実験的な意味合いがかなり強いと思うのですが……
川崎市、ごみ焼却の排ガスから特殊な膜でCO2分離へ 国内初、26年から (カナロコ)
ゴミを焼却すれば二酸化炭素が発生する。これを回収してみようと。
二酸化炭素は放出すると温室効果ガスとして地球温暖化の原因となる。
これを地中に貯留すれば地球温暖化の原因にはならない。
この二酸化炭素を分離して貯留する技術を CCS と呼ぶ。
あるいは他の化学原料として使用するということも考えられる。
貯留も課題だが、二酸化炭素を集めるのも大変である。
現状先行しているのは、化学反応で吸収液に吸収させたり、物理的に吸着させる方法である。
二酸化炭素を吸収・吸着させること自体はそう問題ではないらしいが、
問題はそこから二酸化炭素を分離して、再度吸収・吸着できるようにすることで、
ここにかかるエネルギーが大きいことが大きな問題のようだ。
このエネルギーが大きいと、二酸化炭素排出量は削減できても、
エネルギーの消費が増大し、省資源という点で大きな課題がある。
ところでちょっと話は逸れるのだが、物理吸着を使った装置として酸素濃縮器がある。
これは窒素を吸着できるゼオライトを使用している。
空気を加圧して入れると、窒素が吸着されて、空気の他の成分が濃くなる。
空気中で窒素(78.1%)に次いで多いのが酸素(20.9%)である。
仮に窒素を全部吸着できれば95%が酸素の気体が得られる。
実際にはもう少し低いらしいが、上限は確かにこの程度のようだ。
その後、吸着された窒素を減圧して放出する。
この窒素を放出する部分に着目すれば、窒素ガス発生装置となる。
二酸化炭素の分離というのはこちらですね。
冒頭に出てきた膜分離方式というのはこれらとは異なり、
二酸化炭素を通しやすい膜を用意するんですね。
ただし、二酸化炭素ばかりを通すというのは難しいようで、
膜を1段通るだけでは二酸化炭素の濃度が少し上がるだけである。
そのため、これを再び加圧して膜を通す。するとさらに濃度が上がる。
これを繰り返すことで濃い二酸化炭素が得られるようになると。
この方式は圧力差を作るのにエネルギーは使うのだが、
吸収・吸着させたものを分離させるのとは違うエネルギーの使い方で、
比較的省エネということで期待されているようである。
低い濃度からの分離にも適しているということで、
これがゴミ焼却施設という二酸化炭素が生じるが、さほどでもない施設が選ばれた理由なのだろう。
他の方式に比べると装置がコンパクトなので、
化学原料として二酸化炭素が必要な場所の近くで集めることが1つ考えられている。
これはCCSで地中に貯留するというよりは、
二酸化炭素を作るためのエネルギー消費を避ける目的が大きいのかなと。
もちろん二酸化炭素をドライアイスなどの形で運んでくることは考えられるが。
この点ではゴミ焼却施設での二酸化炭素回収というのはあながちハズレでもないのかもしれないが、
今回実験を行う施設のある川崎区浮島は製油所など比較的高濃度の二酸化炭素が生じる施設があるわけで、
特にここでやるメリットはないようにも思う。まぁ実験ですからねと。