一部の国では旅行中の宿泊費や飲食費などのサービスについて、
付加価値税(VAT)の還付を受けられるということを知って驚いた。
確かに外国人旅行者がサービスを受けることはサービスの輸出に分類されるけれどさ。
日本で消費税が課税される場合、課税されない場合、いろいろあるけど、
外国人旅行者が消費税免税を受けて買い物をしている姿は都心の繁華街やら行けば見る。
以前は耐久消費財に限られていたけど、今は食品や消耗品も対象になったが、
未使用の状態で輸出することという条件がつけられていて、出国前にチェックが行われるので、
中身が見えるよう透明で開封するとバレる袋に入れられている。そう言われると心当たりはないかな?
旅行者にとってはそうだが、一般的に商品を輸出するときには消費税はかからない。ただし、輸出先の国でVATの類を支払う必要がある。
逆に日本に商品を輸入するときには少なくとも消費税は徴収される。旅行者の持ち帰った商品も免税点以上なら消費税が課税される。
一方、サービスについては国境を越えて提供されるサービスは消費税は課税されない。
国際電話とか国際線航空券とかはなるほどと思うけど、Koboの電子書籍はカナダの会社がインターネット越しに提供しているものなので日本でもカナダでもVATの類は非課税だ。
それはいかがなもんかということで、今年10月から日本向けにサービス提供を行う事業者は日本の消費税を納める必要が出てくる。
実際にみんな納めに来るの? という疑問はあるけど、まぁKoboとかAmazonとか規模が大きい事業者が逃げなくなればいいんじゃないの。
それはいいんだけど、サービスの提供が国内で完結するホテルとか飲食店とかは、普通に日本の消費税が課税される。
日本に限らず、世界的にVATの類の課税はそのような扱いになっている。
とはいえ、旅行先でサービスを受けて、日本に帰ってきても、外国で受けたサービスを輸入したといって消費税を課税されることはない。そりゃそうだ。
どこかでVATの類を払えばよいと考えれば、旅行先での宿泊費・飲食費などのVATの払い戻しを受ける道理はないように思える。
外国人旅行者が受けたサービスに対するVATの還付制度があるのはEU加盟国の一部と韓国なのだが、
EU加盟国について言えば、サービスに対するVATの還付には1つ条件がつけられている。
VAT(付加価値税)の払い戻しを受けるには(pdf) (London Heathrow Airport)
VAT還付の対象外項目としてサービスと書いてあるけど、†の注釈をたどると商用目的の旅行者は除外されると書いてある。
商売のための旅行ならばVATの払い戻しが受けられるのだという。
なんでかな? ということで、イギリスの会社から100万円(本体価格)の製品Aを買って、日本で100万円(本体価格)で買った製品Bと組み合わせて製品を作って、
これを日本で1000万円(本体価格)で売った場合を考えてみる。
製品Aを輸入するのはいいけど、その打ち合わせのためにイギリスに出張をして、航空券50万円、宿泊費等50万円(本体価格)を費やし、
日本で客との打ち合わせなどの出張に50万円(本体価格)を費やしたとする。
単純に計算すると、手元には650万円のお金が残るはずだ。
日本国内で製品Bを買うと100万円+消費税8万円を払うが、イギリスから製品Aを買うとVATはかからず本体価格の100万円だけ払って買う。
ただし輸入時に製品Aの消費税8万円を支払わないといけないので、結局どちらも108万円で買うことになる。
イギリス出張時の航空券は消費税もVATも課税されないから50万円だが、イギリス出張時の宿泊費はイギリスのVAT(20%)が課税され50万円+VAT10万円となる。
日本国内の出張費50万円についても、消費税が課税され50万円+消費税4万円となる。
このとき、この会社が1000万円の製品の売上に対して払う消費税を計算するために、
仕入れ時に支払った消費税を計算すると、製品A 8万円+製品B 8万円+国内出張 4万円=20万円で、
1000万円に対する消費税80万円からこれらの仮払消費税を差し引くと60万円となり、この会社は60万円の消費税を納めることになる。
その上で手元に残る金額を計算してみると、1080万円-60万円-108万円-108万円-50万円-60万円-54万円=640万円と、最初に手元に残るはずと計算した650万円より10万円少ない。
この10万円というのはイギリス出張時にイギリスで支払ったVATで、これを取り返すために商用目的の旅行者はサービスに対するVAT還付を受けられるのだ。
もっとも、完成した製品をイギリスで売る場合は還付手続きをせずとも、このVATも差し引くことができるはず。
この会社にイギリスに支店があって、ここがイギリス国内で販売するときにはVATを納める義務が生じる。
イギリス出張で宿泊費等に費やした費用以外は日本で支出したとして、これをイギリスに輸出すると、
日本では消費税非課税で、仕入れ時に支払った仮払消費税は還付され、手元に20万円戻ってくる。
イギリスでは日本から完成品を800万円で輸入したとする。輸入時にVATを160万円支払う。
その上でイギリスの支店では客から1000万円の商品に対して200万円のVATを受け取る。
そしてイギリスの支店が納めるべきVATは、200万円-イギリス出張時の宿泊費等のVAT 10万円-輸入時のVAT 160万円=30万円となる。
このとき、日本側で手元に残る金額は 800万円+20万円-108万円-108万円-50万円-54万円=500万円、
イギリス側で手元に残る金額は 1200万円-30万円-960万円-60万円=150万円で、合計すると650万円、最初の計算通りだ。
なんでEUで商用目的のサービスに対するVAT還付制度があるのかというと、
EU圏内の他国で支払ったVATを、自国でVATを納めるときに差し引くということは、他国で払ったVATを還付して、自国で払いなおすということに相当する。
その他国で払ったVATというのは商品に限らずサービスに対するVATも含むわけで、商用目的のサービスに対するVATも還付対象となっているようだ。
そんな事情があるわけで、EUの国も考えはまちまちで、相手の国も同様にサービスに対するVATの還付を行っている場合に限り、還付を行うという国もある。
ただ、イギリスについて言えば、特に相手の国は定めず、そのような制度のない日本に対しても還付を行っている。他にドイツ、スペインなどもそうだ。
日本で消費税を納める場合は、消費税の課税仕入れにならない部分を補完してくれるのでありがたいのだが、
逆に、イギリスで売るために日本に出張したとしても、日本で支払った宿泊費等の消費税はイギリスでのVAT支払時に差し引くことはできないはず。
だからイギリスなど、日本にもサービスに対するVATの還付を許している国は寛大なんだと思うよ。