まもなく東京都議会選挙、実は都道府県議会議員選挙に投票するのはこれが初めて。
引越前に有権者4年やってて選挙なかったの? って考えた人は鋭い。
実は選挙はあったのだが、無投票だったんだよね。
県議会が二大政党制だと無投票になった
定数2に対して、2つの主要政党(会派)の候補者が立って、それで終わり。
今回はちゃんと投票あるよ。というわけで選挙公報を読んで考えていた。
市議会議員選挙だと候補者数が多い上に、政党色が薄いから、誰に投票するかというのはかなり難しい。
議会だよりを掘り返して、現職議員ならどんな主張をしてきたか調べたり、会派ごとの主張を調べたりしていたが。
そこまで考えるほどのことかという話はあるけど。市の行方を決めるのは市長の方がずっと影響が大きいから。
そんな風に悩んだ、市議会議員選挙に比べれば、都道府県議会選挙は高々知れている。
1つの選挙区の候補者数も少なく、政党色も強いから、候補者を選ぶ難易度は低いし、
あと、都道府県の行く末なんて市町村の行く末に比べればはるかに影響小さいですから。
東京都はちょっと特殊な事情があるけど、それでも多摩地域は市町村がちゃんと機能しているはずだから。
そんな東京都議会の選挙区を見てみると、ちょっと不思議なところがある。
東京都議会議員の定数及び選挙区一覧表 (東京都選挙管理委員会)
多摩地域の選挙区を見ると、基本的には市ごとに選挙区があるのだが、
複数の市町村をまとめた選挙区として 西多摩、南多摩、北多摩第一、北多摩第二、北多摩第三、北多摩第四とある。
やっていること自体は珍しくはないのだが、選挙区の命名が特徴的だ。
都道府県議会の選挙区の決め方には原則がある。
それは市・郡の単位で選挙区を決めるということだ。
現在もその原則に近い決め方をしている例を調べると、群馬県議会が見つかった。
群馬県議会議員の定数等 (群馬県)
群馬県では藤岡市以外の全ての市は1つの市で1つの選挙区になっていて「高崎市選挙区」のように命名されている。
町村については多野郡以外は全て郡の単位で1つの選挙区になっていて利根郡は4町村で「利根郡選挙区」のように命名されている。
よく見ると利根郡選挙区は飛び地があるが、それでも郡単位の選挙区になっている。
ただし、現在、この原則に厳密に従っている都道府県はきっと少ない。
なぜかというと、町村として残った部分の人口が少なく、郡で1つの選挙区としてなり立たないとか、
町村として残った部分が飛び地になってしまい、郡部だけだと地理的な連続性がないとか、そういう事情があるからだ。
なので、市と郡の区域を合わせた選挙区とか、郡を分けて、他の市と一緒にした選挙区を組むとか、そういうことが増えている。
大阪府議会議員選挙 選挙区一覧 (大阪府)
大阪府では郡で単独の選挙区になっているところはどこもない。
「箕面市及び豊能郡選挙区」のように市と郡をあわせた選挙区であったり、
「泉佐野市及び泉南郡熊取町選挙区」のように市と郡の飛び地の一方をあわせた選挙区のようになっている。
東京都も似たような事情があったのだろう。
ただ、命名にかつて郡単位の選挙区だった名残というのは色濃く残っているのが特徴的だ。
西多摩選挙区というのは、その昔は西多摩郡選挙区だったのだろう。
西多摩地域には通常、青梅市を含むはずだが、青梅市は他の市に比べると市になったのが早い。(青梅市は1951年、次は福生市で1970年)
だからかつては「青梅市選挙区」と「西多摩郡選挙区」だったんじゃないかなぁ。
南多摩選挙区も同様、八王子市・町田市・日野市が抜けている。
八王子市は市になったのが特に早く1917年、町田市は1958年、日野市は1963年だから、他の稲城市・多摩市の1971年に比べるとやや早い。
まぁ八王子市と町田市は単純に規模が大きいのもあるんだろうけどね。日野市も人口増に伴い抜けたようにも見えるが。
さらに独特なのが北多摩第一~第四の選挙区。
これは、北多摩郡に属する町村が市になっていく過程で飛び地だらけになった影響で、北多摩郡を分けた選挙区が出てきたのかなと。
単独の市で選挙区になっているところで、一番最後に市になったのが小平市の1962年、
それ以後に市になったところはいずれも連合選挙区になっている。(西東京市は単独だが、2001年の合併以前は合併前の2市の連合選挙区だった)
逆にそれ以前で連合選挙区になってるのは調布市(1955年)のみ。けどこれは狛江市(1970年)とあわせた選挙区で、
狛江市は多摩地域で隣接するのは調布市だけだから、やむを得ず狛江町(当時)と調布市で連合選挙区を組んでいたのだろう。
狛江市以外は飛び地じゃないからまとめて1つの選挙区にする余地はあったんだろうが、そもそも広大な郡だから適宜分けたのだろうか。
複数の市をあわせた選挙区が存在している背景には、人口がやや少ない市があるというのはあるんだろう。
ただ、議員1人あたりの人口が約10万人と考えると、だいたいの市で1つの選挙区が成立するように思える。
南多摩選挙区を構成する2市は稲城市が約9万人、多摩市が約15万人と、各市定数1人の選挙区でほぼ妥当だろうと。
市・郡の単位で選挙区を作るという原則に立ち返れば、かなり選挙区の切り方は変わりそう。
ただし、切り直すと、定数の振り直しが発生し、場合によっては他の選挙区への影響もあるので、あんまり変えられないのかもね。
定数が変わると選挙戦略もだいぶ変わるので、議会の勢力への影響もあるだろうか。
「北多摩第三選挙区」って文字を見て、一見すると何のことかわからないが、
実はよく調べてみると調布・狛江という意味で、これはよく見聞きする枠組みなんだよね。
上に書いたとおり、他の都道府県の場合、複数の市または市と郡をあわせた選挙区は、その名前をくっつけた名前になっていることが多い。
旧郡の名前を引き継いだ命名ってのはあるかもしれんが、旧郡+数字というのはかなり珍しいのでは?
まぁ中身はそう珍しくもないけど、もうちょっと市単位の選挙区が多くてもいいとは思う。