Taiwanのユニフォームなのか、CT(Chinese Taipei)のユニフォームなのかという話を書いたが、
その中で日本で生まれた台湾籍の子は、許可を受けなければ台湾に「帰国」できないという話を見た。
なかなか日本では考えられない話だが、ここには中華民国の特殊な事情がある。
今は日本では中華民国のパスポートを呈示する人は国籍・地域欄に「台湾」と記載するルールである。
中華人民共和国と区別する必要性から導入されたルールと言える。
このため台湾籍と書いたが、台湾人と書くのはちょっと抵抗がある。
というのも 台湾原住民 と言われると昔から台湾に住んでいた民族がいるんですよね。
民族的なことを言えば大概は漢民族だから、やはり中国人?
難しい問題だが、中華民国が台湾地区のみを支配し、中華人民共和国との決別してもう長い。
このため、世論調査でも台湾人と自称する人の割合が相当高くなっているそうだ。
とはいえ、やはり表向きは中華民国の領土は大陸まで広がっている。
このあたりの事情を整理するため「台湾地区与大陸地区人民関係条例」というのがある。
この制度では台湾地区(澎湖・金門・馬祖含む)とそれ以外の大陸地区に分け、
台湾地区に戸籍のある国民を台湾地区人民、それ以外を大陸地区人民と規定している。
大陸地区人民は様々な制約があり、台湾地区への渡航・在留に許可が必要となる。
また、台湾地区人民は大陸に戸籍を置いたり、大陸地区(中華人民共和国)のパスポートを持つことを禁止されている。
ここは国籍唯一の原則に類似した考え方である。
現在、中華民国は重国籍を許容しているが、大陸籍との重複は認めていない。
ところでこの戸籍というのは日本とは少し意味が違う。
国民だけが対象なのは同じだが、住民登録を兼ねているわけですね。
このため海外転出すると戸籍が失われるわけである。
そしたら台湾地区人民ではなくなるじゃないかと。
ただ、実務上はほぼ変わらない。過去に台湾地区に戸籍があった人は届出ですぐ戸籍が回復するためである。
このことはパスポートの身分証統一番号の記載があるかで確認出来る。
この記載がある場合、現に台湾地区に戸籍がなくても許可不要である。
このことが冒頭の話につながるわけである。
外国で生まれた台湾籍の子は台湾地区に戸籍が存在したことがない。
このため大陸籍の人と同様に許可を受ける必要がある。
中華民国のパスポートがある人が許可を受ける場合は「臨人字号入国許可」というそう。
これで台湾に渡って、戸籍を登録すると台湾地区人民になるわけである。
この戸籍登録にはいろいろ条件があって半年以上の居住が求められるものもあるが、
外国生まれの18歳未満についてはすぐに登録できるという。
以前、日本で生まれた子の中には無国籍状態の解消に時間を要する人がいるという話を書いた。
「日本国内で国籍取得手続きが完了しないケース」があると書いた。
中華民国国民としてパスポートの発行を受けることは可能なので、
国籍を証するものがない状態が続くという意味の無国籍ではない。
しかし、台湾地区人民になるには台湾に渡る必要があるという点では共通的である。
日本人の子は外国で生まれても(重国籍になる場合は「日本国籍を留保する」と書いて)出生届を出せば、それだけで「帰国」は自由である。
この条例で重要なのは台湾籍と大陸籍を分けることである。
この定義上、親が台湾籍でも外国生まれの子はそれだけで台湾籍にならないが、
潜在的には台湾籍なので、手続きの上で台湾に渡れば、容易に台湾籍になる。
問題は明確に大陸籍と分類されてしまった人である。
先ほど書いたように中華民国では戸籍は住民登録と連動している。
このため大陸地区に定住すると台湾地区人民の資格を失うと。
中国の居住証で台湾戸籍抹消 第1号の大学教員が反発「中国のほうが民主的」 (風傳媒日本語版)
この場合、外国に転出して台湾地区戸籍を失った場合とは違うフローになるという。
これはさすがにどうなんだという話だが。
そういえば、この 身分証統一番号 の仕組みって、日本の国外転出者のマイナンバーカードと同じですね。
戸籍の附票からマイナンバーカード
マイナンバー(個人番号)は住民基本台帳の住民票コードを基礎としている。
国外転出者へのマイナンバーカード発行について様々検討があって、
戸籍を基礎にするのではなく、本籍地で管理される戸籍の附票を基礎とすることにした。
戸籍の附票は住民票と同じ住民基本台帳法を根拠としている。
番号利用法の施行(2015年)以降に1日でも住民票があればマイナンバーが存在する。
でも、それに当てはまらない人はマイナンバーがないのでマイナンバーカードが発行できない。
それとほぼ同じなんですよね。現時点ではここは特に問題になってないのかな。