智頭急行と鳥取県とICOCA

意外とかかった? という話ですが。

2027 年春 山陰本線下北条駅~淀江駅・因美線・智頭線にIC改札機を導入します! (pdf) (JR西日本)

智頭急行にICOCAが導入され、スーパーはくと・スーパーいなば をICカードで利用できるようになる。

これにより西日本管内の新幹線接続特急では スーパーおき(新山口~鳥取)を除き、

主な区間ではICカードが利用できるようになるということである。


驚いたのは、これと同時に途中駅は未導入だった倉吉~伯耆大山、

因美線も鳥取~郡家に限っては特急停車駅以外も導入することである。

鳥取県としてもバスへのICOCA導入含めかなり気合いが入っていることがわかる。

鳥取~郡家の全駅導入には、郡家で接続する若桜鉄道へのICカード導入も視野に入れた動きなのかな。

これを導入しても鳥取県内全線全駅とはならないが、相当なカバー率にはなる。


注意が必要なのは、スーパーはくと 停車駅相互ではICカードが利用できるが、

大阪~鳥取で別ルートで走る はまかぜ号 は大阪~城崎温泉のみの導入であるということである。

さっき新幹線接続特急はスーパーおき以外主な区間で利用できると書いたが、

城崎を超えて、香住・浜坂まで乗車するのは対応できない。

まして1往復だけ設定されている鳥取発着便で鳥取まで乗車するのはアウトである。

もっとも大阪・姫路~鳥取を通しで乗ることは基本的に想定してなくて、

現在は主に豊岡~鳥取のような利用を想定した運行形態である。

(cf.鳥取砂丘を行く: 浜坂~鳥取で はまかぜ を利用している)


鳥取県にとってみれば、主要都市との往来がほぼICカードで済むようになり便利である。

それで新たなICOCA導入エリアを見ると、岡山~伯耆大山~鳥取~上郡~岡山 というループが生じることがわかる。

今までICOCAエリアには近畿圏以外で環状経路は1つだけあり、

岡山~総社で吉備線と倉敷経由の2ルートが存在するところである。

ICOCAではエリア内に複数経路がある場合、最安経路を適用するルールである。

岡山~総社を通り抜ける場合、多くは倉敷経由での利用で、紙のきっぷを買う運賃表も基本的にはこちらで書かれている。

しかしICOCAでは安い吉備線経由のルートで計算する。

また、極端な例だが、岡山~備前三門を倉敷・総社経由でICOCAで乗車しても、

ICOCAでは最安経路で計算するルールなので150円引き落とされる。

この区間は特例がないので紙のきっぷで150円で乗ると不正乗車である。


ここも最安経路での計算となるわけだが、近畿圏や岡山~総社と異なるのは、

最短経路と逆に乗ると200km以内というルールを満たせない場合があるということである。

とはいえ、両回りとも合法という駅も存在することは事実である。

岡山~(吉備線)~総社~伯耆大山~鳥取~上郡~岡山 は377.8km、

ループ内の駅発着で最短経路が 177.8~188.9km にある駅同士であれば、

どちらに回ってもICOCA利用が合法ということになる。

見ての通りすごく狭い範囲なので、どれぐらいあるのかという話だが。


当然、特急を主な区間で利用する限りでは発生し得ないものである。

智頭急行が挟まるので最短経路=最安経路とは単純には言えないが、

極端に運賃が高いわけでもないので、あまり乖離は生じないようだ。

このためICカード利用で従来と異なる運賃になるケースはあまりないようだ。

というわけで従来的な考え方で問題ないということらしい。


ただ、これを見て思ったけど、津山~智頭の因美線がICカード未導入だからよいが、

ここがICOCAの運賃計算経路に入ると大きく変わってしまうことになる。

智頭急行開通から少し後の1997年まではこの区間も優等列車があった。

(津山線に2009年まで1往復だけ急行つやま号があったのはその名残である)

現在は1日7往復の運行、少ないなりには本数はあるが。

ICカード導入の意義も薄い区間で未導入なのは当然とも言えるが、

ここに導入すると最安経路が大きく変わるので考え物である。


城崎~鳥取もICカードを導入すると環状経路が成立してしまう。

ただ、こちらも最安経路と実際の乗車経路の乖離はそう多くないようだ。

姫路~鳥取であれば スーパーはくと の智頭急行経由のルート、

姫路~浜坂であれば はまかぜ の播但線経由ルートが最安である。

大阪~鳥取であれば スーパーはくと の智頭急行経由のルート、

大阪~浜坂であれば はまかぜ利用時の運賃・料金計算ルートである福知山線経由が最安である。

ただ、乖離が全く無いというわけではなく、それが京都~鳥取である。

スーパーはくと も京都発着便があるので乗り通しは一応想定しているが、

直通列車がなくなって久しい山陰本線ルートの方が距離としては短くて安い。


今までICカードのエリア同士が接しないように未導入区間を残す事例は多く見られた。

現在でも常磐線で 浪江(Suica首都圏エリア)~小高(Suica仙台エリア) の2駅間だけがICカード未導入で残っている。

JR西日本ではICOCAエリアは全部一体化され、エリア内に明確な境界はない。

ただし200km以内・特急停車駅相互という利用範囲の制限はある。

ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道が絡む場合、

これらは連絡運輸の取り決めの範囲内という制限もある。

(智頭急行にはそういう制限はないんですね)

とはいえ、日常的な利用や特急の利用には不便しない仕組みである。


ただ、ICOCA未導入路線が点在していることも事実ではある。

加古川線の西脇市~谷川や岩徳線のようにICカード利用はできないが、

他の特例との整合のため運賃計算上は使われる路線というのもある。

ただ、基本的にはICカードのエリアが寸断されていると計算には使われない。

その中には利用実態との乖離もあって繋げられない路線もあるんじゃないか。

もちろんJR東海のように特急のルートで計算するルールを入れる方法もあるんですけどね。

TOICAの不思議なルール

似たような問題のある 南紀号のルートにも来年春に導入予定である。

こちらは伊勢鉄道という他社も絡み、快速みえ という通勤列車もあり、

相当難しい話ではないかと思うが、打開できたということなのだろう。