オシロスコープのトリガのかけかた

明日は午後から休暇なので、今日中にいろいろやっとかないとな。

なんて考えながら、ふと気づいたことがあって、オシロスコープで測定しようとしたら、

そう単純にはいかなかったという話。


これはマイコンの外部にラッチICがあるのだが、

このラッチにストアするタイミングが外部から入力されるパルスの立ち上がりの少し前になるように設計している。

この少し前というのが想定の時間内に収まっているか見たかったのである。

で、外部から入力されるパルスの立ち上がりでトリガをかけて、

ストア信号の波形をずっと上書きさせたのだが、どうも想定の時間を超えるケースがあるようだ。

ほとんどは想定の時間内に入っているが、たまに超えると。


なので、このときの他信号の波形を取得したかったのだが、

外部からのパルス信号の立ち上がりが、ストア信号の立ち上がりの一定時間前にないケース、

これに着目してトリガをかけようとするとどうにもいかなかった。

複合条件でのトリガというのは可能なのだが、

トリガAが発生した後、指定時間経過後にトリガBが発生した場合に限られ、

これだとどうにも今回のケースを捕まえるのは難しいようだ。


というわけでオシロスコープの説明書を真面目に読んだのだが、

信号のパターンの継続時間によりトリガをかけることができることに気づいた。

さっきのストア信号と外部からのパルス信号はいずれも短時間Hiになる信号である。

もし想定通りに行っていれば、双方がLoになる時間というのは一定範囲内に収まる。

具体的には外部からのパルスの周期が1000us、Hi同士の間隔が50us以上となる想定ならば、

双方がLoになる時間は 50us~950us の範囲になるはずである。

この範囲外の場合はトリガをかけるという設定をすればよさそうだ。


で、当初の設計だと全然ダメだったので改めてタイミングを計算し直して、

それでやったのだが、想定外の形で範囲外に出ていた。

それはラッチ処理がまるごと1回飛んでいることがあったのである。

一体なにが起きているのか、デバッグ信号を追加して判明したのは、

想定外の形で多重割り込みが起きていたということである。


このパターンは多重割り込み起きないんじゃなかったっけ?

想定と異なるから想定外なんですけどね。というわけで明日の午前中に追跡する予定である。

この問題を回避するだけなら割り込みマスクを追加して多重割り込みが起こらないようにすればよく、

暫定的にそういう対策をしたら確かに起きなくなった。

トリガ条件を少しずつ動かしたのだが、新たな見積もりの範囲に入っているので、そこはよさそう。

やはり実測することは大切ですね。

巨視的なトンネル効果?

以前、新しいSIの定義の話を書いたときにこんな話を書いた。

ジョセフソン効果を決めるジョセフソン定数は 2e/hで、量子ホール効果を決めるフォン・クリッツィング定数は h/e2 とのこと。(e:電気素量. h:プランク定数)

ここで気づいたが、新しいSIの定義ではプランク定数と電気素量がそれぞれ定義値になる。

ということは、電気標準に使われる2つの重要な定数が定義値になるということである。

でも、実はすでにこの2つの定数は実務上は定義値らしい。

(電気エネルギーが先に決まるということ)

このジョセフソン効果を含む一連の研究にノーベル物理学賞が与えられることになったそう。

ノーベル物理学賞に米3氏 「トンネル効果」量子コンピューターに道 (日本経済新聞)


タイトルに「電気回路における巨視的な量子力学的トンネル効果とエネルギー量子化の発見」とあり、

「巨視的な」となっているところにポイントがあるらしい。


トンネル効果という、ポテンシャル障壁を粒子が通り抜ける現象がある。

フラッシュメモリでは、絶縁体を挟んだところにある浮遊ゲートに電子を蓄積して記録し、放出して消去する。

絶縁体を挟んだ先にある浮遊ゲートには古典的には電流は流れない。

しかし、電子には波動としての性質もあり、絶縁体を超えて電子が存在する確率が生じうる。

これを使って絶縁体に挟まれた浮遊ゲートと電子のやりとりができると。

この研究はトンネル現象に関する研究は1973年にノーベル物理学賞を受賞しており、

その受賞者の1人に江崎玲於奈氏がいるわけですね。


通常は電子も様々な量子状態があり、その中で絶縁体を越える状態も様々あり、

それで絶縁体を越える確率がこれだけあるという言い方になる。

でも、もしも電子の量子状態を1つだけにできれば?

絶対零度付近まで冷却していくと電子のとりうる状態が減っていき、

同じエネルギーを持つ電子ばかりになっていくのだそう。

絶対零度付近にある超伝導体と超伝導体の間に絶縁体を挟む。

そこで絶縁体を越えて流れる電流を測定する実験をしたそうである。


当然、普通には流れないのだが、トンネル効果により電子が通り抜けることが考えられる。

で、その流れる電流というのが波動の位相差で説明できるんですね。

通常はいろいろなエネルギーの電子が存在するところ、

絶対零度付近まで冷却しているのエネルギーが揃っているので、こういう説明ができるそう。

この位相差に相当する電流が流れるという特徴から、

もしも絶縁体を挟んで電位差がある場合は、交流電流が流れていて、

その周波数と電位差には関係があることが導かれ、これをジョセフソン効果という。

これを決めるジョセフソン定数は 2e/h という現在のSIの定義に出てくる数字で決まるというわけ。


外からマイクロ波を与えてやると、電圧特性がステップ状になり、

これを利用して正確な標準電圧を作っているということらしい。

正確な周波数、言い換えれば時間を測定できれば、そこから正確な電圧を出せるというわけで、

しかもその数字というのは計量単位令に書いてある数字を持ってくればいいと。

プランク定数はkgの定義、電気素量はAの定義に書かれている。


これらの研究によってもたらされたものは様々利用されているが、

期待されている用途の1つに量子コンピュータがあるそう。

量子コンピュータでは様々な量子状態を重ねて入れて、計算結果の量子状態を得るものだが、

この中でジョセフソン効果が使われているという。

最近ホットな話題が多く、これが受賞理由なんだろう。

でも、ジョセフソン効果で電気標準を作るのは1990年から始まってたので、

そういう意味では今さらの技術ではあるんですけどね。

20Vのロジック信号の作り方

以前、職場で治具を作ろうとしている話を書いたが、

その中でちょっとした難題があって、それが20Vのロジック信号である。

マイコンから直接操作できるわけはないし……


というわけでなんかいい方法ないですかねとアナログ回路の専門家に聞いたわけである。

そしたらオペアンプで増幅すればいいんじゃないという話だった。

それでその治具を作るに当たって回路図をくれというと、

そこにはなんてことはない非反転増幅回路が書いてあった。

言われてみればこれでいいのか。


ロジック信号なので0か1しかないので、FETなどでON/OFFすればよいだけとは言えるが、

それで十分なスピードが出るかというのはけっこう問題である。

スルーレートがある程度速いオペアンプを選べば容易に実現できると。

結局はそのために適したオペアンプを選んでもらったということで、

パッと見た感じでは古典的なオペアンプなんだろうなと。


というわけで個人的には目からうろこだったという話。

しかし、そもそも20Vのロジック信号ってなんだよという感じはありますが。

リレーロジックだと24Vのロジックってのはあるけどそういうのとは違うんだよな。

それこそリレーを駆動できるだけの電力が必要なので大変だが。


というわけでフタを開けてみれば大した話ではなかったという話。

それぐらい自分で書けるやろと言われればそうなんですけど、

オペアンプの選定とかいろいろ課題はあるじゃないですか。

マイナーアクチノイドを分ける

昨日、こんな話を書いた。

MOX燃料はいつか使用済燃料となり、当面は発電所内で保管される。

これも再処理を行うのだが、現在の再処理工場はMOX燃料の再処理を想定した計画ではないそう。(略)

ただし、原理的には可能なので、次に作る工場では対応予定と。

運べるようになるまで発電所で長期間保管している間に話は進むだろうということか。

(運び出す先が再処理工場)

ただ、そのさらに次となると考えないといけないことも増えてくる。


それがマイナーアクチノイドである。

そもそも現在、核燃料に使われているウランは地球上に天然である元素では最も重いとされている。

一時的にこれより重い元素が生じることはありうるが。

このウランのうち核分裂しやすいウラン235の割合を3~5%程度に高め、

残りはウランの大半を占めるウラン238で構成されるのが、現在一般的な核燃料である。

で、ウラン235に中性子を衝突させると、核分裂が生じるのだが、

核分裂により新たな中性子が生じて、それは他のウラン235の分裂にも寄与するが、

他の物質に捕獲されることもあり、ウラン238に捕獲されると、

ウラン239を経てプルトニウム239になることがある。

このように中性子を捕獲することで原子番号が増えることがある。

このウランより重くなった原子のうち、プルトニウム以外のもの、

具体的にはアメリシウム、キュリウム、ネプツニウムなどが該当する。


で、MOX燃料を軽水炉で使うと、マイナーアクチノイドが相当増加すると。

原因として大きいのがプルトニウムの同位体の1つ、プルトニウム241である。

これがβ崩壊するとアメリシウム241になるが、これが半減期432年とえらく長い。

プルトニウムを燃料にすることによりなおさら生じやすくなると。


ところで再処理というのは化学的な性質の差で物質を分離していくので、

得られるウランとかプルトニウムはいろいろな同位体が混ざっている。

燃料を使い終わって早く再処理に回すと、プルトニウムにはプルトニウム241が多く含まれる。

最初はプルトニウムを抽出したつもりが、だんだんアメリシウムの割合が増えていくと。

使い終わってから長期間放置して再処理に回すと、分離される高レベル放射性廃棄物にアメリシウム241が多く含まれる。

現状だとどっちの方がいいんでしょうね。といっても日本では現実的に後者にしかならんのだが。


マイナーアクチノイドをどうするかは様々検討されているが、

さらに中性子を衝突させると、だんだん核分裂していくわけですね。

現在の軽水炉ではこのような働きは期待しがたいが、

高速炉では中性下が大量に生じるので、マイナーアクチノイドも核分裂の対象になるわけである。

この特徴から高速炉の燃料には一定程度マイナーアクチノイドを混ぜることができる。

高速炉というと、ウラン238をプルトニウム239に変換する能力の高さでも知られているが、

それだけではない効能ってのがあったんですね。


もう1つは加速器で発生させた中性子で核分裂を起こす方法。

こちらは加速器駆動未臨界炉というもので、まだ研究段階ですかね。

加速器にエネルギーは消費するが、一応は核分裂により得られるエネルギーの方が大きいようである。


ただ、どちらにしてもマイナーアクチノイドの抽出をしないといけない。

これがけっこう大変なことらしくて、いろいろ研究されている。

ウラン・プルトニウムを分離した溶液から、さらに分離していくと。

長寿命放射性廃棄物の短寿命化技術の現状と展望 (pdf) (NINS)

分類のグループは大きく4つに分かれる。

1つ目はマイナーアクチノイド、これは高速炉の燃料の一部にするか、加速器駆動未臨界炉にぶち込む。

2つ目は白金族元素、ルテニウム・ロジウム・パラジウムなど。

これらは希少な金属なので資源として利用したいと。

放射性同位体もあるだろうと思うのだが、使い方次第では使えるということか。

3つ目はセシウムとストロンチウム、発熱性元素と書かれている。

4つ目がその他の核分裂生成物、これはガラス固化体にして埋める。


使用済燃料の発熱として大きいのがストロンチウム90とセシウム137による崩壊だが、

両元素の半減期はおよそ30年、300年経てばほぼ崩壊してしまう。

これだけ分けて冷やせば放射性廃棄物の処分がだいぶ容易になる。

再処理で生じる低レベル放射性廃棄物はTRU廃棄物に該当し、

高レベル放射性廃棄物同様に地層処分が必要だが、

発熱量が比較的少ないのでトンネル内に積み上げて処分できる。

ストロンチウムとセシウムを分離したガラス固化体も発熱量が低く、

こうなるとそれなりに集積して埋め立てられるわけである。

ストロンチウムとセシウムは崩壊が進んでから埋めれば効率的だが、

100年で1/10、200年で1/100と考えると長い話である。

とはいえ熱源として利用できるなら意味もあるかもしれない。


どこまでやるかという話はありますが……

マイナーアクチノイドは高速炉などで核分裂を起こすことはできるが、

当然これらの炉内では新たに生じるマイナーアクチノイドもある。

現在の核燃料サイクルはウラン・プルトニウムを発電所に戻す仕組みだが、

このスコープにマイナーアクチノイドも加わる方向であると。

結果としてはウランとそれより重い元素は発電所と往来し続けると。

それより軽い物質は基本的に埋立に向かう考えですね。

このあたりの当たりが付けば、マイナーアクチノイドの燃料化を想定した再処理方式に移行するということなのだろう。

二酸化炭素を膜分離したい理由

実験的な意味合いがかなり強いと思うのですが……

川崎市、ごみ焼却の排ガスから特殊な膜でCO2分離へ 国内初、26年から (カナロコ)

ゴミを焼却すれば二酸化炭素が発生する。これを回収してみようと。


二酸化炭素は放出すると温室効果ガスとして地球温暖化の原因となる。

これを地中に貯留すれば地球温暖化の原因にはならない。

この二酸化炭素を分離して貯留する技術を CCS と呼ぶ。

あるいは他の化学原料として使用するということも考えられる。


貯留も課題だが、二酸化炭素を集めるのも大変である。

現状先行しているのは、化学反応で吸収液に吸収させたり、物理的に吸着させる方法である。

二酸化炭素を吸収・吸着させること自体はそう問題ではないらしいが、

問題はそこから二酸化炭素を分離して、再度吸収・吸着できるようにすることで、

ここにかかるエネルギーが大きいことが大きな問題のようだ。

このエネルギーが大きいと、二酸化炭素排出量は削減できても、

エネルギーの消費が増大し、省資源という点で大きな課題がある。


ところでちょっと話は逸れるのだが、物理吸着を使った装置として酸素濃縮器がある。

これは窒素を吸着できるゼオライトを使用している。

空気を加圧して入れると、窒素が吸着されて、空気の他の成分が濃くなる。

空気中で窒素(78.1%)に次いで多いのが酸素(20.9%)である。

仮に窒素を全部吸着できれば95%が酸素の気体が得られる。

実際にはもう少し低いらしいが、上限は確かにこの程度のようだ。

その後、吸着された窒素を減圧して放出する。

この窒素を放出する部分に着目すれば、窒素ガス発生装置となる。

二酸化炭素の分離というのはこちらですね。


冒頭に出てきた膜分離方式というのはこれらとは異なり、

二酸化炭素を通しやすい膜を用意するんですね。

ただし、二酸化炭素ばかりを通すというのは難しいようで、

膜を1段通るだけでは二酸化炭素の濃度が少し上がるだけである。

そのため、これを再び加圧して膜を通す。するとさらに濃度が上がる。

これを繰り返すことで濃い二酸化炭素が得られるようになると。


この方式は圧力差を作るのにエネルギーは使うのだが、

吸収・吸着させたものを分離させるのとは違うエネルギーの使い方で、

比較的省エネということで期待されているようである。

低い濃度からの分離にも適しているということで、

これがゴミ焼却施設という二酸化炭素が生じるが、さほどでもない施設が選ばれた理由なのだろう。


他の方式に比べると装置がコンパクトなので、

化学原料として二酸化炭素が必要な場所の近くで集めることが1つ考えられている。

これはCCSで地中に貯留するというよりは、

二酸化炭素を作るためのエネルギー消費を避ける目的が大きいのかなと。

もちろん二酸化炭素をドライアイスなどの形で運んでくることは考えられるが。

この点ではゴミ焼却施設での二酸化炭素回収というのはあながちハズレでもないのかもしれないが、

今回実験を行う施設のある川崎区浮島は製油所など比較的高濃度の二酸化炭素が生じる施設があるわけで、

特にここでやるメリットはないようにも思う。まぁ実験ですからねと。

Europlugは妥協の産物らしい

ヨーロッパ某国に出張することになり、いろいろ準備をしている。

言うても出張先は社内なんですけどね。

で、準備しないとなぁというところで電源プラグのことを思い出した。


ヨーロッパ大陸といえば Cタイプと思ったが、

どうもCタイプだと緩いかもみたいな話が書かれていて、

SEタイプの方がしっかりはまるかもねとあった。

よくわからん話だが、ほとんどの場合は日本で言うSEタイプがより適しているという。


世界を見渡すと商用電源は100V付近・60Hzのアメリカ系と、200V付近・50Hzのヨーロッパ系に大別される。

日本の東日本は世界的には珍しい100V系の50Hzである。

(そもそも国内の同じ島で2つの商用周波数が混在しているのが珍しいが)

で、アメリカ系のコンセントはほぼ全て日本と同じタイプである。

もっとも日本は3極コンセントがほぼないのが世界的には特異だが。


一方の200V系のコンセントはいくつかのタイプがある。

大きく異なるのがイギリス式のBFタイプ(あるいは旧規格のBタイプ)と、オセアニア式のOタイプである。

一方で、ヨーロッパに限れば、島国のイギリス・アイルランド以外をカバーできるのがCタイプ、

これは当地ではEuroplugと呼ばれている形式らしい。

携帯用機器ではしばしば利用されているのだが、最大電流2.5Aという制限がある。

そう、電流制限付きなのである。


ヨーロッパ大陸のコンセントはドイツ式とフランス式が多くを占める。

Europe current mains electricity plug types (Wikimedia Commons)

青のドイツ式(CEE7/3: Schuko)が面積としては広くて、赤のフランス式(CEE7/5)もそこそこある。

ただ、この2つは接地極を別とすれば完全に共通と言ってよい。

具体的には直径4.8mmの棒が19mm間隔で2本突き出た形である。

コンセント部分は円形のくぼみがあり、そこにはまるプラグでなければ刺さらない。

さらに言えば接地極も両方に対応したプラグというのも存在する。

具体的にはCEE7/7がそうで、ヨーロッパ向け製品のプラグとしてはもっとも無難な形式である。

接地極が要らない場合はCEE7/17という形式もある。

日本の電気機器では3極コンセントはほぼないことを考えれば、

この形式に変換できれば十分であり、SEタイプはこれを意識している。

もっとも円形ではなく、薄い形状であることが多いが。


では、なぜEuroplugというものがあるのか。

それはドイツ式でもフランス式でもないのがわずかにあるからで、

具体的にはスイスとイタリアで問題となる。

デンマークも独自形式のコンセントが主流だが、接地極を除けばフランス式・ドイツ式と互換性があり、

なので当地でもCEE7/7形式などのプラグを接続しているらしい。

ところが接地極がつながらず、電気安全上の問題があるということで、

フランス式のコンセント設置が認められたが、まだ普及度は低いとか。


具体的にはスイス式(SN 441011)はピンの直径が4mmで間隔は19mmである。

この中間の下にオフセットされた位置に接地極がある。

あと、くぼみが丸ではなく、六角形になっておりコンパクト。

イタリア式(CEI 23-50)は10A仕様と16A仕様の2つが規定されており、

10A仕様は直径4mmのピンが19mm間隔、16A仕様は直径5mmのピンが26mm間隔であり、

この中央に接地極のピンが同様の太さであるという形である。

2つのプラグに互換性がないため”presa bipasso”という穴を2つ重ねて開けたものが一般的だという。


Europlugはスイス・イタリアに対応するように直径4mmのピンを並べていると。

少し内側に曲げてハの字にすることで直径4.8mmのピンのプラグを使う地域でも、

緩くならないように考えられているとはいうが、基本的には妥協の産物である。

このため、スイス・イタリア以外であれば日本で言うSEタイプが推奨で、

両国を含めて確実に対応したければCタイプの一考に値すると。

もっともイタリアについては、”presa bipasso”をドイツ式のSchukoの中に入れたコンセントも普及しており、

そうなると結局は日本で言うSEタイプでも問題ないということになる。

スイスこそ近隣諸国との往来が盛んなわけで困りそうなんだけど、

あくまでもこの独自形状らしいですね。


ちなみに日本の近国では韓国もドイツ式のコンセントである。

もっとも韓国は日本・台湾・アメリカとAタイプのコンセントを使う国との往来が多く、

ホテルでは110VにしたAタイプのコンセントがあることも多いという。

なので旅行先であまり気にしたことがない人もいるのかも。


というわけでEuroplugの趣旨からしてみればCタイプでよいが、

より適するのはそちらではないことも多いという話だった。

このあたり加味して出張の準備をしているところである。

MELF抵抗はなにものか

MELF抵抗というのがある。

メルフ抵抗器の理解:建設、アプリケーション、および利点 (ICコンポーネント)

見たことありますかね。あまりなじみはないかも。

中学校の授業でリード抵抗ははんだ付けしたことあるよという人は多いだろうし、

四角いチップ抵抗は一般的な電子機器のプリント板上に多く実装されている。

MELF抵抗はある種の製品では広く使われているそうだが、一般的かというとなんとも。


MELF抵抗はリード抵抗のリードを取って だるま のようにしたもので、

構造的にはリード抵抗同様でありながら面実装部品であるところに特色がある。

密度という面ではリード抵抗と大差なさそうではあるけど、

他の面実装部品と同様に実装できるという点でメリットがある。

両面に実装できるからこの点ではリード抵抗よりも高密度かもしれない。


リード抵抗あるいはMELF抵抗がチップ抵抗より優れている点は耐久性ということになる。

電力定格という点では大きなチップ抵抗と大差ないところはある。

3.5mm×1.4mmのMELF抵抗の代表的な定格は0.25W、

3.2mm×1.6mmのチップ抵抗の代表的な定格は0.25W、同じですね。

(ちなみに現代ではよく使われる1.0mm×0.5mmの抵抗の定格は0.1W)

ただ、円筒形で熱が逃がしやすいとか構造的な差もあり、

静電気などで短時間に過大な入力が入ったときに切れにくいことは事実である。

温度係数もMELF抵抗の方が小さい傾向にある。

チップ抵抗でも適切なものを選べば要件は満たせると思うのだけど、

MELF抵抗はそもそもの性能がいい傾向にあることは確かなようだ。


ただ、うちの職場ではMELF抵抗は使ってはいけないルールがある。

なぜかというと、MELF抵抗のはんだ付けはいろいろ問題があるからである。

円筒形の部品ということは転がりそうだなと思うし、

実際、手ではんだ付けするときのハードルとしてはそこが大きい。

部品が大きいので熱容量が大きく、暖まりにくいのも難しい点だという。

もちろん製造時には自動実装機で乗せて、加熱してはんだをリフローさせることで付けることになる。

転がらないように接着剤でつけてからリフローに流すのは当然である。

とはいえ、円筒形の部品はチップ部品より動きやすいのは確かで、

MELF抵抗は電極からズレたり立ったりする問題が多いようである。

このため原則使わないというルールになっているという。

チップ抵抗で条件を満たせない場合はリード抵抗で対応しているのではないか。


ところが今回、試作品にはMELF抵抗が大量に載っているのである。

変だなぁと思うかも知れないが、製造場所が違うので、その都合らしい。

その中で0Ω抵抗を実装するポイントがいくつもある。

どうも評価の内容に応じて付けたり外したりするらしい。

僕が使う用途ではほぼ全部ショートでいいんだけど。

そのための0Ω抵抗だが、結局はチップ抵抗を使っているのが実情である。

さっきも書いたようにMELF抵抗は転がったり、暖まりにくいなど手はんだには手間である。

0Ωってことは両端をショートできればなんでもいいわけで、

それならうちの職場に多数転がっているチップの0Ω抵抗でいいじゃないかと。

そう言われて0Ω抵抗を必要箇所に取り付けていた。


もっともうちの職場でのチップ抵抗の主流は1005サイズか1608サイズ、

これではMELF抵抗のパッドに届かないので、もう1つ大きな2012サイズ(2.0mm×1.2mm)のものが必要である。

そんなんあるんかいと思ったけど、それなりにバリエーションはあって、

もちろんその中には0Ωはありましたね。

最近は2012サイズの抵抗って使ってるのかね?

(チップ部品ではコンデンサは耐圧のこともあり、微細化が進む中でも岩みたいなサイズのものをよく見るが)

このぐらいのサイズだとはんだ付けしやすくていいですけどね。

といいつつ、MELF抵抗が立ち並ぶ中ではんだ付けするとはんだごての先を入れにくくて、

一応は付いているけど……みたいな微妙な付き方になってしまったのもある。


MELF抵抗が大量に並んでいる基板ってのは異様ですね。

リード部品がたくさん並んでいる基板ともまた違った感じですね。

ある種の製品の基板が社内では部品密度がやたらと高いということで「白っぽい」と言われたことはあるが。

(部品が載っているとプリント板のレジストの色が覆い隠されるので白っぽく見えるらしい)

まぁそれに類する話ですかね。

ACアダプタの代わりUSB PD

社内のある部門が社内向けの製品展示などを行っていたので見に行った。

評価に必要な機器で社内にあるものなら社内のものを使いますからね。

社内向けの宣伝という意味合いも強いイベントだったみたいですね。

部署としての活動紹介という側面もありますけど。


その中で気になったのがUSB PDである。

うちの製品って家庭用で使われるものでもないので、給電方式はだいたい無骨なもので、

特に据え付けて使用される機器ならば、端子台に交流電源を接続して……

なんて電気工事士の仕事が発生するみたいなのもザラである。

(製品評価のときは、その先にプラグを付けてコンセントに差しますけどね)

そんな中でUSB給電の機器なんてまぁないですよね。


話によれば、ポータブルの機器でバッテリーを内蔵しているが、

このバッテリーの充電に従来はACアダプタを添付していた。

しかし、ACアダプタというのは国ごとにいろいろ認証がある。

日本の場合、電子機器に対する認証というのはあまり多くないのだが、

ACアダプタについては、電気用品安全法の特定電気用品に該当し、PSEマークの取得が必要である。

ACアダプタ自体は外部のサプライヤーから買うことが多いと思うが、

PSEマークの付いたAC100V入力のアダプタを買って日本向けには同梱しなければならない。

プラグ形状の違いも考えれば、出荷先により無数にバリエーションが生じる。


そこでACアダプタを現地調達化する方法として思いついたのがUSB PDらしい。

15V入力を使いたいので、45W出力のUSB PDアダプタを現地調達、

製品にはUSB Type-Cケーブルのみ内蔵して、接続すれば充電できると。

プラグ形状・電圧・周波数・法規制などなど考える必要が無くなると。

なるほど。確かにうまい話である。


ただ、難しいこともあって、それが接続されるUSB PD機器の出力である。

従来は接続されるACアダプタというのは自社で選定したものだったが、

USB PDの場合、各地で現地調達したものが好き勝手に刺されることになる。

それが期待した出力を出してくれるかというところが課題である。

話によれば15V出力取れない場合は、インジケーターが点滅し充電できない仕様を考えているとのこと。

そっちの方がいいでしょうね。

5Vで細々充電するという動作も考えられるけど、そういう使い方は正しくないのだし。

USB PDの規格を考えれば45Wと書いてあれば15Vは確実に取れるという話だが、

実際にそうなっているかは動かしてみないとわからない面もありそうだ。


そういやこのこと書いてて思いだしたけど、

僕は携帯用にUSB PD・QuickCharge両対応のACアダプタを使っている。

急速充電の効果はどんなもの?

それでこの前の旅行中にUSB PDでAQUOS R6を充電しているとき、

急速充電→充電終了を繰り返すという不可解な挙動をしていた。

何らか想定外のUSB PD入力になっていたのだと思うが……

Type-AのQuickCharge対応モードで普通充電をして乗りきったが。

おそらくACアダプタ側が不適切なプロファイルを持っているから起きた問題だと思うが、

こういう面倒なことが起こるのもUSB PDである。

モールス信号が使える

新しいシステムのメンテナンス機能をどうするかというのを検討している。

何らかの方法で進捗表示をしたいという話があるのだが、

使えるインジケータがLED 1個であることが発覚。

このLED 1個すら使えないのでは? という疑惑があったのだが、

調査した結果、メンテナンス中に一時的に使用できなくなるが、

最終的には使用できるようになるということでなんとかなりそう。


それにしてもLED 1個しかインジケータがないとなると面倒である。

点滅パターンでなんとかするしかないのか……

そんないろいろな点滅パターンを考えるのも大変だな。

ということを考えていたとき、世の中にはそういうものがありましたねと。

そう、モールス信号である。


モールス信号が双方向通信で使われることはほぼなくなったが、

一方的に発信する手段としてはシンプルなので未だに使われている部分もある。

身近なところでは……といっても人間が知覚することはないんだけど、

電波時計が受信する標準電波は30分に1回、モールス信号で JJY と送信されている。

JJY – 標準電波で送信する時刻符号 (NICT)

コールサインなどの識別信号をモールス信号を使って送信することは比較的あるようだ。

一般的にはモールス信号は「トン」「ツー」という音で聞くものだが、

光の点滅でモールス信号が使われることもまぁあるらしい。


実際どんなもんなんだろ? と表示してみた。

長点と文字間は300ms、短点と点間は100msというのでテストしてみた。

モールス信号が頭に入っていないので、これは”C”だとかはすぐわからないが、

独特な点滅パターンを認識するにはなんとかなりそうである。

プログラムで書くには若干複雑な気もするのだが、

使うパターンは5個ぐらいだろうからハードコーディングするんだろう。


余談だが、日本語のやりとりに使う和文モールス信号というのもあるのだが、

ABC…をイロハ順に置き換えたものだと言われている。

ドイツ語のモールス信号(ウムラウト付きの字が規定されている)を元にして、

さらに字数が足りないのでそこは追加のパターンを用意して作ったそうな。

よく知られた話としては緊急扱いを表す符号として”UR”(URGENTの略)を使うが、

これを和文モールス信号に置き換えると「ウナ」に相当するので、

緊急電報のことを「ウナ電」と呼ばれるようになったという話がある。

当然、現代の電報はモールス信号なんて使っていないし、もはや緊急電報も廃止されたから、本当に昔話である。

マルチバイブレータとリセット信号

出力信号の書き込みが一定時間以上停止したら、リセットするというのを、

いろいろ事情があってハードウェア的に実現したものがあって、

そこで使われていたのが74123(実際には74VHC123とかだけど)というロジックICである。

単安定マルチバイブレータとか昔授業で聞いたかなぁという感じだが。


シンプルに言えば、A入力の立ち下がりまたはB入力の立ち上がりをトリガとして、外部の部品定数で決まる時間のパルスが出力されるというもの。

ポイントとしては、パルスが出ている間にトリガを入れると、パルス出力が延長されるので、

トリガを入れ続けている間はHi出力が続くが、一定時間以上途切れるとLo出力になると、

これを出力ラッチのリセット信号として使うことで、

一定時間以上、更新が途絶えたら出力信号をリセットするという動作になる。

出力時にトリガを入れてリセットが解除すれば、ラッチに格納可能になる。


で、これをマイコンのウォッチドッグタイマーとして使ったものもあった。

普通はマイコンの内部で持っているウォッチドッグタイマーを使うと思うが、

これもまたいろいろ事情があって外部に持たせているようである。

ただ、トリガを入力するマイコン自身のリセットに74123を使う場合、

いろいろ考えたんだが、74123を2回路使わないと実現できない気がする。

74123は2回路入りのICなので、IC1個で実現できるとも言えるのだが。


先ほどの出力回路同様に74123の出力が途切れた状態をリセット、出力が開始されればリセット解除として使う場合、

電源の立ち上がりで最初のトリガを入力するような細工はできるので、

電源立ち上がりでリセット解除というのは実現できるのだが、

その後、トリガが途絶えてリセットを発生させるところまでは問題ない。

問題は、その後にリセットを解除させることができないのである。

トリガを入力するマイコンは停止しているし、他の信号もなかなかない。


で、この逆に74123の出力が出ている状態をリセットとして使うわけである。

トリガ信号の長短によらず、一定時間のパルスを出力するという機能を74123で実現することは多いらしい。

ある製品の回路図を見たら、この目的でリセット回路周りに74123が置かれていた。

1個目の74123でトリガが途絶えたら立ち下がりとなる信号を生成する。

そして、2個目の74123ではその立ち下がりをトリガとしてパルス出力を行い、

この信号をマイコンのリセット信号とすれば、一定時間後にはリセットが解除される。


少し違うのだがマイコンを含むシステム全体をリセットするために、

リセットICのマニュアルリセット信号をマイコンから入力する方法を使っていて、

リセットが発生するとマイコンがリセットされるため、マニュアルリセットは初期状態に戻り、

リセットICは一定時間経過後にシステム全体のリセットを解除する。

こういう仕組みに比べると複雑だなと直感的に思ったのだが、こういう理屈で説明できると思った。


74123は無出力の初期状態とパルス出力状態の2状態がある。

ウォッチドッグタイマーの目的で使う場合、無出力状態をリセットに割り付けることとなる。

リセット入力や時間経過で無出力状態に戻すことは出来るのだが、

パルス出力状態に戻すには誰かがパルスを入れなければならない。

この逆にパルス出力状態をリセット、初期状態をリセット解除とすれば、

リセット発生後、時間経過あるいは74123のリセットによりリセット解除される。

リセットICのマニュアルリセット信号の使い方もこれに近くて、

マイコンのリセットや時間経過でリセット解除状態に戻れるから、IC1個で実現できているようだ。


どちらかというとトリガを入れるとリセット発生、時間経過でリセット解除という使い方が多いのかなと思った。

自分を含むシステムの異常を検出して、リセットを発生させるのはよいが、

誰かに解除してもらわないといけないので、それを74123でやると。

再度トリガを入れるとパルス出力が延長されるという性質から、

冒頭に書いたようなトリガが途絶えたらリセットという使い方も想定されているが、

それを自分自身のリセットに応用する場合はもう1つ必要だなと。