韓国で大韓航空とアシアナ航空が合併することが決まっている。
実質的には大韓航空によるアシアナ航空の救済ですね。
アシアナ航空のブランドは消え、大韓航空に一本化されることになる。
大韓航空の崔副社長、アシアナ統合後LCCはジンエアー1本化 FSC機材・人員削減せず26年末新体制 (Aviation Wire)
ただ、気になることがあって、それが傘下のLCCのことである。
崔副社長はLCCをジンエアーに一本化するとし、「ソウルと釜山の2都市をうまく活用していく」と述べた。
本当に?
韓国の大手航空会社はこれで1社になるわけだが、LCCとされる会社はかなりある。
大手以外で最も存在感のあるのがチェジュ航空かと思う。
というか韓国の大手航空会社は日本線をあまり飛ばしていないので、
今や日本でもっとも存在感のある韓国航空会社なのかも。
この会社は愛敬グループという財閥が中心に設立されたが、
チェジュ島の行政・企業も出資している会社である。
チェジュからの国内線とともに、ソウルなどからの国際線も展開している。
日本から見てるとチェジュ航空なのにチェジュ便じゃないのかと思うけど、
本当の主力はチェジュからの韓国国内線なんだよな。出稼ぎですね。
日本から見ればチェジュ航空が圧倒的という印象だが、
全部ひっくるめて見れば ティーウェイ航空、ジンエアーが同程度、
それに次ぐのがエアプサン、イースター航空という状況である。
ティーウェイ航空は大韓航空・アシアナ航空の統合にあたり、
競争法上の措置で一部路線を移管されており、長距離線に参入するなどLCCという枠組みに留まらない会社でもある。
ジンエアーは大韓航空の系列で、大韓航空から移管された航空機を使っている。
エアプサンは名前通りプサンを拠点とするアシアナ航空系列の会社である。
プサンを拠点というが、ソウル路線もけっこうある。
これらに比べると規模が小さいがエアソウルというのがアシアナ航空系列にある。
ということで新生大韓航空は傘下に3つのLCCを抱えることになるので、
その中でもっとも規模が大きくて、元々大韓航空系列のジンエアーに統合を考えているというのである。
一見よさそうなのだが、気になるのがエアプサンのことである。
実はこの会社、プサンの地元企業も出資してるんですよね。
地元にとっても期待の大きい会社らしく、そう簡単に統合とはいかないように思える。
一方で大韓航空は統合に時間を要するのは織り込み済みでああ言っているのかもしれない。
こういう話を見ると思い出すのはANA傘下のPeach Aviation と バニラエアの合併ですね。
Peachは関西拠点、バニラエアは旧エアアジアジャパンを引き継いだ成田拠点の会社。
双方にANAは噛んでいたが子会社というわけではなかった。
エアアジアジャパンからエアアジアが撤退し、取り残された会社をなんとかする必要がある一方、
Peachは事業が軌道に乗り、ANA以外の株主から取得して子会社化、
この会社にバニラエアの事業を移管することで統合を図ったわけである。
成田発着便を中心に旧バニラエアを継承し、第3ターミナルを利用することになったが、
結局まもなく旧Peachが使っていた第1ターミナルに戻っている。
路線も圧倒的に関西に偏っており、成田の重要度はさほど高くないように思う。
関東圏にしても深夜早朝枠を使った羽田空港乗り入れなんかもあるからね。
この件はいわば関西拠点のPeachの顔を立てて、どうにも困ったバニラエアを統合した形である。
今回の大韓航空・アシアナ航空統合は大韓航空主導であることを考えれば、
元々大韓航空傘下のジンエアーに統合するのが自然だという話はなるが、
エアプサン関係者の納得感はどうだろうかなとはやはり思う。
Peachとバニラエアと対照的なのがJALグループのLCCである。
JALグループにはジェットスタージャパン、SPRING JAPAN、ZIPAIR Tokyoの3社がある。
ジェットスタージャパンはオーストラリアのジェットスターの日本部門という側面もある。
一方、成田発着の国内線はJALの国際線乗り継ぎ便を継承する部分もある。
SPRING JAPANはかつての春秋航空日本、中国の春秋航空が中心に設立し、
成田から中国に飛ばしたり、日本国内の接続便を飛ばすことを目的としていた。
ところがこれが軌道に乗らず、JALの出資割合を増やすこととなった。
当初からJALと業務面では提携していたが、より強力なバックアップを求めたわけである。
ウェットリースという名の事実上の発着枠譲渡(cf.それってスプリングジャパン便では)、
ヤマト運輸からの貨物機運航の受託などで立て直しを図っていると。
ZIPAIRは当初からJALの100%子会社で、JALからの機材移管でスタートしている。
中長距離国際線を中心としている点でジェットスタージャパンとは異なる。
この3社が並立しているのは、他の会社との関係によるところも多いように思う。
ZIPAIRはLCCとは言っているがJALの別働隊に近いのかもしれない。
SPRING JAPANが社名変更しても現在まで残っているのは不思議だが、
やはり上海春秋国際旅行社・春秋航空との協業は意味があるという認識なのだろう。
急ぐ話でもないのかなという気はするし、
まず最初はジンエアーとエアソウルの統合からかもしれない。
エアプサンは現在はアシアナ航空と広範囲にコードシェアを行う関係だが、
もう少し緩やかな関係に移行していくのも選択肢かもしれない。
当然、大韓航空の思惑通り、全部で1つの会社になるのも選択肢だろうけど。