中東情勢により原油の輸入が滞っているという件、
代替ルート・代替調達先と模索する一方、当座は備蓄で食いつないでいる。
ただ、この備蓄はガソリンの所要量を元に考えられたものであり、
石油化学工業用のナフサは元々ナフサとして輸入する分も多かった。
この分の代替調達はまた別に考える必要があり、あれこれ走り回り、
こちらもある程度は目処が立ったという話をしている。
日本ではナフサだったが、ヨーロッパではジェット燃料が問題だという。
欧州ジェット燃料「残り6週間分」 IEA警告、EUは対策検討 (日本経済新聞)
ヨーロッパでも自動車用の燃料、ガソリンと軽油だと思うが、
これをターゲットにおいて域内生産・備蓄を行っていたわけである。
この結果、元々はジェット燃料の75%を中東から輸入していたという。
このため航空便の維持が早々難しくなるのではと言われていると。
当然、これも代替調達を考えるが、必要量が多いと容易ではない。
ところでジェット燃料というのは灯油のことである。
灯油と軽油というのは似たような性質のある油種である。
日本はガソリンの需要に比して、軽油の需要が少ないことが知られている。
このため、石油製品という観点では軽油を近国に輸出している。
軽油の確保に苦心する国が日本から軽油が届いたので当座はしのげると言っているのは、元々そうだから。
おそらくヨーロッパで灯油の確保に苦心しているのは、軽油の優先度が高いからだと思う。
日本は石油化学工業用のナフサは元々輸入による分が多い。
自動車用のガソリンもナフサの一種だが、石油化学工業用としてはより分子量の小さいものを使う。
日本では自動車用のガソリン確保がもっとも重きがおかれている。
別にそれは日本に限った話でもないと思うのだが。
そういう中で自動車用のガソリンとしては軽すぎるナフサ分を世界各地から集め回っているということかと。
これを原料にプラスチックなどの製品を作っているわけだが、
これらの製品としての在庫もある程度はバッファとして機能している。
また、天然ガスなど石油以外から製造可能なプラスチックなどの製品もある。
というわけで日本とヨーロッパの状況を比べてみると、
日本は代替調達の余地が比較的あるナフサで、製品の在庫がバッファになっている。
限られたナフサは代替性がなく在庫が不足している製品への投入を優先するなどの戦略もある。
一方のヨーロッパは世界的に軽油最優先となれば灯油の代替調達は相当な困難があり、
飛行機に給油するには灯油そのものでなければならない。
灯油需要全体という点では暖房用燃料の節約というのも考え得るが、
即効性を考えると飛行機の減便という方向へ向かわざるを得ないのかな。
最近、日本の航空会社はヨーロッパ線の需要が高く、
高額な燃油サーチャージを徴収しながらも臨時便を出すような対応もしている。
これは中東経由で飛んでいた需要が移っているためと言われている。
特に元々ヨーロッパの南部だと中東経由のメリットが多かったのだが、
運休や情勢不安による忌避でヨーロッパ直行便を選ぶ傾向が強まっているらしい。
ただ、ヨーロッパ側での給油が難しいとなれば、これも難しくなる。
そういう中でも不可欠な路線であるという判断はあるとは思うが、
構造的な差もあり、日本は比較的なんとかなっている部分もある。
ただ、やはりこの状況が続くと各種の石油製品の供給に問題は出てくるであろう。
あと代替調達によるコスト増ですよね。これは全てに及ぶ。
産油国にとっても全く良い話はないんですよね。
パイプラインを利用した代替ルートでの出荷など少しでも出荷できる策を考えているので、
そういうところに日本企業も多く関わっていくのではないか。