KDDIをローソンの株式の半分を取得するというニュースが出ていて、
なんで通信会社のKDDIが小売業のローソンを? となる。
ローソンの子会社を見るとローソンエンタテイメント(ローチケなど)やローソン銀行があり、
この手のサービス業は、ローソンはコンビニを、KDDIは通信を通じて提供するという点で興味があり、
その点で親和性があるという主張なんだろうが、それでもよくわからんなぁとなる。
それはそうとして、このKDDIによるローソンの株式取得というのは、
最終的に三菱商事とKDDIがローソンの株式を50%ずつ保有し、非公開化することを目的としている。
現在、三菱商事の出資比率は50.06%なので、わずかに50%を超えるが、
株式併合により三菱商事とKDDIの比率をぴったり50%にするという。
この結果、ローソンは三菱商事の連結子会社から持分法適用関連会社になるという。
当社子会社(株式会社ローソン)の異動(持分法適用会社化)に関するお知らせ (三菱商事)
実はこれが目当てなのでは? という指摘を見た。
子会社の定義は、議決権の過半数を持っているか、議決権の40~50%を有して取締役の過半数を送り込むなどの条件を満たす会社である。
議決権の過半数を有していると、基本的には連結決算に入れることになる。
重要度が低いとか、連結が実態に合わない場合はその限りではないが。
50%ちょうどや50%を少し割る場合でも子会社になっているケースはある。
最初に書いた持分比率40%台前半で連結子会社にした会社には注釈で「株主間合意により」とあったから、
持株比率50%以下だけど、他の株主との間で取締役の過半数を出すことに合意は得られているという意味なんだろう
公開買付後はローソンは三菱商事とKDDIが取締役を半々出すという。
なお、公開買付者(=KDDI)は、本日付で、三菱商事との間で本株主間契約を締結し、本株主間契約において、本取引完了後の当社の取締役として、三菱商事が3名、公開買付者が3名をそれぞれ指名すること、当社の代表取締役を三菱商事及び公開買付者がそれぞれ1名ずつ指名することに合意しているとのことです。
こうなると明確にどちらかの支配下にあると言えないので、どちらの子会社にもならない。
三菱商事にとって実態として大きな変化があるとは思わないのだが、
連結財務諸表にローソンの負債・資産・損益が全て記載されていたのが、
ローソンの純資産と損益の50%(持株比率)だけが反映されるようになり、
連結財務諸表上は資本効率がよくなったように見えるという。
これが三菱商事の狙いにあるんじゃないかという指摘である。
ローソンにとっては非公開化により経営の自由度が高まることが期待される。
やはりよくわからないのがKDDIにとってのメリットである。
冒頭に書いたようにコンビニを通じたサービス提供と、通信を通じたサービス提供には共通点があるとか、
あるいはKDDIはau Styleの実店舗のネットワークを有しているが、
そこでローソンのサービスを導入するようなことも考えにはあるらしい。
でも、それだけではローソンの株式の半分を取得する動機には弱い気がする。
真の動機というのは金が余っていたからではないか。
直近の決算を見るとKDDIの連結決算では現金を6235億円持っている。
ローソンを買うのに使うのは5000億円、お金があるからローソンを買ったというのは納得感はある。真相はわかりませんが。