昨日、東急の車両が相鉄で横浜発着便に使われてる話をちらりと書いた。
休日は多いが、平日は1往復だけらしい。でも定期列車であるのは確か。
いずれにせよ東急の車両が相鉄を少し多めに走るようになってるのは確からしい。
その背景としてには相鉄の車両が東急以外の他社を走ったときの車両使用料の都合があるのでは? との指摘が。
直通運転を行う場合、直通運転でやってきた他社の車両は車両を借りる扱いになる。
逆に直通運転で他社に行った自社車両は他社に貸すという扱いになる。
特殊な車両の場合、一方的な貸し借りの関係になることはある。
例えば、IGRいわて銀河鉄道では花輪線のディーゼルカーはJRから借りる一方。
古くは線内を通過する寝台特急 北斗星の車両も借りる一方だった。
しかし、一般的な通勤路線ではお互いに貸し借りを相殺するのが一般的。
相鉄は東急目黒線を介して東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道・都営三田線、
東急東横線を介して東京メトロ副都心線・東武東上線と直通する。
目黒線・東横線の運行形態より、これらの路線との直通は不可避である。
しかし、相鉄線内を走れるのは相鉄と東急の車両に限られる。
すなわち東急以外の4社は相鉄に自社の車両を貸すことができないのである。
そこで、4社は東急線内を多く走り、東急はその分相鉄を多く走るという対応をしているとみられる。
というわけでちょっと計算してみた。
目黒線を走る列車を下記の3パターンで代表してみる。
- 相鉄直通 相鉄24km~東急18km~他社28km 全体の1/5
- 新横浜発着 東急18km~他社28km 全体の1/5
- 日吉発着 東急12km~他社28km 全体の3/5
他社の28kmは 目黒~西高島平:目黒~浦和美園:目黒~赤羽岩淵=2:1:1で平均を出した。
白金高輪折り返し便に相鉄・東急の車両が入ることや、東急に関係ない相鉄の列車に東急の車両が入ることもあるが少ないので無視する。
相鉄直通だが 相鉄:他社=1:2 なので、相鉄が1/3、東急が2/3で分担する。
他社は相鉄直通便の走行距離分は東急を走行することで返済する。
当然、新横浜・日吉発着便の東急車の走行距離も東急を走行して返済する。
その上で、新横浜・日吉発着便の東急の分担率をpとすると、
(18×1/5+12×3/5)×(1-p) = 28×1/5 + 28×4/5×p
この方程式を解くと p=0.16 となる。この数字だけみるとずいぶん低い。
ここから目黒線全体の分担率を計算すると相鉄が7%、東急が26%、他社が67%となる。
それで実際の目黒線はどうなのかという話だが、
ダイヤを解析して運用表を公開している人がいたので、このデータを集計すると、
まず相鉄・東急直通便(新横浜駅を発着する便数)の分担率が東急64%・相鉄36%、
目黒線(目黒駅を発着する便数)の分担率は 東急24%・都営33%・メトロ24%・埼玉高速11%・相鉄7%となっていた。
けっこう近しい数字なんですよね。
直通便の相鉄の分担率が若干高い気がするが、その分東急の車両が相鉄を走っているよねと。
相鉄の直通運転はあまり考えないと相鉄から車両を借りる方に偏っていく傾向にある。
実はJRとの直通運転でもこういう問題がある。
基本的にJR・相鉄直通便は新宿駅での折り返し運転だが、
朝は新宿駅が忙しいので新宿駅を貫通して埼京線 大宮方面との直通をする。
しかし、この新宿を超える列車は基本的にJR所属車を使うのだという。
埼京線利用者の混乱防止という意味もあると思うのだが、
もしここで相鉄の車両を使うと、JR側の走行距離がだいぶ長くなってしまう。
海老名~新宿でさえ 相鉄:JR=1:2 という距離分担である。
JRの車庫スペースの都合、直通便に使われるJRの車両は大半が相鉄線内で夜を越す。
- 朝に埼京線を走って新宿駅を貫通して相鉄に入る
- 相鉄線内~新宿で何往復かする(相鉄線内で昼休みをする場合もあり)
- 夜を越して、朝に相鉄から新宿駅を貫通して埼京線へ向かう
相鉄の車両は1.や3.と重ならないところで使われることになる。
その上で概ね 相鉄:JR=1:2 の分担率で直通列車を担当している。
JRの車庫の都合も考えればこれぐらいがちょうどいいんだろう。
JRは極端なのだが、東急も相鉄線内で多少夜を越す車両が出ている。
一方、相鉄の車両は他社で夜を越すものはないとみられる。
かといって相鉄にとっても車庫に余裕があるわけでもなく、
あの手この手で留置線を増やして、なんとか納めているのが実情と。
自社の車両がひとたび直通列車に入ると、なかなか帰ってこない。
それに相当する分は他社の車両を使うということになる。
その中で直通列車と関係ない横浜発着便というのも一応あるということ。