セブン&アイ・ホールディングスがコンビニ・金融以外の統括部門を分社化し、
ヨーク・ホールディングスを設立するということが発表された。
設立時点ではヨーク・ホールディングスはセブン&アイ・ホールディングス(社名変更予定)の子会社だから、
その子会社であるイトーヨーカドーやロフトなども7&iの子会社であることに代わりは無い。
ただ、将来的な株式売却を視野に入れた分社化だとされている。
なお、金融部門の統括会社であるセブン銀行はそれ自体が上場会社だが、子会社ではある。
これも持株比率を下げて連結から外すという案があるようだ。
それもこれもコンビニ事業の収益がよいがゆえ、
株主からはことあるごとに他の事業の切り離しを求められてきたことがある。
近年まではいろいろ理由を付けて抗ってきたけれど、
最近はどうにも厳しいようで、非コンビニ事業の切り離しが具体化してきたようだ。
それがヨーク・ホールディングスですか。
コンビニ事業と非コンビニ(主にスーパー)が別の道を行くことは必ずしも悪いことではないと思う。
それが功を奏したのがユニー・ファミリーマートではないかと思う。
ファミリーマートとサークルKサンクスの統合を意図して、
ファミリーマートとユニー(サークルKサンクスの親会社)が経営統合したが、
スーパー事業はパン・パシフィックインターナショナルホールディングス(PPIH)に譲渡された。
一見すると厄介払いという感じもあるが、実はPPIHのGMS事業への熱意は強く、
アピタ・ピアゴは衣食住の住関係の商品を充実させて手応えを感じているところである。
一方のコンビニ事業は伊藤忠商事にとって重要な事業ということで、子会社化、最終的に非公開化している。
金融事業や広告事業など裾野が広いということで重視しているようだ。
ただ、イトーヨーカドーにとってみれば遅すぎたというのが実情だと思う。
まず、衣料品売場については撤退に向けて縮小を続けてきた。
西友とか他のGMSも食品スーパーに特化する流れはあるので、
イトーヨーカドーだけの話ではないのだが、非食品へのやる気のなさが結実した結果である。
展開している地域としても北海道・東北・信越からは撤退してしまった。
ほぼ関東圏である。(わずかながら関西圏などにも店舗はあるが)
さらに関東圏の店舗も続々と閉鎖している状況である。
これらの動きも分社化と無関係ではないとみられる。
非コンビニだけでも利益が出る会社にしないと、分社化どころではないと。
だから事業規模を縮小してでも利益が出る形にしたいのだと思う。
ただ、ここまで縮小してしまうと、スーパー事業の再生というのは見えにくくなる。
正直、もっと早く熱意ある会社に譲渡しておくべきだったのでは? とも思う。
そういう話に乗ってくれる会社があったかはわからないけど。
いろいろ対照的なのがイオンですよね。
イオンは多岐にわたる事業を傘下に抱えているが、
それぞれ歴史ある会社であることも多く、上場子会社が非常に多い。
歴史的にも不動産事業(イオンモール)と金融事業が稼ぎ頭である一方で、
本業のスーパー事業の利益はイマイチ……だけどスーパーあっての不動産事業・金融事業なのは明らかで、
それがゆえにGMS事業の収益改善に心血を注いできたわけである。
正直なところ、イオンは利益率があまりよくない会社だと言われている。
儲かる子会社は上場会社であることも多く、少数株主が利益を持って行ってしまうという事情もある。
株式市場での評価はイマイチなのだが、過度な圧力に晒されないメリットはあるように思う。
そうやってじっくり取り組んで、地域の買い物を支えてきたわけである。
赤字続きではサスティナブルではないが、ちゃんと利益は出ていますからね。
7&iはどうしてこうならなかったんだろうとどうしても考えてしまうけど、
やはりコンビニ事業の利益率の高さですよね。
スーパーで多少赤字を出したところで会社全体としては全然問題ない。
でも、株主からはいろいろ言われてしまう。
スーパーや百貨店などに投資をした時代もあったんですよね。結果としてあまり実らなかったけど。
なんかもっといい方法があったんじゃないかと分社化構想を見て考えてしまう。