昨晩、羽田空港でJALの飛行機が炎上する映像が出て、
一体何があったのかと気になっていたら、海上保安庁の飛行機と滑走路上で衝突したと。
2箇所で火災が起きていると言われれば合点は行ったが……
JAL側はおそらく満員であろうA350ということで心配していたが、無事全員脱出し、大きなケガなどもなかったという。
機体も荷物も全焼してしまったのは辛いが、命が助かったのはなにより。
一方の海上保安庁側は乗員6名中5名が死亡、よりによって脱出成功したのが機長というのが……
こういう場合、定期便を多く運航するJALより海上保安庁側を疑ってしまうが、
現時点で判明している情報では海上保安庁機が錯誤により滑走路に進入したようである。
海保機に滑走路への進入指示は見当たらず 国交省が交信記録を公表 (朝日新聞デジタル)
このこととの直接的な関係は不明なのだが、海上保安庁機はC5誘導路へ向かうよう指示が出ている。
そこから滑走路の途中に入って離陸を開始することを想定した指示である。
このような滑走路途中からの離陸はインターセクションデパーチャーと呼ばれる。
インターセクションデパーチャーの前提条件として、途中からでも滑走路長が足りる必要がある。
今回、事故があった羽田空港のC滑走路は全部使えば3360mあるのだが、
C5誘導路から入った場合は2420mの滑走路として使用することができる。
この長さであれば小型機は全く問題ないし、中型機でも条件により可能である。
今回の海上保安庁機はDHC-8-300なのでかなり短い滑走路でも足りるが、
そこまで極端な短縮ではなく、わりと使われる離陸方法であることが読み取れる。
では、どのようなときにインターセクションデパーチャーを使うのか。
有名なのは伊丹空港のB滑走路、3000mある長い方の滑走路である。
伊丹空港は通常は南から北に向けて滑走路を使うのだが、南側は市街地がある。
この南側への騒音を軽減するため、通常はW2誘導路から離陸することになっている。
W2誘導路から離陸する場合は滑走路長は2700mとして使うことになる。
現在の伊丹空港は国内線のみということもあり、これでほぼ対応できる。
よっぽどの事情があれば、南端のW1誘導路から入ることもできるようだが、
その場合は騒音軽減のために滑走路の外でエンジンを吹かして入る必要がある。
今回の事故現場ではないけど、羽田空港はA滑走路とB滑走路が交差するため、
この2つの滑走路を同時に使うには様々な制約がある。
B滑走路の離着陸と同時に、A滑走路を使えるとすれば、A滑走路の途中から離陸する場合に限られる。
これもその滑走路の使い方をしている場合は、当然にインターセクションデパーチャーの指示が出ることになる。
なお、その場合は本来3000mの滑走路を2500m程度に短縮して使うことになる。
それ以外ではどのようなときにインターセクションデパーチャーが使われるか。
燃料節約のために離陸機側から要請するような話も出てくるけど、
調べた限りでは管制塔からの指示で実施するケースが多いようである。
インターセクションデパーチャーにより地上走行距離が減るということは、
飛行機を早く離陸させられるということになる。
例えば、この着陸機とこの着陸機の間に離陸機を入れたいとか考えたとき、
インターセクションデパーチャーを指示することでうまく差し込めると。
滑走路の使用タイミングの調整のために指示することが多いようである。
今回、インターセクションデパーチャーの指示がでた経緯は不明だが、
災害救助という事情も踏まえて他の離陸機より先に離陸させることも考えたのかもしれない。
滑走路の端では何機か待機していたので、途中から離陸させれば追い越しができる。
このような順序入れ替えのためにインターセクションデパーチャーを使うこともあるという。
今回の事故の引き金を引いたのはおそらく海上保安庁機の錯誤なのだが、
一方でこのようなケースが起きたとき回避しやすいのは着陸機の方。
いろいろ調べてみると、離陸機が誤って滑走路内に入ってしまったが、
管制塔からゴーアラウンドの指示を出して、着陸をやり直させたことで助かったケースは多くあるよう。
今後の調査ではどうして回避できなかったのかという部分も焦点になるのではないか。
もしかすると回避できなかった理由にインターセクションデパーチャーが関係しているかもしれない。
事故直後は全面閉鎖、成田・中部・茨城への目的地変更や引き返しで対応し、
その後は滑走路3本で再開したが、この時期に滑走路1本使えないのは大変なこと。
能登半島での地震後に一時不通となっていた北陸新幹線が昨日中に復旧したのは救いで、
羽田空港を北陸方面への鉄道代替の目的で使う必要はなくなった。
新幹線で対応できる東北・近畿・中国あたりはそちらに回ってもらい、
沖縄・北海道の便数をできる限り確保するということなんじゃないかなと。