船でゆく北海道

昨日、大洗港を出航して数十分も経てばもう携帯電話のインターネットは使えなくなった。
瀬戸内航路だと、結局は陸地の近くを通るから、電波はなんとか通じるけど、太平洋ではそうもいかない。
それなりに陸地を離れて航行するのだから。
でも後で調べたらこの船って航行区域は沿海区域なんだね。
すなわち陸地からおおむね20海里のうちで航行すると。(多少緩和されているので、もう少し離れる区間もある)


今回の客室はコンフォート、2段ベッドの部屋だ。
といっても2段ベッドというのはカプセルホテルのような感じになっている。
下段だったからどのみち関係ないけど、ハシゴを上らなくてもよくて、各寝台にテレビまである。
いまどき雑魚寝なんていうのははやらないので、ツーリストはかなり絞られている。
でも、ちらっとみたところカーテン付きなのね。意外とよさそう。
メインはスーペリアという個室で、大半を占めている。
ただ、定員的に一番多いのはコンフォートみたいね。やっぱり個室は贅沢だ。
しかし、ちょっと困ったのが、パブリックスペースの机の少なさ。
なにが困るかというと晩ご飯だよ。そう、晩ご飯は乗船前にスーパーで買い込んできたので。
大阪~別府航路だと机たくさんあったんだけどな。ツーリストの人への配慮ってのもあったんだろうけど。
個室メインとはいうけど、定員としては個室じゃない人の方が多いですから。


全く揺れない瀬戸内の大型フェリーに比べるとゆらゆらしてるが、
それでも船が大きいんだからあまり気にならない。波も比較的穏やかではあるんでしょうが。
とはいえ、船酔いする人はいるんだろうか。トイレに便器ではなく流しがある個室があって、
オストメイト(人工肛門の人)用設備?と思ったが、よく見てみると「シーシック用流し」、すなわち船酔いで気分が悪くなった人用らしい。
ちなみに、オストメイト用設備を含むバリアフリートイレは別にある。
そういえば車いすの人、けっこう船内でみたな。飛行機と違って自分の車いすで船内動けるのはメリットなのかも。
大洗港は車いすのまま乗り込める。苫小牧港は無理そうだったが、車両甲板から出入りするんですかね。


夕食は持ち込んだが、朝食は船内の食堂へ。
フェリーの食堂もいろいろだが、ここは食べ放題方式、料金の精算が簡単だからだろう。
実は夕食で食堂にしなかった理由の1つがそれで、ちょっと割高感があったから。
朝食は持ち込むのも大変だし、値段的にも納得だったので、食堂に行くかと。やはりよかったですね。
ちなみに、大洗~苫小牧航路は深夜発の便もあるが、こちらは食堂がなく自動販売機だけ。
食堂というのは特に人手がかかるのでシビアなもんで、でもあったらありがたいものではある。値段の問題はあるにせよ。
ちなみに昼食はおにぎりやサンドイッチなどの軽食の提供をしているよう。これは使わなかったが。


朝ご飯を食べて、甲板に出てみると陸地が近くに見える。
なんだ?と思って電話を持って、位置情報を拾ってみると青森県の下北半島だった。航行中でも特に陸地に近づく区間のようだ。
甲板だと電波を拾うが、船内では右弦の窓際では厳しい。左弦(陸地側)の窓際ならいけるんだろうか。
ところで甲板にはドッグランがある。狭いけど。
ペットを連れ込めるのも船ならではのこと。飛行機に対しての話ですが。
船のニーズもいろいろではあるけど、車を連れて、ペットを連れてというのは、確かに他にはなかなかない。


食後に風呂に入ったり、ベッドにあぐらかいて読書したりして、12時半ごろに外に出てみると、もう苫小牧港だった。
港内を慎重に進み、接岸してタラップをつけて、結局、到着は定刻13時半なんだけど。
ただ、早く着いてもバスは時刻表に合わせてしか来ないわけで。
苫小牧~札幌の高速バスの一部がフェリーターミナルまで延長運転する方法なのでね。
まぁ高速バスだけど、苫小牧駅までの人もこれに乗る。そして苫小牧駅下車と。


苫小牧駅から電車で札幌に行くわけだが、
一見、普通の通勤電車に見えるが、なんとデッキがある。中扉もデッキ付き。不思議だな。
厳しい寒さの北海道では通勤電車にもデッキをもうけてきたようだ。なので寒冷地にありがちなドアのボタンはない。
一方で最近ではエアカーテンを設けてデッキを設けない通勤電車もでているようだ。
そんな電車に揺られて札幌に到着した。
千歳まではのどかなところを走ってるなぁと思っていたが、千歳からは沿線も都市的になってきて、札幌駅ともなれば大都市のターミナルの風格がある。
やはり札幌って大都市なんだなぁと改めて思う。


さて、札幌駅の精算所で、この先の函館本線の運休について相談を。
というわけで、きっぷを出すと「そもそも札幌通ってないのでは」と言われてしまった。
いや、札幌・小樽経由なんだけどと、端末で運賃を検算した結果、僕の主張が正しいことがわかったのだが、
なんとこのきっぷ「室蘭線・千歳線・函館線」と書くべきところ、「室蘭線・函館線」と書いてあり、室蘭本線と函館本線は直接接しているので、駅員が疑うのもごもっとも。
というかなんでそこ省略した。以前も経由の末尾が切れたことあったけど、まさか中間の重要なところが消えてるとは。
誤解も解けたところで、札幌~長万部が不乗という証明書をつけてもらい、着駅で払い戻しできるようにしてもらった。
それにあわせてその他のきっぷの変更をみどりの窓口で行って完了と。


小雨だと思っていたが、街を歩いているうちにどんどん雨足が強くなり、
こりゃつらいと思ったら、人の流れに沿っていくと地下道にたどりついた。
札幌は雪対策として中心部では地下道が充実しており利用者も多い。というか雨で通勤時間帯ってのもあるけど、多すぎるでしょ。
いや、ここまで地下道の利用者の多い街は珍しいんじゃないかな。
というわけで冬でも安心だそうで。目的地次第ではありますけど。
本当は夜景目当てに山登りしようかと思ってたけど、この雨では。
ちょっと想定外だったけど、明日は晴れるらしいので、じゃあそこで挽回しよう。
というわけで、午後に北海道に着いてもさっぱりだったけど、それなりには今日も楽しめたので。


ちなみに札幌は高専の卒業旅行以来、でもあのときは都心しか回れなかったので。
今回はちょっと郊外にフォーカスを当てているのは、このときのことがあったからこそではある。