昨晩泊まった厚岸というのはカキ養殖で有名な町である。
駅から宿までそこそこ長い橋を渡り、この付近だけ見ると島に渡るようだが、
実はこの橋は厚岸湾と厚岸湖を分かつ河口に当たる場所にある橋である。
橋を渡った先は湖南地区というそうで、島ではなく湖の南側なのである。
こういう地形から厚岸湖は汽水湖だが、塩分濃度は海より若干低い程度なのでほぼ海らしい。
海近くの道路では貝殻が転がっていることがあるが、防潮堤の外との対比からすると勝手に打ち上げられてきたようだ。
厚岸から汽車に乗って向かうのは日本最東端の都市、根室である。
釧路~根室の区間は花咲線と呼ばれ、普通列車(一部は快速)のみが走っている。
釧路で札幌方面の特急との乗り継ぎは意識されているが、それだけ。
1両編成の汽車はやはり観光客が大半のようである。
途中で急減速するから何かと思ったら、車窓観光のための減速運転をやってるらしい。
昨日、書き損ねたのだが、網走~釧路の釧網線も花咲線も採算は大変厳しい路線である。
ただ、その一方でJRとしては鉄道としての意義はあると考えているようである。
両路線とも平行する高速道路は存在しない。花咲線区間は計画はあるが事業化のめどは立っていない。
このため広域観光におけるメリットは大きいのだが、生活路線としての意義が薄いことが課題で、釧網線は特にその傾向が強い。
観光客が利用してると言っても、この本数で1両編成の汽車が満席になるかどうかという程度である。
沿線市町村に費用負担を求めるとなれば、スクールバスとか通院バスを機動的に走らせた方がよっぽど安上がりで便利であろうと思う。
でも、それでは広域観光は成り立たなくなる。非常に難しい路線である。
そんなこんなで汽車に揺られてたどり着いた根室駅はホーム1つのコンパクトな駅だった。
そんな根室について最初に向かったのは根室郵便局だった。
ゆうゆう窓口はあるが12:30で閉まってしまうからである。
ここで風景印を押すよう依頼して郵便を出した。今日窓口をやっている郵便局ではもっとも東でしょう。
根室市街を歩いていて思ったのは、そこそこ立派だと思ったが、官庁街というのが意義のほとんどだなと。
昼食を食べられるかと思ったホテルのレストランは、休日休みであったのはその表れかも知れない。
根室にはいろいろな役所があるが、その1つは北海道の根室振興局である。
かつての根室支庁を継承しているが、一時は釧路支庁と統合して道東総合振興局とする計画があった。
その下部組織として根室におかれる予定だった組織が根室振興局である。
ただ、この計画には集約対象の支庁のあった都市、特に根室からの反発は大きかったようである。
確かに根室はこれだけの役所を配するだけの必然性がある都市とも思えない。
もし支庁が失われれば、都市が崩れていくのではないかという懸念はあったのだろう。
名目上は根室支庁は根室振興局、釧路支庁は釧路総合振興局に継承されたが、
一部の業務は釧路総合振興局で根室管内も取り扱うという対応が取られているのが実情である。
もう1つ、根室で目に付くのが北方領土返還要求に関するものである。
官庁街を歩いていると「北方領土返還要求現地視察大会」という看板が立っていた。
どうもこの週末だったらしく、これが根室で宿が取れなかった理由? と。
といってもこの週末に限らず、埋まっているところが多くて、そういう問題でもなさそうな気はしたけど。
根室市はこの問題の当事者である。歯舞群島はもともと根室市の一部だからである。
根室市は機能停止中の国後島・択捉島・色丹島の各村の戸籍業務を代行しているが、それ以前にそもそも根室市の一部がロシア占領下なのである。
日本最東端の都市に来て郵便を出しただけで満足なわけはなく、
ここまで来たのなら足を踏み入れられる範囲で日本最東端の地、ノサップ岬を目指したいですよね。
バスが走っているのだが、実はこのバス、列車との接続が良すぎるのである。
このため郵便局へ行くと、その次の列車に接続するバスに乗るしかないのである。そしてバスで戻ってくるとすぐ列車に乗らないといけない。
なんだかなぁと思うんだけど、それがニーズに合っているのだろう。
バスターミナル内にクレジットカード・コード決済対応の券売機があって、ここで往復きっぷを買ってからバスに乗り込む。
途中「歯舞郵便局」とか歯舞の付くバス停がいくつかあったが、
歯舞群島の歯舞というのは根室市に合併する前の歯舞村から来ており、歯舞村の主な地域は北海道側である。
歯舞村の離島というのが歯舞群島の命名であろう。
よく北方四島という言葉を聞くが、歯舞群島の有人島だけで5つあるので誤解を招く言い方だと思う。
比較的小さな島の集まりだが、根室からの距離が近いだけに漁師の往来も多かったんじゃないか。
岬から双眼鏡で観察していたが、もっとも近い貝殻島灯台(廃墟)はよく見えた。
それ以外で明確に見えたのは標高の高い国後島の爺爺岳ぐらいかなぁ。
ノサップ岬は特にそうだけど、それ以外でも根室市内各所に「返せ!北方領土」みたいな掲示が見られるが、
果たしてこれらの地域を実際に日本が支配するとなってどうするか、真面目に考えて言っている人はどれぐらいなのだろう?
果たして日本支配下にあり続けたとして歯舞群島の有人島や他の島での生活は存続できたのか? けっこう大変なことである。
無人島だとしても漁民にとっての恩恵はそこそこあるでしょうし、特に歯舞群島はそれが大きな意義だったかもしれないけど。
対立はある一方で漁業や海上安全の分野ではロシアと一定の協力関係はあり、
ロシアが支配することに特に争いはないサハリン(樺太)では日本企業も開発に参加するなどして、ロシアとも現実的な関係を築いてきたところである。
ただ、ちょうど先日こんなニュースもありましたが。
サハリン2「ロシア企業に無償譲渡」の大統領令…三井物産・三菱商事が出資 (読売新聞)
こういうことが現実的になってくると、北方領土に関わる強硬論も強まるのかもしれないが、果たしてそれで問題が打開できるのかという話である。
まぁロシアに理屈が通用しないのは今に始まったことではないという見方もあるでしょうが。
根室駅に戻ってきて釧路行きの列車に乗り、釧路からは特急おおぞら号に乗る。
釧路での特急の乗り継ぎはとてもよい。良すぎて買い物もできないけど。
今回使っているLOVE HOKKAIDO! 6日間周遊パス では指定席を4回取れる。
自由席なら乗り放題でもあるんだけど、特に回数面で問題はないので根室駅でノサップ岬に出る前に指定席を取っておいた。
ということで指定された座席に座って目指したのは帯広である。
さすがに特急は速い。ただ途中で急減速することがあった。
どうもシカなどの動物を発見して減速したようだ。
帯広は十勝の内陸にある都市でけっこう大きな都市である。
それにしても帯広に着いて思ったのは、夜なのにこんなに暑いのかと。
アメダスによれば20時の気温が29℃ほど、今日に限れば東京より暑い。
北海道も内陸の夏は暑いんですよね。
まぁ北海道の気候は複雑な面もあるようで、平均すれば関東平野よりは涼しいけど、条件により極端な暑さを叩き出すことがある。
特にこのあたりは暑さに油断できない地域であることは確かだ。