auじぶん銀行とローソン銀行

昨日、ローソンの株式の半分をKDDIが買う話を書いた。

ローソンをKDDIが買う理由

そういえば両社共に銀行を子会社に持ってるんだなと思い出した。


KDDIの子会社には auじぶん銀行 がある。

KDDIと東京三菱UFJ銀行(当時)の出資で2008年に開業している。

インターネット専業銀行としては ジャパンネット銀行(現: PayPay銀行)、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行 に次ぐ5行目である。

親会社はKDDIだが、三菱UFJグループにとっての戦略的な意味もあったようだ。

ただ、インターネット専業銀行の中では後発で、特色も薄いのが実情である。

実際のところ、この銀行は住宅ローンとカードローンで稼いでいるという。

そのカードローン「じぶんローン」は歴史をたどれば、東京三菱銀行(当時) と アコム が設立した貸金業、キャッシュワン に行きつく。


一方のローソン銀行は2018年までは ローソンATMネットワーク という会社だった。

元は銀行から(主に)ローソン店内のATMの管理を受託する会社として存在していた。

このATMをローソン銀行自身のATMに転換したという会社である。

名目上はいろいろな銀行のATMだったのが開業とともにローソン銀行のATMになったという形である。

ATMネットワークのための銀行としてはセブン銀行とイオン銀行が知られている。

ただ、イオン銀行は資産運用・融資・クレジットカード、さらには中小企業向け融資(日本振興銀行を継承)と、

手広く事業を行っているので、ATMネットワークのための銀行という印象は薄い。

ローソン銀行については、現状はセブン銀行と同様のほぼATMのための銀行である。


auじぶん銀行 はネット銀行として後発ということで顧客との接点が少ない。

ローソン銀行はATMの受託ビジネスだった頃と商売は大きく変わっていない。

そこでこの両社が合わさることで、ローソンを通じた金融サービスの提供に結びつけられるのでは?

と、こういうことを思いつく人はなんぼでもいそうな話である。

もっともローソンはKDDIの子会社にならないので、単純に合併とはいかないかもしれないが。


企業統合で傘下の金融業が注目を浴びたと言えば、Zホールディングス(ヤフー)とLINEの経営統合である。

Zホールディングスは傘下にワイジェイカード(現:PayPayカード)、ジャパンネット銀行(現:PayPay銀行)、One Tap BUY(現:PayPay証券)を抱え、

関連会社として決済サービスのPayPayもいた。(現在は子会社化)

一方のLINEはLINE Pay、LINE Credit、LINE証券を傘下に抱え、LINE Bankの設立に向けて動いていた。


しかし、実際には経営統合後の金融・決済はあまり変わっていない印象である。

PayPayとLINE Payはユーザースキャンの加盟店網を統合したが、

それを除けばお互い別々のサービスとして継続している。

クレジットカードもPayPayカード、LINE Creditがともに展開している。

LINE Bankは中止、LINE証券は提携先の野村證券に移管という形で撤退。

経営統合の影響というよりは投資が見合わないという判断だろうと思う。

現時点でLINE・ヤフーの統合がもっとも進んでいるのは広告やeコマースというのが実情である。


ローソンとKDDIの重複分野として金融・決済というのは気になるけど、

そう単純に統合できる話でもないんだろうとは思う。

ローソンはKDDIの子会社になるわけではないのだし。

ただ、auじぶん銀行とローソン銀行はもっといろいろ出来るんじゃない?

両銀行の状況を整理してそう思ったので、期待しておこうと思う。