある。

そこに地域限定で日本の みちびき、インドのIRNSS がある。

地域限定といっても必ずしも国境にとらわれるものではない。


日本が みちびき の計画に着手した段階ではGPS以外は整備途上で、

EUからGalileoに相乗りしないか? というオファーもあったとか。

みちびき の特色は準天頂衛星であるということ。

静止軌道と同じ1日で地球一周する軌道ではあるのだが、赤道上ではなく傾けている。

これにより1日のうち8時間程度は日本の真上にいることになる。

ビルの谷間などでも真上にある衛星からの電波は受信しやすい。

GPSは地球から見ると絶えず動いており、日本の上空にも常にGPSはいるが、

GPSと同じ機能を持つ みちびき が1機でも加われば、GPSがより活用しやすくなるという考えだった。


ところが2017年に打ち上げられた みちびき3号機は静止軌道なのである。

東経127度の赤道上にあるということで、ある程度空が開けていれば見えるが、

準天頂衛星である1・2・4号機と比べるとどうにも見通しにくい位置である。

その後、6号機は東経90.5度の静止軌道、7号機は東経184.5度の準静止軌道に投入された。

(準静止軌道は赤道上でわずかに動くという軌道で、ほぼ静止軌道である)

なお、5号機は準天頂軌道に入り、準天頂衛星4機体制になる予定だったが、打ち上げに失敗して3機体制が続いている。


なんで静止軌道に打ち上げられる みちびき があるんでしょうね?

理由の1つには みちびき だけでも測位を可能とするためというのがあるそう。

GPSを補完する目的でスタートしたが、みちびき だけで4機あれば一応はそれだけで完結する。

もっとも、それなりに空が開けた場所でないと実現できないが。

みちびき だけで測位を行う必要性があるのかは甚だ疑問だが、アメリカの都合でGPSは使えなくなる懸念はある。

その場合もGalileoは使えるのでは? というわけでやはり疑問符は付くが。


位置が固定されていることで、常に日本から見える場所にあり通信の都合がよいというのがあり、

この目的で安否確認サービス「Q-ANPI」が3号機に搭載されている。

また、SBASという飛行機向けの衛星測位の補強情報を送っている。

これはもともと ひまわり から送ってたんですよね。その機能をみちびき3号機が引き継いだというわけ。


もう1つ、これはまだ実現していないが衛星同士の距離を測定することで測位精度を高めるため。

高精度測位システム(ASNAV) (JAXA)

これが実現するとスマートフォンのような一般的なGNSS受信機で精度がよくなるということである。

ただ、残念な事に5号機がないと、6号機・7号機を含めて活用できないのである。


ところで みちびき は日本での利用を主眼に置いて作られたもので、

国土地理院の電子基準点のデータに依存するcm級の補強信号は国内でしか使えないが、

GPS同様のGNSSとしての利用や、MADOCA-PPPという別の補強信号は日本に限らず使える。

韓国では日本と同様に利用できるのはいうまでもない。

準天頂衛星は南半球の上空にも行くのでオーストラリアでも利用できる。

東南アジアには準天頂衛星もそうだし、静止衛星が真上だから利用しやすい。

というわけでこれらの地域では知らず知らずのうちに みちびき を使っていることもあると思われる。


当初思ったほどの画期的な効果は得られていないのかなと思うところはあるが、

国際協調でよりよい測位システムを作った結果なので、これはこれで意義があるのだろう。

みちびき は GPSだけでなくGalileoとの組み合わせなども技術開発が進んでおり、

より精度良く測定する手段が増えたことは確かである。

まだ みちびき は完成までしばらくかかるシステムだなと思うけど、

(準)静止衛星の6号機・7号機もそこに寄与してくれるはずであると。

今のところは万が一他のGNSSが使えなくなったときの予備ぐらいの意味しか無いが。

公共基準点とジオイド面

昨日、地図の話を書いていて、ふと気になったことがある。

街中を歩いていると、丸いプレートが埋め込まれていることがある。

これは公共基準点と呼ばれるものである。

この公共基準点は街中での測量の基準に使われているそうだが、一体どうやって使うんでしょうね。


公共基準点というのは工事などのために行政機関が設置する基準点である。

道路工事のために幹線道路沿いに設置されたり、区画整理を行う地区内に設置されたりする。

基準点には1級・2級・3級・4級があり、2級基準点から3級基準点、3級基準点から4級基準点を作ることができる。

一方で、街区三角点、街区多角点というものがある。

これも公共基準点の一種だが、設置の経緯が違って、都市再生街区基本調査・都市部官民境界基本調査という国の事業で設置され、

その後に市町村に移管されたもので、それぞれ2級・3級の基準点に相当する。


ここで気になったことが2つ、1つ目が街区三角点って国土地理院が設置している三角点とは違うの?

もう1つが三角点と多角点の使い分けってなんだということである。

公共基準点というのが、国土地理院以外の役所が設置する基準点という意味だそうで、

一方で国土地理院は公共基準点の設置に必要な場合に四等三角点と最下級の三角点を設置することもあるそう。

ただ、後で書く事情もあり、最近は重要性は薄れているように思う。


それで、公共基準点は国土地理院の設置した三角点や他の公共基準点から位置を決める。

昔は三角測量という3つの既知の点との角度を測ることで測量をしていたが、

現在は距離と角度を正確に測れるので、2つの基準点との角度・距離を測ることでも位置が特定できる。

このような測量方式を多角測量といい、現在の主流らしい。

1級・2級基準点は3つ以上の基準点との角度を測定を行う結合多角方式が原則必須、

3級・4級基準点は一本道で測定を行う単路線方式でもよいということで、

2級相当の点を三角点、3級相当の点を多角点と呼んでいるのだと思う。


といっても今どきは三角点を起点にして測量なんてしないんですよね。

GNSS測位ということで、人工衛星(GPS や みちびき など)を使う方法が主流で、

ただ、電波というのは電離層などで伝播特性が変わってしまう。

そこで比較的近くにある既知の点で受信したデータと比較する。すると精度よいデータが得られる。

国土地理院では電子基準点を全国1300箇所に設置して、そこで受信したデータを公表している。

1級・2級基準点を作るには、比較的近くの電子基準点を3つ選び、

1~2時間測定した受信データをこの3つの電子基準点の受信データと比較する。

これにより3つの電子基準点からの距離・方角を正確に決められるというわけ。

今どきは四等三角点はあまり重要ではないというのはそういう事情である。


こうやって作られた電子基準点から距離・角度を測れば、容易に3級・4級基準点を作ることができ、

そこを起点として工事に必要な座標を決めたり、土地境界を測定したりできると。

当然、3級・4級基準点をGNSS測位で決める方法もあって、

その場合はリアルタイムで他の電子基準点のデータと比較して10秒ぐらいで位置が決まるらしいのだが、

一方で空が見えないような場所でも、距離・角度の測定はできるので、その点では有用らしい。

なお、公共基準点を使った測量には承認を得る必要があるそう。


ところで、地図にはもう1つ標高という要素もある。

かなり最近まで標高を測定するには、2地点に標尺を立てて目盛の差を読み取る方法が使われていた。

それをずっと積み重ねていって標高を決めると誤差が相当大きくなりそうだが、

いろいろな工夫により誤差が小さくなるようにして来たのだという。

2025年からGNSS測位で標高を決める方法に移行し、それに伴って標高が少しだけ変わった。

富士山の標高5センチ高く、衛星使い新たに測量…「3776メートル」は変更なし (読売新聞)


ただ、標高ってのはけっこう難しいんですよね。

現在では地球は楕円体でモデル化するGRS80あるいはWGS84が一般的である。

ところがこの楕円体の面と標高0mの面は場所により異なる。

それは地球が厳密に楕円ではないというのもあるのだが、陸地では万有引力が大きくなるので、

その部分では重力ポテンシャルが等しくなる点が高くなるんですね。

この重力ポテンシャルが海面と等しくなる面をジオイド面という。

衛星測位では楕円体からの高さを知ることは出来る。

しかし標高を知るにはその地点のジオイド面の高さを知る必要がある。

かつては標尺で測った値とGNSSで測った値を照らし合わせて決めていた。


それが航空機で測定した重力データから決められるようになったと。

そのデータを「ジオイド2024日本とその周辺」という。

日本全国で東京湾平均海面(T.P.)0mに相当する楕円体からの高さが入っている。

現在はこのデータとGNSSで測定した楕円体からの高さの差が標高である。

もっとも沖縄や一部の離島ではその地域の海面高さを基準に標高を決めていた経緯があり、

それを補正する基準面補正パラメータというデータが導入されたという。

計算上は沖縄でもT.P.で標高を表せるようになったけど、それはしないと。


というわけで結局、人工衛星で測るんかいという感じである。

ただ、局所的なデータを得るには基準点から測定する方が有利なケースは今もあって、

そういう測定のスタート地点として公共基準点は様々活用されていると。

有用性はだんだん減ってるような気はするけど。