アジア大会で時々話題となるのが北朝鮮のこと。
北朝鮮は自信のある種目に絞って選手を送り込む傾向があるそうで、
そんな種目の1つがサッカーだという。
日本は男女とも北朝鮮との試合があったが、
男子の方では北朝鮮にイエローカード6枚……というレベルでは済まされないよなぁ。
サッカー日本代表に敗れた北朝鮮が審判に詰め寄る「威嚇」行為、試合中も悪質ファウル連発 (読売新聞)
女子の方は決勝戦で当たって、こちらはそこまで大荒れではなかったそうだが、
負傷や退場でもないのに北朝鮮のゴールキーパーが交代になるという異例の事態があった。
「キーパーに明らかな欠陥があった」日本に惨敗を喫した北朝鮮女子代表の指揮官が“懲罰交代GK”に非情なひと言―― (サッカーダイジェストWeb)
専門職であるゴールキーパーが交代になるというのは大変なことなんですよね。
そんな北朝鮮とアジア大会ということでこんな話が。
北朝鮮テレビ、アジア競技大会の南北対決報道で韓国を「傀儡」と表記 (中央日報)
女子サッカーの南北対決を報じるときに「朝鮮」vs「傀儡」と報じたと。
これまでは韓国のことは南朝鮮と書くのが通常だったのだが、
どうも最近はこの言い方がぶれて「大願民国」と言ってみたり「傀儡」と言ってみたり。
しかし傀儡とはあんまりな言い方じゃないかと。
逆に韓国側では北朝鮮のことを「北韓」と呼んでいる。
朝鮮半島のことを韓国では韓半島と呼んでおり、その北部地域であると。
北朝鮮側でこれまで使われることが多かった「南朝鮮」も同じ発想である。
韓国のテレビの映像を見ると「大韓民国」vs「北韓」となるわけですね。
もっとも1980年代以前には「北傀」という言い方もみられたという。
すなわち韓国でも北朝鮮のことを傀儡と呼んでいたことはあったと。
この言い方が変わったのは1991年に韓国・北朝鮮がともに国連加盟したこととは無関係ではないだろう。
お互いの国連加盟を認めたというのは、国家として認めたわけではないが、
他の国が韓国・北朝鮮双方と国同士の関係を持つことは否定しないということだから。
北朝鮮が韓国を「傀儡」と表記したことには、韓国の「北韓」表記への反発もあったという。
日本でも北朝鮮と呼ばれることは多いが正式には「朝鮮民主主義人民共和国」で、
北を表す言葉は入っておらず、公式な略称は 朝鮮(チョソン) である。
だから韓国もそれを尊重して大韓民国vs朝鮮とかでいいじゃないかと。
そういう主張なのかもしれないが、韓国側にとっては相容れない話だろう。
少し脇道に逸れるが、日本は朝鮮民主主義人民共和国とは国交を結んでいない。
一方で韓国の支配が北部地域まで及んでいるとも考えていない。
しかし、朝鮮民主主義人民共和国が国際法を遵守する意志と能力があるとは認めていない。
「北朝鮮」には国といえるものが存在していないというのが日本の考えである。
もし国交を結ぶとなれば「朝鮮民主主義人民共和国」の略称も論点になりそうだが、
現状はそこに至っていないため、朝鮮半島北部ということで「北朝鮮」という呼び名になっていると。
さて、この手の分断国家といえば近くにももう1つあって、
それが中華人民共和国と中華民国である。
中華民国は台湾・金門・馬祖を支配、中華人民共和国はそれ以外の大陸を支配している。
こちらは面倒なのが中華人民共和国は中華民国を国として認めることを許してくれないことである。
日本も中華人民共和国と国交を結ぶときには、中華民国と断交をしている。
スポーツでも例外では無く、中華民国は国として大会に参加できていない。
しかし、”Chinese Taipei” などの名前で参加が認められることが多い。
近年はこの漢字表記で揉めることがあり、
中華民国側は「中華台北」だといい、中華人民共和国側は「中国台北」だという。
「中国台北」というのは特別行政区として大会に参加する「中国香港」と「中国澳門」(=マカオ)の表記を合わせたものとみられる。
大会会場では「中華台北」と中華民国の主張を尊重しているものの、
中華人民共和国の国内では「中国台北」と報じられることが多いようだ。
一方の中華民国、すなわち台湾地域ではどのように報じられているか。
野球での両岸対決のテレビ映像があったのだが「中華」vs「中國」の表記だった。
それでいいんだと驚いたけど、もはや別の国という考えが定着した結果かも。
中華民国も大陸の領土は名目上存在するが、名目上のものと割切っていると。
台湾・金門・馬祖だけでも自分たちの国は中華民国であって、
中華人民共和国とは今後も並立して存在するという考えなのだろう。
もっとも報道機関によっては「台灣」vs「中國」の表記もある。
日本では、最近は”Chinese Taipei”は「台湾」と報じられることが多い。
NHKがそのように報じたのでそれでいいんだと気づいた面もあると思う。
日本政府の立場としては中華民国は国として認めていないものの、
台湾の権威ある機関と認めており、中華民国発行のパスポートは有効とされる。
そしてこのパスポートを呈示した場合、国籍等には「台湾」と表記される。
中華人民共和国と中華民国をお互いに国と認めることは認められなかったが、
台湾地域には中華人民共和国ではない機関が存在すると認めることはできた。
それならば中華民国に相当するものは「台湾」と表記するのがシンプルだと。
このあたりの問題はデリケートなことでもありなんとも言いがたいところはある。
韓国の「北韓」表記は仕方ないんじゃないのと思うんですけどね。
中華人民共和国の「中国台北」表記は会場内の表記との不整合は気になるが、
台湾は将来的に特別行政区となるべきという主張も理解できないわけではない。
(現在、香港・マカオに適用されている特別行政区はもともと台湾に適用する想定で計画されていたものである)
とはいえ、さすがに韓国を「傀儡」呼ばわりはちょっと……