左矢印信号を単独の用途

右矢印信号というのは比較的見る機会が多い。

青信号の後に右矢印信号を出して右折車を流すという使い方は全国的に多く、

直進・左折と右折を別々に流す右折分離方式も地域によってはよく見る。

右折分離方式では左折と直進を流すために、左矢印・直進矢印信号も使う。

しかし、その場合は左矢印・直進矢印は同時に点灯する。


で、気になったのは左矢印信号を単独で使うのってどういう状況なのかということである。

というのも左矢印信号単独というのは自転車にとっては結構怖い信号である。

自転車は第一通行帯を走行するため、左折専用レーンであっても通らざるを得ない。

とはいえ、その第一通行帯の中で右側に寄っておくことで、

左折車と大きく干渉せずに直進・二段階右折をできる場合もある。

ところが左矢印信号単独ではそういうわけにはいかない。

端に寄って左折車が通るのを待たざるを得ない。

そういう交差点では普通自転車なら歩道に入る方がよいと思うのだが、

特定原付ではむやみに歩道に入れないので車道の端に寄って待つしかない。

左折車にとっても怖いだろうとは思うけど、それ以外にやりようがないのだ。


調べたところ、曲がる車が多い交差点では青信号の前に左矢印信号を出して車を流すことがあるそうだ。

仮に南側~西側で曲がる車が多い交差点があったとする。

南側から西側に左折する車を左矢印信号で先に流す。

このときは横断歩道は全て赤信号にするので、横断歩行者待ちが生じない。

さらにいえば、このタイミングで西側から右折して南側に向かう車を右矢印信号で流すこともできる。

例えばこういうサイクルを繰り返すことが考えられる。

  1. 東西方向 青信号(歩行者用信号含む)
  2. 西側から右矢印信号、南側から左矢印信号
  3. 南北方向 青信号(歩行者用信号含む)

この場合、2.と3.の間には一旦赤信号を挟むはずである。

2.では横断歩行者待ちはなかったが、3.では左折車は横断歩行者を待たないといけないということで、

左折する場合に注意するポイントが変わるためである。


T字路でも左矢印信号が単独で使われることがあるが、

直進できないので、右折分離方式をすると右折と左折に分かれるということかと。

西から来た道路が、南北方向を走る道路にぶつかるT字路だと、

  1. 南北方向 青信号(歩行者用信号含む)
  2. 西側から左矢印信号、南側横断歩道の歩行者用信号青
  3. 西側から右矢印信号、北側横断歩道の歩行者用信号青

とすると、東西方向の横断歩道と車が交差しないわけですね。

なお、これでは自転車の二段階右折ができなくなってしまうので、

東西方向については左側の横断歩道の歩行者用信号に「自転車・歩行者専用」を付けて対応しているのでは。

すなわち、自動車が右折するタイミングで自転車は左折・二段階右折をするということになる。


左矢印信号を先発で出す交差点も歩行者用信号に「自転車・歩行者専用」を付けていることが多いのかな?

と思ったが、必ずしも徹底されていないようだ。

もしも歩行者用信号に「自転車・歩行者専用」を付けた場合は、

左折・直進・二段階右折を問わず、歩行者用信号が青になるまで待たなければならない。

左矢印信号には自転車は従わないということである。

左折車が止むまで待った方が安全ではないかという気はする。


そんなわけで左矢印信号の間は自転車が安全に待てるようにして欲しいのだが、

往々にしてこのような交差点は左折レーン確保のために余裕がない。

前後に自転車専用通行帯があっても削られるのが常ですね。

自動車からすれば歩道に入ってくれという話なんだろうけど、

フェンスなどでそう簡単に歩道にも入れない場合も多いわけで、

こうなると端でじっくり待つしかないのが実情だよな。


自動車からみれば不規則な走りになることも多いのだが、

自転車(特定原付)にとってはいろいろ難しい事情があることも理解いただきたい。

ルール的にも難しいため錯誤も生じやすく、失敗したなぁと思うこともけっこうある。

自動車側の臨機応変な対応に支えられているところもある。

自動車が突っ込んでくる中では待つしかないですから。