ダービー馬より強いオークス馬と言われると、そんなのもいるかもしれないが、
日本ダービーでこれまで最も強いとされた馬よりも強い勝ち方をしたオークス馬と言われると、なかなか信じがたい話である。
というのが昨年の牝馬三冠、リバティアイランドなんですけどね。
昨日「ワールドベストレースホースランキング」と「JPNサラブレッドランキング」が発表された。
これは昨年に出走したサラブレッドのパフォーマンスをレーティングで数値化したランキングである。
レーティングの単位はポンド、パフォーマンスの差を負担重量の差に換算して表示している。
レーティングが決定されるまでの流れは次の通りである。
まず、JRAでは重賞・OPクラスのレース後、JRAのハンデキャッパーが上位馬にレーティングを付ける。
地方競馬のダートグレード競走もNARの担当者がレーティングを付ける。
まずはこの数値が速報値として発表される。
その後、115ポンド以上の馬については国際会議で審議が行われる。
年間の各馬のパフォーマンスも振り返って調整が行われることがある。
そうして発表されるのがワールドベストレースホースランキングである。
114ポンド以下についてはJRAとNARの審議のみで決定されるので、
ここまで含めたものが JPNサラブレッドランキング である。
レーティングの決め方にはいろいろな考え方があるようだが、
上位馬の過去の持ちレートを参考に決める方法がまずある。
過去のレーティングの実績がしっかりしている馬がいて、
そのレースでもしっかり実力を発揮したと判断できれば、
その数字を基準にして着差を重量に換算して加減すればレーティングを決められる。
しかし、必ずしもそのような信頼における基準馬がいるとは限らない。
その場合、過去の同一レースでのレーティングの相場が参考にされる。
2歳・3歳限定戦だとこういう相場が重視されることが多いんじゃないか。
で、日本ダービーとオークスの1着馬の相場だが、最近はそれぞれ119ポンド、113ポンド程度のようだ。
日本では牡馬と牝馬の負担重量差は2kg=4ポンドなので、
牝馬限定戦のオークスで113ポンドは牡馬換算だと117ポンドである。
一般的にはダービー馬の方がオークス馬より強いとなることが多いと。
熾烈な出走権争いになるダービーの方がレベルが高いのは当たり前か。
さて、冒頭に書いた「日本ダービーでこれまで最も強いとされた馬」とは、
2005年のダービー馬、そしてクラシック三冠を達成した ディープインパクト である。
レース直後には119ポンドとされたが、後にダービーのレーティングが上方修正され124ポンドとされた。
数字上はこれが日本ダービー史上最強馬である。
一方のリバティアイランドだが、オークス後には120ポンドとされた。
この時点でかなりざわついた。
牝馬の120ポンドは牡馬換算で124ポンド、ディープインパクトのダービーと同じ数字だったから。
数字上はダービーを楽勝しても不思議ではない数字である。
実際、翌週のダービーを勝ったタスティエーラに付いたのは119ポンドだった。
牡馬・牝馬の差を考慮すればリバティアイランドの方が5ポンドも強いのだから。
とはいえ、オークスにしては異常な数字なので下方修正もあるかもと言う人はいた。
しかし、実際に行われたのは上方修正だった。
オークスのリバティアイランドは121ポンドとされた。(ジャパンカップ2着時も121ポンド)
これによりダービーのディープインパクトを越えてしまったのである。
当然、この数字はオークス史上最強でもある。
一方の日本ダービーは下方修正が行われ、1着のタスティエーラは117ポンドに。
今年の3歳馬のレベルは低かったということで調整された面もあるが、
牡馬三冠を分け合った3頭の比較でも、
- ソールオリエンス(皐月賞) 119ポンド
- タスティエーラ(ダービー) 118ポンド(有馬記念6着時)
- ドゥレッツァ(菊花賞) 120ポンド
とダービー馬の評価が最も低くなってしまった。数値上だけの話だけどね。
JRA賞の最優秀3歳牡馬は圧倒的な得票で タスティエーラ に与えられたわけだし。
リバティアイランドにオークスとは思えないレーティングが付いたのは驚くべきことだが、
ディープインパクトが走っていた時代に比べれば日本馬の評価は高まった。
このため日本国内のレースでも高いレーティングを付けやすくなっている。
今年のワールドベストレースホースランキングはイクイノックスが1位になったことが注目されている。
ジャパンカップのイクイノックスは最終的に135ポンドで確定した。
イクイノックスにここまで高いレーティングが付いた背景には、
ドバイシーマクラシックでイクイノックスの2着となったウエストオーバーの活躍によるところも大きい。
でも、それだけじゃないんだよね。
日本競馬が芝長距離(2100m超)で世界トップクラスの評価を受けていたからこそだよね。
その中でもジャパンカップと有馬記念は特に評価の高いレースである。
今年のジャパンカップは好メンバーが揃い、掲示板には中長距離のチャンピオンがずらり。
こういう状況だったのでイクイノックスにもこれだけの数字が付けられたんですね。
年間レーティングが決まると、各レースの上位4頭のレーティング平均からファイナルレースレートが求まる。
そうして求まったG1レースのファイナルレースレートから「世界のトップ100GⅠレース」が発表される。
今年はジャパンカップが世界1位、126.75ポンドとなった。
凱旋門賞が1位になる年が多いのだけど今年は3位、
ドバイシーマクラシック(126.50ポンド)とジャパンカップが上回った。
イクイノックスの走ったレースが高評価になるという側面はあるが、
イクイノックスが走らなかった有馬記念も8位(123.00ポンド)と高評価。
というわけで昨年は日本競馬の世界的評価が上がりましたねという話だった。
芝長距離に比べると、他の区分はトップレベルとは言いがたいところもあるが、
多くのレースがトップ100に入っており、全体的にハイレベルではある。
今年は日本のダートG1(国際格付け)、3つ全てが100位以内に入っている。
アメリカ以外のダートのレースで100位以内に入っているのは、
ドバイワールドカップとサウジカップと日本の3レースに限られる。
そのドバイワールドカップとサウジカップを勝ったのはいずれも日本馬である。
日本ローカルのJpnグレードからの移行にはまだ課題もありますけど、
現状の評価も決して低くはないことは知っておくべきだろう。