機関車はやめて牽引車を買う

日本で列車と言えば大半は電車、一部にディーゼルカー、

でも大昔には機関車が客車を引っ張る列車もそれなりにあった。

貨物列車は基本的には機関車が貨車を引くんですけど、

旅客列車では観光列車かそれに限りなく近い列車で残る程度である。

世界的にも機関車+客車から電車・ディーゼルカーへの置き換えの方向ではある。

ただ、低コストであるなどの理由で一定程度残っている地域が多いらしい。


日本で客車列車がほとんど走らなくなったことには、

  • 高頻度に運行される通勤路線が多いこと (高頻度運転には不向き)
  • 省力化が求められたこと (機関車は折り返しの手間が多い)
  • 冷房の付いた客車がなかったこと
  • 貨物列車の運行が別会社になったこと
  • 寝台列車は比較的最後まで残ったが、新幹線・飛行機に代替されたこと

冷房を付けるぐらいなら、省力化して増発できる電車・ディーゼルカーを買うわと。


それでもJR貨物以外のJR各社は機関車を細々と維持してきた。

営業列車ではほとんど使わないが、回送列車や工事・除雪などの作業に使ってきた。

しかし、そうして維持してきた機関車も削減する流れが来ているようだ。

新型砕石輸送気動車および事業用電車の量産車新造について(pdf) (JR東日本)

代替として作る車両が2つ書いてある。

1つがGV-E197系電気式気動車、これは砕石輸送用のディーゼルカーである。

すでにディーゼルカーのレール輸送車を購入しており、この2つを合わせて工事用途で使われる機関車を代替出来るという算段らしい。

もう1つがE493系電車、これは牽引用電車ということで車両の回送や車庫内の入換作業で使われる機関車を代替するという。

もっともGV-E197系は砕石輸送用と言いつつ、牽引車部分だけを外して回送・入換作業に使えるようである。


これは少し前の話なのですが、JR西日本がキヤ143形気動車という除雪用ディーゼルカーを購入している。

新型ラッセル車両の投入について (JR西日本)

従来は除雪車というのは機関車にアタッチメントを付けて対応していた。

この除雪用ディーゼルカーはアタッチメントを切り離せるようになっている。

今のところ、試運転や展示を除けば、除雪以外の用途で使われたことはないと思うが、構想としてはあるらしい。


というわけでこれらの車両を導入することで、JR旅客各社の機関車は代替されていく方向である。

ちなみにJR東海はレール輸送車の購入により、機関車を全廃している。

もっとも、これらの車両は構造的には機関車に近い一面もある。

JR東日本が購入するE493系電車の目的は車両を牽引すること。

車両を牽引する鉄道車両を機関車というのではないのか?

特にJR西日本の購入したキヤ143形というのは、構造的にはほぼ機関車という話がある。

除雪車両として求められる性能を考えれば、そうならざるを得ないと。


しかし、あくまでも機関車ではないという。

運転方法を営業運転に使っている電車・ディーゼルカーに合わせていることが大きい。

すなわち営業運転で使わなくなった機関車を工事・回送・除雪などの用途で細々と使うとなると、そのための訓練が必要になる。

しかし、運転方法が普段使っている車両に似ていれば、特別な訓練は不要である。

その代わり、従来の機関車とそのまま同じ用途で使えるわけではない。

でもJR旅客各社にとって機関車を使う用途は限定されているのだから、そこに対応できれば問題ないのだ。

むしろ、その限定的な用途での利便性が高まればうれしいわけですよね。


なお、JR以外の私鉄・公営交通ではもうだいぶ前から機関車を持っていないことが多い。

貨物輸送がある会社は別なんですけどね。でも、それこそ本当に少ないので。

工事や除雪では保線用の機械(列車が走らない時間帯のみ使える)で対応したり、

車両の牽引ではそもそも自走で足りたり、営業用の車両に引かせたり。

ただ、意外なところで機関車を持っているところがあって、それが東京都である。

こんなレア車両があるのか……! 都営地下鉄を走る「赤い電気機関車」の謎 (ねとらぼ)

大江戸線の車両を浅草線の車庫に運んで点検するために使われる特殊な車両である。

しかし、これはシステム的には機関車というより牽引用電車でしょうね。


冒頭で「観光列車かそれに限りなく近い列車で残る程度」と書いたが、

それも蒸気機関車の保存活動に関連するものが多いのではないか。

蒸気機関車を営業運転で使うとなれば、それは必然的に客車列車である。

また蒸気機関車の回送にディーゼル機関車・電気機関車を使うことも多い。

例えば、横川→高崎で「SLぐんま よこかわ」が運行されているが、

実はその反対向きは「ELぐんま よこかわ」という電気機関車で引く列車である。

これは横川駅には転車台がないので蒸気機関車の方向転換ができない。

そのため横川→高崎の向きに蒸気機関車をセットして、蒸気機関車ごと電気機関車で引っ張っていく方式をとっている。

まぁ回送列車みたいなもんだが、これはこれで貴重な列車である。

その他、蒸気機関車のメンテナンス中に回送用のディーゼル機関車・電気機関車を使った観光列車が運転される例は各地で見られる。


それ以外の観光列車というと、トロッコ列車が多いですね。

京都鉄道博物館に行くと、蒸気機関車が保存されている傍らディーゼル機関車がいるが、

これは蒸気機関車の保存活動用でもあるのだが、嵯峨野トロッコ列車で使うという目的もあるという。梅小路が拠点なんですね。

冬を除いては概ね週6日(紅葉の時期は毎日)、保津峡沿いを観光客を乗せて走っている。

今やこれがもっとも乗りやすい客車列車では? (乗ったことないけど)


ただ、これらの目的で使っている機関車も老朽化してくるとやり方を考えなければならない。

JR西日本が買ったキヤ143形は試運転ではSLやまぐち号の客車(cf. 蒸気機関車が引くもの)を引いている。

蒸気機関車の回送あるいは代役としての牽引車というのも出てくるかも知れない。

特にJR西日本の除雪用ディーゼルカーは冬以外はこれといった使い道もないので、そういう目的は好都合に思えるところもある。


なお、JR九州はJR旅客各社の中で唯一、JRになってから機関車を買って現在も保有している。

クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」の牽引用として買ったのがはじまりだが、

それとは別に買ったらしい。用途は不明だが、SL人吉(本来の運行ルートは被災して長期不通だがルート変更して運行は続いている)に関連する用途かも。

JR貨物の機関車と同型のものをカスタマイズしている。

実は、JR東日本も寝台特急の牽引用の機関車を買ったことがあったが、北斗星の廃止後に同型なのをよいことにJR貨物に売却している。

この当時はJR東日本が一部の貨物列車の運行を受託していたので、それで貨物を引く姿もしばしば見られたらしい。

ただ、寝台特急もなくなり、一転機関車を手放す方向に転換した。

このたび代替に必要な車両が揃うことになったと。

もっとも蒸気機関車の保存活動用など、ここにある車両では代替しがたいものもある。

機関車を大きく減らすことは確かだが、全廃とも単純には言えないと思う。

大型車の駐車マスを増やしたい

先日、東名ハイウェイバスで東京~名古屋を移動したが、

最初の休憩場所、足柄サービスエリアのバス駐車場所が前と違うことに気づいた。

大型車の駐車スペース確保のために駐車マスを再編した結果らしい。

その結果、従来よりトイレが少し遠くなって、今までの感覚でのんびりしてたのか小走りで戻る羽目になるひとがぽつぽついた。


最近では深夜帯にサービスエリア・パーキングエリアに大型車が溢れることが問題となっている。

休憩時間の確保が厳格になったこと。深夜割引の活用という背景がある。

その対策として大型車を多く駐車できるように拡充が進められている。

といっても土地が限られている中でできる対応というのは駐車マスの書換である。

休憩施設における大型車駐車マス拡充の取組みについて ~2021年度は大型車マスを約910台拡充、2022年度から2024年度までの3か年で大型車マス約1,500台の拡充を計画、うち2022年度までに約600台の拡充に着手予定~ (NEXCO中日本)

対策の主なところは、小型車駐車マスを小型車・大型車兼用に書き換えるというものである。

従来は小型車と大型車の駐車区域を大きく分けて、その中で駐車マスを設けていた。

ところがこれでは深夜に急増する大型車に対応できない。

だからといって小型車の駐車スペースを減らしてはこれも困る。

そこで小型車2台または大型車1台で利用できる駐車マスを増やしていると。

こうすると小型車専用のマスは従来よりだいぶ減るわけである。


ただ、ここで小型車が詰めて使ってくれないと兼用マスの意味はないと。

「兼用マス」のご利用にあたっては、まずは普通車、大型車それぞれの駐車マスを優先的にご利用いただき、それぞれの駐車マスが満車の場合に、「兼用マス」をご利用ください。「兼用マス」に普通車が1台駐車していると、大型車は駐車することができませんので、より多くのお客さまが駐車できるよう、普通車の縦列駐車にご協力をお願いいたします。

まずは専用マスを優先して使う。なければ小型車1台が駐車している兼用マスに入る。

それもなければ空いている兼用マスに前詰めで駐車すると。これが推奨である。

小型車専用があればそっちを優先してというのがまず重要ですね。


あと、従来は高速道路の駐車マスというと、前向き駐車を意図した物が多かった。

高速道路の逆走を防ぐために駐車マスは全て斜めなんですね。それで想定される向きが決まっていると。

ただ、利用者に聞くとバックで駐車して前進で発進する方が人気があるということで、最近はバック駐車に改められつつある

高速SAなどの斜め前向き駐車 要注意 新東名ではバック駐車に変更 事故起きやすいワケ (乗りものニュース)

理想的には前進で駐車して、そのまま通り抜けて前進で発進できるといいけど、

そうすると通路の数が多くなって、駐車台数が減ってしまいますから。

SA・PAの構造にもよるが、バック駐車を前提として駐車マスをV字に詰めて、駐車マスの数を増やしているところもあるようだ。


ともかく駐車場を有効に使うためには正しい駐車スペースを選ぶことが重要である。

バスだと専用の駐車マスが設けられているSA・PAが多いが、

そこをバス以外が使わないように、三角コーンなどが置かれていることがある。

前進で入って前進で出る場合、三角コーンを除けて駐車して、

駐車後に三角コーンを戻して、それで前から出ればそれでOKである。

もっとも、この前横着をして、三角コーンの置かれていない側からバックで入庫するというあまり見ないやり方をしてびっくりしたけど。


しかし、この大型車駐車マスを増やすための取り組みというのは、それはそれで大変なことだと思う。

やはりもともと大型・小型を大きく区分して、それで車両を振り分けてきたのに、

そこに兼用というのが加わるのはそれはそれで難しい。

構造的に対応可能であるか。場合によっては建物に手を入れるタイミングで駐車場のレイアウトをガラッと変えるとかそういうことも必要になる。

だから線の引き直しという単純な話でもないんですよね。

案内方法の工夫としては、曜日・時間帯によって、兼用マスの使い方をある程度決めておいて、それに応じて案内表示を変えるという方法もあるようだ。


そもそも長時間駐車が問題であるのは確かだが、SA・PAに頼らざるを得ない事情もあるのはそうなんですよね。

深夜割引の適正化という話はありますが、そうはいっても一定残るでしょうし。

京都市バスが共同運行をする理由

今日は奈良へ行ったが、結局はそこから京都まで足を伸ばすことに。

博物館・美術館と回ったわけですけど。

奈良博では大安寺の特別展、大安寺って今はそんなに大きくないよなと思ったらなんと奈良時代の4%の敷地しか残っていないから、それはそれでびっくり。

興福寺でもだいぶ減ったと思うけど、あれでもマシな方だなと思えるレベル。

旧境内の一部は都市化したが、一方で空き地で残っている部分はそこそこあるので、そこから雰囲気を感じ取ることはできるかもしれない。

歴史だけはあるので、奈良時代なら残る仏像を持ってきて展示していたが、

腕が失われたのを後で補ったので、元々何の仏像だったかは不詳だと「伝」と付いているのがけっこうあって、こういうのは学芸員も悩ましいところか。

そう、何の仏さまか知るには手の形が重要なのである。


さて、京都で地下鉄の駅を降りるときに、このことを案内するポスターが貼られていた。

民間バス事業者と共に運行する系統における乗車券等の取扱いについて (京都市交通局)

今年3月から市バスの3つの系統について、京都バス あるいは 西日本JRバス との共同運行を始めた。

共同運行といってもいろいろなスタイルがあるが、特徴は下記の通り。

  1. 市バスのバス停に複数社のバスが来る
  2. 系統番号は市バスの系統番号を各社掲げる
  3. 会社によらず230円均一だが、使える乗車券類は必ずしも統一されていない

市バスの路線の一部を他社の車両・乗務員で運転するという性格が強い。

しかし、運賃制度は市バスに揃えているというわけではない。


共同運行はこういう路線で観光路線か大学への通学路線ですね。

  • 北3系統(北大路バスターミナル~京都産業大学) : 市バス・京都バス
  • 86系統(梅小路公園~京都駅~平安神宮) : 市バス・京都バス
  • 快速立命館号/快速205系統 (京都駅~立命館大学) : 市バス・JRバス

各社で運賃制度を揃えているわけではないのだが、共通で使える乗車券も存在する。

基本運賃であれば、現金・市域共通回数券・PiTaPa・ICOCAは各社使える。

定期券は紙定期券は各社別だが、通勤・通学(大学生のみ)はICOCA定期券を発行している。

ICOCA定期券に限っては市バスの定期券で京都バス・JRバスも利用できるルールになっている。

これが大学への通学路線がターゲットになった理由であろう。

フリーきっぷについては、市バス均一区間が利用できるものは、京都バス・JRバスの均一区間であっても利用できる。

このため観光客にとってはそこまで意識せずに利用できる。(一部例外はある)

一番差が大きいのが、福祉乗車証・敬老乗車証で、市バス以外では限定的にしか利用できない。

なので通院・買い物を中心とした生活路線は共同運行の対象にならないのではないか。


それにしてもどうして京都市バスはこういうことを始めたのだろうか?

京都市に限らないが公営バスでは民間のバス会社への運行委託を行っていることが多い。

ところが最近はどこのバス会社も人手不足で、市バスからの委託を縮小する動きがある。

この状態で便数を維持するには、市が乗務員など雇って対応する必要があるが、どうしても委託していた頃よりも割高になる。

というわけで市バス全体の運行本数を減らして、経営状況を改善することにした。

観光客の数が減ったので、バッサリと減便できる路線もあるのだが、生活路線や通勤・通学路線は維持していかないといけない。

そこで考えられたのが他社との共同運行だという。


しかし、これは根本的な問題解決なんかね?

まず、共同運行というのは従来市バスの収入となっていたものが、共同運行先の会社に流れるということ。

定期券・フリーきっぷについては実績に応じて分配されるのだと思うが。

京都バス・JRバスはともに京都市バスの運行委託を受託している会社であり、

マンパワーを市バスからの受託に充てるか、市バスとの共同運行に充てるかと、という話になってきそうな気もするが。

ただ、市バスにも適正規模というものがあるだろうし、共同運行するバス会社にとっても自社路線とあわせて運行効率化の余地があるかもしれない。

お互いWin-Winだからこそ、共同運行をスタートできたはずだが。


この共同運行に関係してちょっと気になる路線がある。

京都バスの路線図を見ると「臨東山」「臨丸太町」というのがあるが、これは86系統の共同運行に伴ってできた路線らしい。

京都バス路線図 (pdf)

臨東山は京都駅~祇園~高野では市バス206系統とまるっきり被る。

臨丸太町は川端丸太町~嵯峨瀬戸川町と丸太町通をひた走るバスで、市バス93系統(錦林車庫~嵐山)の一部区間と被るがちょっと中途半端な感じがする。

こちらは市バスとの共同運行路線ではないのだが、市バスと被るのであわよくば乗って欲しいという雰囲気を見せている。

Suicaはないけど回数券はやめる

JR東日本が回数券を原則廃止するという発表をしていて驚いた。

普通回数乗車券の発売終了について (pdf) (JR東日本)

JR東日本完結となる、障害者割引・通信制学校の通学用以外の回数券が廃止になる。


JR東日本では回数券を販売できる券売機をかなり限定していたり、扱いの悪さはすでにあった。

一方で関東圏などICカードの普及率が極めて高い地域があり、回数券が使われることが減っていたことも事実である。

Suicaで同じ運賃区間を繰り返し利用した場合に割引を行う制度があり、ある程度、回数券の代替として使える環境も整っていた。

この点で取扱に手間のかかる回数券を廃止するのは理解できる面もあるが……


JR各社で回数券廃止をもっとも最初に発表したのがJR西日本である。

JR西日本はICOCAエリアで完結する回数券(障害者・通学用を除く)を廃止した。

ICOCAエリア外を含む回数券は現在も販売を継続している。

例えば、岡山~津山のような回数券は現在も購入できる。

他社とまたがる回数券も買えるので、岡山~高松のような回数券も買える。(この区間はJR四国区間を含めてICOCAが利用できる)

あと、これは知らなかったんだけど、新幹線はICOCAでは利用できないので、

京都~(新幹線)~新大阪~大阪(これはJR東海にまたがる回数券でもある)であったり、三ノ宮~西明石~(新幹線)~姫路 のような回数券も買える。


JR西日本の回数券廃止はICOCAエリアに限ったもので、納得できる点が多かった。

というのも関西では回数券のバラ売りを行う店が多く見られた。

これは約9%引きで買える回数券をバラ売りしてといるという面もあるのだが、

それ以上に大きいのが特定区間で設定された割安な運賃を活用することである。

例えば、草津~大阪は本来1170円だが、京都で分けてきっぷを買うと420円+570円=990円となる。

これを回数券で用意すると途中下車する必要なく割安に乗れる。


関西の私鉄・公営交通の一部ではカード式の回数券が導入されていて、これはバラ売りを難しくする仕組みでもある。これはこれで便利なんだけど。

しかしカード式回数券の運用はそれはそれで手間のかかる話であって、

ICカードが普及した現状からして回数券自体をやめる方が……と思ったのだろう。

これを採用したのが京阪(2020年12月末販売終了)、そしてJR西日本(2021年9月末販売終了)である。

両社ともICOCAへのポイント付与またはPiTaPa利用時の割引で一部代替できる。


ただ、バラ売り回数券対策という意図は理解できるものの、実際には穴がある。

それが他社関係・新幹線関係の回数券は引き続き買えるということ。

特に大阪~京都は新幹線経由の回数券で割安な運賃の恩恵が受けられる。

そして規定上、新幹線経由の回数券で在来線に乗ってもよい。(その逆も可)

このため現在も関西では回数券のバラ売りは一部で続いているという。


もう1つ、JR九州が管内完結の回数券(障害者・通学用を除く)を全て廃止した。

発表は西日本より後だが、実際に廃止されたのは2021年6月末でJRでは一番乗り。

SUGOCAを多数利用する人向けの優遇制度も同時に大きく縮小された。

回数券廃止はSUGOCAエリアに限ったものではなく、全区間である。

とはいえ、JR九州におけるSUGOCAエリアはかなり広い。

JR九州路線図 (JR九州)

この図で黄色く塗られている駅がSUGOCAエリアの駅である。

特急導入路線の多くにICOCAを導入したJR西日本と比べると広がりに欠ける面はあるが、ただ通勤路線らしいところはだいたい導入されているように見える。

長崎~佐世保の大村線、宮崎~延岡の日豊本線、日田彦山線の小倉~田川後藤寺あたりは気になるが。


それに対してJR東日本ですが、会社全体で見ればICカードの普及度が高いが……

それは圧倒的に利用者の多い関東圏の話であって、他の地域ではどうだろうか。

というのもJR東日本のICカード導入路線はけっこう限られている。

関東圏以外でも山梨・長野・新潟・福島・宮城の各県はわりと導入路線が多い。

ただし福島県は県内に首都圏エリアと仙台エリアの境界があり、これを越えてのICカード利用が出来ない。そこまで問題はないかも知れないが。

一部駅のみ導入区間もしばしばある。以前に比べればだいぶ減ったけど。


問題は山形・岩手・青森・秋田の各県で、来年春には各県ともICカード導入区間ができる。

が、その網羅度はそんなに高いものではない。

山形県はすでに導入区間があるが、仙山線の山寺・山形の2駅のみで、仙台方面に行くのに一部の駅だけ使えるというもの。

使えない駅は多いし、県内移動には実質使えない。庄内には全く導入されていない。

青森県は来年春に青森~弘前だけ導入予定である。そこだけ? とも思う。


回数券の運用コストもバカにならないというのはそうであろうと思う一方、

最近は駅に券売機がないということも増えてきた。

そういう区間を定期的に利用する人にとって回数券は便利な場合もある。

(ただ、回数券を買える主要駅などに行き着けることが条件だが)

もちろんICカードが導入されれば、そっちの方がもっと便利という考えはあるが。

しかし、それがない場合の策として回数券は維持された方がいいと思う。


回数券の運用コストやバラ売りによる経営への影響を考えたとき、回数券の販売を継続する区間を絞り込むことは理由があると思う。

JR西日本はICOCAエリア外・他社にまたがる回数券は引き続き販売する対応だが、

新幹線経由の大阪~京都であったり、長距離の回数券も買えてしまうのはやりすぎだと思う。

ICカードでの代替性がなくて、通院など身近な利用に即したところに絞ってもよかったんじゃないか。

逆にJR九州・JR東日本はここに配慮がないのが気になる。

これを機にJR東日本がSuica導入路線を増やす可能性はあるけど、具体化している区間はごく一部である。


昔、時々使っていた近鉄のカード式回数券はともかく、JRの回数券は何枚も紙のきっぷが出てきて管理が面倒というのは思っていた。

9%安いといっても、Suica利用による恩恵が数%あると考えると……

というところでなかなか実用的ではないという状況はだいぶ前からあった話。

回数券を使い倒していた人には概ね不利な傾向にあるのは知っているが、

この状況で回数券を従来通り継続する理由に乏しいのは納得できる。

ただ、利用状況によっては回数券がないとすごく困るし、代替性に乏しいというのはあるんだよね。

JR九州も気になるのはそうだが、現状のJR東日本はその比ではなく厳しい。

協議が整えばバスの値上げも可

阪急バスの京都府内路線で運賃改定という話があって、

バス会社の経営は昔から厳しいよねと思ったわけですが、この改定内容に違和感が。

2019 年4月19日付で京都エリア一般路線バスの運賃認可を受け、同年5 月8 日に運賃改定を実施いたしました。その際、お客様への影響を考慮し、認可を受けた上限額での運賃改定を見送り、段階的に運賃改定を実施することとしました。(略)

なお、長岡京市域の運賃改定については、関係市町との協議により合意された協議運賃を導入いたします。何卒ご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(略)

運賃改定の概要

(1)普通運賃

長岡京線

「乗降とも」または「乗降いずれか」が長岡京市域内の場合、運賃を230円とします。

(京都エリア一般路線バスの運賃改定について(pdf) (阪急バス))

長岡京市内を含む利用を230円均一にするというのは上限運賃の変更では無いのか?


そもそも鉄道・バスの運賃には上限運賃と実施運賃という概念がある。

基本的な普通運賃・定期運賃は上限運賃=実施運賃となっている会社が多いが、

普通運賃・定期運賃を上限運賃より安くしている会社はしばしばある。

そういえば少し前にJR西日本がこんなことを発表してましたね。

京阪神エリアの割安な特定区間運賃の一部見直しについて (JR西日本)

例えば、奈良~天王寺は距離を運賃表に当てはめれば本来は650円となる。

しかし、奈良~大阪市内で平行する近鉄を意識して割安な運賃を設定していた。

設定以来、消費税改定を反映しながら480円にしていたが、これを500円にすると。

(500円は近鉄の奈良~鶴橋などの運賃と同額)

このような変更は上限運賃の範囲での改定なので届出だけで済む。


実施運賃もいろいろで、各種の割引きっぷも実施運賃として届出をしているし、JRのように特定区間だけ安い運賃を設定するのもそう。

阪急バスの場合は運賃表自体を上限運賃より安くしていた。

これを京都府内路線では上限運賃=実施運賃にするというのがまず1つ。

これによる値上げ幅は10~40円とのことで、従来の170円区間は180円となる。

しかし、長岡京市内については、従来の170~400円区間がすべて230円となる。

値下げはともかく、170円→230円の値上げは届出だけでできるもんだろうか?


そこで調べたところポイントは「協議運賃」というところだった。

そもそもこの長岡京市内の均一化の発端は、阪急バスが長岡京市内のバス路線を減便する方針を示したことによる。

このことについて長岡京市と阪急バスは協議を行い、230円均一にするなら従来に近い便数を保てるということで合意できた。

その後、長岡京市の地域公共交通会議にこの方針が議題として出され、

長岡京市と向日市・京都市・大山崎町(路線がまたがる)、そして長岡京市内を走る阪急バス・京都京阪バス・京都市バスの全員が合意して、協議運賃が成立した。

その後、関係する3社は届出を行ったということである。


だから届出だけで上限運賃を超える運賃改定を行ったといえばそうなんですが、それなりのプロセスは踏んでいるというわけなんですね。

おそらく230円というのは京都市バスの均一運賃を意識したのだと思う。

阪急バス以外の関係路線というのは、京都市にまたがる利用が主であろう。

一応、淀駅~西山天王山駅(京都京阪バス・阪急バス共同運行)では、もともと京都市内均一運賃の対象外でそれより安い210円だったのは230円に値上がりするよう。

ただ、長岡京市にかからなくても210円→230円の改定なので結局は一緒だと。

でもそれ以外は目立った影響ではないかな。

京都市バスの方はもともと京都市内均一にかかる部分が多く230円以上なので。


協議運賃というのはもともとコミュニティバスでよく使われていたものらしいね。

コミュニティバスというのは福祉的事情などもあって、通常の路線バスとは全く異なる運賃体系を取っていることがしばしばある。

これは、関係市町村・地域内のバス会社が合意して成立した協議運賃であることが多いらしい。

この協議運賃は通常の路線バスより安いケースもあるが、高いケースもある。

しかしいずれの場合で地域で合意すれば届出だけで設定・改定可能ということらしい。


バスの運賃ってのは難しいですよね。

そういえば昔、京都市バスの普通運賃は条例上は230円均一と規定されていることを紹介しましたね。

均一区間が拡大すると起きること

しかし、実際には全路線が230円均一というわけではなく、他社との競合区間はそれにあわせた運賃を定めるという規定で230円より高い運賃も安い運賃もある。

長らく京都市バスの最高額区間として知られていたのが 四条烏丸~高雄 である。

しかし、この区間は2021年に西日本JRバスと合意して均一区間に編入された。

一見、JRバスには不利な内容にみえるが、同時に京都市バスのフリー乗車券でJRバスの均一区間が利用できるなど、一定の分配があることから合意したとみられる。

まぁ京都市バスの立場にしてみれば条例通りの運賃にしただけではあるけど。

現在の最高額区間は洛西地区の桂駅~南春日町の420円区間かな。

(ここだけ特異的に高くて、他の洛西地区は300円以下)

赤字額で言えばこんなもの

少し前にこんな話を紹介しましたが。

鉄道では非効率というのはこういうの

JR西日本が輸送密度2000人/日を切る区間について、鉄道では非効率であるということ問題提起をしたわけだが、

これらの路線の採算状況についてデータが公表されたが、まぁそういう数字だよねと。

ローカル線に関する課題認識と情報開示について (JR西日本)


やはりこれほど利用者が少ないと、どの路線も採算性は散々である。

特急運行路線でも全然割に合わない状況で、

山陰本線の出雲市~益田で100円の収入を得るのに446円かかるような計算。

経費の1割も賄えない路線としては、九頭竜線・大糸線・山陰本線(益田~小串)・加古川線(西脇市~谷川)・姫新線(中国勝山~新見)・芸備線(備中神代~備後庄原)・福塩線(府中~塩町)・因美線(東津山~智頭)・木次線・小野田線 といったところ。


しかし、このレベルになってくると収支のバランス以上に赤字の絶対額が問題である。

芸備線なんて顕著ですけど、利用が極端に少ない備中神代~備後庄原~三次(90.3km)の赤字額は10.3億円なのに対し、そこそこ利用がある三次~下深川(54.6km)は15.5億円の赤字である。

このように利用者が多い区間の方が赤字額がかさむのはよくあることで、

今回の公表対象ではないが、1ランク上の2000~4000人/日の路線こそ、赤字額は散々なんじゃないかと思う。

それは利用者がいない路線なら遠慮無く減便できるけど、利用者がいる路線だとそうそう減便もできないからである。

もっともこの3月から多くの路線で減便が行われ、そういう路線の赤字額も縮小させていきたいという考えはあるのだろう。利便性の低下は確実だが。


ここでリストアップされた路線で鉄道の廃止を真面目に考えるのは半分ぐらい?

そこでこの赤字を行政で肩代わりするような策を考えるかもしれないが、ただ感覚的にはこの赤字額というのは金額として大きい気がする。

  • 関西本線(亀山~加茂:61.0km) : 収入2.5億円 支出17.1億円 赤字14.6億円
  • 姫新線(播磨新宮~上月:28.8km): 収入0.9億円 支出7.0億円 赤字6.0億円
  • 岩徳線(43.7km) : 収入1.8億円 支出7.2億円 赤字5.4億円
  • きのくに線(新宮~白浜:95.2km) : 収入6.7億円 支出35.4億円 赤字28.6億円
  • 山陰本線(出雲市~益田: 129.9km): 収入10.0億円 支出44.5億円 赤字34.5億円
  • 山口線(益田~宮野:78.4km) : 収入2.7億円 支出16.6億円 赤字13.6億円

関西本線のこの区間の京都府内の笠置町・南山城村がとても小さな町村で、しかも関西本線以外の公共交通がほとんどないという依存度の高さである。

三重県側(全体の2/3ほど)の伊賀市・亀山市とも分担するとしても、この赤字額は誰にとっても重いだろう。

姫新線の兵庫県内は比較的利用があるので、鉄道としての存続を考えると思ったが、姫路~播磨新宮はもう少し利用が多いがおそらく大赤字なので、合わせて大赤字。

岩徳線はこういう路線の中では控えめな赤字額の印象ではある。

岩国市・周南市ともども大きな都市だから、これぐらいペロッと行けそうだけど。

下3路線は特急も走る路線なので県レベルの課題だと思うが、どうでしょうか?


沿線地域から補助を受けて存続しているローカル鉄道の実情をいくつか調べて、これらの数字と比較してみた。

1つがえちぜん鉄道、かつての京福電鉄の福井県内路線を継承して2路線53kmを経営している。

少し古いデータなのだが2010年度で収入8.0億円に対し、経費10.1億円とのことだった。

というわけで年2億円ほどの赤字と読めるが、実態はそうではない。

なぜかというとこの経費には減価償却費はほとんど入っていなくて、補助金での設備投資は減価償却しないんですね。だから設備投資が収支に全く反映されていない。

その設備投資は開業(京福からの移管)後10年間で56.1億円にも及び、

そのうち17.1億円は国による補助だが、残りは全て福井県が補助している。

沿線市町村は運行費用の赤字を埋め合わせ、県と国が設備投資をするという分担で、最初10年間は平均して年7億円ぐらいのペースで費やしてるんですね。

もっともこれはかつての京福電鉄が設備投資を怠り、重大事故を起こした経緯があり、移管後に集中して設備投資を行わざるを得なかった事情もある。

だから最近の数字を知りたかったんだけどすぐに見あたらなかった。


もう1つが若桜鉄道、鳥取県若桜町・智頭町の19.2km間を走る路線で、JR設立まもない頃に移管されたのだが、2009年に鉄道施設が沿線2町に移管された。

鉄道施設を無償で若桜鉄道に貸し付けることで、若桜鉄道の収支均衡を目指したわけである。

このときの計画値を見ると、2009~2018年の平均で若桜鉄道の収入が1.42億円、経費が1.37億円ということで、ほぼ均衡。

その上で沿線2町は施設の保守費用が年5400万円、これは税金で賄うことになる。

また、設備投資が年3100万円、ここには国の補助も入るということである。

なお、この方式では若桜鉄道の収入には沿線2町からの委託費も含まれる。

なので、運輸収入は年7000万円ほどで、そこに町・国が8000万円ほど税金を投じているということになる。

しかし全体的な規模感が小さいので、この規模の町でもなんとかなるのだろう。


具体的な数字は入手できなかったが、信楽高原鐵道も似たような数値感らしい。

数千万円の運賃収入に甲賀市が数千万円を税金で施設を維持して投資してと。

なんでこんな路線が維持できてるのかな? と思ったこともあったけど、

甲賀市は信楽地区の公共交通について、甲賀市中心部に至り、JR草津線に乗り換え可能な信楽線に集中的にお金をかけることに決めたからではないか。

信楽から大津方面に直行するバスがあって便利そうだが、本数はかなり少ない。

同じお金をかけるなら多方面へのバス路線を充実させるという選択肢もあると思うが、甲賀市は1本の鉄道に集約することを選んだということであろう。


JRが公表した収支がどのように計算したものかはわからないけど。

管理費は経費には含んでいないとは記載されているが。

しかし、減価償却費は含むと考えるのが自然だから、設備投資は補助金ありきの鉄道事業とは単純比較はできないわけですよね。

人件費なども帳簿上の数字で実態にどれぐらい即したものかわからない。

この辺は沿線市町村・沿線府県が深掘りしたいという話になれば、より詳細な試算が出てくるのだと思うけど。


路線ごとに置かれた状況はだいぶ違うので、この数字を見ての感想もいろいろだと思う。

JRはローカル線の運賃が安すぎる面もあるが、このレベルの路線ではあまり関係ないかな。

もう1ランク上の2000~4000人/日とかの路線とかだと収支にもそこそこ影響すると思うが。

利用が少なくて、費用を絞っているような路線だと、この赤字の1桁少ない金額でバスを走らせれば、鉄道よりかなり使いやすいというのはありそうな話。

ただ、赤字額で言えばそれより問題なのは、もう少し利用者の多い路線である。

一定の利用がある路線だと、金を出すのはやぶさかではないが、市町村レベルでは首が回らないという話もあると思うが、府県レベルで介入できるかどうか。

コスト低減といっても利用者に不便をかけてのコスト軽減では困るでしょう。

特急運行路線は他の交通機関との競争力を考えるとどう考えても金はかかる。

ただJRにとっても特急料金や長距離利用という形で実入りも大きいはず。

この区間だけの赤字で見るのはアンフェアだが、そうはいっても赤字がかさむことは事実であり、そこの落とし所は悩ましい。

10円加算してもあまり変わらんか

JR東日本が電車特定区間内の運賃に来年から10円加算する届出を行ったそうだ。

バリアフリー設備の整備を促進します~ホームドアは整備を拡大・加速~ (pdf) (JR東日本)

バリアフリー設備と言いますが、エレベータやトイレ改修というよりは、可動式ホーム柵ですよね。

これがとにかく金がかかる上に、エレベータだと道路整備とかの名目で行政に整備してもらうこともあるけど、そういう手は使えない。

この加算により年間230億円の増収となり、累計5000億円以上となる可動式ホーム柵の整備費を賄うとのことである。


さすがにこればかりは金がかかっても仕方ないことである。

正直なところ、コストパフォーマンスという点でよい設備かは疑問はあるのだが、

利用者に比してホームが狭い駅では転落事故が問題であることは事実。

そこに対する効果的な対策であるのは明らかですからね。


今回の加算対象は電車特定区間内ということで、区間外にはみ出す利用は対象外である。

新宿~大宮は加算対象だけど、新宿~宇都宮は電車特定区間の境界である大宮駅を越えるので一切加算されない。

それで逆転することはないのか? と思ったが、現状の電車特定区間の運賃は幹線運賃より10円以上安いので特に問題はない。

電車特定区間・東京山手線内の運賃表と幹線の運賃表の差が少し縮まるということですね。

その点で影響はある程度抑えられるという判断はあるんじゃないか。


ところでここで気になったのが乗車券の分割のこと。

JRの運賃というのは長距離になるほど割安になるとは言えない。

距離単価で言えば15kmが特異的に安いことが知られている。

例えば、新宿~大宮は28.3km(埼京線)で運賃表に当てはめると473円となる。

(厳密には最短距離計算で埼京線は最短ではないので若干異なるが運賃帯は同じ)

これを浮間舟渡で分けると、13.4kmと14.9kmとなり、220円+220円で440円となる。

分割した方が33円安くなるのである。そのために途中下車するには微妙な駅だが。

あらかじめ分割した乗車券を紙で買うことができれば、下車する必要はないけど。


10円加算で変わるかと思ったけど、15kmの特異的な安さは相変わらず。

さっきの例だと価格差が10円縮まるが23円だから依然安い。

10円加算程度ならあんまり変わらないんだなと。当たり前か。


なお、乗車券分割は距離ごとの単価の違いを使うもの以外に、

電車特定区間とそれ以外の境界駅で分割する方法や、特定の区間だけ本来の運賃表より安くしている特定運賃を使えるように分割する方法もある。

電車特定区間と幹線の差が縮まるとしても、距離単価ではやはり安いだろうし、

特定運賃も電車特定区間内であれば10円加算の対象だと思うが、わざわざ特定運賃を設定するだけあって10円程度ではひっくり返らない安さだろう。

というわけで思ったほどは変わらないのかなと。


関東圏のJRだとドア位置が揃っているものが多いから、一般的なタイプで対応できるのかな?

定位置に停める装置なしで導入する路線だと開口部を広くしてたりするけど。

ドア位置を揃えるというのがけっこう大変な話ではあって、

東武伊勢崎線(スカイツリーライン)と直通運転している京メトロ日比谷線ではもともと急カーブ対応で、東武の他の車両より短い車両を使っていた。

こうすると東武線内のドア位置が揃えられないと、同じ長さでカーブを曲がれる車両を買ったんだよね。

近畿圏のJRだとドア位置統一のために東西線は4ドア、環状線は3ドアを選んだなんて話もありましたが。

ドア位置によらず対応可能なロープタイプってのもあるけど、イマイチなところはある。

特急停車駅などどうあがいてもドア位置が統一できないところでは選択肢になってるけど。

中央線快速はロープタイプかなぁ。その前にグリーン車導入計画が問題だが。

福岡空港の3・4番目の滑走路?

福岡空港といえば、市街地にあるから便利だけど、環境問題と混雑対策の難しさが課題である。

いろいろ制約は多いが、クロースパラレルの滑走路増設に向けて動いているところである。

そんな福岡空港だが、2020年に「滑走路C」「滑走路D」というのができている。

福岡空港の3・4本目の滑走路? でも、多分これは滑走路には見えないし、そもそも福岡空港かも怪しい。


この滑走路は通称「奈多ヘリポート」のことである。

福岡空港の一部とみなされているが、敷地は全く別のところにある。

福岡市東区奈多、海の中道の付け根の部分にあたる地域である。

福岡空港の本体からずいぶん離れたところにあるが福岡空港の一部には違いなく、

国が設置し、福岡空港の運営権を取得した 福岡国際空港(株)が運営している。

ヘリポート (福岡空港)


そもそもヘリポートって滑走路なの? という話なんですけど、制度上はそうなんですよね。

例えば、東京ヘリポートは幅30m・長さ90mの滑走路となっている。

この滑走路というのは、滑走しながら離陸した方が有利だから使うという面もあるが

滑走路の延長線上には障害物がないことが保証されているということもある。

このため常設の空港にヘリコプターが離着陸する場合は、固定翼機同様に滑走路から出入りするのが普通であり、これこそが奈多ヘリポート新設の理由でもある。

すなわち福岡空港という忙しい空港に固定翼機の間を縫って、ヘリコプターも出入りしなければならなかったのである。


そこでヘリコプターを別の場所に移転させることで、福岡空港の混雑緩和を図ろうとしたということである。

ちなみに奈多ヘリポートの場所はもともと軍の飛行場があったところである。

その土地は福岡航空交通管制部が所在し、飛行機の安全な飛行を支えている。

その土地の一部を使ってヘリポートを作ったわけですね。

由緒ある土地ではあるんですね。


ただ、この奈多ヘリポートにしても滑走路が2本あるようには見えない。

福岡空港Webサイトに書いてある諸元を見ても「滑走路 長さ:35m・幅:30m」としかない。

これについては奈多ヘリポートの航空写真を見ればわかる。

福岡空港 奈多ヘリポート (Google Maps)

NATAって書いてある隣に (H) のマークが書かれているが、これが「滑走路」ですね。

この滑走路には2つの四角形が重なるようにあり、北側には15、南側には34という数字が書いてある。

この数字は滑走路の方角を表すもので、01~36の数字を使い、東が09、南が18、西が27、北が36と10°刻みで変わる。

大抵の空港では1本の滑走路を両側から出入りできるようにしていて、福岡空港の滑走路は北側に「16」、南側に「34」と書かれている。

1本の滑走路の反対側は180°違うのだから、両側の数字は34-16=18のように18差になる。


しかし、奈多ヘリポートの両側の数字は 34-15=19 と180°差ではないことがわかる。

実は奈多ヘリポートは南北の進入経路が少しズレてるんですよね。

「滑走路」に少しズレた2つの四角形が描かれているのは、南北それぞれの滑走路がほぼ重なって存在しているということを表している。

ヘリコプターの「滑走路」はほとんど長さがいらないので、これでOKなんですね。

地理院地図 / 空港等の周辺空域(航空局)

福岡空港本体の制限とも被ってますけど、北側には「福岡空港-C進入表面」、南側には「福岡空港-D進入表面」とある。

これは奈多ヘリポートに設けられた「滑走路C」「滑走路D」に対応している。

(この「滑走路C」「滑走路D」の名前は奈多ヘリポート開設時の告示に出ている)

ヘリポートではわりとよく見られる構造みたいですね。

公共ヘリポートだと奈良県ヘリポートがそうなっている。これは地形の都合かな?

ここも2つの四角形を重ねて「11」「25」の数字が書かれている。


国が(軍用機以外という意味で)民間機のためのヘリポートを作るのはおそらく初めてではないか?

その背景には福岡市周辺には福岡空港以外にヘリコプターの拠点に適切な空港がなかったということがあるんじゃないか。

例えば、全国の警察航空隊の拠点となる空港を調べてみると、

北海道は丘珠空港と帯広空港、東京都は東京ヘリポートと立川飛行場、愛知県は県営名古屋空港(小牧)、大阪府は八尾空港など、基幹空港以外に拠点がある。

八尾空港は定期便がないのに歴史的経緯から国管理の空港なんですよね。

これによって伊丹空港はだいぶ助かっているという見方はあると思う。


忙しそうな空港に拠点があるというと、千葉県の成田空港、兵庫県の伊丹空港、福岡県の福岡空港、沖縄県の那覇空港といったところ。

兵庫県は消防のヘリコプターは神戸空港を拠点としている。

八尾空港ともども近隣に分散先がある中で、兵庫県警は伊丹を使い続けてるということかな。

成田空港は時間帯によっては忙しいが、1日に均せばそこまでではないはず。

そもそも滑走路2本あるし、さらに滑走路の横にヘリパッドが新設されたそうで。

これも成田空港の混雑対策らしい。東京との移動用のヘリコプターも見込んだそうだが。

ただ、このヘリパッドは新規の制限が不要だったからか、さっきの周辺空域の地図には掲載されてないけど。

那覇空港は沖縄本島唯一の民間機が利用できる空港で、自衛隊共用ということもあって、滑走路の増設が実施された。

海側を埋め立てて新設された滑走路は、従来の滑走路とは距離が離れているのであまり干渉せずに運用できる。


そんな中で福岡空港は滑走路は増設されてもクロースパラレルなので、そんなに処理能力が増えるわけではない。

その能力をフル活用するならばと考えたときにヘリコプターが邪魔だと。

福岡県内には北九州空港はありますけど、福岡と北九州はだいぶ離れてますからね。

大阪周辺では八尾空港が歴史的経緯から国管理空港として存在しているので、

福岡周辺でも福岡空港の処理能力向上という名目があれば可能となったのではないか。

奈多ヘリポート開設後、福岡県警察・福岡市消防局のヘリコプターや福岡空港を拠点としていた報道ヘリは奈多に移転したようである。


ヘリコプターと固定翼機の飛び方は全然違うわけで、お互いどれぐらいの干渉があるのかはなかなかつかみ切れていないところはある。

ただ、ヘリコプターだからって自由な方向で離着陸できるわけではなく、

その空間というのは固定翼機と共通であることが多いというのは実情ですよね。

だからといってヘリポートを作るのも楽では無いんだよな。

福岡空港は立地がよいこともあってヘリポートとしても重用されてきたが、それはちょっと退いてよということになったということですね。

座席を外してドア付近を広くする

Twitterのトレンドに「JR九州の座席撤去」と出ていて、

なんだこれ? と思ったらこういうことらしい。

JR九州の座席撤去に困惑…1車両で最大4割「通勤1時間以上、立ちっぱなしに」 (西日本新聞)

なんかものすごい雑に座席が取り外されているが。

目的は通勤ラッシュの混雑緩和のため。確かに効果はありそうだが。


これと似たようなものを見たことがある。

大和路線をはじめとする関西エリアで走る221系である。

JR西日本 221系近郊型電車リニューアル (Railway Enjoy Net)

この221系というのは、大和路線では大和路快速などの優等列車で主に使われた。

3ドアということで、ある程度は通勤ラッシュに対応できることを意図していた。

が、ドア付近が狭いという問題があった。(新快速用の後継車両ではドア付近を広げている)

大和路快速など環状線直通列車でも使われるが、そこにこの車両では混雑が大変。

一方で環状線では可動式ホーム柵導入に向けてドアの位置を揃える検討が行われ、

直通列車で主に使われる3ドアか、環状線内列車で主に使われる4ドアか、どちらを選ぶとなって、実験も行った結果、3ドア側に寄せることを決断。

経年した4ドア車は環状線を去る一方、比較的新しい3ドア車への期待が高まった。

なんて諸々の事情があって、221系は座席の一部を取り外す改造が行われたのだった。


やってることは似ているのだが、221系はもう少し丁寧である。

3つのドアに面する各1列を撤去するということで、1両3列(12席)が撤去されたが、

撤去されたところには補助椅子が設置され、混雑時間帯以外は座れるのである。

だから、座席は減ったけど、減ってはいないのである。

もちろん混雑時間帯は座席を格納して立ちスペースを広げている。この効果はてきめんだったという。

ラッシュ時には環状線の4ドア車を環状線~大和路線の直通列車用に借りていたのもなくなり、

大和路線の各停で走ることも増え、今月からはおおさか東線を走っている。

この車両の活躍の場が増えるということは、老朽化した電車が去るということでもある。


ということで、考え方としてはそんなにおかしな話ではないのだが、九州のこれはさすがに雑である。

撤去対象はこちらは1両4列(16席)、中央ドアについては両側の座席を撤去している。

そもそも関西の221系に比べればドア付近の余裕は多少あったらしく、

その上に221系だと中央ドアは片側の撤去に留めていたのが両側撤去ですからね。

だから、異様なまでの広さである。そして代替となる座席は一切無しと。

見出しには最大4割の座席が撤去されたとあるが、これは先頭車などの極端な場合だが、しかしそのような車両でさえほぼ一律4列撤去とは厳しいものである。


一方でこういうことに至った背景には、九州では通路の中まで詰めることが定着していないからではないかという指摘があった。

確かに北九州市内をJRで移動したときに、立客がドア付近に固まっているなとは思っていた。

ドア付近に固まるなら、ドア付近をうんと広げれば解決できる。

というのは乱暴ではあるが、一理ある話ではある。


この対策は暫定措置で、将来的には座席配置を抜本的に見直すのでは? という指摘もありましたけどね。

すなわち線路方向に長い座席を設けるロングシートに転換するのではないかということである。

実際、他の形式ではそういう改造をされた車両も出てきているらしいですね。

しかし、そのためにはそこそこ大がかりな改造工事になるので、まずは座席を外して蓋をする程度で対応できる方法を選択したと。

そう考えればこの雑な対応も納得できる面はあるけど……


ラッシュ時だけのために多くの車両を持つと大変ですから、ラッシュ時にはできるだけ詰め込める車両に改めて行くという流れは確かにある話。

JR九州も車両の老朽化などある中で、手持ちの車両をできるだけ有効活用したいという考えはあるんだろう。

ちょっとやりすぎ感はあるけどね。

無人駅があるからワンマン化してなかった?

ちょっと話題になっていたのですが。

2022年4月23日(土)ダイヤ変更について~対象路線:南大阪線・吉野線・長野線・御所線~ (pdf) (近鉄)

従来から近鉄南大阪線系統ではワンマン運転が行われてきたが、

この範囲がさらに拡大するという内容で、特に吉野線ではこれまでなかったワンマン列車が設定されることになる。

過去に区間便でワンマン列車があったそうだが、橿原神宮前~吉野通し運転のワンマン列車は初めてのことだという。


従来、吉野線でワンマン列車が設定されていなかったのは、あべの橋~吉野の急行がメインだったという事情もあるが、実は現在の昼間はそうなっていない。

今の吉野線の時刻表を見ると昼間は橿原神宮前~吉野の各停が走ってるんですよね。

これは橿原神宮前で区間急行の行き先変更を行っているものもあるが、

別車両にして吉野線内だけ短い編成で走るパターンもあるという。


そもそも吉野線は比較的利用者が少ない路線である。

花見の時期は利用者が増えるし、通勤・通学の利用は一定あるとおもうが、それを除けば昼間の利用者というのは相当少ない。

それでちょっと前まではあべの橋直通の急行が4両編成で1時間2本走ってたんですよね。

これに加えて特急(近鉄特急は有料)も走っているのだから、そりゃガラガラだよね。

そこで吉野線を朝夕以外は2両編成で走らせるというのはまず考える話だが。


それをさらに推し進めてワンマン列車にするわけだが……

なぜ今まで橿原神宮前~吉野のワンマン列車がなかったのか?

その理由はおそらくこの区間に券売機もない無人駅があったからだと思う。

車掌がいれば無人駅から乗った客は車掌に申し出てきっぷを買える。

あるいは乗り越しが必要なら車掌に申し出ることができる。

近鉄はやらないけど、会社によっては無人駅で車掌がきっぷの回収もしてるよね。


従来、南大阪線系統のワンマン運転は有人駅あるいは券売機・自動改札機の揃った無人駅の続く区間で行ってきた。

かつては有人駅の多かった吉野線も、今の有人駅は下市口駅と吉野口駅(JRの駅員がいる)の2駅になった。

無人駅でもICカード専用の自動改札機はあるが、特急通過駅だと券売機がない駅もある。

当然、紙のきっぷに対応した改札機のある駅となればさらに限られる。

このような事情を考えると、今回の吉野線のワンマン運転は大きな方針転換と言える。


でも、車掌が乗っているからといって、必ず車掌が回ってくるわけでもないし、

車掌から声を掛けてくるということはあまりないだろうし、車掌がいてもいなくてもそんなに変わらないというのはあると思うんだよね。

吉野線の利用形態からすると、無人駅同士での利用というのはかなり少ないと思う。

なので券売機のない無人駅で乗降するとしても、有人駅できっぷを買って乗り、運賃を払って降りるで対応可能だし、実際はそういうケースが多いんじゃないか。

ましてや今はICカードで利用する人も多いのだから、きっぷを買う必要すら無い。

じゃあ車掌なんていてもいなくても一緒じゃないというのは一理ある話である。


吉野線の場合、券売機が無い駅は今のところは限定的である。

しかし、券売機の無い駅同士を乗車するということができないわけではない。

そのような場合にどうやって運賃を徴収するか。ICカードならいいけど。

というので通常は車内に運賃箱を置くという対応を行うわけですが、今の南大阪線系統のワンマンカーはこのような利用を想定していない。さてどうするか?

まだわからないけど、近鉄の他路線では乗務員室のドアに「運賃箱」と書いた穴をあけるという簡易な対応を取っていることがある。

【近鉄】鈴鹿線 柳駅 乗車票 (乗車券ノート)

近鉄名古屋線の支線にあたる鈴鹿線と湯の山線に2駅ずつ無人駅がある。

支線はワンマン列車での運行が基本なのだが、そこに券売機もない無人駅がある。

でも、この無人駅からの乗客は有人駅で降りるか、名古屋線に乗り換えて車掌からきっぷを買うか、どちらかで大半は対応できる。

でも理屈上は無人駅相互で乗る場合もあるので、誰が使うのかわからない穴を開けてあると。


吉野線の券売機のない無人駅もこのレベルだと思う。

近鉄でも券売機のない無人駅が多く並ぶ伊勢中川~賢島はバスのような両替機付きの運賃箱が置いてある。

でも、おそらくそこまでの対応をする必要はないでしょう。

ゆえにアリバイ作りのような運賃箱を用意するのか? それすらないのか?

気になるポイントではある。今さら券売機のない無人駅に券売機を設置することはないでしょう。

(ちなみに近くを走るJR桜井線・和歌山線は無人駅が多いが全駅に券売機を設置している)


無人駅の懸念は安い運賃のきっぷでそのまま降りてしまうということである。

あべの橋から160円のきっぷをもって、吉野線の無人駅で降りられてしまうということである。

車掌がきっぷをチェックして回ればこういうことは防げるかも知れないが、徹底できていないのが実情である。

それなら橿原神宮前駅の前後できっぷ売りの車掌を乗せた方が効果的である。

ワンマン化でそのような係員の再配置が行われるかも知れない。


ところで安い運賃のきっぷで乗り、無人駅で降りてしまうという不正乗車への対処方法として乗換駅に改札を設けるという方法がある。

少なくとも乗換駅までのきっぷは必要なので、大きな取りはぐれは起きないということである。

直通運転やホーム上での乗換がメインの路線には適用しにくいが。(吉野線もこれにあたる)

しかし、そのような仕組みを廃止する路線があるのだという。

それがJR鶴見線、横浜市・川崎市の臨港地帯を走る路線である。

この路線は無人駅が多いが、利用者の多くが鶴見駅で乗換をするため、ここで改札をして効果的に不正乗車を防止してきた。

(他路線への乗換としては浜川崎駅で南武支線への乗換があるが、利用は限定的)

しかし今月末でこの改札は廃止となり、鶴見線へは乗換がフリーになる。


どうしてこの改札がなくなるのか?

気になって調べたところ、鶴見線の無人駅の券売機が撤去されるらしい。

理由はICカードの利用が多いため、券売機の利用が少ないからだという。

このため降車駅で運賃を払うことになる。(乗換先の路線ではなかなか車掌は捕まらないだろう)

これが通常の使い方になるため、改札機を置いては対応しきれなくなる。

このため乗換改札自体を撤去してしまうという決断をしたとみられる。

ICカード利用者にとっての問題はチャージが乗車駅で出来ないことぐらいである。

とはいえ、撤去されることで不正乗車が起きる懸念はけっこうある。


というわけでICカードの普及により、券売機がないから困るということは減ったし、

ICカードで乗るなら券売機も車掌もどっちもいらないというのはその通り。

ただ、それに乗じて不正乗車されることは問題だなと思う。

吉野線については今さらだと思うが、ワンマン運転後も効果的な対策ができるかが問題である。


さて、今回の南大阪線系統のダイヤ変更は運行本数は大きくは変わらない。

ただ、従来はあべの橋~吉野の急行だったのが、橿原神宮前乗換になったり、

あべの橋~橿原神宮前の準急だったのが、古市乗換になったりというのは起こる。

不便になるような気もするけど、本数が変わらないならさほど悪くないかも。

吉野線についてはもともと橿原線に乗り換えて奈良県内・京都、さらには大阪方面に行く場合でも大阪線経由での利用というのがけっこうあると言われている。

もともと橿原神宮前がほとんど入れ替わるぐらいだったからね。

乗換が増えるといっても、橿原神宮前も古市も向かい側の電車に乗り換える程度。

準急も時間帯によっては古市乗換は通常やっていることだしね。


近鉄のこの発表をポジティブに捉えるなら、減便ではなく、短編成化・省人化を行って本数を維持することにしたということである。

正直なところ吉野線の利用状況からすると減便という選択肢もあったかもしれない。

しかし、それは回避して本数を保って維持できる方法を考えたということである。

おそらく花見などで利用が伸びるときはワンマン運転をやめて、急行の直通運転に変更するパターンも考えているんじゃないか。

でも、普段はそこまでする必要はないので、これで十分でしょう。


しかしこうして無人駅の券売機撤去も塵が積もれば山となると、到着駅の負担が増えそうだが、なにか効率化できる方法は無いもんか……

というところでそういえば北海道でこんな話を見ましたね。

2021年1月20日トマム駅で取得する「QRコード乗車駅証明書」による自動精算のサービスを札幌駅、新千歳空港駅、南千歳駅で開始します。 (pdf) (JR北海道)

トマム駅はリゾートの最寄り駅、特急のみが停車する無人駅である。

かつてはリゾート内にきっぷ売場があったらしいが、今はなくなっている。

リゾート最寄り駅という性質から国内外の観光客の利用が多く、このため無人駅からスムーズに特急に乗車する仕組みを考えたのだろう。

その結果が駅のQRコードを読み取って、乗車証明書を画面に出して、到着駅の精算機で運賃・料金を支払うという方法だったらしい。


ただ、このシステム、明らかにおかしいのが、特急には車掌が乗車しているのに、運賃・料金を払うのは到着駅の精算機なんですよね。

おそらくクレジットカードの利用も想定してのことだと思う。

(精算機というが指定席券売機の装置なのでクレジットカードも使えるらしい)

でも、精算機に向かわず逃げられたらどうするのだろうか?

車内でクレジットカードで精算するのは難しいでしょうから。国内外の観光客が利用する無人駅でなんとかクレジットカード対応する苦肉の策なのかなと思った。

気になるところはあるが無人駅から券売機を撤去したとして、ICカードを使わない場合の処理をある程度自動化できる仕組みは考えた方がいいのかもしれない。