今日は日本ダービーが行われていた。
ダービーというと「20年に生産されたサラブレッド7708頭の頂点」など言われるが、
そもそも牝馬はほとんどダービー登録していないだろとか思うところはある。
でも、やっぱり特別なレースですよね。
そんな日本ダービーには青葉賞組が勝てないというジンクスがある。
ダービーに出走するには優先出走権を得るか、収得賞金順で上位になる必要がある。
優先出走権が得られるレースはダービーでは3つある。
1つは皐月賞、上位5着以内に優先出走権がある。
そして青葉賞1・2着、プリンシパルステークス1着である。
ダービーに収得賞金順で出るには重賞を勝つか、3勝するか、2勝+重賞2着ぐらいの戦績が必要になる。
青葉賞というのはダービーと同じコースで行われる重賞レースで、
ここで好走した馬はダービー本番でも好走する?
というのはそこそこ正しいのだが、なぜかダービー優勝馬を輩出できていない。2着までならあるんですが。
なお、プリンシパルステークスも同様で、こっちもダービー優勝馬を輩出していない。
ただ、青葉賞は1984年からそこそこ長い歴史があるのに対し、
プリンシパルステークスは1996年にNHK杯(2000m)がNHKマイルカップに改められるにあたり、その代替のダービー前哨戦として誕生した経緯があり、
そのNHK杯は数々のダービー馬を輩出してきた歴史もある。
なんで青葉賞からダービー馬が出ないかというのは諸説ある。
デビューや体制が整うのが遅れて皐月賞は見送ってダービーを目指すのに、
青葉賞で2400m走って、そこから中3週でダービー本番2400mは厳しい。
こういうのが定説として言われているのだが、あれ? と思うことがある。
それはダービーの3週前に行われる京都新聞杯である。
このレースはダービーの優先出走権が得られるレースではないのだが、
ここで勝てば賞金順でダービーに出られるので、ダービーへの最終便として知られている。
そして、京都新聞杯からは3頭のダービー優勝馬が出ているのである。
こっちの方がレース間隔は1週詰まるし、距離も2200mだからほぼ同じ。
結局のところ明確な理由はわからない。
ただ、皐月賞に間に合わない馬はなかなかキツイのはそうなんだろう。
去年の優勝馬、シャフリヤールは毎日杯優勝後、皐月賞をスキップしてダービーへ向かった。
これは初めてのケースだが、NHKマイルカップを挟んで3連勝したディープスカイ(2009年)、京都新聞杯を挟んで3連勝したキズナ(2013年)はある。
むしろ京都新聞杯が特異的なのかもしれない。
キズナ以外でも京都新聞杯2着で賞金加算したロジャーバローズ(2019年)がいる。
それも西日本で唯一ダービー前哨戦として使えるレースだからなのかも。
そんなわけで今日の日本ダービー、1番人気は皐月賞を勝ったソールオリエンス、
2番人気はなんと青葉賞優勝のスキルヴィングだった。
青葉賞の前に東京芝2400mの1勝クラス、ゆりかもめ賞を勝っていて、
すなわちこのコースのスペシャリストとして期待されたわけである。
勝てるかはわからないけど、そこそこ期待してもいいのかも。
ただ、思いもよらない結果だった。
まず優勝したのは皐月賞2着のタスティエーラだった。
ソールオリエンスは2着ということで、皐月賞の1・2着の入れ替わりと。
3着には青葉賞2着のハーツコンチェルト、青葉賞組は勝てなくてもそこそこ好走すると。
じゃあその青葉賞を勝ったスキルヴィングはというと17着で最下位、
そればかりかゴール後に倒れ込んでしまった。
後の発表によれば急性心不全で死んだとのこと。まさかの結果である。
2400mのスペシャリストとして期待されたが、この2400mを3連戦がこたえたのかもしれないとか。
それこそ明確な根拠はありませんが。
真面目に走りすぎたのかな。レース間隔を空ければそれでもよかったのかもしれないけど。
ダービーというのはそこまでして走らせたいレースなんだろうけど。
ところでダービーの前の週にはオークスが行われる。
オークスのトライアルレースには青葉賞みたいな話はないのか?
ダービーが皐月賞からの転戦が有力なのと同じく、オークスも桜花賞からの転戦が有力だが、
それとともに有力なのは桜花賞の直前に行われる 忘れな草賞 である。
桜花賞は1600mと距離が短くて出走枠争いが厳しい。
そこでオークスに狙いを定めて、2000mの忘れな草賞を目指す流れがあり、
最近では2019年にラヴズオンリーユーがこの転戦でオークスを勝っている。
優先出走権が得られるレースではないが、ここを勝てばオークスはほぼ出られるので問題ない。
で、桜花賞以外でオークスの優先出走権が得られるのは、
フローラステークス1・2着とスイートピーステークス1着である。
あまり期待度は高くないとは言われるのだが、それぞれ優勝馬は出ている。
2021年のオークス優勝馬、ユーバーレーベンはフローラステークス3着からの転戦である。
その昔、4歳牝馬特別という名前だった時代には桜花賞とオークスの間に出る馬もけっこういたらしく、
その時代も含めればさらに多くのオークス優勝馬を輩出している。
スイートピーステークスも2006年にオークスを優勝したカワカミプリンセスが勝っている。
ダービーに比べればオークスの出走枠争いは厳しくないというのもあるが、
距離もフローラステークスが2000m、スイートピーステークスが1800mと、
牝馬限定ということもあって、全体的に短めの設定になっている。
この対比からすると青葉賞の負担が重いという説も説得力はあるが。
しかし、皐月賞1着・ダービー2着のソールオリエンス、皐月賞2着・ダービー1着のタスティエーラはどうするんでしょうね?
どっちも見事に三冠の挑戦権はないという。
ソールオリエンスはお兄さんが1600~1800mで活躍したヴァンドギャルドなんですよね。
そしたら菊花賞より2000m前後を走りたいんじゃない? とか思うけど。
タスティエーラは菊花賞か天皇賞(秋)という話を言っているらしい。
ダービーと菊花賞の二冠は達成すればけっこう珍しいのだが、チャンスはありそうな気配はある。
というわけでなかなか思うようにはいかんものだなという話だった。
それにしてもスキルヴィング、ダービーがボロ負けでも、
その先にはチャンスがあったかもしれないのにと思うと無念だよなぁ。
過去の青葉賞優勝馬にはアルゼンチン共和国杯2勝、ジャパンカップ2着のオーソリティもいる。
彼の場合は青葉賞優勝後に骨折のためダービー回避になったんだけど。
しかし、こればかりはどうしょうもないでしょう。