瀬戸内海は難しい

来島海峡付近で貨物船の衝突事故があったということが報じられた。

貨物船沈没、船長ら3人が不明 現場は海上交通の難所 (朝日新聞デジタル)

一方の船員3人が行方不明ということで、うーん……という感じですね。

来島海峡は瀬戸内海最大の難所として知られている。

その来島海峡を安全に航行するためのルールがこの事故の背景にありそうだ。


瀬戸内海は島が多く、大型船が安全に航行できる範囲というのは意外に限られる。

明石海峡・備讃瀬戸・来島海峡の3箇所は航路が厳密に決められ、東西に行く多くの船が航行している。

それぞれ本州・四国間の架橋ルートが通っており、明石海峡は明石海峡大橋(神戸淡路鳴門自動車道)、

備讃瀬戸は瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)、来島海峡は来島海峡大橋(西瀬戸自動車道=しまなみ海道)が架かっている。

(明石海峡大橋以外は複数の橋の総称であることに注意)

陸同士が近いところを架橋するのが合理的であるのは言うまでもないが、それは裏返せば海上交通の制限が多いということ。

安全な航行のためには、船が守るべきルールはいろいろある。


明石海峡は海峡自体はそこまで狭くないが、東側で明石海峡と阪神港の各方面と往来する船が錯綜するのを防ぐために、

明石海峡の東側の一定区間で東西を行く船が交差しないようにするルールがあるという。

備讃瀬戸では全ての船は12kt以下で航行しなければならないという速力制限が設けられている。

安全に航行できる範囲が限られる中で追い越しが発生しにくいようにということらしい。

オーシャン東九フェリー(東京~徳島~北九州)が、徳島~北九州で基本的には太平洋に出るルートを使うのだが、

これは瀬戸内海経由の方が遅いからということであり、その要因の1つにはこのような速力制限もあるとみられる。

なお、荒天時は瀬戸内海経由のルートを使うこともある。(欠航するよりは遅れながら運航した方がよいということ)


で、来島海峡の航行ルールはかなりトリッキーなものである。

来島海峡の見どころ (来島海峡急流観潮船)

来島海峡は鳴門海峡・関門海峡と並んで潮流が激しいところとして知られる。(全部瀬戸内絡みだな)

で、このページの中程に「順中逆西」と書かれているが、これこそが来島海峡の特殊航法である。

来島海峡の大型船の通れる航路は馬島を挟んで、四国側の西水道と大島側の中水道の2つがあり、それぞれ一方通行である。

普通は船は右側通行ですから、中水道を北行、西水道を南行として使うのだが、

来島海峡付近に限っては特別なルールがあって、

潮の流れと同じ方向に航行する時は中水道、潮の流れと反対方向に航行する時は西水道を航行する決まりとなっています。

このルールを「順中逆西」といい、このように潮の流れによって航路を切り替えるのは世界唯一だという。


それにしてもなんでこんなルールが? と思うわけだけど、

中航路は比較的真っ直ぐ航行できるのだが、西航路は陸との関係により曲がりくねったルートになる。

来島海峡は潮の流れが特に速いが、潮の流れに乗ってスピードが出ていると舵が利きにくくなる。

この状態で西航路を通ると事故の原因となりかねないということで、潮の流れに乗って進む船は中航路を使い、

逆に潮の流れに逆らって進む船はスピードが出ないので安全に西航路を航行できるということである。

なお、巨大船はより安全な航行が出来るようにこのようなルールがあるとのこと。

200mを超える巨大船は、潮どまり前後の潮流のゆるやかな時間帯に、中水道を航行することが義務付けられています。


しかし、このルールにはいろいろ問題はあり、潮の流れが変わるときのコントロールは問題の1つである。

そして、ここだけ一般的な右側通行のルールと異なるということは、来島海峡前後で船が交差する場合があると。

実は今回の事故現場はまさにこの船が交差するポイントで起きたという。

現場海域は、海峡を抜けた船舶と海峡に入る船舶が交差するポイントにあたるという。

余裕を持って右側通行と左側通行の入れ替えができるようになってはいるはずだけど、

そこで何らかの問題があり、東西を行く船同士が衝突するということになったとみられる。


なんて難しいと思ってしまうけどね。

ただ、来島海峡の流れの速さは相当のようで、行方不明の船員を探すのも難航しているという。

今治海上保安部によると、潮流が弱まる時間帯を見計らって、28日昼から約6時間おきに特殊救難隊員らが潜水。船尾付近から船内に入って捜索している。水深約60メートルの海底に転覆して沈んでいる船体(高さ約30メートル、長さ約170メートル)の捜索は、海中で活動できる時間が十数分と限られ、潮流も速いため、難航しているという。

(貨物船捜索、機関室にたどり着けず 機関士らいた可能性 (朝日新聞デジタル))

今回の事故が発生したのは来島海峡を抜けて少し広くなったところであるはずだが、

そこで潮の流れが変わる時間を見計らって、数十分程度の捜索するのがやっとということである。


瀬戸内海は多くの漁船も行き交い、離島航路などで航路を横切る方向の船もあるから、気が抜けない難しい海域だと思う。

大きな船にとって瀬戸内海を通らなくて済むならそれに越したことはないけれど、

瀬戸内海に沿っては多くの工業都市があり、それらは瀬戸内海の海運あってのものである。

カーフェリーの定期航路も多く設定され、高速道路が整備された現在でもトラックの利用は多く、レジャーでの利用も多い。

あと、普段は瀬戸内海を通らない船でも、造船所への出入りというのもありますからね。

難しいなりに避けられない海域なんじゃないかなと。

駅名入れ換え作戦

そういえば、先日に北陸新幹線の越前市にできる新駅が「越前たけふ駅」に決まったという話を書いた。

なくなる駅でも重複したくなかった?

この件について、福井鉄道の越前武生駅は越前市の負担で改名されるそうである。

新幹線の新駅名と同じ読み…既存の私鉄駅の名称変更へ 福井鉄道の越前武生駅 (福井新聞)

非常にスムーズというか、既定路線だったんだろうな。


これを見て「京成千葉駅」のことを思い出した。

現在の京成千葉駅は そごう千葉店・JR千葉駅 に隣接したところにあるが、

1987年3月末まではここには「国鉄千葉駅前駅」があった。

しかし、同日に国鉄がJR東日本になるにあたって、この駅名ではおかしいと改名されたのである。

ところがここには大きな問題があって、もともとより千葉市街に近いところに「京成千葉駅」があった。

そこで、この駅は同日に「千葉中央駅」と改名された。現在の千葉中央駅はもとは京成千葉駅だった。

この名称変更は同日に行われたので、3月31日と4月1日の京成千葉駅は違う駅である。

そんな無茶苦茶な話があるかよと思うけど、本当にこんなことをやらかしているのである。


もっとも駅の移転に近いようなケースではそんなに違和感はないかも。

調べたら、比較的最近でも下記のようなケースが見つかった。

1つは北九州モノレールの小倉駅は1985年の開通当初はJR小倉駅の南方400mほどの位置にあったのだが、

利便性を高めるために1998年に延長され駅ビル内に新駅ができたが、それまでの小倉駅は「平和通駅」として存続することになったもの。

1つは京成が1991年に成田空港ターミナルビル地下に新線を開通させて、第1ターミナル地下に終点となる「成田空港駅」を開業したとき、

それ以前の成田空港駅(ターミナルビルへはバス連絡だった)を「東成田駅」に改名した例。

東成田駅は空港への通勤客が利用する駅として存続したが、成田~東成田は利用者はごく少なく、本数もごく少なかったのだが、

2002年に東成田~芝山千代田に芝山鉄道が開業し、芝山町への生活路線としての意義も持つようになり、少し持ち直してきてる。

多分、こういう例はいろいろあると思う。


混乱を避けるために少しタイミングをずらして駅名を入れ換えた例もあるようだ。

現在の和歌山駅は当初は東和歌山駅という名前だったのだが、少なくとも国鉄においては和歌山市における中心駅だった。

ところが、この当時は1898年に現在の紀勢本線の始発駅として作られた和歌山駅が別に存在していた。

この和歌山駅は開業当初は始発駅だったのだが、1903年には和歌山市駅へ延長して南海鉄道(現在の南海電車だが)と接続して、ここを拠点化。

なので開業5年で代表駅としての意義を失い、長年放置されていたのだが和歌山駅の名前を東和歌山駅に譲ることになり、

1968年2月に和歌山駅を紀和駅に改名、同年3月に東和歌山駅を和歌山駅に改名と1ヶ月ずらしで改名した例がある。

まぁ元々の和歌山駅がほとんど存在意義がない駅だったから大きな問題はなさそうだが、さすがに同時は……となったんだろうな。

中心駅っぽくない名前で改名されたというと、2004年に新幹線開業に合わせて行われた 西鹿児島→鹿児島中央 の改名なんかもそうだけど、

こちらは旧来の鹿児島駅はそのまま残っている。(県庁所在地の代表駅っぽいのにしょぼい駅として有名である)


今回は福井鉄道の越前武生駅の改名タイミングが新幹線開通に対してどういう時間関係で実施されるのかはわからないが、

両社が異なる会社であり、一方はローカル私鉄、一方は新幹線新駅ということで、遠くの駅で混乱を引き起こす可能性は低い。

これは越前市内でどういう形で言い分けるかというところがだけが問題とも言える。

「越前武生駅」と「越前たけふ駅」と表記上は異なるので、その気になれば区別できる点では好都合だし、

もっとも新幹線開通は2024年とまだ時間があるので、1~2年前に改名しておけばかなり余裕はある。


しかし、京成千葉駅の改名は本当によくこんなことやったなと思いますね。

定期券とかどうやって区別してたんだろうね。発行日によって「京成千葉」の意味は違うんですからね。(わずか1駅間だけど)

しかも直接の改名理由が他社の組織変更に伴うという、実態として何が変わるんだというしょうもない内容である。

この頃には京成にとっての代表駅も千葉市最大の百貨店である そごう千葉店 のある 国鉄千葉駅前駅になってたんだろうし、

そういう意味では「国鉄――駅前駅」なんてのはすでに実態に合わない駅名だったのかもしれない。

それこそ越前武生駅の旧駅名「武生新駅」なんていうのもそういう話でしょう。

指定席券売機1台でOK

最近は近距離で紙のきっぷを買って電車に乗ることは減りましたね。

JRで近距離きっぷを最後に買ったのっていつだっけ?

ICカード非導入区間を乗ることはあるが、JRだと長距離乗車の一部であることが大半だからな。

で、JRの近距離きっぷと言えば、オレンジ色の感熱紙で出てくるのが通常だが、

最近は一部の駅で水色のきっぷが出てくることがあるらしい。これは長距離きっぷと同じ紙である。

でもきっぷ自体のサイズは小さいんだよね。


これは指定席券売機に近距離きっぷの発行機能を付けている場合に見られる。

この方式はJR東海とJR北海道で採用されているとのことである。(JR北海道の方が先行して導入されたらしい)

指定席券売機のサービス拡充について (pdf) (JR東海)

指定席券売機(昔はJR東海ではエクスプレス券売機と言ってたが、もう今は聞かないね)に近距離きっぷ発売画面を付けて、

特急券・長距離乗車券・定期券の発売画面と切り替えて使えるようにしてあると。

JR東海の画面を見ると、ICカードのチャージや残高利用でのきっぷ購入はできないように見えるが、

JR北海道では同システムでICカードのチャージにも対応しているようだ。

(そもそもこの機械自体はICカードの定期券の発行ができるので、やってやれないことはない)


さて、どうしてこういうシステムを導入したのかというと、いろいろな見方があると思うが、

大きいのは駅業務の自動化のために指定席券売機を設置しようと考えたときに、

既存の券売機を撤去して設置するとなると、近距離きっぷを買う人が割を食うことになる。

そこで近距離きっぷの券売機を撤去した分は、近距離きっぷ対応の指定席券売機にするという方法が考えられたと。

実際、JR東海ではこのシステムを導入したことをきっかけに在来線駅への指定席券売機導入が進んだという。


なんとこのシステムの導入で全ての券売機が指定席券売機になってしまったところがあるという。

そんなところの1つが名古屋駅の近鉄→JR乗換改札である。

この改札の利用者の多くは近鉄電車と新幹線を乗り継いで使う人なので、新幹線のきっぷの購入・受取の利用が多い。

せせこましい改札口なのだが、かつては有人窓口もあったという。

ただ、改札を出て窓口に来てもらえば済む話なので、有人窓口は「サポートつき指定席券売機」に置き換えられたという。

(この辺の経緯は鶴橋駅にも似ていて、ここも京橋方面乗換改札の みどりの窓口 が みどりの券売機プラス へ置き換えられた)

この時点では同改札には、指定席券売機4台(うち1台がオペレータ対応可能)と近距離券売機が2台あったのだが、

その後、近距離券売機2台を撤去し、指定席券売機1台増設、そして全てを近距離きっぷ対応にしたという。


名古屋駅で近鉄・JRの乗換をすることはあっても、ここを使うことはほとんどないので知らなかったんだが、

まさかそんな極端なことになっていたとはと驚きつつも、実情には合っていると思う。

現在、近鉄・JR東海はPiTaPa・ICOCA・TOICAのいずれも両社とも利用することができる。(PiTaPaはJRでは要チャージだが)

JR側はICカード非導入路線も残るが、名古屋から近距離だと三重県方面が主ですから、近鉄~JRの乗換には実質関係ない。

先ほど書いたように、JR東海で本システムの券売機はICカードのチャージに対応していないが、近鉄の精算機でチャージ可能である。

このことから、ここできっぷを買う必要がある人の大半は特急券の購入が必要と言うことである。

だからといって近距離券売機を置かないわけにはいかないのだが、5台の指定席券売機いずれも使えるので、従来より自由度は高まっている。


他にも駅唯一の券売機が指定席券売機になってしまった例があるらしい。

それがJRの鳥羽駅だそう。

JRの鳥羽駅なんてあったっけと思ったのだが、確かに近鉄の利用者が圧倒的に多いが、JR参宮線の終着駅でもある。

歴史的には参宮線は鳥羽を含む志摩地域に至る唯一の鉄道路線だったのだが、1970年に近鉄鳥羽線が開通し、

これにより、それまで飛び地で存在した近鉄志摩線(鳥羽~賢島)と大阪・名古屋方面が直結することとなった。

(なぜ近鉄志摩線が飛び地で存在したのかというと、もとは国鉄に接続するローカル私鉄だったのが戦時統合で近鉄系列に入ったため)

データを見てみると1970年を境に国鉄の駅利用者は激減、多少の経路の違いはあるが、伊勢市~鳥羽のJR利用者はごく少ないとみられる。


こうして考えてみると、むしろなんで鳥羽駅に指定席券売機が必要なのだと思ってしまうのだが、

鳥羽駅には「快速みえ」が乗り入れており、この列車自体は基本的に乗車券だけでよいのだが、一部に指定席が設けられている。

(なぜ指定席があるのかというと新幹線接続で使われることを想定しているらしいが、そういう利用はおそらく少ない)

このため、駅では指定席券の購入ができることが好ましく、かつては有人窓口で指定席券を購入できるようにしていたそう。

しかし、さきほど書いたようにこの駅の利用者はごく少なく、駅員を置くのももったいないと無人化、

さらには券売機も近距離きっぷ用と指定席用を兼ねるようにしてしまったのだという。

というわけで、近距離きっぷ対応の指定席券売機を導入した結果、駅無人化が実現できたという話である。

なお、参宮線はTOICA非導入路線なので、ICカード非対応であることは全く問題にならない。


全体としてはここまで極端なことは少ないみたいなんですけどね。

JR東海では本方式はICカード非対応なので、もしもICカード導入駅の券売機を全部これにすると、チャージ機を単独設置しないといけない。

(もっともJR東海の場合、残高0円でも改札を通れるから、改札内にチャージ機を1台置けば最低限の目的は達成される)

それも含めてJR北海道ではICカードのチャージに対応しているように、必要ならICカード対応も可能な仕組みなので、

そういうところまで含めて1台に集約してしまうことは可能かも知れない。

券売機自体のコストは高いと思うけど、台数が減らせることはそれ以上のメリットなのでは?


これを見て思いだしたけど、そういえばJR東日本で みどりの窓口設置駅が、

指定席券売機ではなく黒い多機能券売機に置き換えられたという話があったとかなんとか。

多機能券売機は定期券が購入できる券売機だが、指定席特急券の購入はできない。

特急停車駅でなければ、駅で特急券が購入できないことは軽微な問題だし、通学定期も駅員操作で買える場合もあるとか。

そして多機能券売機は近距離券売機がベースだから、1台あれば全てのニーズに対応できるという発想もあったのかもしれない。

それが指定席券売機の近距離きっぷ対応で、本当に1台で全てのニーズに対応できるものができたとのかもね。


これを調べてたときに知ったけど、伊勢市駅や鳥羽駅など、三重県内のJR駅の指定席券売機には、

近鉄で名古屋まで行って新幹線に乗る場合も想定して名古屋駅からのきっぷも買えるが、

その新幹線に乗り継げるかどうかは自分で調べることという主旨の貼り紙が貼ってあるらしい。

(指定席券売機には時刻検索機能があるので、特急乗車駅までの乗り継ぎも考慮して買えるようだ。使ったことないけど。)

よく考えてみれば、伊勢市駅の場合は近鉄・JR問わず両社の改札を使え、近鉄はJR管理の改札に特急券うりばも置いてある。

このことから伊勢市駅のJR管理の改札も圧倒的に近鉄利用者が多く、そのJR改札で名古屋からの新幹線のきっぷも買えるのならそりゃ便利だわな。

JRとしては不本意な面もあるが、どう考えても名古屋まで近鉄を使う方が便利だし、特急券込みなら他駅発のきっぷも扱うのは当然である。

そういう現実を踏まえた上での貼り紙なんだろうな。いやはや。

なくなる駅でも重複したくなかった?

北陸新幹線の金沢~敦賀で唯一の新幹線単独の新駅が 越前たけふ駅 に決まったらしい。

「北陸新幹線(金沢~敦賀間)」新駅の駅名について (JR西日本)

当初の仮称は南越駅、ただ周辺地域からはあまり納得感のない駅名だったらしく、

越前市の提案した候補でも真っ先に外されてたぐらいである。

(まぁ工事段階の仮称なんてそんなもんだよねと)

その提案された駅名の1つが「越前たけふ」だったのだが、さてなぜこんな駅名になったのだろう。


やはり大きな理由としてあったのは、立地するのが越前市であったことである。

越前市は2005年に武生市・今立町の合併でできた市である。越前国の国府があったことにちなむ市名らしい。

ただ、そもそも越前というのが福井県の敦賀市より北側を示す広域地名なので、そのまま採用するのははばかられる。

そんなことで越前に何かをつけた名前をいくつか提案していたようである。

北陸新幹線新駅駅名候補選定委員会 (越前市)

越前たけふ というのは 市名+地域名 という発想だが、なぜ武生がひらがなになったのだろう?


実は越前武生駅はすでに福井鉄道の駅として存在している。

かつては武生新駅(駅名標には「武生新」と書かれていた)だったが、越前市ができるにあたって改名したそう。

変な駅名だという思いはあったんだろう。(同時に福井新駅も赤十字前駅に改名されている)

位置としてはJR武生駅のやや北側にある。中途半端に離れているが乗換駅の範疇である。

駅名が重複するにもかかわらず越前市は「越前武生」を提案していたのだが、

こちらを何らか別の駅名に改名する覚悟はあったんだろうと思う。


ただ、結果としてはJRは越前武生駅を採用せずに越前たけふ駅を採用した。

音が同じなので、さすがに福井鉄道の越前武生駅がそのままの名前で存続するのは難しいという話はあるので、

改名に向けて動く可能性はあるが、福井鉄道にとっては新幹線は関係ないので、改名するにしても越前市の費用負担とかになるのかなぁ。

福井鉄道も越前市の費用負担があれば改名自体は問題ないということを越前市の選定委員会でも述べていたようだ。


どうせ改名するなら越前武生駅でもよかったんじゃないか? という話はある。

ただ、どうもJR西日本は過去にあった駅名をそのまま採用することは避けているようである。

というのが最近の新駅の命名から見えるんですよね。

一番言われたのは広島市を走る可部線で過去に廃線になった一部区間を復活させたときに、

新しい終着駅となった「あき亀山駅」のことである。

実はもともと同地区には安芸亀山駅という駅があって廃線時になくなったのだが、同位置に復活したわけではない。というか場所はだいぶ違う。

このことから、命名趣旨は同じ(亀山駅は三重県に存在しているので重複を回避する必要がある)で違う駅名ということで、

広域地名の「安芸」をひらがなで表記することにしたようだ。まぁダサいとは言われたが。


もう1つが、嵯峨野線の新駅、梅小路公園へのアクセス駅として新設されて、仮称は七条駅だった。

この駅は「梅小路京都西駅」となった。JRと京都市が共同で発表しており、地域と円満に決定されたことがうかがえる。

しかし、この駅名を見て、なんで梅小路駅ではいかんかったのだと。というか「京都西」とはなんだと。

というのも、梅小路駅というのは、もともと当地に貨物駅として存在していたのだが、この時点では京都貨物駅に改名されていた。

それなら梅小路駅と命名しても困らないんじゃないかという話である。伝統ある駅名が復活するのはよいことじゃないかと。

このことについて、梅小路駅が過去に存在していたということが梅小路駅にならなかった理由ではないかという指摘があった。


というわけで、以上のことからすると、JRは越前武生駅が改名されて別の名前になるとしても、

越前武生駅という名前をそのまま使いたくはなく、その結果として越前たけふ駅になったんだろうということである。

これは地域の要望も踏まえた命名ではあり、市名の越前を取り入れることを優先したということである。

JR西日本の新駅では、先ほど出てきた あき亀山駅 以外に、はりま勝原駅・ひめじ別所駅など、地名をひらがなにした駅があるが、

いずれも広域の方の地名をひらがな表記しているところ、狭い方をひらがな表記にしているという点では独特である。

命名の経緯が違うのでなんとも言えないのですけどね。


この駅が当地でなんと呼ばれるようになるのかというのは気になるところで、

越前武生駅は改名したとしても、武生駅は今後も北陸本線(福井県が設立した会社に移管予定)の駅として存続するだろう。

北陸新幹線の新駅では、黒部市に設けられた 黒部宇奈月温泉駅、これも新幹線単独駅で地域の要望を踏まえて命名されたものだが、

この駅は富山地方鉄道が接続駅を新設しており、この駅は「新黒部駅」と命名された。

これはもともと新幹線の新駅の仮称だったのだが、新幹線の駅名に合わせなかったのは、

同社にとっては宇奈月温泉の最寄り駅は終点の宇奈月温泉駅だから混乱するという理由である。

この経緯は端から見れば奇怪な話だが、宇奈月温泉の人々は新幹線の駅名の一部に温泉の名前が入ったことは喜んだらしいのでいいんだろう。

(実際、自動車で移動することを考えれば、黒部宇奈月温泉駅は宇奈月温泉には十分近い)


JR西日本の駅名の命名はいろいろ言われることは多いが、結果的には定着しているんじゃないか

1994年に湊町駅がOCAT開業にあわせて「JR難波駅」と改名されたのは、

日本初のアルファベットを含んだ駅名であり、またJR自身が「JR」と駅名を付けた初めての例だった。

当初はいろいろ言われたらしい、四つ橋線なんば駅とはごく近く、またOCATは難波地区の高速バスターミナルとして定着し、

各社呼び名がバラバラということはさておき「JRなんば駅(OCAT)」の表記を採用する会社も多く、確かにわかりやすいなと思う。

この後も他社との重複が問題となるようなところでは「JR」を付けた駅名がいくつも採用されている。

この方法で駅名の重複を回避出来ると、シンプルに JR+地域名 の命名ができるというメリットがある。


というわけで、けっこうな奇策だとは思うが根拠はあるんだなと思った。

なお、北陸新幹線の同区間では 小松・加賀温泉・芦原温泉・福井 は既存駅に併設される。

わりと既存駅への併設が多いんですよね。新幹線が使いやすくなるという点でよいと思う。

新幹線開通後は京都・大阪あるいは米原・名古屋方面へは敦賀駅での乗換がメインとなる見込みである。

また、福井県内から東回りで東京へ行く人が多くなるはず。(現在は米原経由が主流なので大きく変わる)

福井県はしらさぎ号の福井までの運行を要望しているし、これは一理あるんじゃないかと思うところはあるが、本数は多くならないだろう。

敦賀での乗換がどうかなぁという感じはあるけど、特急の乗り換えは楽になるように工夫されるらしい。

逆に言うと特急だけですね。新幹線の敦賀駅が在来線からかなり離れてしまうのは確からしいので。

平行誘導路があるかないか

連休明け、1日休んだらいろいろあるかと思ったら、意外とそんなこともなく。

連休中は平和だったみたいですね。いいことですけど。


昨日、南紀白浜空港には平行誘導路がないという話を書いた。

白浜の海岸を行く

気になって調べてみたのだが、地方管理空港だと持ってるところの方が少ないですね。

航空写真を見た範囲では、地方管理空港で平行誘導路があるのは、

女満別・青森・花巻・福島・静岡・神戸・岡山・奄美・新石垣・下地島だった。

(下地島だけ浮いてるような気はするが、後で書く通りこの空港の設備は破格である)

逆に国管理空港ではほぼ平行誘導路があって、ないのは稚内空港・山形空港と百里飛行場(茨城空港)ぐらい。

茨城空港については、百里基地の自衛隊用滑走路と民間航空用滑走路はそれぞれ用意されていて、

その民間航空用の滑走路には平行誘導路がなくて、端にターニングパッドが付いているわけですね。

自衛隊用の滑走路には平行誘導路があるので、一見してありそうだけどね。


意外だったのは佐賀空港(県管理)に平行誘導路がなかったこと。

「九州佐賀国際空港」の愛称を付け、今や日本で有数の忙しい空港となった福岡空港の肩代わりをして国際線も増えているが、

設備面ではそこら辺の離島の空港とそう変わらないと。干拓地なので運用時間の制限がゆるいのは日本では珍しいですが。

富山空港(県管理)は河川敷の狭いところに押し込められているので、地形的に平行誘導路が作れないという事情もあるらしい。

これだけが理由ではないけど、北陸の基幹空港というのは小松空港ほぼ一本ですね。


あと航空写真を見ていて気になったのが、平行誘導路がなくても端にターニングパッドがあるとは限らないこと。

小さなプロペラ機ならなくても転回できそうだなとは思ったが、ボーイング737程度までならターニングパッドは必須ではないよう。

移転前の石垣空港はターニングパッドなしでボーイング737が発着する空港の1つだったようだ。

(現在の新石垣空港は平行誘導路が整備されている)

ターニングパッドが必須なのはそれよりさらに大きな中型機以上だから、必須ではない空港も多そう。


平行誘導路がない場合、離陸時は滑走路の端まで走って、ターンして、そこから離陸完了するまで滑走路を占有する。

着陸時も同じで、着陸開始して滑走路を走りきって、ターンして、駐機場へ向かう誘導路に出るまで滑走路を占有する。

これが平行誘導路があれば、滑走路の端から滑走路に入って離陸するまで、着陸して十分スピードが落ちて誘導路に入るまでの占有時間で済む。

平行誘導路があるだけで処理能力は飛躍的に上がるし、時間面での融通もつきやすい。

ただ、南紀白浜空港は1日3往復、いずれもきた飛行機がそのまま帰るだけだから、

基本的には空港には1機しか旅客機はいないわけで、滑走路の占有時間が長いからといって問題となることはない。


この平行誘導路の効果をさらに高める設備として「高速離脱誘導路」というのがある。

南紀白浜空港ではちんたら滑走路を走ってターンしていた飛行機だが、

羽田空港では着陸してブレーキをかけ、そこそこのスピードのまま滑走路から平行誘導路に移っていった。

比較的速いスピードで滑走路から離脱するために使われる、滑走路に対して斜めの誘導路を高速離脱誘導路という。

メリットは単純で着陸した飛行機ができるだけ速く滑走路から脱出して、次の飛行機の離着陸をできるので、

発着便数の増加につながるということで、忙しい空港には必須とも言える設備である。

何本か用意しておけば、飛行機の大きさなどに応じて、安全に滑走路から出られる範囲で近いところを選ぶことができ、

なおさら滑走路の占有時間減少につながるということで、なかなか奥深いものである。


調べたところ、日本の空港で高速離脱誘導路があるのは下記の空港である。

成田・中部・関西・大阪(伊丹)・東京(羽田)・新千歳・福岡・那覇・下地島・名古屋・岩国

岩国空港については自衛隊・アメリカ軍の岩国基地の滑走路にあるからということである。

名古屋空港については小牧基地併設というのもあるけど、元は基幹空港ですから当然あったわけですね。

残る空港は下地島以外は言うまでもなくいずれも重要度の高い空港ですね。


さて、ここでなんで下地島空港は離島の空港なのにそんなにリッチな設備があるのかと気になった人もいるかもしれない。

実は下地島空港は訓練用の空港としてできた経緯があり、かつては訓練用途での利用が多かったらしい。

ただ、2014年以降は訓練用途での利用が激減しており、当時は定期便もなかった。

そんな中、2015年に伊良部島と宮古島が架橋され、下地島と伊良部島はもともと架橋されていたから、宮古島まで陸路で移動できるようになった。

これを受けてか定期便の就航に向けてターミナルビルを整備、国際線も飛来するようになった。(宮古空港は国際線はない)


空港もいろいろですが、日本は空港に使える土地が狭いところが多いですから、そこが難しいですね。

南紀白浜空港にしても地形を考えればわりとカツカツの立地といってもよいと思う。

ちなみにこの空港は1回移転を経験しており、航空写真で見ると隣に×の書かれた滑走路がある。

当初はプロペラ機(YS-11)を想定した1200m滑走路の空港だったが、ジェット機対応のために移転・拡張した経緯があるよう。

基幹空港にしても、滑走路を増やすことが難しく、少ない滑走路をどれだけ使い倒せるかということになりがちで、

特に厳しいのが福岡空港で、もう拡張余地がほぼない中で、クロースパラレルの滑走路増設の計画はあるが……

狭いが滑走路が増やせないわけでもない

そういういろいろな制約を考慮して空港の設備は作られているということですね。

新幹線駅でもみどりの窓口なくて困らないよね

偶然、みどりの窓口のない新幹線駅という話を見て、そうかそんな駅も出来たのかと。

駅情報(糸魚川駅) (JRおでかけネット)

浦佐駅 (JR東日本)

まぁどっちもそんなに困らないんだと思います。

あの いわて沼宮内駅(1日乗車人員100人以下) や 奥津軽いまべつ駅(同30人以下)にも窓口があるのに、

という感じはあるけど、それも時間の問題じゃないかなぁ。


新幹線駅にみどりの窓口を必ず置いてきたのは、停車する列車の全てが特急だからというのはあると思う。

在来線でも特急停車駅には みどりの窓口 が置かれていることが多い。

それは指定席特急券の発売に必要だからということだが、必須というわけではないらしい。

それ以外の有人窓口でも条件によっては指定席特急券の発売ができるようだ。ただし時間がかかる場合もある。

そもそも、昔から無人駅の特急停車駅というのはあったでしょうけどね。

高山本線の ひだ号 の全てが停車する猪谷駅は無人の特急停車駅の1つである。

ただ、この駅はJR東海・JR西日本の乗務員交代のために停車するという面が強いと思う。

(2006年までは神岡鉄道との乗換駅という意味もあったらしい。その当時から無人駅だったらしいけど)

あとは特急利用者の多くは近距離の自由席利用で、その場合は備え付けの券売機で乗車券・特急券とも買えるので、不便は少ないのだろう。


新幹線駅のみどりの窓口閉鎖というのも、券売機で代替出来るからということになる。

JR西日本の言い方では みどりの券売機 があれば、基本的な乗車券・特急券の購入はできる。

また、複雑なきっぷでも、みどりの券売機プラス ということでオペレータ対応でなんとかできる。

あるいは e5489 や えきねっと で事前申し込みしておけば、スムーズに受取ができる。

基本的にはみどりの券売機でOKということにしてもいいと思いますけど、

オペレータ対応までできれば万全ということになろうと思う。

すでに在来線特急停車駅ではこのような体勢は珍しくないわけですからね。


なお、糸魚川駅についてはJR西日本にとっては大糸線の駅という一面もある。

ただ、大糸線自体が利用者が少ない上に、駅業務はえちごトキめき鉄道に委託されているので、

今まで定期券や乗車券の購入のためにみどりの窓口を使ってた人がいないとは言えないが、基本的にはえちごトキめき鉄道の窓口で問題ない。

もちろん、みどりの券売機を使って大糸線関係のきっぷを買うことはできるし、今もそうしてるのかもしれない。

大糸線まで考慮しても糸魚川駅のみどりの窓口閉鎖は軽微な問題と言える。


ということで全体的には券売機の高機能化というところで理解してよいのだと思う。

そう考えるとこれに続く新幹線駅のみどりの窓口閉鎖はけっこうあるかもね。

それぞれの駅の性質も考えなければならないけどね。


ところで、みどりの券売機、基本的にはよいと思うのだが、いろいろ条件を指定してきっぷを買える反面、

シンプルなきっぷを買うための操作数が多いのがやや不満である。

三原駅の乗換改札で特急券を買おうとしたら、みどりの券売機1台と窓口があるだけ。自由席券の券売機はないのか。

というわけでみどりの券売機をポチポチ操作して自由席特急券を購入。ちょっと操作数が多いね。

(尾道・広島を行く)

窓口できっぷを買うというと複雑なきっぷというイメージもあるかもしれないが、

実は簡単なきっぷほど券売機の操作の多さを嫌って窓口で買う人がいたんじゃないかと思うところもある。

まぁでも本当にこういう利用が多い駅は専用の券売機を置いてるか。

そういえば、新幹線の小倉駅には、通勤電車の駅のように自由席特急券・乗車券の券売機が何台も並べてありましたね。

(福岡~北九州の移動に新幹線を利用されることが多いので)

山形でSuicaが使えるのはまやかし?

昨日、青森・盛岡・秋田周辺でSuicaを導入する話を紹介した。

バスが使えるのに鉄道が使えないのはおかしいからね

山形県内のSuica導入状況について「仙山線に特化していて、県内移動にはあまり使えない」と書いたが、

Suica仙台エリアの路線図を見ると、一見して山形線(奥羽本線)にも導入されてるように見える。

Suica仙台エリア(pdf) (JR東日本)

福島~山形~鳴子温泉~古川が破線で書かれている。

これだけ見るとわからないけど、山形~鳴子温泉・古川は同じ路線ではなく、新庄で山形線と陸羽東線をつないでいる。


破線区間は未導入駅で乗降しない場合は使えるということで、仙山線の愛子~山形(途中駅は山寺・作並のみ導入)と同じだが、

問題は福島~山形とか、山形~鳴子温泉という利用がそんなにあるのかという話である。

前提としてSuicaはつばさ号(いわゆる 山形新幹線)では利用できない。

通常の乗車券+特急券、あるいは 新幹線eチケットサービス で乗車する必要がある。

制度上は福島~新庄のつばさ号は在来線特急なのだが、福島駅で新幹線ホームに発着するなどの都合もある。

福島~新庄では山形線の普通列車と つばさ号 が混在して走っているのだが、

このうち福島~米沢は全国的にも普通列車の少ない(1日6往復)区間で、運行列車の大半がつばさ号になっている。

このため、福島~山形をSuicaで利用するのは制度上可能でも、実用上は困難である。

また、山形~鳴子温泉・古川についても、新庄経由での利用は少ないとみられる。

山形~古川だと最短ルートは(在来線のみ利用としても)仙台経由ですからね。


じゃあ、なんでこんな書き方になっているのかというと、同区間へのSuica導入時に設定された仙台近郊区間との整合だと思う。

大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例 (JR東日本)

これによれば山形~古川などの区間は仙台経由のきっぷで、新庄経由で利用してもよい。

ただし、大都市近郊区間の特例に該当する場合は、そのきっぷが100km超であっても途中下車はできない。

このため運賃が高い方のきっぷを購入するメリットがないので、安い方(山形~古川なら仙台経由)しか通常は売らない。

なお、新幹線や つばさ号を利用する場合は大都市近郊区間の特例が適用されず、経路通りの乗車券を購入する必要がある。

また、特例が適用されない以上は100km超であれば途中下車が可能になる。経路通りなら気が変わって普通列車を使ってもよい。


JR東日本はこう言ってるのだが、昨日、JR九州のSUGOCAの案内ページを見るとこういう記載があることに気づいた。

SUGOCA/運賃計算/「SUGOCA」のカード内残額利用乗車の場合 (JR九州)

福岡・佐賀・大分・熊本エリアでは、路線自体は未導入区間があるが、両端はSUGOCA導入駅という路線がいくつかある。

原田線(原田・桂川のみ導入) や 久大本線(久留米~善通寺・大分~向之原のみ導入)などが該当する。

これらについてこういう記載がある。

ご乗車の区間の運賃を計算する際、「運賃計算の特例に使用する路線」を経由して計算した方が最も安くなる場合、実際には異なる経路で乗車する場合でもこれらの線区を経由したものとして運賃を計算します。また、カード残額を利用して、JR九州のSUGOCAエリア内の駅から乗車し、これらの線区を通過して、JR九州のSUGOCAエリア内の駅で下車することができます。(運賃計算の特例に使用する路線の途中の駅では下車できません。)

例えば、小倉~久留米 と移動する場合、普通に考えれば博多経由で移動すると思うが、

実はこの区間は小倉~折尾~桂川~原田~久留米が最安ルート(ただし、明らかに遅い)なんですね。

Yahoo!路線検索で同区間を「現金(きっぷ)優先」で検索すると2170円と出て、「ICカード優先」にすると1850円と出る。

なお、同エリアでも福岡近郊区間という制度があり、紙のきっぷでも乗車区間によらず最安ルートになる場合もあるが、

小倉~久留米は対象外(鳥栖~久留米が福岡近郊区間に該当しない)となっている。

このあたり、類似する制度があっても紙のきっぷとICカードで同じではないのは、JR西日本のICOCAも同様である。


さらに驚いたのが、非導入区間を通過する場合でも、SUGOCA導入駅同士の利用ならばICカードが使えるんですね。

久留米~大分を久大本線で通り抜けるなら、ICカードでいいんですね。

これはまさにJR東日本が福島~山形~鳴子温泉~古川を破線表記しているのと同じことだ。

実際問題として、これらの区間をICカードで通り抜ける意義があるのかはよくわからないが、

久留米~大分は特急が直通してるし、原田線は本数は少ないが短絡ルートとして無意味とも言えない。

なお、福岡・佐賀・大分・熊本エリア同士でも、唐津~佐賀を唐津線経由で使うのはNGと書かれている。

これは姪浜~唐津~西唐津の筑肥線は地下鉄空港線経由での利用しか想定していないから。

一方で、姪浜~博多を挟んでJRの駅同士で利用する場合は、JR分の運賃を通算するルールがあるので、孤立したエリアでもない。

なので、一般的に未導入区間を通過して良いわけではなく、このケースに限ってはOKということである。


かつてはJR東海のTOICAでも岐阜~多治見を当時はTOICA非導入だった高山本線・大多線経由で通過できるルールがあった。

同区間を含めて最安ルートとなる場合は、その運賃を適用するというルールもあった。

岐阜~多治見だと高山本線・大多線経由だと直通列車もあるし、両側とも岐阜県ですからね。

というわけでこれは実用面でも一定の意義があったと思う。

現在は同区間にもTOICAが導入されているので、一般的なルールとして最安ルートで計算される。


一方、JR西日本は「ICOCAエリア以外の区間を通過してご利用いただくことはできません」と明示している。

過去にさかのぼっても非導入区間を通過してよいルールはなかったはず。

では、非導入区間を通過した方が安くなる区間はどうなのか?

もはやICOCA導入区間が広がりすぎて非導入区間を通過した方が安くなるケースは少なくなったが、

規定上は一部の非導入区間は最短経路として考慮するルールがあるようで。

ICカード乗車券取扱約款(pdf) (JR西日本)

別表1の破線区間がそうで、現在は加古川線の西脇市~谷川のみが該当している。

この区間は大都市近郊区間との整合性も考慮してると見られるが、この制度の対象外でも最安経路として考慮される。


というわけで各社事情はいろいろなのだが、Suica仙台エリアの山形県内の表示は非常に紛らわしい。

嘘は言っていないのだが、仙山線以外をSuicaで利用するのは実用上困難である。

あと、仙山線にしてもSuica定期券は買えないんですよね。(非対応駅を含む=破線区間を含む場合は定期券は売らない)

仙台~山形は大学生の通学利用が多い区間と知られている。(仙台への通学も山形への通学も多いらしい)

にもかかわらず定期券がSuicaで買えないということで、こういうところも山形では実質的にSuicaが使えないという話につながっている。

確かに仙山線の途中駅はけっこうな秘境駅もあるのは事実で(都市間の通勤電車とは思えない車窓だった)、

ICカード非対応駅になるのもわからなくはないのだが、それと定期券が買えないのは別問題だよな。

なるほど、山形県民のいうことはそういう事情もあったんですね。

バスが使えるのに鉄道が使えないのはおかしいからね

JR東日本が、東北地方においてSuicaエリアを拡大することを発表した。

北東北3県における Suica ご利用エリアの拡大について (pdf) (JR東日本)

Suicaエリアは細々とした拡大(2020年の鹿島線への導入など)や、

一部駅の導入に留まっていた区間の未導入駅への導入(2017年に韮崎~松本にあった未導入駅にSuicaを導入したなど)はあったが、

本格的なエリア拡大という点では、2014年の松本・会津・山形などへのエリア拡大以来ではないか。


で、どこに導入するのかと見てみると、青森・盛岡・秋田の周辺に独立した利用エリアが設けられるようだ。

青森エリアだと青森~弘前と津軽の2大都市を結ぶ区間、途中には新青森駅で新幹線と接続する。

盛岡エリアだと東北本線の盛岡~北上を中心に、田沢湖線の盛岡~雫石、釜石線の花巻~新花巻、ここはそこそこ広い。

秋田エリアだと男鹿線全線と奥羽本線・羽越本線の概ね秋田市内の区間ということで、男鹿線以外はけっこう限定的。

新幹線接続も意識したのかなと思いつつも、明確にそういう使い方があるのは青森エリアぐらいかも。


なんでかなと思ったんだけど、さっきのニュースリリースの最後のページに「地域連携ICカードの導入状況」という資料がある。

地域連携ICカードというのは地域のバス会社などが発行するSuicaを拡張したカードで、

第一弾が栃木県で関東自動車・JRバス関東が発行するtotoraというカードですね。

これにより両社の栃木県内路線はSuicaと相互利用できるICカードに対応し、totoraでの定期券発行を開始した。

回数券代替というには弱いがバス利用でtotoraではポイント付与されるようだ。

次いで岩手県交通(Iwate Green Pass)でも導入されている。岩手県北バスもここに乗っかる予定なのかな。


この導入エリアを見てみると、栃木県・群馬県・山形周辺はすでにSuica導入済みだね。

(もっとも山形については仙山線の利用に特化しているので、県内移動にはあまり使えないけど)

そして今回の導入エリアというのは、青森周辺・岩手県内・秋田周辺にそれぞれ対応している。

八戸周辺と庄内は鉄道への導入予定がないけど、もしかしたら計画はあるのかも。

こういう観点で新規導入エリアを見てみると、八戸線が入ってないのが不思議なぐらいだね。

青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道と協調しての導入も探ってるのかも知れないが、

八戸線の八戸~鮫だけでも導入されると、地域内移動・新幹線接続の観点からも便利そうだよね。


ICカードの利用エリアといえば、JR西日本(ICOCA)の積極策が全国的に見ても目立つ。

ICOCAエリアはひとつに

現在、ICOCAエリアは富山県から山口県まで山陰や香川県も含めて16府県に広がっている。

エリア内に明確な境界はないが、200km以内などの条件はある。(でも地域内の移動にはまったく困らない)

ここにはいろいろな背景がある。

1つはJR西日本がチケットレス特急券の導入とセットでICOCAエリアを拡大したこと。

岡山~出雲市や和歌山~新宮のエリア拡大は、当初は特急停車駅を中心とした導入で特急を意識していた。

沿線地域がICOCA導入に積極的だったことも要因だと思う。

特に北陸ではもっとも最初に導入したのは、新幹線開通時にJRから独立した あいの風とやま鉄道 ですからね。

沿線市町村もICOCA利用の補助制度を設けて鉄道利用を促進してるケースがけっこうある。

西日本では、鉄道の導入が先行し、地域のバス・鉄道がICOCAを導入する流れが続いている。


JR東日本のアプローチはどちらかというとJR九州(SUGOCA)に似てるのかもね。

SUGOCAエリアは福岡・佐賀・大分・熊本エリアこそ北部九州の広域が1エリアだが。

宮崎エリア・鹿児島エリア・長崎エリアは各県庁所在地の周辺に限られる。

わりとローカルな利用に特化してる印象だが、宮崎エリアは宮崎空港との往来で使われることも多いかも。

鹿児島・長崎への導入は2012年と比較的早かったんですよね。

そこから、2015年の宮崎エリア導入以降はあまりエリアは変わってないんですけどね。


ところで岩手県内ってすでにSuica導入区間があるんですよね。

それが一ノ関駅・平泉駅で、この両駅はSuica仙台エリアの一部として導入されている。

一関は宮城県に隣接する都市だが、一方で宮城県との往来がそんなに多いのかは疑問がある。

だいたい、一ノ関駅の隣の宮城県の導入駅は60km離れた小牛田駅なんですよね。

今回の盛岡エリアの南端にあたる北上駅までの42kmよりだいぶ遠い。(この間に平泉駅がある)

おそらく一ノ関~平泉を新幹線接続で利用できるようにするための名目として仙台エリアの一部にしたのだろうが、

結果としてはそれゆえに岩手県内の移動に断絶が生じてしまったということだろうと。

仙台エリアへの統合も視野にあるのかもしれないが、一方で八戸・青森方面への拡張も考えられる。

このあたりはどっちがよいかというのは一概には言えないですけどね。


というところで将来的な行方は気になるところはあるが、基本的な考えとしてはいいと思いますね。

導入済みエリアでも導入路線・導入駅の拡大はあるかもしれませんね。

さっきも書いたけど山形県内は仙山線に特化していて、県内移動にはあまり使えないなんていうのもある。

ここは前々からなんでやらないんだろって思ってたところですけどね。

陸続きで道路もあるのに船があった

びっくりしたというのは、この航路が未だに生き残ってたことだけど。

浜島~御座~賢島定期航路(浜島航路)の廃止について (pdf) (志摩マリンレジャー)

志摩マリンレジャーというのは、英虞湾と鳥羽湾で観光船と定期船を運航している会社。

定期船は英虞湾で2航路あって、1つは賢島~間崎~和具航路、これは離島である間崎島を通ることもあって今後も継続運航される。

もう1つが今年9月で廃止が表明された賢島~御座~浜島航路だが、実はこれは陸続きのところを結んでいるのである。


このあたりは海岸線が入り組んでおり、地形が険しいということで、かつては陸続きのところでも船が重宝された。

僕が知る限りでは、三重県内で離島が関係しない航路としては下記のものが存在した。

  • 鳥羽~浦村~石鏡 (鳥羽市営定期船) 1975年廃止
  • 賢島~御座~浜島 (志摩マリンレジャー) 2021年9月廃止予定
  • 五ヶ所湾巡航船 (志摩マリンレジャー) 2000年廃止
  • 須賀利巡航船 2012年廃止

いずれも廃止理由は道路整備ということである。

特に鳥羽~浦村~石鏡はパールロード(開通当初は有料道路だったが)の開通からまもなく廃止されたという。

須賀利巡航船は尾鷲市の飛び地である須賀利町と他の地域を結ぶ道路がなかったことに由来する。

1982年の道路開通後も須賀利の唯一の公共交通として運航が継続されてきたが、2012年にコミュニティパスに転換された。

長らく航路が維持されたのは、尾鷲市街まで海を行く方が圧倒的に近かったからだろうが、そうはいってもコスト面で不利だしね。


賢島~御座~浜島航路が現在まで残っていた理由はよくわからない。

御座も浜島も道路が通じ、伊勢市や鵜方(志摩市中心部)までバスで結ばれている。

賢島~御座は海を突っ切った方が近いのは事実だが、陸路で鵜方・伊勢方面へ向かったとしても極端に遠回りなわけではない。

バスは1時間に1~2本運行され、鵜方~御座の所要時間はおよそ1時間、

賢島~御座の船が25分と考えると速いのはそうだが、1日3往復ではメリットは乏しいだろう。

賢島~浜島では本数・所要時間どちらを取っても海路のメリットはないだろう。


海路に顕著なメリットがあるとすれば、御座~浜島という英虞湾の入口付近を結ぶ区間で、

実はこの区間は国道260号線の海上区間で1989年まではカーフェリー(奥志摩フェリー)が運航されていたという。

今にしてみればどんなニーズがあったのかと気になってしまうが。

この国道260号線の整備で鵜方~御座の道路や五ヶ所湾を囲む道路ができたわけだ。

海上区間を挟んで使うというよりは、陸の孤島同士を結んだ道路という感じなんだけどね。

実際問題として、御座~浜島だけの利用は少ないはず。


これにより志摩マリンレジャーの定期船は賢島~間崎~和具航路だけになる。

この航路は間崎島が架橋されていない離島であることから、離島航路としての補助金が出ている。

賢島~和具と考えるとここは陸続きだが、和具には三重県立水産高校があるため通学航路としての需要がある。

このことから経営的に恵まれているとは言えずとも、とりあえず廃止の心配はない。

1日9往復運航され、最終便が17時台というのはいささか早いが、十分使える航路だと思う。


以前教えてもらったんだけど、

青森~脇野沢~佐井を結ぶシィラインは陸続きのところを結ぶにもかかわらず離島航路としての補助金が出てるらしい

下北半島の先の方なのだが、このあたりは道路状況が悪く、冬期は閉鎖される区間もあるため、

特に県庁所在地の青森市との往来となると、極端な遠回りを強いられる事情があるようだ。

道路が全く使えないわけではないが、陸続きの生活圏はせいぜい むつ市 ぐらいまでということか。

このような事情から陸つながりの離島航路が認められているということである。

実は函館~大間のフェリーを使って函館へ行くのが一番近いなんて話もあるぐらい。

函館~大間がいくら近くても、本州~北海道の広域移動としては意義が乏しいところ、生活航路としての意義がメインという。


全国的にはこういう地域はいろいろあるのかもしれないけどね。

ただ、三重県の志摩地域ではもう陸の孤島はないと思ってたので、なんで残ってるんだろというのは不思議だった。

以前から廃止を提案してはいたみたいなんですけどね。(調べるとそんなニュースがいくつかひっかかった)

事情からすればもっとあっさり廃止されてもよさそうなもんなんだけどね。

かつては市バスも山科まで走ってた

こんなニュースを見てびっくりしたんだけど。

京都・山科区で市バス「復活」へ 四半世紀ぶり 地元「不便」受け (毎日新聞)

京都市の山科・醍醐地区は同地区内に地下鉄東西線が開通したことを受けて、

市バスは撤退し、地域を走るバス路線を京阪バスに一本化した経緯がある。

いくつか思惑はあったんだろうけど、バス需要の減少に合わせて市バス醍醐営業所を閉鎖する意図はあったんじゃないか。


こうして市バスの山科・醍醐地区を走っていた系統はいずれも廃止となった……

と思ったが、実は経路を変更して現存している系統が1つだけある。

それが80系統、現在の経路は 太秦天神川駅→西京極運動公園→河原町五条→五条坂→祇園→四条河原町→河原町五条→西京極運動公園→太秦天神川駅 である。

京都の地理に詳しい人ならわかると思うのだが、西京極~五条坂はひたすら五条通(国道1号線~9号線)を走っている。

それで五条坂→祇園→四条河原町→河原町五条と都心をめがけてぐるりと回って、また五条通を西京極まで走るのである。

途中に市立病院があるので、そこへの通院路線として使われているらしいが。


で、実はこの80系統は醍醐営業所が廃止される以前は、五条通を五条坂を越えてもそのまま進み、

東山トンネルを越えて山科区内に入り、山科団地(現在の東野駅付近にある)へ走り、そこで折り返して市内に戻っていたそうだ。

これが市バスの山科・醍醐撤退に伴い、五条坂までに収めて、なおかつ都心へ向かうようにしたのが現在の80系統というわけ。

(その後、地下鉄東西線の太秦天神川駅までの延伸を受けて、右京区側のルートが多少変わっている)

一方の山科・醍醐地区の路線バスを一手に担うことになった京阪バスは市バス80系統の山科側の代替として、

大宅~国道大塚~五条坂~烏丸五条~四条大宮 という系統(82系統)を新設している。

山科・醍醐方面から都心方面へ向かうバスは数あれど、終日にわたり四条大宮に入るのはこの系統だけらしい。

おそらくは、もともと五条通を突っ切って走っていたバスにルーツがあるからだろう。


山科区内での市バス復活というのでどういう系統を想定しているかは特に書いてないが、

旧80系統のように五条通を右京区から山科区まで走り通すようなことも1つの案としてありそうな気はする。

というのも、現在は大宅~四条大宮のバスは1時間1本程度と本数が少なくなっている。

これを通し運転にすることで運行を効率化することができれば、京阪バスの負担軽減につながるのではないだろうか。

もっとも現在の市バス80系統も京阪バス84系統もいずれも四条方面に向かっているところ、

旧80系統はひたすら五条通を走り通すことになるので、双方から都心方面へのアクセスには使えないことになる。

五条京阪・烏丸五条・京都リサーチパーク前(=丹波口駅)で鉄道に接続するのでそれでなんとかというところか。


実際はもっと単純に四条河原町~山科・醍醐方面のバスの一部を市バスが分担するということなのかもしれないけど。

ただ、それだけなら特に市バスが運行に直接関与する必要があるのかは疑問ですがね。

市バスが関与するからこそできるというと旧80系統のような路線だと思うんですがね。

まぁこの辺は両社がどう考えるかということですが。


地下鉄開通に伴って市バスが路線を減らした地域としては洛北方面もあって、

かつては大原にも市バスが走ってたとか。今は京都バスに一本化されている。

ただ、洛北方面は今も京都バスと市バスが混在するところは一部あって、近年に均一区間拡大が行われている。

それと比べると山科・醍醐は完全撤退ですから、それゆえの難しさもあったのかもしれない。

とはいえ、市バス再参入説が出てくるとはびっくりしたけど。