セントレアの代替滑走路は将来的なセミオープンパラレル化を見据えている? という話を書いた。
いろいろ調べてみると、福岡空港の新滑走路がわりと性質として似てるらしい。
福岡空港の新滑走路は来年春から運用開始されるのだが、こういう使い方になるらしい。
この2本目の滑走路について、国土交通省が位置関係などで一定の制約があることから通常時は国際線の離陸用として使う運用方針を固めたことがわかりました。
福岡空港は滑走路を挟んで西側に国内線、東側に国際線がある。
地下鉄の駅に直結しているのは国内線だけなんですよね。
地下鉄で国際線を利用する場合は国内線からの連絡バス(所要時間10~15分)を使うことになる。
そのため博多駅~国際線ターミナルの路線バスが多く設定されている。
新しいB滑走路は、現在のA滑走路の東側に新設される。
このB滑走路は電波で着陸機を誘導するILSが付いていない。というか付けられないらしい。
悪天候でも着陸できるILSは万が一の時に備えて着陸帯(滑走路両脇の空地)を広く取る必要がある。
限られたスペースに滑走路を新設するのだからそんな余裕はない。
なのでB滑走路は離陸メインというのは当然なのだが、離陸にしても基本的に国際線のみなのだという。
2本の滑走路がある場合、ターミナルビルに近い方を離陸用に使うのが通常らしいが、
これは遠い方の滑走路との往来には滑走路横断が必要になることが理由である。
着陸機が降りてくるかも知れない滑走路を横断させるわけにはいかないので、
着陸用の滑走路を横断するのはかなりタイミングを見計らって行わなければならない。
一方で離陸用の滑走路は離陸準備中に横断させることができるなど、
着陸用の滑走路に比べれば横断できる時間帯が長く融通がききやすい。
A滑走路に着陸した国際線の到着機は、B滑走路を横断するが、B滑走路が離陸専用ならば特に問題はない。
一方の国内線の出発機がB滑走路から離陸しようとすると、A滑走路の横断が発生する。
しかし、着陸機が多く使うA滑走路を横断するのはタイミングが難しい。
ゆえに国内線の出発機は従来通りA滑走路を使うべきとなるようだ。
平時のB滑走路の分担率はそう高くならないということだ。
条件が合えば国際線の到着機をB滑走路に着陸させるということは考えられる。
この考えに近いのが伊丹空港の短い方の滑走路(A滑走路)である。
A滑走路は短いのでプロペラ機・リージョナルジェットが中心に利用する。
B滑走路を発着する飛行機がA滑走路を横断するため、さっきの理屈で言えばA滑走路は離陸に使うとよいが、
短い滑走路なので離陸の全てをA滑走路でやるということはできない。
こうなるとB滑走路ばかり忙しくなるわけだが、条件が合えば小型機をA滑走路に着陸させるということもやる。
ILSがないので、サークリングアプローチか人工衛星による測地を利用したRNP進入で着陸することになる。
福岡空港のB滑走路も同様で、条件が合えば国際線の到着機が着陸する構想もあるらしい。
A滑走路の閉鎖時にはB滑走路を着陸にも使うわけだから、B滑走路へのRNP進入は設定されるはずである。
ただ、平時においては当面使わずに行くようである。
とはいえ、将来的にはそういうルートも使う必要があるだろうとのことである。
クロースパラレルの滑走路は離陸用・着陸用とある程度役割が決まっているわけだから、
ILSなどの装備も主に着陸用に使う方だけあればよいとは言える。
ただ、新千歳空港はクロースパラレルの両側にILSが付いているようである。
確かに普段はターミナルビルに近い方は離陸用、遠い方が着陸用なのだが、
冬には一方閉鎖して除雪、その後もう一方を閉鎖して除雪を繰り返す。
当然そういう状況は悪天候でもあるわけですよね。
そこで2016年の両滑走路の両方向のILSの整備が完了している。
忙しい福岡空港が滑走路増えたところでどれぐらい楽になるのか? と言われるとかなり微妙な話である。
ただ、この新滑走路は何らかの事情で滑走路閉鎖が生じても、
福岡空港の機能をなんとか保てるようにするという目的も多い。
その上で少し処理能力向上ができると。その程度の期待である。
国際線の誘致も進めていきたいでしょうから、国際線離陸用としても価値はあるんじゃないか。