スキージャンプは女子競技の歴史が浅い

オリンピックの大半の競技は男子・女子両方の競技が行われるが、

夏のオリンピックでは新体操・アーティスティックスイミングは女子競技しかない。

男女競技あってもルールが違うことも

かつては野球・ソフトボールがそれぞれ男子・女子しかないというのもあった。

冬のオリンピックではノルディックスキーは男女で種目数がだいぶ違うという。


スキーというのは大きくアルペンスキーとノルディックスキーという2方式がある。

我々がスキー場に行って斜面を滑って楽しむのはアルペンスキーという種類を使う。

一方で「歩くスキー」なんて言われますが、競技としてはクロスカントリースキー、ここで使われるのがノルディックスキーである。

スキーの構造が違うんですよね。

オリンピックでは、アルペンスキーとフリースタイルスキーがアルペンスキーを使う。

ジャンプ・クロスカントリー・ノルディック複合・バイアスロンはノルディックスキーを使う種目である。

ジャンプとクロスカントリーをあわせてノルディック複合というのは同じスキーを使うという意味なんですね。


ジャンプについては、男子競技はノーマルヒル・ラージヒル・団体とあるが、女子競技はノーマルヒルのみ。

あと、混合団体ということで男女2人ずつノーマルヒルで飛ぶ競技もオリンピックでは今回から採用されている。

実はスキージャンプは女子競技の歴史がかなり浅く、2014年に追加されるまではオリンピックでの女子競技そのものがなかった。

日本は男女ともスキージャンプに強いが、女子競技は歴史が浅い分アドバンテージが大きい。

混合団体でも男子はチーム間の差が付きにくいが、女子は差が付きやすいとの解説があった。

このためメダルを狙ったところだが、個人では高梨沙羅選手が4位まで、

混合団体は1回失格で2回目進出絶望かと思われたが、他のチームの失格も相次ぎ、

1回分0点になったにも関わらず4位まで追い上げた。これは立派な結果である。

いずれにせよ、日本チームが女子スキージャンプでは世界トップクラスであることは確かである。


これに関連してノルディック複合は男子競技しかない。

現在のオリンピック種目では夏冬通じて、男子競技しかない種目はこれだけになった。

これも女子スキージャンプの歴史の浅さによるものだという。

あと、種目数という点では変わらないが、クロスカントリーは男女で距離が違う。

これは陸上競技なんかでもしばしばみられる事象ですけど。


しかし、これが解消する日はそう遠くないかも知れない。

男子新体操や男子アーティスティックスイミングの採用ほど遠くはないだろう。

まず、スキージャンプは女子ラージヒルもワールドカップでは行われている。

ただし選手数の少なさが課題であり、ここがオリンピック採用を躊躇する理由となっているとみられる。

しかし、すでにノーマルヒルは飛んでるわけですからね。時間の問題でしょう。

当然、女子のジャンプが充実すれば、ノルディック複合も可能になる。

昨年の世界選手権で初めて採用されており、これも時間の問題でしょう。


女子スキージャンプなんて当たり前でしょと思ったけど、

こうしてオリンピックでやること自体が3回目だし、日本は強いからこうして注目されるけど、世界的に見れば全然というのが実情なんですね。

とはいえ、やり続けていれば世界のレベルは上がっていくというのも確かでしょう。

冒頭で紹介した記事ではこんなことを書いている。

女子サッカーの強豪というのは、かつては男子サッカーの強豪とはまるで違ったのだが、

最近は男子サッカーの強豪国が女子サッカーで力を付けてきているなんて指摘がある。

そのように力を付けてきたチームに日本チームは苦戦しているという、そういう話らしい。

今回のオリンピック、なんとか予選リーグは突破したが、厳しい戦いだったようだ。

世界の競技レベルが上がってきていると考えれば、ポジティブに捉えることもできるのかもしれないが、試合で勝たんことにはね。

日本は世界の女子サッカーを引っ張る国の1つとして知られてきた。

これがワールドカップやオリンピックという舞台で女子サッカーが注目される中で、

男子サッカーの強豪国でも女子サッカーの強化が進み、そうすると先行した日本チームには苦しいというそういうことである。

しかし、世界の競技レベルが上がること自体はよいこととも言えるし、そこから学ぶこともあるだろう。


競技人口とは別の女子スキージャンプの課題としては、スーツのことが話題となった。

スキージャンプはスーツで空気抵抗を受けることで遠くに飛べる。

このためスーツをぶかぶかにすればよく飛ぶのだが、それはよくないということで、寸法や空気の透過率の規定が厳密にある。

で、こういう規定らしい。

直立姿勢で、スーツ寸法はボディーと一致しなければならず、最大許容差はスーツのあらゆる部分において、ボディーに対しプラス1センチ~3センチ(女子は同2センチ~4センチ)とする

(【ジャンプ】スーツの規定違反とは? ボディーと一致が原則、体重の変化で誤差が出ることも (日刊スポーツ))

女子の方が男子よりも少しゆるい規定になっているのだが、

これでも女子選手の体形というのは変わりやすく調整が難しいのだという。

身体のあらゆる場所でボディとの寸法差が2~4cmというのは確認も大変で、

股下についてはジャンプ前に検査を行うのだが、それ以外の部位となるとジャンプ後の抜き打ち検査でやるかやらないかということになる。

男子選手も事情は同じなのだが、体形の変化が小さいため調整はしやすいようだ。

いずれにせよジャンプのチームにはスーツの調整ができるスタッフが付いていて、

しっかり調整しているのだが「あらゆる部分において」というのは非常に難しい。

これはわかりますよね。