ふるさと納税の上限の不思議

こういうニュースが出ていた。

ふるさと納税、控除に上限を検討 政府与党、「金持ち優遇」批判で (45NEWS)

ふるさと納税の控除上限、これは住民税の特例分のことを言っているのだと思うが、

これに新たな上限を考えているという話である。

確かに今の制度はイマイチだなと考える部分はある。


一般論として都道府県・市町村への寄付は所得税・住民税の寄附金控除の対象となる。

所得税は(寄付額-2000円)の所得控除、住民税は(寄付額-2000円)の10%の税額控除である。

それぞれ総所得の40%, 30%が上限と定められている。

一方で指定された道府県・市町村への寄付については住民税で特例分と呼ばれる控除がある。

所得税と住民税の基本分の寄附金控除と合わせると、ほぼ寄付額を相殺できるのだが、

この特例分の上限が住民税所得割の20%となっているのである。


ここで住民税所得割の20%が上限というところから、

所得が多い人ほど上限が高いのだということに気付いたかもしれないが、

実はそれだけでもない事情があり、それが冒頭に書いたイマイチな理由である。

というのも、所得税は累進課税のため所得が高い人ほど適用税率が高くなる。

所得税率5%のみの人は、(寄付額-2000円)の84.895%が特例分での控除対象だが

所得税率20%まで適用されている人は 69.58% が特例分となり、

所得税率45%まで適用されている人は 44.055% が特例分である。


なので所得が高い人はそもそもの住民税所得割の20%というのが大きい上に、

寄附金の比較的高い割合を通常の寄附金控除で相殺できるので、

一般的に言われるふるさと納税の上限額が高くなるということである。

というので所得税率の段差をまたぐとけっこう変わるんですよね。


特例分の控除額より、対象となる寄附金の金額に着目した方がいいと思っていて、

例えば 住民税所得割の22%までの寄付額を特例分の対象にする、とか定義すれば、

所得税率により控除額が加速していくということはなくなる。


ただ、ここで話題にしているのはさらにその先のことのようで、

高所得者を狙った返礼品も増加。関係者によると、寄付額500万円以上が対象の純金製小判や、3千万円以上のスーツ仕立券もあるという。政府、与党内では「金持ちの節税対策になっている」と批判する声が強い。

ということで、絶対的な金額の高さが問題のようである。

所得税率が40%とか45%に達する人は、特例分がなくても寄付額の50%とか55%が控除されるわけで、

特例分まで住民税所得割の増加を追っかける必要はないとは言える。

仮に所得税率33%の上限にラインを引くと住民税の課税標準は1800万円ほど。

これで寄附金控除(特例分)を使い切る寄付額はおよそ63万円である。

それを超過した分は寄付額の50%~55%の控除ですよと。

これでも非常識に思える金額だが、ある程度の歯止めにはなるかもしれない。


正直なところ、ふるさと納税もいろいろ問題は多いと思うのだが、

地方交付税交付金で調整できないほど税収の多い団体の税収を減らし、

それを他の地域に還流させ、地域の財源に活用するとともに、

場合によっては返礼品を通じて地域経済の活性化に寄与しているのだ。

と言われると、ある程度は欠点にも目をつぶるべきかという思いもある。

この件はそれにしても目に余るという話なんだろう。