のぞみ号に自由席が必要な理由

昨日、最後にちらっと のぞみ号 の話を書いて思いだしたのだが、

来年春からのぞみ号の自由席が3両→2両に減ることになった。

その分、指定席が増えて指定席を取りやすくなるということである。


のぞみ号と自由席としては最繁忙期の全席指定化が思い起こされる。

全席指定だが自由席特急券で立席可

自由席待ちの人でホームが混雑するなどの問題があり、全席指定化に踏み切ったと。

ひかり号・こだま号はこれまで通り自由席を設定し、

のぞみ号に立席で乗車する場合は自由席特急券を利用するということになった。

このときは6歳以下の幼児を含むグループでの利用がだいぶ高くなるということを紹介している。


自由席縮小の先に待っているのは自由席全廃ではないかという話なのだが、

そうなると困ると言っていたのが近距離での新幹線利用である。

特に 東京・品川~新横浜 と 博多~小倉 である。

在来線では移動が不便な新横浜、あるいは往来が盛んな福岡・北九州間の移動に活用されている。

これらの駅はのぞみ号全停車ということで、のぞみ号が東海道・山陽新幹線の多くを占めることからすれば、

これらの駅間を移動するのに使われている列車の多くはのぞみ号である。

その のぞみ号 から自由席がなくなるということは、本数激減に等しいという話である。


近距離でも指定席を取ればよいのでは? と思った人もいるかもしれない。

確かに在来線特急では近距離でも指定席利用が基本になりつつある。

ただ、この区間はそうもいかない事情があって、それが特定特急券である。

新幹線では隣接駅間の自由席利用に特別に安い料金を設定している。

東京~新横浜は指定席だと2500円(ひかり・こだまは2290円)に対し、自由席(特定)は870円、

博多~小倉は指定席だと2610円(ひかり・さくら・こだまは2290円)に対し、自由席(特定)は990円となる。

のぞみ号だと2.6倍以上の差が付くんですよね。そりゃ使えんわ。


この2区間はわりとすぐ思いつく話なのだが、実はそれだけではないと。

それが山陽新幹線で行われている のぞみ号の選択停車である。

隣接駅の特定料金の対象になる区間はほとんどないのだが、

姫路~岡山、岡山~福山、広島~徳山、新山口~小倉、

といったところはのぞみ号指定席だと2610円、自由席は1760円となる。

2倍以上の差ではないのだが、1.5倍近い差がある。

時間帯や区間によるが、のぞみ号を逃すと1時間に1本のこだま号となる区間も多い。


実際のところ、全席指定化には踏み切らないのではないかと思う。

最繁忙期ののぞみ号も全席指定といいつつ、自由席特急券での立席乗車は認めている。

最繁忙期にはどうせ座れないのだということで正当化できている。

それ以外の時期はなかなかそういう説明はできないだろう。

なので自由席減でしばらくは様子見をしたいということではないか。


一方で長距離利用の指定席ニーズが高まっていることは事実。

これはチケットレス化で従来より指定席の予約が容易になっていることがある。

歴史をたどれば のぞみ号は新設当初は全席指定だったのだが、

本数が大幅に増えて、列車を指定して乗るのは難しいだろうと自由席が設定された経緯がある。

それが本数が多くても、サクッと指定席を取ってしまうのが普通になったわけである。

(近鉄特急は昔からそうだったので、特に違和感はないけど)


全席指定化には踏み切らないのではないかとみているところだが、

もし東海道新幹線の主要な区間で全席指定化をするとしても、

少なくとも 東京~新横浜、小倉~博多だけの自由席車を設定する必要はあるだろう。

新横浜→東京、小倉→博多については次は終点なので、

自由席特急券でも普通車指定席の空席を利用できるという指示をするだけでよく、

逆方向についてもシステム上で指定席を押さえておいて「小倉までは○号車の空席に着席できます」と指示する方法でもよい。

あるいは山陽新幹線は指定席を埋めきるほどは乗らないだろうと、

山陽新幹線区間には自由席車を設定するなんて方法は考えられる。


在来線特急は自由席だと検札省略できない問題があったけど、

新幹線は駅に新幹線特急券を確認する改札があるから別に問題ないんですよね。

で、こだま号などの各停タイプの新幹線はローカルな利用が多いのも確かで、

元々かなり自由席の割合が多くなっていたのはある。

最近は旅行商品・割引商品で指定席を埋めることが増えているのと、

乗換のこだま号区間でも指定席を取ることが増えているので、こだま号の指定席も増える流れはある。

ただ、特定料金のこともあるので、こちらは激増とはならないと思うが。