リバウンド警戒期間っていうけど

Yahoo!アプリの通知で届いたのですが、

リバウンド警戒期間における取組について(第3140報)(東京都)

4月25日~5月22日の1ヶ月間、東京都では新型コロナウイルスの「リバウンド警戒期間」として、住民・事業者に呼びかけを行っている。

住民向けの呼びかけ内容は前々から言っていることなのでさほど問題はないか。

・混雑している場所や時間を避けて行動

・帰省や旅行等、都道府県をまたぐ移動の際は、「三つの密」の回避を含め基本的な感染防止策を徹底 等


事業者向けの呼びかけ内容に「催物(イベント等)の開催制限」とあって、ギョッ!?としたのだが、大規模なイベントができないという話ではないようだ。

詳細は上のリンクに書かれているのがだいたいこんな感じ。

  • 大声ありのイベント→収容定員の半分まで可
  • 大声なしのイベントで5000人以下の施設 → 収容定員まで可
  • 大声なしのイベントで5000人以上の施設
    →「感染防止安全計画」を策定すれば収容定員まで可、策定しない場合は5000人か半分のどちらか多い方

大声が想定されないイベントや、大声を上げないよう呼びかけ遵守されるイベントであれば開催にあたっての問題は比較的少ないとみられる。

大声を出すようなイベントで、客同士の間隔を十分開けられない場合は開催を見送るようにということですね。


ただ、このルールに照らすと、どうしても開催が難しいのが花火大会だという。

「隅田川花火大会」 3年連続中止に “来場者の管理難しく…” (NHK)

確かに花火大会って花火が見える場所ならどこでも観覧できますからね。

このため観覧者を把握すること、遵守事項を徹底させることがほぼ困難である。

観覧場所を定めて、来場者を適切に管理できれば、その可能性はあったのだが、

しかし、隅田川花火大会ではそういうスペースが現実的にないので無理だと。

屋外なら感染リスクはやや軽視できるのではないかとかいう思いはあるが、

ゴミの不法投棄など、来場者にまつわる環境問題も多いのが花火大会である。

そういう参加者が果たして感染対策の遵守事項を守るのか?というのは疑わしい。


新型コロナウイルスの感染対策は多くの住民の努力によって成り立っている。

その対策の実効性が評価された結果、上記程度の対応で済んでると言える。

しかし、ほぼ唯一の例外が飲食業である。

●「徹底点検TOKYOサポート」プロジェクトにおける「感染防止徹底点検済証」の交付を受け、かつ、これを店頭に掲示している店舗

・同一グループの同一テーブルへの入店案内を8人以内(※)、滞在時間を2時間以内(※)とするよう協力を依頼

※全員の陰性の検査結果を確認した場合は、人数、利用時間の制限の対象外(略)

●上記点検済証の交付を受けていない又は掲示していない店舗

・同一グループの同一テーブルへの入店案内を4人以内、滞在時間を2時間以内とするよう協力を依頼

・酒類の提供・持込は、11時から21時までの間とするよう協力を依頼

●カラオケ設備を提供している店舗

・利用者の密を避ける、こまめな換気を行う、マイク等の消毒を行うなど、基本的な感染防止対策を徹底するよう協力を依頼

よっぽどでなければ8人超の宴会はできないということである。

8人まで許容されればそこまで大きな影響はない飲食店は少なくないだろうが、営業形態によっては全然な店もあるだろう。


この飲食を通じての感染対策というのは、住民の努力によるところは大きいのだが、

それというのは宴会を避けるとか、小規模なものにするとか、飲食店に相当な痛みがあるものである。

その結果、起こるのがこういう現象である。

竹取御殿、海峡…居酒屋「協力金終了→倒産」が連鎖。飲食店に近づく悪夢の大倒産時代 (bizSPA)

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置などで営業時間短縮などを要請されれば、それに従うことによって協力金が支払われる。

(大企業が対象外の時期もあったが、大企業でも支給対象になって長い)

これにより新型コロナウイルスが蔓延する中で無理な営業活動をする店は減った。


しかし、結局、一番大切なのは住民1人1人の感染対策である。その感染対策というのは宴会を避けるとか、小規模なものにするということである。

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の終わりはそれが定着したことでもたらされたと言える。

しかし、そうすると飲食店は協力金を受け取れなくなる。

集客に努めて商売が回っている店もあるだろうが、営業形態によってはさっぱり。

協力金があるうちは生き長らえていたが、なくなれば倒産しか選択肢のない飲食業はけっこうあったという話である。


「リバウンド警戒期間」とのことだが、東京都の最近の感染状況はそう悪くはない。

オミクロン株の性質もあってか、感染者の報告数は日5000人ぐらいはいるが、ゆるやかな減少を見せており、対策に手応えはある状況である。

ただ、地域によっては感染者数が増加傾向にあったり、懸念はけっこうある。

オミクロン株も感染者数が増えれば全く軽視できないのは経験している。

そういう状況なので連休前に従来通りの対策を徹底するようにという指示を出した。

というのがこの「リバウンド警戒期間」の意味ではないかと思う。


なかなか正常化への道は見えない。

というかインフルエンザの報告数が激減するほどにはよく対策をしているはず。

なのに、どうして良くてこの程度にしかならないのか。

まして、時々感染拡大を起こして医療体制に重大な影響を与えてしまうのか。

今まで書いたように、日本では住民の努力もあって、この程度で抑えられている。

国によって集計基準が違うから単純比較は難しいのだが、死者数を人口比で見てヨーロッパ諸国は日本より1桁ぐらいは多いわけですからね。


協力金がもらえなくなって窮地に追い込まれた飲食店は恨むかも知れないが、

感染拡大して、うっかり死ぬかも知れないという状況は大概いやだろう。

現状、飲食業以外の商売は大きな制約を受けずに済んでいるわけである。

(日本や諸外国の入出国時の規制もあって、外国人観光客が皆無とか、外国への渡航のハードルが高いとか、そういう影響はあるけど)

なんとか継続的な対策をして正常化への道を探っていきたいところである。