取水できればとりあえずはよいが

愛知県の矢作川にある「明治用水頭首工」が漏水で困っているという話。

愛知 大規模漏水 工業用水は利用可能も 農業用水のめどたたず (NHK)

とりあえずポンプで水をくみ上げることで工業用水分は確保できたとのこと。

引き続き農業用水分の暫定対策と、漏水の手当を行うことになるが、

なかなか漏水に対して直接的に対応できる方法がないことが難しいようだ。


この対応に当たってるのが農林水産省の機関である東海農政局ということからわかるように、これは元々農業用水のための施設なんですね。

こういう構造の物は通常「堰」と呼ばれるが、

その堰に「頭首工」という名前を付けるのは農業用水関係に特有のものだと。

もっとも今回、工業用水に影響が出ているように、多目的利用はされているのだが。


堰とダムというのは川をせき止めるという意味では類似した性質がある

河川法の規定ではダムというのは、堤高が15m以上のものと規定されている。

15m未満のものはダムとはみなされない。

なので通常は15m未満のものを堰と呼ぶのだと言われるけど、

実際のところ、もっと数量的に多いのは一般に「ため池」と呼ばれるものよね。

形式的にはアースダム(谷に土を積んだものをそう言う)であることが多いのですが。


堰というのは貯水を目的としているというよりは、取水を目的としたものが多い。

今回の明治用水頭首工は川の中間で水を安定的に取水することが目的で、

すなわち川をせき止めて、そこに水路を付けて、流量をコントロールしてると。

水位が下がると水路が機能しなくなるので、断水になってしまったわけだな。

ただ、なんとかして流れている水をくみ上げられればよいので、

土のうで取水施設に水が流れるように仕向けて、ポンプでくみ上げることで暫定対策している。


あるいは河口部に作られる堰は海水の遡上を防ぐという役割もある。

河口部では海水が上流に遡上してくることで、淡水のくみ上げが難しくなることがある。

川をせき止めて、海水が下流から上流に行くのを防げば、このような問題は起きない。

これにより利用できる淡水の量が増えるということが期待される。

これが治水目的になることがある。

洪水時の流下能力を増やすために浚渫が行われることがあるが、

洪水を流すのを妨げるということは、逆に海水の遡上を妨げていた場合もある。

この目的で作られた堰の1つが長良川河口堰で、けっこう効果はあるらしい。

主な治水効果の実績 (長良川河口堰)


貯水を主目的にした堰もないわけではないんだろうけど。

以前、愛媛県の銅山川に設けられた影井堰の話を書きましたね。

銅山川の水を愛媛県内で使い切るというところで気づいた人もいるかもしれないが、

銅山川3ダムのもっとも下流にある新宮ダムから下流には水を流さなくてもよいということになる。(略)

このままでは銅山川が枯れ川になってしまい環境への影響があるということで、

対策として新宮ダムの下流に作られた影井堰で、流量調整を行い、銅山川の維持に必要最低限の流量は保つようにしているそうだ。

ただ、新宮ダム自体には河川機能維持という役割はないので、常に流量が保たれているわけでもないらしく。可能な範囲でということのようだ。

(間接的にダムの水を使っている)

もちろん安定的な取水のために水位を稼ぐのも貯水そのものではあるんですがね。


取水の安定性には問題はあるかも知れないが、とりあえずポンプアップでも水を水路に流せればOKではある。

土のうを積んだり、堰の一部を使って、少しでも水たまりを作って、そこにくみ上げ用のホースを突っ込んで、それでなんとかという状況ですね。

まだ農業用水用は対応できていないが、堰の機能が回復するのを待ってては農業への影響が甚大だろうから、同様にやるんだと思うけど。

ただ、両岸に取水施設があるから、果たしてどうやって対応するのだろう。


さて、今回の事象は堰の地下の水を通しやすい地層を通って、水が抜けたということですね。

通常、こういうことがないようにダムや堰の施工時には、セメントを流し込んだりして水を通しにくい層を作っておく。

ただ、なにしろ古い施設ですから、そこが不十分だったのか劣化したのか。

ダムや堰の工事でわりと早い段階でする処置が不十分か劣化したということであれば、修理というのもそれはそれで大変な話ではないかなと思う。


暫定的に水をせき止める施設を作らないとどうにもならないんじゃないかな。

当たり前ですが、ダムや堰を作るにも、川に水が流れていては作れない。

そこで川とは別にトンネルを掘ったり、川を半分に分けて水を流したり。

何らかの方法で水が流れない状態にして工事をせざるを得ない。

でも、よく考えればそういう工事をするのは川の水が少ない時期。

これからは梅雨前線・台風など川の水が増える可能性が高いからそもそも着手が難しい。

そもそも着手したところで川をせき止めるにはどう考えても時間がかかる。

秋頃まではその場しのぎのような対策で乗り切るしか無いのかも。


なかなか見ないトラブルですけどね。

どうしてもダムや堰というのは一度作ると手が入れにくい施設である。

それだけに最初にきちんと作ることが大切ではある。

しかしやはり予期できないトラブルというのはあるわけで。

輸入食品で感染するなら別の問題がある

中国大陸の新型コロナウイルス対策について先日こんなことを書きましたが。

重症化リスクが高いがワクチンの効果に疑義がある高齢者の感染拡大、医療体制が脆弱な大都市圏の外での感染拡大を心配する理由は理解できる面もある。

(上海が動いていない)

ちなみにこのとき話題に上がっていた試作品は未だに届いてないらしい。

物流の停滞というよりは工場の稼働停止の影響らしいですね。ちょっと勘違いしてた。


このあたりは国ごとの事情もあるのは確かですね。

香港で大勢の死者が出た実情からすると、ここを恐れることに理由はあるとも思う。

また初期の感染拡大で武漢市はともかく、その周辺での医療体制の脆弱さが問題だったとも聞く。

この点でなんとか早々に押さえ込みたいのも理解できる。

そのための措置として妥当なのかというところは考える必要があるが。


ただ、さすがにこれは理解できないのが輸入食品が感染源という主張である。

中国で肉・エビ一時輸入停止、冷凍食品からコロナ検出続々 (読売新聞)

最近でも冷凍食品の包装からウイルスが検出されて廃棄というニュースがある。

そういうことはあるかもしれないが……

ただ、それが感染源となるのは考えにくいし、そもそもそれが問題になるような感染症対策が問題だと思うが。


というのも、もしこれが感染源になるとしても、体内に入れなければよく、

そのために行うことは手洗いですね。問題とするべきことはそっちである。

輸入食品の包装に付いたウイルスが感染源だというのは、

そういう一般的な感染症対策ができていないということではないか。

そういう状況であれば輸入食品とかそういう話ではなく、もっと別の感染源が顕在化するはず。

そこの対策に力を入れる方が先ということである。


やはり新型コロナウイルス対策というのもお国柄があるところで、

世界的に見れば日本はウイルス検査を重視せずに対策してきたところはある。

このあたりはPCR検査できる数量が十分ではないという背景はある。

韓国ではMARS騒動のときに検査体制を整えて、そのときの経験もあって検査重視だった時期があるわけですが。

どっちが正しいというわけではないが、新型コロナウイルスの性質からすると、検査で感染源を除去することが困難なのは確かである。

だから、どこに感染源があるかわからないということを前提として対策を継続してきた。

手洗いの励行はインフルエンザ・ノロウイルスなどの対策で昔から言われてきたこと。

マスク着用は従来より踏み込んではいるが、感染源に付ける方が効果があることは以前より言われてきたことである。

古い対策だが、これは確実に効くんですよね。


香港での感染拡大時に一斉検査の計画があったが、取りやめになったのは、

感染者を隔離しておく場所がないぐらい蔓延していたからという話がある。

香港では大陸ほど強制的な措置がとれないということも重なった。

それでも世界的に見れば強力な対策を3ヶ月ほど続けて、先月に対策は大きく緩和された。

(緩和後でも日本の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置ぐらいは厳しいが)

これを見て、感染の芽は早く摘んだ方がよいという理解もあると思うのだが、

一方でこういう状況でこそ古典的な対策が効果を成すところはある。


ただ、冒頭の話にも戻るんだけど、日本と中国大陸では比べようもないほど違うのがワクチンですよね。

これはmRNAワクチンを選択したのが本当に運がよかったのが1つ。

取扱の面倒なmRNAワクチンと向き合った関係者の努力が1つ。

異常に発生頻度の高い副反応もやむなしと受け入れた住民の理解が1つ。

特に高齢者の普及率の高さは大きな助けとなっている。

ただ、これが困難な事情も理解できるところはある。

ある程度厳しい対策が必要であるか、治療が行き届かないことを覚悟するか。

どちらかであろうと思うが、輸入食品の検査に労力を費やすのは無駄そのものである。

税収は増えるが……

どうも2021年度の国の税収が過去最高を更新しそうらしい。

税収、過去最高ペース (日本経済新聞)

そもそも2020年度に税収は過去最高を更新しているので、2年連続で税収は堅調に伸びたということである。

でも、なんでこの状況で税収が伸びるのだろう? というのは気になる。


国の税収として大きいのが所得税・法人税・消費税である。

これらすべてが増収となっている。

これらは都道府県の税収とも関係が深く、(個人・法人)住民税・事業税・地方消費税はわりと類似している。

このため東京都も税収は過去最大となる見込みとのこと。

大阪府・愛知県なども税収は大きく増える見込みとのこと。


2020年度と2021年度の各税の増収要因を調べてみると、

  • 所得税(2020年度) : 株高の影響で株式譲渡所得が伸びる
  • 所得税(2021年度) : 2020年度に比べ雇用状況が改善し給与所得が伸びる
  • 法人税(2020年度・2021年度とも) : 製造業・情報通信業の業績が好調
  • 消費税(2020年度) : 消費税率変更(2019年10月~)の影響
  • 消費税(2021年度) : 物価高の影響で消費税も伸びる

とのことである。


物価高で消費税が増えるというのは言われて見ればそうか。

消費税という税金は稼いだときに課税されるのではなく、お金を使うときに課税されるものである。

過去に稼いだ金を取り崩しながら生活する人からは所得税は取れない。

所得税にしても各種の社会保険料にしても、現在稼いでる人に負担が集中してしまう。

そこを緩和しながら税収を稼ぐ方法として考えられたものと言える。

ただ、この仕組みは裏返せば、同じ稼ぎなら生活が苦しくなるほど税収が増えるというものなんですよね。

支出を切り詰めて餓死するよりは、貯蓄を崩してでも生存する選択をしたということで、

そのための金が捻出できるなら消費税は応分に支払わなければならない。


とはいえ、寄与度として大きいのは法人税である。

これは2020年度も2021年度も要因はあまり変わらず、製造業や情報通信業の業績がよいということである。

ただ、一方で飲食業・観光業では非常に経営が厳しいという話もある。

でも、それは法人税収の減収という形ではほとんど見えないんですね。

これは法人税というのは赤字の法人には発生しないためであろうと思う。

小規模で収益性に乏しい業者が多いから、もともと法人税に占める割合が低く、

そういう業者の経営が悪化しても法人税への影響は低いということではないか。

一方で、製造業や情報通信業はこれまでも多くの法人税を納めてきた。

こういう稼ぐ力を持っている事業者がさらに稼げるようになれば、税収は増える。

そういうことである。


よく自動車業界が、俺たちは多額の税金を納めていると自慢することがある。

それに対して赤字企業というのは、税金をろくに払わないので存在意義がないような気がするが、

実はそんなことはなくて、赤字企業も人を雇って給料を払っているからである。

赤字でもオーナーや銀行からの借入金で設備投資をして、売上があって、それで仕入や給料の支払いができれば、とりあえず事業は存続できる。

また中小企業には税制面などの優遇措置もあり、これも事業存続に寄与している。

このため、経営が悪化した大企業の中には資本金をいじって中小企業になろうとするものもいる。

JTB、1億円に減資へ 「中小企業扱い」で税負担軽減 (日本経済新聞)

そして、そういう企業に雇われている人は実は多いのである。

給料の支払いがあるということは、所得税も払うし、社会保険料も払う。


ただ、さっきも書いたように新型コロナウイルスの影響がある。

もともと収益性に乏しい業者の経営が悪化し、赤字とかそれに近い水準でギリギリ持っていた会社が存続が危ぶまれる状況になっている。

各種の助成金により雇用の維持に努めたので、すぐには問題は顕在化しなかった。


というわけで、法人税収が伸びているからといって、国全体として企業の稼ぎが増えているとは言えないわけである。

稼ぐ力のある企業と稼ぐ力に乏しい企業の二極化を表しているとみるべきかもしれない。

もともとそういう傾向はあったかもしれないけど、最近はさらに顕著だと。

その結果として税収が増えるのは悪い話ばかりでもないが……

ただ、この恩恵を受けられるか否かにより、貧富の差は広がっていくのは確かである。


これとは別の話ですが、全体的に社会保険料の負担が伸びている。

健康保険・介護保険といったところが高齢化の影響を受けているのが大きい。

額面上の給料が同じでも、社会保険料が増えれば、手取りは減るし、会社の人件費負担も増える。

これはサラリーマンの社会保険料が労使折半のため。

あと、年金受給者は年金の額面は大きく変わらずとも、社会保険料の負担増で手取りは減る。

もっとも税金も多く投入されているし、サラリーマンの負担割合が多いので、だいぶ軽減されているのは確かだが。

例えば、後期高齢者医療制度の場合、税金:支援金:保険料(75歳以上)=5:4:1で分担している。

支援金は74歳以下の健康保険料に含まれるが、多くはサラリーマンの支払う健康保険料である。


こういう形で稼ぐ力に乏しい企業、そこで薄給で働く労働者、貯蓄も年金も少ない高齢者は追い詰められているわけだが。

ただ、それすらも所得税の税収という形では見えないんですね。

2020年度すら株式譲渡所得で増収ということで覆い隠されてしまっているという。

稼げる会社はその利益を配当という形で投資家に還元できますからね。

気づいてみれば投資を通じて、稼げる企業の稼ぎが増えた恩恵を受ける人も増えていたのである。


もっとも税収が増えたところで国の予算は大赤字なのだが。

社会保障関係に費やす費用があまりに多いので、税収が12%も増えても全然間に合わないのである。

「社会保障費の負担増で手取りが減る」とは書いたが、一方で「税金も多く投入されている」と書いたのはこのことである。

これを減らしてしまうと、生活が立ちゆかなくなる人がたくさん出てしまう。

そうすると結局は生活保護という形で税金を投入しなければならなくなる。

だから税収という裏付けがないのに、社会保障費だけが増え続けたんですね。


最近気になることとしては、サラリーマンから個人事業主への流れがあること。

フリーランスだとかギグワーカーだとか、そういう雇用によらない働き方が増えていることである。

サラリーマンというのは、給与に応じた厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料を労使折半で払うことになる。

これに比べると自営業者の国民年金保険料・国民健康保険料は割安なんですよね。

雇用保険料はそもそも自営業者は対象外である。

自営業でサラリーマン以上に稼げる人にとってはより有利に働くと思うが。


ただ、いいことばかりではない。サラリーマンの社会保険にはある下記のようなものはないから。

  • 健康保険の傷病手当金
  • 障害厚生年金 (障害基礎年金より支給対象が広く、給付水準も高い)
  • 雇用保険の失業給付・育児休業給付金

こういうものを自営業者が備えようとすると、とても大変である。

なにより各種の社会保険制度というのはサラリーマンからの安定した保険料収入によって持っているところが多い。

これが失われると、税金の投入を増やすなどしなければならない。

サラリーマン向けの保険制度を自営業者にも拡大するような話はあるが、そこにはなかなか困難もあるのが実情である。

そういう意味でも雇用が維持される方がよいのだけど……

少し異質なバイクのナンバープレート

昨日、自動車のナンバープレートの話を書いたが、

我々がナンバープレートと呼ぶ物は制度上3つに分かれている。

  • 自動車登録番号標 (軽自動車・バイク以外の自動車)
  • 車両番号標 (軽自動車・排気量125cc超のバイク)
  • 課税標識 (排気量125cc以下のバイク、ミニカー、小型特殊自動車に市町村が発行)

厳密ではないところもあるが、だいたいこんな感じ。

課税標識は市町村が発行する物なので、全国で統一された形式は無い。

あと、小型特殊自動車では公道走行を前提としない車両で取り付けられることが多いのも特徴である。

道路を走行するのに必要なものではなく、課税対象を識別するのが目的のため。


では、自動車登録番号標と車両番号標は何が違うのか? という話だが、

三輪以上の軽自動車の車両番号標と自動車登録番号標はほとんど同じものである。

上段に地名・分類番号(現在は3桁)、下段にひらがな・個別番号(4桁)が並んでいる。

ただ、自動車登録番号標にはネジに封印がなされて、勝手に脱着できないルールがある。

そういうルールがなく、簡易に脱着可能なものが車両番号標ということらしい。

この背景には車両所有者に課せられた義務の違いもあって、

  • 軽自動車・バイク以外の自動車 → 登録
  • 三輪以上の軽自動車・二輪の小型自動車(排気量250cc超) → 検査
  • 二輪の軽自動車(排気量125cc超250cc以下) → 届出

といっても、「登録」も「検査」も一般には「車検」と一緒くたにされ、やることはほぼ同じなんですけどね。

歴史的に軽自動車は全て車検対象外だったことがあって、後から三輪以上は検査を受けろというルールになったので、こういう用語の違いがあるんだろうけど。


ナンバープレートのサイズは大板・中板・小板の3種類があるが、

大板・中板は形式は同じで、単純に大きさの違いですね。

大型自動車・特定中型自動車は大板、それ以外の三輪以上の軽自動車・自動車には中板が使われる。

問題は小板である。これは現在はバイクに適用されるが、明らかに見た目が違う。

ナンバープレートについて -ナンバープレートの種別と分類番号等- (大阪府自家用自動車連合協会)

  • 検査対象外軽自動車(排気量125cc超250cc以下のバイク)
     上段に分類番号(1桁)・地名・ひらがな、下段に個別番号(4桁)
  • 二輪の小型自動車(排気量250cc超のバイク)
     上段に地名・(地域によりアルファベット)・ひらがな、下段に個別番号(4桁)
  • 1974年までに新規登録された検査対象軽自動車(三輪以上の軽自動車)
     上段に分類番号(2桁)・地名・ひらがな、下段に個別番号(4桁)

最後のやつはかなりレアである。

なぜならば1975年以降に新規登録された三輪以上の軽自動車は現在と同じ中板の黄色いナンバープレートを付けていて、

なおかつ1973年までは三輪以上の軽自動車も検査対象外だったから。

(もっとも1973年までに登録された三輪以上の軽自動車も1974年以降は検査対象)

この過渡期に発行されたナンバープレートか、あるいは1974年までに初回登録された車が住所変更などでナンバー変更が必要になったときだけ発生すると。

もっとも、この2つの違いは分類番号が1桁か2桁かということだけですが。

現在も発行が続くのはナンバープレートの取り付け穴が小板用しかないことへの配慮らしい。


この中で異質なのが、二輪の小型自動車のナンバープレートで、これは分類番号が無いんですね。

他は分類番号が1桁・2桁・3桁という違いや、ナンバープレートの文字の並びは違うが、地名・分類番号・ひらがな・個別番号で構成されることは同じである。

しかし、分類番号がなくて、他の桁数が同じだと早く枯渇してしまう。

そこで、「多摩C あ」のように地名とひらがなの間にアルファベットが入っていることがある。

「多摩C」という地名のように見えるが、ひらがな部分の拡張という位置づけらしい。

最近は「足立L」というのが発生してるらしい。「足立」「足立C」を使い切ったため。


二輪の軽自動車も分類番号が1桁なので枯渇に弱そうに見えるが……

もともと「1」が二輪、「3」が三輪、「6」が四輪貨物、「8」が四輪乗用だった。

上に書いた事情で3・6・8は新規発行が止まっている。

隙間を空けているのは枯渇対策で、実際「1」が枯渇した地域では「2」が二輪用に使われている。

他の数字が新規に使われることはないので「4」など使うのは問題ないだろうし、

小板には2桁の分類番号も書けるので、それでも不足すれば「1□」など使うのかも。

(2桁時代の貨物自動車の分類番号と被りそうだが、形状が違う上に「11」以外はほぼ未使用なので問題はなさそうだが)


というわけで、制度上の呼び名の違い、形状の違いというのはあるものの、

排気量250cc超のバイク以外のナンバープレートを除けばほぼ同じと言えそうだ。

なぜ、ここだけ全然違う形式になったのかはよくわからないんだけどね。

台数は多くないと思ったのかも知れないが、結局は「多摩C」「足立L」みたいなのが発生しているわけで、ちょっと甘い気はしますがね。

同じバイクでも125cc超250cc以下に分類番号があるのは、軽自動車の番号体系に従っているということである。


ところでここまで「三輪以上の軽自動車」という言葉がしばしば出てきた。

現在の制度では三輪と四輪はナンバープレートや検査のシステムは同じであると。

ところが街中で三輪自動車を見ても、黄色いナンバープレートを付けてるのはないんですよね。

実は現在日本で使われている三輪自動車というのは、この4タイプのいずれかにあたることが大半のためである。

  • 排気量50cc以下で車室がなく輪距500mm以下の三輪以上の車 → 原動機付自転車(二輪扱い)
  • 排気量50cc以下で上に該当しない三輪以上の車 → ミニカー(原動機付自転車の一種)
  • 排気量50cc超250cc以下で車室がない三輪車 → 二輪の軽自動車(側車付)
  • 排気量250cc超で車室がない三輪車 → 二輪の小型自動車(側車付)

ミニカーのことは知ってたけど、これは排気量50cc相当までなんですよね。

だから三輪以上でこれを超過すると、原動機付自転車のサイズ・出力に収まっても、黄色いナンバープレートを付ける軽自動車になると思い込んでいた。

(超小型モビリティはここをカバーする制度である)

ちなみにミニカーは普通自動車免許が必要で、道路上では四輪の自動車と同じ扱いである。


しかし、車室を設けないなどの条件を満たせば、側車付二輪車ということでバイク扱いになるんですね。

一方で運転免許としては、四輪の運転免許になるケースが多い。

  • 排気量50cc超の三輪車で車体を傾けて走行するタイプ(特定二輪車)
    → 普通自動二輪または大型自動二輪(排気量による)の運転免許が必要
  • 排気量50cc超で2輪駆動または2輪操舵の三輪車(特定二輪車以外)
    → 普通自動車の運転免許が必要
  • 上記以外(側車を切り離せる排気量50cc超のバイク)
    → 普通自動二輪または大型自動二輪(排気量による)の運転免許が必要

バイクのように転けない車で操縦性が四輪車に近い物は四輪扱いだと。

排気量250cc以下であれば二輪の軽自動車にあたり、検査対象外となり、維持費は安上がりとなる。

(定期的な点検はするにしても車検対象外だと費用は安上がり)

確か、市内で見た三輪車はこのタイプだったはず。


このタイプの三輪車はコンパクトで安上がりで、かつ荷物の運搬や同乗者を乗せるのに便利なのが魅力だが、問題は車室を設けられないこと。

すなわち側面は開いてないといけないんですよね。屋根は付けてもいいけど。

ヘルメットの着用義務はないけど、こういう構造の車でヘルメット無しで安全に運転できるかというと、これはまた別の問題がある。

だからといって車室を設けると、四輪の軽自動車と何も変わらなくなる。

このため排気量50cc超で車室のある三輪車というのは日本で新規に作られることは皆無なわけですね。

このあたりが超小型モビリティで何か変わるか? という話だけど、どうでしょうね?

希望ナンバーかそうでないか

この前の連休にだいぶ久しぶりに弟と会った。

転勤で親元との往来がだいぶ楽になったらしい。

もともと近畿圏ではあったんですけどね。年に1回も来る気が起きないぐらい遠かったらしい。


その弟が新しい自動車を買ったということで、「黄色枠の付いたデザインナンバーにしなかったのか」と聞くと、

希望ナンバーにすら金を払わないのに、デザインナンバーの寄付金なんて払うわけないだろうと。

弟の住所地のナンバープレートでは地方版デザインナンバープレートが導入されている。

けっこういいデザインだと思ったんだけどなぁ。

ちなみに黄色枠と書いたのは自家用の軽自動車だから。

ただ、未だにこの組み合わせは見たことが無い。

「多摩」の地方版デザインナンバープレートはないのもあるけど。

ラグビーとかオリンピックとかは見たけど、これは黄色枠ないし。


その話で少し話題になったのだが、ナンバープレートの分類番号から、

それが希望ナンバーであるか、希望せずなんとなく発番されたものか推定できるという話がある。

例えば、乗用の普通自動車だと分類番号は「3□□」が使われるが、

希望番号でない場合は「300」「301」……という順番で使われ、

希望番号の場合は「330」「331」……という順番で使われるのが普通だからである。

ただし、人気のあることが当初から想定されていた番号、例えば「88-88」の場合は、希望番号も「300」から使い始めている

こういう番号の場合は分類番号から推定するのは少し難しい。


このことを知らなかった父が「希望ナンバーで使い残された不人気な数字が、番号を希望しない場合に回ってくるのではないか」と言っていたのだが、

今のところはそういうことは起きていないようだ。

ただ、将来そのようなことが起きる可能性は否定できない。


ところでご存じの方も多いだろうが、最近は分類番号にアルファベットが現れるようになった。

分類番号として使えるアルファベットは「A・C・F・H・K・L・M・P・X・Y」の10種類、これは数字との判別を考慮して選ばれたものであろう。

IとOをスキップするのは当然として、Bも8に似ているとか、EはFと似ているとか、そういうことかな?

分類番号の1桁目の意味は今後も変わらないので、ここにアルファベットが来ることはない。

このアルファベットの分類番号は基本的に希望ナンバーで人気の多い番号で使われる……

と思っていたが、実は一部地域では軽自動車で番号希望を出さない場合にも使われている。


というのも乗用で四輪の軽自動車の分類番号はかなり窮屈なのだ。

小型自動車の分類番号の一部を切り出して使う形になっていて、従来は「58□」「59□」だけだった。

さすがにこれでは足りないということで「78□」「79□」も使われているという。

それも大半は希望ナンバーのために充てられている。

希望を出さないで割りあてられるのはわずかに「580」「581」「582」の3つしかなかった。

これを使い切ると「583」の使い残しを使うこともあるのでは?

と思ったが、実際にはこの次は「58A」となったそうだ。


ここで気になったけど、そういえば軽自動車ってこれまで分類番号の頭2桁で区分してたよねと。

2桁目にアルファベットが入る場合はどうなるのか?

という話だが、従来8・9が入っていた2桁目にP・X・Yが加わる形になるようだ。

今のところは乗用のみ発生していて「5X□」「5Y□」が使われているという。

アルファベット入りの「58□」は希望ナンバーには使われず、

希望ナンバーでは「59□」からアルファベット入りの番号が使われると。


軽自動車以外ではそこまで極端なことはないと思うけどね。

ただ、他にアルファベットが発生しているのが、乗用の普通自動車(3□□)だけど、

人気の番号を除いては「30□」のアルファベット入り番号は使わず、「31□」から使い始めみたいですね。

だから番号を希望しない場合で「329」まで使い切れば、その次は「30A」になるのかもしれない。

それはいつのことなのだろうか? (そもそも309に達している地域すらない)


なお、ナンバープレートの番号の使用状況は下記サイトにまとめられている。

ナンバープレート情報局

予備知識がないと理解しにくいだろうけど。

分類番号にアルファベットは最大2文字入りうるが、実際には1文字だけのパターンを優先して使っているので、まだ一般に見る機会はない。

ただ、発生していないわけではないらしく、それがレンタカーらしい。

レンタカーは通常、ひらがなに「わ」が使われる。

「れ」も使用可能だが高々2種類で、通常の自家用車に比べるとだいぶ限られる。

このためレンタカーで同じ希望ナンバーが大量に使われると、分類番号がものすごい勢いで回ってしまうらしい。


というわけで、将来はわからないけど、今のところは希望ナンバーとそうでないナンバーは類推できるという話だった。

将来というのも、軽自動車の58Aから類推するに、百年単位の余裕はあると思うが。

ああ、でも超小型モビリティ(軽自動車の一種)でものすごい番号が回る可能性はあるか。

その観点で見ても軽自動車がいちばんきついかもしれないですね。

ただ、希望ナンバーの方が先にきつくなるのは目に見えているし……

もしかしたら分類番号の1文字目にアルファベットが入る日が来るのかもね。

「M□□」は軽自動車とか。それぐらいあってもいいとは思うが。

国鉄時代の最後の生き残りがここ?

ちょっと話題になっていたのですが。

JR西日本「やくも」381系に国鉄色リバイバル編成、上下各2本を運転 (マイナビニュース)

昔はこんな色の特急もいろいろ走っていましたが……

実は岡山~米子・出雲市で運行されているやくも号は、今となっては貴重な国鉄時代の特急車が使われる特急列車である。

本州あるいは電車では唯一の存在である。

2024年以降新型車両に置き換えられることが決定した。

このためこの形にこの色というのはもう見納めということで、話題になっている。


ちょっと前まではこんなの各地で走ってたのになぁと思うかも知れないが、

やはり老朽化は問題であって、特急として求められるサービスレベルを考えれば、新車への置き換えが進むのは必然だった。

JR西日本だと北陸新幹線の一部開業で北陸を去った特急を改造したり、

JR東日本だと常磐線や中央本線の特急に新車を入れて、そこで浮いた車両を持っていったり、

老朽化した車両の置き換えを進めるのに好都合な要素はいろいろあった。


しかし、どうして国鉄型の特急電車最後の地が やくも号 になったのだろうか?

おそらく2つの理由があると思うのだが、1つはこの車両がアルミ製であること。

錆びないですから維持しやすい面はあったと思う。

もともとこの車両は くろしお号 でも走っていたが、2012年以降、段階的に新車に置き換えられていった。

そこで余った車両は一時的に北近畿地区を走っていたことがある。

本格的には北陸新幹線の一部開業(2015年)の後に北陸を去った車両を改造して置き換えられたのだが、それを待つ間のつなぎだったんですね。

その役目を終えた車両はほとんど廃車されている。


もう1つはこの車両が振り子式車両だったということ。

カーブを安全に早く曲がるためには、車両を傾けて曲がるほうがよい。

遠心力には逆らわない方がよいということだとも言えるが。

そんなわけでカーブが多い路線の特急の高速化のためにしばしば使われる技術である。

もっとも車両が高価になりがちで、維持管理も大変というのが課題である。

このため、従来は振り子式車両を使っていた列車でもやめてしまったり、

あるいは最近のトレンドとしては、空気バネをつかって車両を傾ける技術で代替されることがある。

東海道新幹線(新幹線では比較的カーブが多い)のN700系で採用されて知ってる人も多いかもしれないが。

振り子式車両だと5°ぐらい傾けるが、空気バネだと2°ぐらいに留まる。

でも、コスト面では有利だし、それでも十分な効果が得られることが多いですから。


もともと381系はJR西日本では くろしお号 と やくも号 で使われてきた。

くろしお号については、振り子式車両をやめるという決断をした。

所要時間は若干延びたのだが、大阪市内~新宮でも5分程度の所要時間増で済んでおり、許容範囲という判断がなされたようだ。

振り子式車両導入時には40分ぐらいは短縮されたらしいから、恩恵は大きかったが、

それから時代を経て、車両性能が上がればそういうことも問題にはならなかったと。

なお、新型車両の一部は「パンダくろしお」ということで、アドベンチャーワールドとコラボレーションした装飾がされている。

昨年に白浜に行った時に乗りましたね。記念撮影する人も見たっけ。


そして最後に残ったのが やくも号 である。

JR四国から車両を借りてきて実験したりしていたのだが、結果的には「車上型の制御付自然振り子方式」の車両で置き換えることに決定した。

空気バネ式ではなく、遠心力で車両を傾ける車両を選んだということですね。

電車でこの方式を選択するのはけっこう久しぶりで、国内では25年ぶりのことだとか。


実はJR四国もぶち当たった問題なのだが――

あまりにカーブが多い路線では空気バネを駆動させるための空気が不足するらしい。

JR四国では高知方面の特急では空気バネ式は使えないという判断となり、振り子式車両を採用している。(これはディーゼルカー)

おそらくJR西日本もコスト面から空気バネ式の採用可否を慎重に検討したんだろうが、これは無理だとなったんでしょうね。

車両の置き換えに時間を要したのも、そのような厳しい路線だからというのはあるのかもね。


置き換え後の車両は大幅に快適になるはずである。

エチケット袋も見納めに? 特急「やくも」381系引退で 追求される「酔わない工夫」 (乗りものニュース)

現在のやくも号、かつてのくろしお号にはエチケット袋が備え付けられていたという。

鉄道でこういうのが備え付けられるのは異例なのだが、それだけ乗り物酔いが多いのだという。

理由は車両を傾けるのが完全に遠心力頼みのため。

カーブ進入時に不自然な揺れが発生するのだという。

この問題を打開するために開発されたのが「制御付自然振り子方式」で、傾斜を適切にコントロールして乗り心地を改善したと。

未だに従来型の自然振り子方式の車両が残っていたことの方が問題かも知れない。

最新鋭の制御方式により、快適な車両になることは確かではないか。


なお、冒頭で国鉄時代の特急車は「本州あるいは電車では唯一の存在」と書いたが、

JR北海道・四国・九州のディーゼルカーでは一部残っている。

これらも老朽化という課題はあり、第一線からは退きつつある。

ただ、四国・九州では観光列車に転用されたものも多い。

観光列車は週末だけとか1日1往復だけとか比較的走行距離が少ないので。

そういうところで余生を送っているうちは全廃はまだ先なんだろうけど。

外国人も意外と自由に働けるが……

これ自体はどうかと思うが、こういうことは珍しくないのでは? と思った話。

吉野家 採用説明会で外国籍との判断を理由に大学生の参加断る (NHK)

採用説明会に参加申込みをしてきた人が、実際には日本人だが、外国人だと思って門前払いしたという内容である。

その背景としてはこういうことがあるそう。

過去に外国籍の学生に内定を出した際、就労ビザが取得できずに内定を取り消さざるをえないケースがあったためとしていて、外国籍とみられる学生に対しては、2021年の1月ごろから同様の対応を取っていたということです。

日本人だからそもそも関係なかったのだが。


外国人といっても在留資格はいろいろである。

就労を前提とした在留資格、原則就労できない在留資格、どちらもあり得る在留資格がある。

就職活動をする学校卒業(予定)者の在留資格というのはだいたいこんなところでは?

  1. 永住者・特別永住者
  2. 定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等
  3. 家族滞在
  4. 留学

1.については日本国内の活動に制限がなく、在留期間の定めもないため、日本人と区別する必要性はあまりない。

2.については在留期間が定められている(更新が必要)なこと以外は1.に準ずる。

いずれにせよ日本人と区別する必要性は薄い。

会社は在留カードを確認して届出を出すだけでよく、在留資格の変更すら不要である。

外国人と一口にいうけど、1.または2.に該当するケースはけっこう多い。

中長期在留者(特別永住者は含まない)の4割が1.または2.に該当するわけですから。


難しいのはここから。

3.については家族滞在の在留資格のままでは原則として就労はできない。

しかし、17歳までに日本に入国し、日本の高校を卒業して、就職先が決まっている場合は、定住者(日本の小学校を卒業している場合)または特定活動(それ以外)の在留資格が取得できるケースが多い。

「家族滞在」の在留資格をもって在留し、本邦で高等学校卒業後に本邦での就労を希望する方へ (出入国在留管理庁)

定住者であれば日本での活動に制限はなく、特定活動もほぼ制限無し(風俗営業関係での就労以外)となる。

なお、これは大学進学を機に在留資格を家族滞在→留学に変更したケースも含まれる。

家族滞在とそれに類似するケースは日本人と区別する必要性は薄いが、十分な確認が必要である。


問題が4.で、現状が留学で滞在している外国人が日本で就職するとすると、基本的には「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得することになる。

このためには大学卒業レベルの知識を使い、専攻分野に直結する業務でなければならない。

「就労ビザが取得できずに内定を取り消さざるをえないケースがあった」というのは、ここが不十分であったためと考えられる。

このあたりは会社の業務内容にもよると思うのだけど、吉野家のような飲食業というのはどうしても厳しく見られるところなんじゃないかと思う。

最近では「本邦の大学・大学院で習得した知識及び高い日本語能力を活用した業務に従事する場合」に特定活動の在留資格が出るようになった。

従来は認められにくかったサービス業への就職の選択肢を増やすもので、吉野家においても活用が検討されてもよいと思うが、それなりの制限はあると思う。


このため応募者が外国人である場合は、適切な在留資格の取得が可能であるか、活動内容に制限がある場合は採用後の業務内容も考える必要がある。

このためには国籍・在留資格・滞在歴について知る必要があるが、正面から聞くのははばかられる事情もある。

公正な採用選考の基本 (厚生労働省)

採用選考で聞いてはいけない典型的事項として「本籍・出生地に関すること」「家族に関すること」ということがある。

もちろん外国人留学生を採用する場合に、在留資格の取得が可能であるかどうかは採用にとって重要なことではあるので、これを確認することには合理性はあると思う。

しかし、一般的には国籍・在留資格・滞在歴というのは聞くべきことではない。

このため、厚生労働省が推奨する応募用紙(履歴書)にはこれらを記載する欄は無い。

(以前は中学・高校卒業者には保護者名を記載する欄があったが、これも消えた)


こうなった会社がとりうる選択肢というのは実に限られるものである。

氏名・住所・学歴など履歴書に通常記載されるような内容から、就職可否を判断するということになる。

もっとも適切な在留資格で働けるかどうかは本人の責任でしょうけど。

在留資格の取得可否は、応募者から相談するべきことかもしれない。

ただ、適切な在留資格が取得できず内定取消となれば、会社の採用計画が狂うことに違いはない。

これは会社にとっても困った話であり、どうしても保守的な判断をしなければならないというのは理解できる面もある。


今回は日本人を外国人と誤解して、説明会への参加を断るというずさんな内容であったものの、

しかし選考の中で、このような判断が行われることは実は珍しくないのではないかとも思う。

露骨に門前払いしては角が立つが、採用可否の理由は通常示す必要はないので、こっそり外国人らしき人には厳しい基準を適用している可能性は否定できない。

実際には外国人といってもいろいろあって、在留資格や滞在歴によっては日本人と同じ自由な働き方ができるケースは本当に多いのである。

でも、そのことは履歴書に通常書くことではありませんから。

もしもそういうことを書かせたり、面接で聞けば、それこそ公正な採用選考にとって問題だと言われてしまう。


まず登録時に国籍・在留資格といった情報を記載してもらえば、

考慮不要な人は把握できるし、在留資格変更が必要な人に変更可否の確認のために質問をすることには合理性があると主張できる。

しかし、その範囲を超えて選考に使っては、不公正な採用選考となってしまう。

それぐらいは聞いてもいいんじゃないの? と思うんだけど、

過去に本籍地だとか出自に関わることが不公正な採用選考につながった事例があるのは確かで、なかなかこういうことは聞きにくいのである。


しかし、日本で暮らす外国人も増え、その背景も多様化している。

外国人といえば、特別永住者が相当割合を占めていたのは大昔の話でしょう。

外見的な情報から、国籍・在留資格・滞在歴を推し量ることは難しい。

適切に情報を取得することは、就職先の選択肢を増やし、生活の安定にもつながるのではないか?

このあたりのガイドラインは厚生労働省も出してくれていいと思うのだが。

うかつに聞くと不公正な採用選考ではないかと言われてしまいかねないので。


ちなみに中長期在留者で永住者の割合が多いことには、永住者の取得要件がだいたいこんな感じだからである。

  • 素行が善良であること
  • 独立した生計を営むことができる資産または技能を有していること
  • 引き続き10年以上日本に在留していること
  • 罰金・懲役刑を受けておらず、公的義務を履行していること
  • その在留資格の最長の在留期間で滞在していること

10年以上在留については5年間は就労可能な資格でないといけないとか、日本人や永住者との関係によって緩和条件があったりするのだが、

まぁおおざっぱにいえば、日本で職を得て真っ当に暮らしていれば、そのうち申請すれば永住者になれるということですね。

永住者になれば、転職の自由度が上がり、在留資格の更新手続きもなくなる。

配偶者や子も同時に永住者になるのが通常なので、これらの就職の自由度も上がることになる。

このようなメリットが大きいため、条件を満たせば永住者となる人は多いのだ。

このことが「外国人と一口にいうけど」と書いた理由なんですね。

深夜労働かつ遅刻早退

今日から再来週の日曜日まで連休ですね。

来週月曜は有給休暇一斉取得日、金曜日は僕は有給休暇計画取得日、

ほとんど金曜に勤務する人はいないみたいだけど、皆無でもないらしい。


そんな連休前最終勤務日ですが、賞与計算についての業務連絡が出ていた。

賞与額を決定する基準の1つに勤怠減額というのがある。

これは前年度の欠勤・遅刻・早退・離席の状況によって減額されるものである。

欠勤というけど、有給休暇を取得すれば当然欠勤ではない。

遅刻・早退・離席というけど、フレックスタイムで帳尻合わせすれば遅刻早退離席にはならない。

以前はコアタイムにかかる場合は遅刻・早退・離席として給与の減額が行われたが、

現在は時間単位有給休暇の制度化、コアタイム廃止で、どちらかで対応すれば給与減額もなく、当然賞与計算への影響もない。


というわけで、真っ当に働いていれば賞与の勤怠減額は発生しないわけである。

ところが、下記のようなケースでは勤怠減額が発生してしまう規定だった。

  1. 時差のある地域との会議のために在宅で深夜勤務
  2. 1.の深夜勤務分を差し引いて平日日中に勤務

これを救済するための業務連絡だった。


在宅勤務制度が非管理職に拡大されて、トライアルが行われていたとき、

時差の大きいところとの会議に在宅勤務が便利であるということが明らかになった。

制度創設当初は在宅勤務での夜業は想定していなかった。

しかし、合理性はあるので在宅勤務で深夜労働をするためのルールが整備された。

ところが深夜労働をした上に、日中に通常通り勤務しては労働時間が多くなりすぎる。

あまり多くては時間外労働の上限にかかってしまう問題もある。

そこで日中の労働時間を削ることが行われていたようだ。

(時間外労働の上限規定は平日日中・休日・深夜を通算するルールだったか?)

こうするとフレックスタイムのマイナスが残ってしまう。

フレックスタイムのマイナスが月末に残ると、その時間は遅刻・早退扱いとして給与に反映される。

月給全体で見れば、遅刻・早退での減額よりも、深夜労働の加算の方が大きいので、特に問題は生じない

しかし、賞与の勤怠減額は遅刻・早退の時間数だけ反映されるので、勤怠減額が発生してしまうということである。


フレックスタイムの制度は会社によっても違うと思うが、多くの場合は休日と深夜は通算対象外になっている。

これは休日と深夜は割増賃金の考えが違うからである。

平日に所定労働時間より少なく働いた分は、平日日中の勤務時間を延ばして対応するのが原則である。

休日勤務については、代休という制度がある

休日勤務時間の累計が所定労働時間に達するごとに代休1日を取得できる。

しかし、深夜労働にはフレックスタイムや代休のような制度は設けられていない。


このような事情を考慮して、賞与計算に限っては、遅刻・早退の時間数を深夜労働の時間数で相殺して計算するとのことだった。

月給の計算については現状でも特に不利はないので、本当に賞与だけの問題である。

言われて見ればなるほどという感じだった。


こういう問題が顕在化したのは、国際会議へのオンライン参加が増えたからかも。

深夜労働があってもわずかなら、平日日中の勤務時間の帳尻を合わせるのはそう難しくない。

しかし、従来は出張で参加していたような国際会議にオンライン参加しては、

長丁場の会議を深夜労働で参加していては、平日日中の勤務を通常通りやることは困難である。

昨年度分の勤怠実績からそれが無視できないと認識するに至ったという話でしょうか。

賞与についての労使交渉でも特に話題になってた覚えもないから、労働組合もこの問題には気づいてなかったかもしれない。


というわけで在宅勤務での深夜労働の思わぬ落とし穴だった。

別に在宅勤務に限った話でもないのだが、こういう機動的な勤務は在宅で無ければ難しい。

時間外労働の上限規定を考えると、上司としては平日日中の勤務時間を所定労働時間から減らすことを命じるしかない。

それでも在宅勤務を前提とすれば、変則的な勤務でも負担は軽減できる。

ただ、それで従業員に不利益があるようではダメだと気づいたという話。

上海が動いていない

最近は部品の入手など、ありとあらゆる物が滞っているような状況だが、

そんな中でも納得がいかないなと思ったのは、上海のロックダウンによる貨物の滞留である。

これが尋常ではない状況で、その1つの要因だけで1ヶ月も遅れるのって。

まぁ別にこれはうちのところに限った話でもないでしょうが。


東アジアは新型コロナウイルスの感染拡大をコントロールすることに力を入れているところが多い。

地域によって重きをおくところは違うし、許容する水準も違うが。

そんな中で中国大陸ではゼロコロナを指向してきて強力な対策を取っていた。

ひとたび感染者が出ると、その周辺では厳しい制限が行われる一方、

日常的な感染対策は日本の感覚からすればだいぶいい加減という感じはある。

それは中国は厳しい入国制限と都市隔離でゼロコロナ路線を継続できていて、それだけに国内の感染症対策は弱い。

以前、中国・上海で行われた「Bilibili Macro Link Star-Phase 2021」の中継を見ていたら、

満席の会場にマスク着用率は半分程度、ワクチンも普及したわけじゃないし、よくやるなぁと思うのだが。

(モータースポーツでは特例を認めるに至らない)


ちょっと前に香港では高齢者のワクチン接種率が低く、効果も低そうだという話を書いた。

香港の感染拡大はすさまじい

大陸ではmRNAワクチンは使っていない。

不活化ワクチンかウイルスベクターワクチン、不活化ワクチンはかなり効果が低そうだ。

高齢者ほど接種率が下がるという傾向は大陸も似ているようだ。

このような事情から、感染拡大して高齢者に感染が広がるとマズイという危機感はあると見られる。

ここはmRNAワクチンがほとんどで高齢者のワクチン普及率が極めて高い日本とは単純比較できないのは確かである。


だからといって3月28日から始まったロックダウンが地域によっては現在も続いているのは異常な話である。

このロックダウンというのは買い物もままならないほど強力なものである。

もちろんロックダウン中でも許可を受けて稼働している事業場はあるわけだが、

しかし人員の確保などに課題があり、多くにおいて業務は滞っているという。

上海は海上輸送・航空輸送の拠点としての意義がとても大きいのだが、

そこが思うように稼働できず、荷物が全然動かないということらしい。

さらにロックダウンで市内の人の移動が制限される中で、陸上輸送も困難だという。

中国関係の荷物にほぼ限定されるものの、ここまで動かないのはなかなか経験がないんじゃないか。


地域によって新型コロナウイルス対策の重きをおくところは違うと書いた。

日本では検査というのはあまり重視していないが、

韓国や中国では検査に重きをおいているところがある。

当初の目論見では一斉検査で蔓延している地域を特定して集中対策をするようなことを考えてたんだろうが、それでは足りなかったんだろうな。

このため1ヶ月にわたってロックダウンが続く地域が多数発生したと。

作戦ミスといえばそうなんでしょうけど。


日本の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置のようなマイルドな対策で、

ある程度の期間続けるというような考えの方がよかったのかな? とは思いましたけどね。

重症化リスクが高いがワクチンの効果に疑義がある高齢者の感染拡大、医療体制が脆弱な大都市圏の外での感染拡大を心配する理由は理解できる面もある。

感染を完全に断ち切るのが理想だが、そのような対策は長期間持たない。

感染拡大のペースを抑えられればよいと妥協するのが精一杯ではないか。

それはそれで医者にかかれない人が出たり、死亡者が相次いだりする覚悟は必要なのだが。

救命浮器ってなんだ?

昨日、船の航行区域と安全についての備えの話を書いた。

知床半島の観光船も豊後水道を行く船も同じ?

航行区域についてあれこれ書いたが「限定沿海区域」というのは、

プレジャーボートの多くで使われているという。

沿岸区域は比較的新しい区分だが、もしかしたら今のプレジャーボートはこちらに移行しつつあるのかも。条件的には似たようなもんらしい。

あるいは瀬戸内海であれば大型フェリーでも限定沿海というのがしばしばある。

例えば、阪神~北九州の阪九フェリーでも採用されているという。


初めて聞いたのだが「救命浮器」という救命器具があるらしい。

救命ボートや救命いかだ に相当する物らしい。

知床沖で事故の起きた船にも積まれていて、捜索中に発見されている。

観光船不明 知床岬で救命用の浮輪と浮器を発見 (毎日新聞)

この四角いやつが救命浮器だという。人がつかまる取っ手がついてますね。

小型船舶では沿海区域まで、大型船でも限定沿海までならば認められる器具らしい。

Ferryman 100 Ferryman 50 (アール・エフ・ディー・ジャパン)

浮き輪のお化けみたいなやつですが、これで50人とか100人とかつかまれるらしい。


実際に大型フェリーでこういう器具が採用されているかはよくわからないけど。

さっき書いたように採用条件は限定沿海区域までの場合である。

限定沿海とは平水区域を出て2時間以内の範囲ということで、母港からの行動範囲の狭い船を意図しているが、

瀬戸内海の場合、かなり広い範囲で平水区域が続くため、母港の決め方によっては阪神港~北九州・大分などは限定沿海の範囲に収まってしまうという。

行動範囲がそこに収まるとわかりきっている船では限定沿海を選択することは多いようだ。


見ての通り、救命浮器はコンパクトである。

救命胴衣を着て、海に飛び込んで、これにつかまって救助を待つということである。

平水区域の船では救命胴衣を救命浮器に代えられる規定もあるので、そのような場合はとにかくこれにつかまって待つということになる。

わりと便利そうな器具だが、最大の問題は水に浸かって待つことですね。

おそらく今回の知床沖の場合は海水温が低いので、実用的ではなかったかもしれない。

もっとも、救命いかだがあったとしても、寒さや波を考えればなかなか大変で、どっちもどっちな面はあるのだが。


前も書きましたけど、プレジャーボートの規制はだんだんと緩和されてきて、

まぁそれでも調べると法定備品についての不平不満はあれこれ見つかるが。

積んでおしまいの器具もあれば、定期的に交換する器具もあるし、無線機のように維持費や免許などが問題となる器具もある。

遭難時だけ使うのにそんなに高価なものが必要なのかという話もある一方で、

平時はろくにメンテナンスされずに、いざというときに使えないと困るとか、そういう事情もあるので、それはそれなりにお金がかかったりするんだよね。

航行区域を制限したり、無線機の積載などの条件で緩和を受けたり、そういう工夫をして初期費用・ランニングコストを抑えているのが実情だったりするんだろうが、

それが実際に遭難時に妥当であるかはよくよく考えないといけない。


知床沖というのは非常に条件が厳しいので、これを備えていれば助かったと言えるようなものはあまりないような気はする。

救命浮器でなくて救命いかだを選んでいればとも言えないだろうし、

国際VHFという海上安全の基本(が小型船だと積んでいないことも多い)に対応した無線電話を積んでいれば、スムーズな救助に繋げられたとも言いがたい。

一方で不特定多数の人の乗せる旅客船にしては求められる基準が緩いという指摘はもっともである。

もうちょっと条件のよい海域ならば、あるとないでは大違いということはあったでしょう。

そういう観点で規制強化というのはあるかもしれないし、それがプレジャーボートに及ぶ可能性もなきにしもあらず。

そうすると新たな出費や資格取得に泣くオーナーも出てくるのだろう。


いずれにせよ、こういう航行区域を限って救命器具を簡素化するという考えは、例え大型のフェリーでも見られる話であるのは確かである。

もちろん実態に合わせて、任意で積んでいる器具もあるでしょうけどね。

ただ、今回の船会社が特別に備えが悪かったとも言えないのは実情だと思う。

すなわち、これぐらいの備えで不特定多数の人を運ぶ船は全国各地にあるということである。

そこのレベルを引き上げるには法規制の強化ということになるんでしょうけどね。

ただ、その新たな出費は資格取得に耐えられず、離島航路や海上観光が成り立たなくなるということもないとは言えないので、そこは覚悟が問われるところでもある。

プレジャーボートや漁船にも影響が及ぶとすればなおさら。