売れてる方の雑誌をやめる

朝のニュースで言っていたのですが。

週刊朝日、独自路線貫き101年で幕 30日発売で最終号 (朝日新聞デジタル)

「日本最古の総合週刊誌」という週刊朝日が最終号を迎えたという。

非常にシンプルに言えば雑誌が売れないという話なのだが、

朝日新聞出版という会社全体を見た判断でもあったようである。


実は朝日新聞出版はもう1つ週刊誌を刊行している。

それが「AERA」で1988年から刊行されている。

週刊朝日と比べるとこちらの方が歴史も浅いし、部数も出ていない、

でも、こちらは今後も従来通りの形で継続することになる。

週刊朝日の機能を積極的に継承するというわけでもなさそう。


このことについてインタビューして書いたという記事が見つかった。

なぜこのタイミングで『週刊朝日』休刊、『AERA』を残す決断か、朝日新聞出版社長が語った真相 (Yahoo!ニュース)

1つは週刊朝日の読者層の高齢化が進んでいたこと。

総合週刊誌ということでニュースも娯楽もいろいろ扱っていたが、これがなかなか古いスタイルだったのかもしれない。

一方のAERAはニュースに特化しているが、女性に読まれやすい記事が多い。

インターネットの「AERA dot.」との連動などで、子育て世代をターゲットにしたいと。

部数は週刊朝日に負けるが、広告という面ではAERAの方がよかったらしい。

また、朝日新聞出版としては書籍が好調で、小説でもヒット作を出しているという。

週刊朝日という雑誌は失うが、今後も小説は注力分野ということか。


2015年に独立したとき、紙の新聞を取らずに電子版だけ読める新聞は少なく、

朝日新聞か日本経済新聞かというところで、朝日新聞デジタルを選んだ経緯がある。

紙の新聞に比べると、速くて(紙面の限りがないから)量も多いので、

これはすばらしいと思うが、金にするのが難しいのが悩みである。

すなわちニュースを読むだけなら無料でも読めるじゃないかとなるので、

そんな中で有料購読者を伸ばすのが難しいのが悩み。

Yahoo!ニュースなどへの無料配信はそれはそれで収益源であり、

有料購読者の囲い込みに終始するのも合理的ではないという。

そんなところに翻弄されつつも朝日新聞はデジタル時代の新聞を姿を現していると思う。


それは雑誌でもそうなんですよね。

AERA dot.はAERAに限らず、週刊朝日を含めた朝日新聞出版の雑誌の電子版の位置づけである。

ただ、やっぱり基軸になってるのは AERA なんでしょうね。

AERAが注力してきたニュース、特に生活・教育に根ざしたものを集めている。

AERA dot.は無料配信で稼ぐスタイルなので、特に有料会員制はなさそうだが。

いずれにせよ、これに手応えを感じてることは確からしい。


紙面に制約されなくなれば、ニュースは速くなり量も多くなる。

このこと自体はとてもよいことではあるけど、新聞・雑誌が紙で提供されなくなっていくというのはいろいろ影響があるよね。

紙の新聞・雑誌は家や店舗に置いてあってなんとなく読むこともあったかもしれないが、

デジタル化されるとなかなかこういう形でなんとなく読む機会も減るだろう。

また、書店にとってみれば、定期的に売れる雑誌の存在で、それ以外の書籍も含めて販売できている面はあるでしょう。

もちろん書籍も電子書籍への代替は進んでいるのだが、これも分野による。

出版社により電子書籍の考え方も違いますからね。


週刊朝日が1つ休刊になったからといって劇的に変わる話ではないのだが、

やはり全体的な傾向としてデジタル化というのはあるなと思った。

速報性の高い新聞・週刊誌というのは、デジタル化のメリットは大きい。

ただ、それにより紙の雑誌・書籍の流通が細ると他にも影響してしまう。

こういうのが積み重なると苦しいんだろうなと思う。

まだ紙で続いている週刊誌はけっこうありますし、朝日新聞出版でもAERAは現状のまま続くことになる。

しかし、それも主戦場はデジタルに移っているのかもしれない。