何それ? と思ったのですが……
ラッセルボールディングSは賞金総額300万オーストラリアドル(約2億9352万円)をかけて争われるレース。2019年創設と歴史は浅く、昨年からラッセルボールディングSと名称が変わっている。
わかるのは賞金が高いスプリント戦ということぐらいである。
近年改名されていると言われると、以前はどういう名前だったのかというのが気になる。
調べると2019年はRedzel Stakes、2020年はYes Yes Yes Stakes……
と、2023年までは毎年違う名前である。そして2024年からこの名前に固定されている。
はて、なんで毎年名前が違うのだろうか。
というので思い出したのである。これ “Winners Stakes”って言われてたやつじゃないかと。
というわけでこのレースの歴史をたどるにはジ・エベレストの話から始めないといけない。
ジ・エベレストは2017年に新設されたレースである。
芝あるいは1200m戦では世界最高賞金の1着700万A$で知られる。
しかしながらこのレースは長らく無格付けだった。リステッドですらない。
このレースはシドニーを擁するNSW州で春(南半球なので10月のこと)に新設された。
従来は春はメルボルンカップを中心にビクトリア州で高額レースを行い、
秋はゴールデンスリッパーステークスを中心にNSW州で高額レースを行うのが恒例だった。
この慣例を崩す高額レースの新設にビクトリア州の競馬統括団体が反発、
近年までオーストラリアの新規レースの格付けが止まってしまった。
それは春のビクトリア州に2019年新設されたオールスターマイルも例外ではない。
(日本の有馬記念をモデルにしたらしい)
これ幸いと思ったのかは知らないが、NSW州では高額レースの新設が相次ぎ、
2歳戦のゴールデンスリッパー、3歳春のゴールデンローズ、
3歳秋のオーストラリアンダービーを初めとする三冠レースに続くものとして、
4歳春に1着賞金525万A$のゴールデンイーグル(1500m)を新設した。
日本から遠征する場合は3歳秋にあたり、中長距離なら菊花賞が目標になるが、
マイル前後だとそういうのはないのでよき目標として最近は注目されている。
で、このゴールデンイーグルと同日に行われることになったのが “Winners Stakes” である。
これは前年のジ・エベレストの優勝馬の名前を付けるレースで、
時期的にはジ・エベレストの少し後なので、
これに出走が叶わなかったり、残念な結果に終わった馬が出やすいレースなのかな。
当然、これも無格付け重賞でやってきた。
さて昨年、ジ・エベレストとオールスターマイルのG1格付けが決定された。
ジ・エベレストとオールスターマイルがG1昇格、豪州の高額賞金戦 (JRA-VAN Ver.World)
長らく膠着状態だったオーストラリアのレース格付け体制が正常化に向かい、
NSW州・VIC州の新設レースの代表的なものをそれぞれG1と認めたわけである。
これに伴い他の高額レースも順次格付けを進めようとして、
“Winners Stakes”も”Russell Balding Stakes”という固定の名前にしたとみられる。
パターンレースは名前に固定部分がないといけないからねと。
ラッセルボールディングというのはRacing NSWの2023年までの会長で、
NSW州での春の高額賞金レース新設に大きく寄与した人である。
で、さっき格付けについての膠着状態を脱したとは書いたのだが、
実際のところゴールデンイーグルもラッセルボールディングステークスもまだ無格付けのようである。
アジア競馬連盟、豪ニューサウスウェールズ州の17レース格上げを却下(オーストラリア)【開催・運営】 (JAIRS)
ジ・エベレストのG1格付け決定後、17レースの格付けを決定するも、
そのプロセスが問題視され、その格付けは国際的に承認されていないという。
このため日本ではこれらのレースは重賞ではなくオープンクラスのレースとして取り扱われる。
サウジカップもOPクラスとして扱っていた時代はあったのだし、
新設重賞は多かれ少なかれそういうところはあるのですが。
日本ではマイル以下でそんなに賞金出るレースないですからね。
地元勢が強力と見せかけて案外穴はあるのかもしれない。
ジ・エベレストといえば、香港のカーインライジングが参戦の意向だという。
香港で連勝を続けているすごいスプリンターがいるということで、
2024年の香港スプリントで初めて日本からの遠征馬と対決し優勝、
今年のチェアマンズスプリントプライズでも同様に優勝しており、
日本の競馬ファンにも知られた名前である。
1200mのG1なら香港スプリントが元々世界最高賞金だったが、
ジ・エベレストがG1格付けになったことでこちらが最高賞金に。
というわけで世界チャンピオンへの挑戦ってことですね。