なぜ福岡空港よりセントレアの方が少ない?

昨日、こういう話を書いた。

って、セントレアより福岡空港の方が国際線の利用者多いんかい。

(神戸空港は仙台空港を抜いた)

にわかに信じがたかったので調べたのだが、便数で見ても相当な差がついていた。


中部国際空港、セントレアは成田・関西に次ぐ国際線の基幹空港、

そして従来の名古屋空港(現:県営名古屋空港)の国内線も継承する空港として作られた。

これらの空港の中では比較的国内線の割合が多い空港である。

かつての名古屋空港は手狭で国際線の増便はおおよそ困難だった。

旅客便・貨物便とも国際線への期待が大きい空港であったことは確かである。

2009年度、国際線の利用客数で多い順に並べれば 成田・関西・中部・東京(羽田)……だった。

翌年の羽田空港 国際線ターミナル(現:第3ターミナル)開業で事情は大きく変わるのですが。


2019年、国際線の利用客数は 成田・関西・東京・中部・福岡・新千歳・那覇と並んでいる。

全体的に国際線の利用者は大きく伸びた。

成田は羽田に相当数転出したが、まもなく増加に転じている。

中部も年678万人まで伸びていたが、福岡の伸びは著しく年640万人に達していた。

そう、2019年時点でもうすぐそこまで迫られていたのである。

もっとも福岡空港は滑走路もターミナルも限界に達していた。

対策として2020年に奈多地区(奈多ヘリポート)にヘリコプターが移転、

昨年、B滑走路が主に国際線離陸で運用開始、国際線ターミナルの拡張も完了した。


2020年となり新型コロナウイルス騒動で国際線は大減便となる。

検疫体制の都合、中国・韓国からの到着便を成田・関西に限定する指示を出したこともあった。

そうこうしていたら2022年にはロシアがウクライナでの特別軍事作戦を開始、

ヨーロッパ諸国の航空会社はロシア・ベラルーシ上空を飛べなくなり、

日本の航空会社もトラブル時の対応に懸念があると迂回することに。

ヨーロッパ線の運航に大きな影響を与え、物流への影響も大きかった。


一方でアジア線は復帰も早く、2019年より需要が伸びている方面が多い。

ところが中国大陸は以前の需要に戻っておらず、そんな中で政府が日本への旅行を控えるように指示を出し、

これもどれぐらい影響があるのかは疑わしいが、団体旅行への影響は比較的多いとみられている。

まさにこのあたりの事情が福岡と中部の行方を分けたわけである。


先に国際線の全体的な事情を知るために成田・関西の便数を確認する。

2019年と2025年の夏・冬ダイヤの平均値を比較すると、

成田では週3448便→3307便と4%減となっている。

もっとも減少幅が大きいのがヨーロッパ線で288便→90便である。

これは羽田空港移転の影響がもろに現れている。

便数で大きいのが大平洋線(グアムは別集計)が658便→414便である。

これはデルタ航空の成田撤退の影響が大きいのかなぁと。

一方、伸びが大きいのが韓国線388便→511便、台湾線277便→303便、香港線258便→294便、

その他アジア線(東南アジア・中東など)が835便→909便となっている。

中国線も544便→574便で伸びているのは確かだが他方面に比べると少ない。


関西はアジア路線の割合が元々高いため、より顕著である。

全体としては週1421便→1542便で9%増となっている。

伸びが大きいのが韓国線290便→420便なのは同じである。

香港・マカオが125便→140便で増加割合としては高い。

台湾・東南アジア・中国はほぼ2019年比では横ばいである。

一方、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア・グアムはいずれも7割減ぐらい。

とはいえその他アジア、実態としては中東路線だがこれが若干増加しており、

合わせてヨーロッパ方面とみれば 45便→39便で一定程度確保されていると言える。

直行便の維持が難しい状況で乗り継ぎ便で一定カバーしていると言えそうだ。


では中部はどうかというと、全体として 週459便→335便で27%減という状況である。

韓国線だけは伸びていて 68便→88便となっている。といってもこれまでの数字と比べると寂しいが。

台湾・香港は87便→82便で比較的保っているが、他がボロボロである。

東南アジア線が80便→61便、これも減ったなりにはあるが。

中国線が176便→93便でほぼ半減である。

ビーチリゾート(ハワイ・グアム)が26便→11便、

アメリカ線は6便→0便、ヨーロッパ線は18便→夏のみ3便、

中東路線(といっても北京経由アブダビ)は7便→0便である。


福岡空港なのだが、まとまった資料がなく、今日の便数から見積もると、

韓国線が日76便、台湾・香港が日26便、東南アジアが日20便、中国が日12便である。

7倍すれば週あたりの便数になるが、中国線を除けばどれもケタが違う。

韓国線に限れば関空や成田と同程度ぐらいある。近いもんな。

福岡空港は一時ヨーロッパ線が存在したが、現在は休止が続いている。

アメリカ線はホノルルだけ存在したが昨年11月で休止されている。

というわけでいかにアジア路線に特化しているかということですね。


なんでセントレアはこんなに苦しんでいるのかという話だが、

関空に収まらない中国線が回ってきてたからですね。

ところが中国大陸との往来は回復が遅く、やっと主要空港の便が復したぐらいである。

今後の状況も疑わしいもので、セントレアに回ってくる余地は乏しい。

韓国・台湾・香港についてはセントレアも悪くない状況である。

ただ、それより遠い路線がボロボロなんですよね。これも苦しい。

航空会社としては関空や羽田に集約する判断になっているのだろう。


羽田空港の国際化以前は、東京方面の補完にセントレアの出番もあったが、

成田・羽田の2空港体制が確立した状況で、そういうニーズはとうにないだろう。

神戸空港の国際線チャーター便が始まり、韓国・台湾路線を中心として相当な利用がある状況だが、

目的地が関西だというならばこちらの方が有利なのは明らか。

セントレアの便数が増える機運には乏しいのかもしれない。


セントレアがこれでは寂しいという話で書き出したわけだが、

一方の福岡空港もこう忙しくては大変じゃないかと。

拡張の余地に乏しいところをあれやこれや捻出している状況である。

伊丹空港の次に騒音対策に手を焼いているのが福岡空港である。

伊丹空港は便数は増やさず、低騒音ジェット機の活用で需要に応えているところである。

福岡空港は純増が求められている状況では騒音対策も大変である。

滑走路は2本になったがクロースパラレルでは増便余地も限定的である。

北九州空港などへの分散も進めないと厳しそうだが、果たしてどうなることやら。