札幌で山登り

今日の札幌は曇りから晴れ、それなりにいい天気。
というわけで、午前中は野幌森林公園にある北海道博物館に行くことに。
往路は岩見沢行きの電車に乗って森林公園駅で降りて歩いていった。
このあたりは郊外の住宅地なんだけど、並んでいる家を見ると四角い。屋根が三角じゃない家が多い。
というのも、雪対策として、雪下ろしをせずに雪をためておける屋根にしてあるんですね。
本州でもあるのかな?雪下ろししなくていいし、雪も落ちてこないし安全性は高くてよさそうですけどね。
北海道は本当に寒いので、北陸などとはまた違う冬の備えがあるようで違うんだよね。


そんなわけで歩いていくと公園に到着した。すると巨大な塔が見えてくる。
なんだろと近づくも大した説明もない。後でわかったが北海道100年記念塔とのこと。
その塔から少し進むと北海道博物館があるのだが、道中に「歩くスキーコース」という看板が。
スキーというと滑るスキーの印象が強いが、歩くスキーもある。オリンピック競技でもあるよね。


北海道博物館だが、北海道の自然史から始まり、人の営みの歴史を現代まで追って、最後は北海道の自然で終わるという具合だった。
けっこううまくつながってるなと思った。
今の北海道に住む人の大半は明治以降に移り住んできた人たちが大半を占めている。
じゃあもともとこの地域に住んでいた人って?というのが丁寧に説明されていた。
そもそもアイヌ文化ってなんだよって話から始まる。実はこれって交易を通じて発展した文化だったんだよね。
海産品や動物の皮を輸出して、鉄製品や米を輸入する。そうして発展してきた。
しかし、輸入に依存ずる文化だったので、交換レートの悪化で窮し、植民地化されてしまうのだった。
さらにロシアに対抗するためには実効支配していることを示すために千島・樺太を含めて開拓する必要もあった。
そうして和人の入植もすすみ、もともとからのアイヌ人は少数派になってしまったのだった。
少数派になったアイヌたちは独自の文化を捨てざるを得ない状況になったのだった。
こうやって見てみるとアイヌ文化は滅びるべくして滅びたという感じだよね。


ところで、さっきアイヌは米は輸入に依存していたと書いたが、
開拓が進むに連れて北海道では米の生産が盛んに行われるようになった。
開拓が進む前は漁業がメインだったのだろうが、開拓が進み農業、鉱業が発展してきた。
鉱業は今は昔という感じだけどね。特に石炭ですね。
広大な土地を開拓して発展してきた北海道だが、今は札幌を中心に都市的な生活を送る人が増えている。
今も日本有数の農業地帯であることに違いはないが、明らかに重きをおくところが変わっている。


ところで、野幌森林公園には「開拓の村」という開拓時代の建物を多く移設した博物館がある。
時間がないので入らなかったが、かなり見応えのある博物館のようだ。
バスの時間まで余裕があったので、ちょっと無料エリアからのぞいてみたのだが、ちょうど馬車鉄道が見えた。
馬車鉄道というのは今の路面電車のルーツになった乗り物だ。
かつて道路も車も今ほどよくなかった時代、道路にレールを敷くと輸送効率もよく、乗り心地もよかったらしい。
馬車から電車に置き換えたものが路面電車だった。
でも今はバスでいいんですよね。道路の走り心地もよいし、バスも高性能になったから。
というわけでバスで新札幌駅まで。バスは1時間1本程度なので時刻表は要確認だ。


さて、地下鉄で都心に戻ってきて、市電に乗り込む。
西四丁目駅から電車に乗るが、なんと電車が車道の一番外側を走るので歩道から乗り込める。こりゃ便利。
電車で向かうのは藻岩山ロープウェイ、ロープウェイ入口駅まで乗る。
電車の中にはロープウェイの割引券があるので、これを取っていけばよい。
現在は環状化されている市電だが、もとは西四丁目駅~すすきの駅で切れていた。
少しだったのでつないで環状化したんだけど、このときできた区間は車道の外側を走るようにしたのだった。
この環状化と関係あるのか知らないけど、工事中の駅が多かった。


ロープウェイ入口駅からロープウェイ乗り場までは
そう遠くないはずだが、なぜかシャトルバスもあるらしい。
でも遠くないんだから歩けばいいよねというわけで行ったんだけど、けっこう急な坂を上る。
なるほど、これがつらい人はバスを使えるのかと納得した。坂を歩けるならバス乗るまでもないよ。
ロープウェイ乗り場で山頂は視界が悪いがと説明を受けたが、なんとかなるでしょと。
ロープウェイとミニケーブルカーを乗り継いで山頂までやってきたが、実際はそんなに悪くなかった。
ただ、確かに市街地方面に雲がかかりやすく、ややかすんだり、真っ白になってしまうときもある。
でもタイミングを選べば普通に景色は楽しめるので、不良ってほど悪くないんじゃないでしょうか。
観劇用に買った双眼鏡を自然観察用にと持ってきていたので、これであれこれと見ていたが、
思ったのは、まず都心から近いということ。これが藻岩山からの夜景が評判な理由だ。
そしてやはり計画都市ということで、郊外には住宅地が広がっているのがよくわかる。緑も公園・牧場・田畑とくっきりしている。
双眼鏡持ってくるといろいろ見えるもので、さっきまでいた北海道博物館も見えた。北海道100年記念塔を目印に探すとわかった。
まさに札幌を一望できるところですね。


さて、ここから次の目的地に向かうために地下鉄の終点、真駒内駅へ。
途中から地下から高架に出るけどずっとシェルターの中を進む徹底っぷり。雪対策にぬかりはない。
ここから洞爺湖方面のバスに乗るのだが・・・・・・バス乗り場の案内にない。
というかバス停が多すぎるんだよな。地下鉄の終着駅にしてもここまでとは。
わからんので駅員に聞くと端の端にあるようで、行ってみるとぽつんと「道南バス」のポールがあった。
1日1便のみ停車、予約制のバスということでずいぶんな扱いだった。
定刻から7分遅れぐらいでバスはやってきた。本当に来るんだろうなとびくびくしてたが、ちゃんと来て一安心。
ここから1時間ほど山を登り中山峠に、ここまで札幌市、ここからさらに山の中を進む。
札幌~洞爺湖のバスは1日4往復・予約制、なんで予約制なのかはよくわからないけど。
観光路線の色が濃いが、生活路線でもあり、地元の人っぽい利用者もいた。
そうして走ること2時間ほどで洞爺湖が見えてきた。そこからまだ走って洞爺湖温泉に到着した。


旅館にチェックインすると「8時から花火をやるので、旅館の外のここがベストスポットだ」とのこと。
花火?と思ったのだが、どうも洞爺湖ではロングラン花火大会ということで、
一定期間の毎日、花火を打ち上げているらしい。なかなか豪勢だが、話題作りにはなるんだろう。
部屋から見える場合もあるが、他の建物との位置関係もあるので、確かにベストスポットとされた場所から見るのがよかった。
花火なんて見るの久しぶりだな。まさかこうして不意に見ることになるとは。
まぁ洞爺湖に来ること自体、函館本線運休という不意なことがあったからこそなんだけど。