アメリカ競馬も反ドーピングらしいが

アメリカのケンタッキーダービーで1着入線したMedina Spiritは、

1歳での取引額は1000US$、その後トレーニングされ2歳では35000US$で取引され、

それでケンタッキーダービーの優勝賞金は186万US$というから、これは夢があるなと言う人がいて、

そういうこともあるのねと思ったけど、その後にこんなニュースが舞い込んできた。

【海外競馬】米・ケンタッキーダービーを制したメディーナスピリットに禁止薬物の陽性反応 (netkeiba.com)

なんと薬物反応が出て失格か? という話になっている。


ありとあらゆるでスポーツでドーピングを禁止し、それに実効性を持たせるために検査が行われているが、

実はアメリカ競馬では他国ではレース直前に使われることがないような薬物が公然と使われることが少なくなく、

2000年代以降、この状況は改善しつつあるようだが、未だに薬物に関わる問題が多いのがアメリカ競馬だという。

ブリーダーズカップ、2013年もサリックス使用を禁止せず(アメリカ)【開催・運営】 (JAIRS)

他国では使えないのにアメリカ競馬で公然と使われる薬物の1つがフロセミド(商品名ではサリックス)だという。

この薬は人間のドーピング規制でも禁止薬物になってて、利尿剤ということで薬物の排出を促す点が問題らしい。


このことは馬にも当てはまるのだが、にもかかわらずアメリカで公然と使われることには特有の事情がある。

それはこの薬を投与することで肺からの出血を予防できるという効果があるためだという。

ご存じの方もいるかもしれないが、馬にとって致命的なこととして鼻出血というのがある。

鼻出血というのだが、その原因は肺からの出血であることが多く、馬の呼吸は全て鼻で行われるので、出血は呼吸困難につながりかねない。

このようなことから、日本では鼻出血があった場合、それが外傷性のものでなければ休養しなければならないルールがある。

また、レース中の肺出血は習慣化することが多く、鼻出血を理由として引退を強いられる馬も多い。

で、フロセミドはこの肺出血の予防効果があるということで、アメリカでは普通に使われているのだが、アメリカ以外ではほとんど禁止薬物である。

で、先ほど引用したニュースは、アメリカを代表する国際競走、ブリーダーズカップでフロセミドの禁止をしようと、

2012年の2歳戦で禁止したら出走馬が集まらないなどの問題があったらしく、結局はフロセミド禁止は断念したということだったらしい。

もっとも、その後、状況が変わり、昨年~今年からアメリカの競馬主催者の多くでは禁止されることになったようだ。

競走当日のラシックス使用の排除を目指す競馬場連合(アメリカ)【開催・運営】 (JAIRS)


アメリカ競馬でも薬物規制は厳しくなる方向ではあるし、なによりアメリカの馬が外国に遠征すれば当地の薬物規制に従うことになる。

そんな中で発覚した大きなスキャンダルが昨年のサウジカップでの Maximum Security の一件である。

第1回サウジカップ、高額賞金を掲げ、アメリカ・ヨーロッパ、そして日本からも強豪が遠征していって、

そこでMaximum Securityが1着に入線したのだが、その後、薬物検査にひっかかった。

その後の調査で、同馬を管理していたジェイソン調教師は管理する多くの馬にドーピングを行っていたことが判明して訴追されている。

マキシマムセキュリティ調教師ら27人訴追 米競馬でドーピング (AFP)

これはスポーツとしての公正性もそうだが、本来の能力以上に酷使するという点で動物虐待という側面もあり問題視されたという。

本件の調査のためサウジカップの賞金支払いは遅れて、暫定的に2着以下の賞金は支払われたようだが、

Maximum Securityの失格の有無や、それ以下の馬の順位繰り上げはまだ確定してないのかな。


そんなこんなでアメリカ国内でも薬物規制が厳しくなる中でのケンタッキーダービーだったのだが、

今回 Medina Spirit から検出された薬というのは、抗炎症剤のベタメタゾンという薬で、治療目的では普通に使われる薬である。

最初はそもそも使ってないと言ってたのだが、その後にレース直前に使ってたことが判明している。

同馬を管理するバファート調教師は 昨年のケンタッキーオークス で3着入線したGamineで同様のことをやらかして失格になっている。

【海外競馬】ガミーンのKYオークス3着が薬物検査で失格に、昨年の米最優秀短距離牝馬 (netkeiba.com)

短期間で同主催者のレースでこのようなことが繰り返されたことから、チャーチルダウンズ競馬場からは追放されたとかなんとか。


ところで、アメリカ以外の地域では、競走馬の薬物規制の考え方は細部の差はあれど、基本的な考え方は同じだという。

ただ、日本では使ってはいけない薬物を「禁止薬物」と「規制薬物」の2つに分けている。

「禁止薬物」というのは、馬の能力を高める可能性のある薬で、一般的に言うドーピングというのはこっちですね。

もう1つの「規制薬物」というのは、馬の能力への影響はないと思うが、動物福祉の観点から禁止している薬物だという。

規制薬物に該当するのは抗炎症剤の類だという。おそらく今回問題となったベタメタゾンもここに該当するのではないかと思う。

痛み止めの効果があるので、これを投与することで痛むのを無理してレースに使えてしまうが、それは好ましくないし事故にもつながりかねない。

このことから、規制薬物が投与された馬は、一定期間はレースに使ってはならず、すなわち休ませろということである。


レース前に使ってはいけない薬という点では「禁止薬物」と「規制薬物」は同じなのだが、

万が一、検出された場合の処分には差があるという。

令和2年11月7日(土曜)第5回東京競馬第1日第4競走に出走して第1着となった「ソーヴァリアント」号 (中略) 禁止薬物「カフェイン」が検出されました。
このことは、競馬法第31条第2号に該当しているおそれがあるため、府中警察署に届出をし、原因については現在調査を依頼しております。
なお、同馬は施行規程第128条第1項に該当するため失格とし、施行規程第130条第1項および第3項により当該競走の着順を変更いたしました。

禁止薬物の検出 (2020年11月11日) (JRA)

2020年7月12日(日曜)、第4回阪神競馬第4日第4競走に出走したトロイカ(牡3歳(当時)・大久保 龍志厩舎)の検体から規制薬物である消炎・鎮痛剤「ジクロフェナク」が検出され、日本中央競馬会競馬施行規程第147条第14号(開催執務委員の命令・指示違反)により、同馬を管理している大久保 龍志調教師に対して過怠金300,000円を課した件につきまして、トロイカが競走当日に阪神競馬場で使用した馬房を前日(2020年7月11日(土曜))に使用していた別の競走馬が、その馬房内で治療のためにジクロフェナクの投与を受けていたことが判明しました。さらに、規制薬物を競走馬に対して投与した場合、JRAが敷料の交換を含む当該馬房の清掃を行うところ、それが適切に行われていなかったことが併せて判明しました。

大久保 龍志調教師に対する処分の取消し (JRA)

禁止薬物については、検出された場合は必ず失格になる。

(ちなみにソーヴァリアントは未勝利戦1着入線で失格になったが、その後改めて未勝利戦を勝っている。)

ただ、この件に付いては、故意に行われた可能性は低いということで、何らかの事件に巻き込まれた可能性があると警察に被害届を出している。

一方の規制薬物だが、こちらは馬が失格になることはないという。能力への影響はないということなので。

ただ、調教師の管理責任が問われ、過怠金を課せられることがあり、この件では一旦過怠金が課された。

しかし、その後の調査で同馬房を使っていた他馬に投与された薬を誤って摂取した可能性があり、

それは馬房を管理するJRAの責任だということで、調教師への過怠金は取り消された。

結果的に言えば、馬の成績にも、調教師の処分にも何も起きなかったという事件である。


というわけで、日本で同様のことがあったとすれば、調教師の責任は逃れられないが、

おそらく優勝という結果自体には疑義は付かずに終わったんじゃないかと思う。

ただ、世界的にはレース前に使ってはいけない薬が検出されれば、その薬物の作用によらず失格となるのが一般的なことであり、

使ってはいけない理由の違いによって失格の有無が変わる日本の制度は世界的にもユニークなものなんじゃないか。

なお、Medina Spiritはアメリカの三冠レースの2冠目、プリークネスステークスに転戦する予定である。

ケチのついた調教師の管理馬であることから、薬物についてはより厳しい検査を行うとのことだが、問題なければ参戦自体は可能としたようだ。

ちなみに同レースには日本から フランスゴデイナ(アメリカ生まれ・JRA 2勝クラス) が参戦することになっている。


Twitterを見てると、アメリカ競馬も変わろうとしてるんだというコメントがあった。

アメリカ競馬では公然とドーピングが行われていたという歴史的経緯はあり、

このことから外国の競馬関係者からはアメリカの馬の実力について疑問視されることはけっこうあったという。

(言うても世界一の馬産国だし、日本生まれの馬もアメリカから輸入された馬のおかげで強くなったのは疑う余地はない)

現在もフロセミドを公然と投与するなど、国際的にはドーピングとみなされる行為は行われているが、

やはり、競馬の国際化や動物福祉の観点もあって、反ドーピングの流れは確かに来ていると考えられてきた。

Maximum Securityの一件など、こんなことが2020年代にもなって行われているのはショッキングな話だが、

これを乗り越えた先にアメリカ競馬の地位向上というのがあるんじゃないかという話である。


しかし、Medina Spirit はどうなんだろうねぇ。

本当に強いのは確かだと思う。薬物がレースに影響をなした可能性もそんなに高くはなさそう。

ただ、ここでこうしてケチが付くと、この先の戦績でどうかという話になる。

プリークネスステークスはどうなるんだろうかな。

内陸に港はあるともないとも

調べてて驚いたんだけど、長野県って港湾法でいうところの港湾はないんですね。

長野県は海に面してないしそりゃそうじゃないの? と思われたかも知れないが、

湖や川にも地方港湾に指定された港はいくつもある。

かつて諏訪湖の遊覧船に乗ったことはあるが、諏訪湖には船は航行しても港湾はないということである。

遊覧船には船籍港として「長野県諏訪市」と書いてあったが、そういう港があるわけではない。

(船籍港は船が航行できる水面がある市町村を指定するので、これはこれで問題ない)


日本の港湾一覧 (Wikipedia)

40の都道府県に港湾があるようである。

境港は鳥取県・島根県の両県にまたがる港として登録されている。これが唯一ってのは意外でしたが。

日本には47の都道府県があるということは、港のない都道府県が7つあるということである。

これは単純なことであって、内陸県8つから滋賀県を抜いた数に等しい。

というわけで、港湾のない都道府県というのは 栃木県・群馬県・埼玉県・山梨県・長野県・岐阜県・奈良県 の7つですね。

滋賀県が内陸県ながらに港があるのは言うまでもなく琵琶湖のことであって、4つの地方港湾がある。


あと、港という観点では漁港というのもある。

これも40の都道府県に存在し、存在しない7つの県というのは滋賀県以外の内陸県である。

ちなみに滋賀県は漁港は20あり、これは意外に多い数字である。

福島県は漁港が10しかないんですね。いわき市を中心に漁業が盛んだと言っても漁港が多いとは限らないと。


では、湖や川に港があるのは琵琶湖が唯一なのかといえば、そういうわけではない。

  • 猪苗代湖 : 翁島港・湖南港
  • 常陸利根川・霞ヶ浦 : 軽野港・潮来港・土浦港
  • 琵琶湖 : 大津港・彦根港・長浜港・竹生島港
  • 淀川(宇治川) : 伏見港
  • 斐伊川(中海・大橋川・宍道湖) : 安来港・松江港 他7港 (cf. しまねのみなと (島根県))

他にもあるかもしれませんけどね。

この中では安来港・松江港は中海に面していることもあって工業港としての役割も多いようですね。

湖といっても、それを「中海」と言ってるぐらいだし、境水道(これも斐伊川の一部)まで行けば、それは重要港湾である境港ですからね。


ただ、それ以外は観光船の発着程度しか使われないものが多いし、

京都市の伏見港はすでに港としての役割は完全に失っているとされている。

その象徴が伏見港公園であり、かつての港湾区域は運動公園になっている。

歴史的には伏見~大阪の汽船は鉄道のライバルだった時代もあるのだが、上流のダム建設で実用性を失い、

その後も使われないのに残存していた港湾施設を撤去して公園化したのが伏見港公園ということらしい。

それでも制度上は地方港湾として残り続けているという、かなり特殊な港である。

(かつて伏見港~京都市内の船の連絡に使われていた濠川で観光船の運航は行われているが、その程度)


伏見港以外は湖・川の港としての機能は何らかあると思いますけどね。

ただ、常陸利根川・霞ヶ浦はかつては海と行き来する船があったというけど、今はほとんどないでしょうね。

歴史的には江戸への内陸舟運の拠点という色が強かったようだが、土砂の堆積などで有用性はどんどん落ちていき、現在は使えない。

琵琶湖と猪苗代湖については、前後は陸路で、湖の区間だけ水運を使うことがかつてはあった。

鉄道黎明期には大津~長浜で鉄道連絡船があった時期もあったとか。大津~米原の鉄道は後回しにされてたんだな。

今は言うまでもなく全部陸送だから、そのような使われ方をすることはない。

そういう意味では当初の重要性というのはほぼ失われてしまったということになるんじゃないか。


なので、長野県に港がないというのは、そのような重要性を持った港があった時期がないということで、

今にして見れば諏訪湖も霞ヶ浦も猪苗代湖もレジャー用途で使われる船着き場がある程度でほぼ同格と思うが、

歴史的にはその重要性は全く違ったということですね。

ましてや伏見港なんて港ですらないじゃないかという話で、歴史だけの地方港湾である。

まぁそんなこともあるんだなって感じですね。

国際大会としての体裁が整うの?

昨年夏に予定されていたオリンピックが1年延期され、その間にいろいろな体制が整備され、

国際的なスポーツ大会の選手・スタッフは一定の条件で日本に入国し、

入国後から制限付きで練習などした上で大会に参加できるような仕組みが作られた。

リスクが完全になくなるわけではないが、制限事項を守る限りではなんとかなるんじゃないかという感じはある。

本当に選手・スタッフがそのルールを守れるのかとか、大会運営上の支障がないかとか、

いろいろ課題はあるものの、ただでさえ国際的な大会が延期になる中で、

何らかの形で大会を実現する必要はありそうで、オリンピックとかいう格段に規模が大きいものを日本でやるというのは、

とんでもない貧乏くじを引いたなと思うが、それもお役目かもしれない。

もともとオリンピックの経済効果なんてあるとは思ってなかったし。


なんて思っていたのだが、世界大会というところの前提が崩れる可能性もありそうだ。

飛び込み最終予選にオーストラリア選手派遣せず 五輪出場の可能性消滅 (日刊スポーツ)

インド選手、五輪絶望的に 渡航制限で予選に出場できず (朝日新聞デジタル)

前者はオーストラリアが東京で行われた水泳の飛び込みの大会(オリンピックに向けた体制のトライアルとしてニュースでも報じられたが)に選手を派遣しなかったという話。

オーストラリアといえば水泳大国で知られるが、一方で飛び込み競技ではそこまでではないとは書いてあるのだが、

実はリオデジャネイロオリンピックで銅メダルを取った選手も参加しなかったということで、

オリンピック出場権に全く手が届かないわけでもなかったし、なによりこれ自体が重要な国際大会である。

そう考えると残念な話だなと思うが、国際大会に参加自体は各地の競技団体の判断ということになろうと思う。

それ以上に問題なのが後者で、インドの選手が各国で行われる国際大会に出場できないことが相次いでいると。

これはインドからの入国・乗継客について厳格な規制を敷いている国が多いためで、

大会を開催する国はOKだとしても、そこまでたどり着けないということが起きているらしい。


各国選手が入国できない状態でオリンピックをやれば、日本選手がメダル独占だなと、

そんな冗談を言う人もいたが、そこまで極端ではないとは言え、実質的に参加できないチームが多く発生しそうである。

予選もそうだし、乗継客の拒否という話だと日本への渡航というところも問題になるケースがありそう。

それはオリンピックを開催する日本の都合ではないんですけどね。

むしろ日本はこの点については模範的な対応といえるんじゃないか。


オリンピック全体としてはやるぞと言っていても、各競技団体がどう判断するかというところはある。

競技団体からしてみれば、オリンピックを開催することで国際オリンピック委員会からの分配金が入るという都合もあり、

オリンピックで競技を実施しないという選択はしたくないと思うのだが、

ただ、実質的に国際大会といえる体裁が整わなければ、できないという結論もあるのかなと。

これはわからないんですけどね。ただ、実務に関わるのは各競技団体で、それぞれ事情もありますから。


というわけで、非常に難しいと思いましたね。

各地で新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るっている状況を見て「変異ウイルスのオリンピック」だとか揶揄する人もいたが、

大会の重要性からすれば、取るべきリスクというのはあるし、何も無対策でやるわけではない。

懸念は各種の対策が厳格に実行されるかどうかで、そこが信用ならないという話はわからんこともないが。

ただ、そういうことは置いておいても、実務的に実現できないというのではもうそれはどうしょうもないと。

そういうことが本当にないのかな? というのは非常に気になっているところですね。

意外と面的な対策になっている

大阪府の状況の悪さはあれこれ報じられている通りで、

そりゃ大阪府・兵庫県・京都府の緊急事態宣言は延長されますわなという感じだったが、

愛知県と福岡県は状況の悪化を考慮して緊急事態宣言が新規に適用と。

福岡県はかなり厳しいということで、前倒しで厳しい措置に移行してるみたいですね。

そして、東京都も大阪府などと同じく延長、隣接地域も含めて良くも悪くも横ばいという評価なんじゃないか。

まぁちょっと要請内容は変わったりするんですけど、基本的なところに差はない。


東京都が昨年12月から一貫して全域の飲食店に営業時間短縮要請を出しているのは何度か書いている。

東京都で緊急事態宣言が必要な理由

ただ、この根拠となる条文には多少の差があり、

特に3月下旬~4月中旬には緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も出ていない期間があった。

もちろん飲食店の営業時間短縮は求められていたのだが、ここで営業活動に躍起になった飲食店も多かった。

ふと思うのである。ここの断絶がなければもうちょっとマシだったんじゃないかって。

確かに3月下旬には緊急事態宣言の手応えも減ってきており、

この反省が4月下旬からの緊急事態宣言でより厳しい措置に出た理由ではないかと思う。

が、全く効果がなかったわけではなく、少なくとも時間稼ぎにはなっていたところは評価できる。


ゆえに緊急事態宣言からまん延防止等重点措置へのスムーズな移行が図られていれば、

東京都に緊急事態宣言が出ることはなかったんじゃないかという気はした。

これが大変な混乱を生んだことは事実ではあって、やはり避けられるなら避けたかったと思う。

酒類がなければ商売にならない飲食店にとっては営業困難な状態が延々と続くわけだが、

そこから逃れるのはもうどうあがいても無理なことだと思う。


ただ、一方で思ったのは東京都では緊急事態宣言で厳しい措置に出たわけだが、

隣接地域では緊急事態宣言が出ていないということで、これが東京都の必死の対策の効果を下げてしまうんじゃないかと。

そうすると対策の効き目がないとさらに厳しい対策に打って出ることにはならないか。

確かにどこに緊急事態宣言を出すかは国の判断であるが、それは広域の状況を見て判断することが求められているということ。

隣接地域だって決して状況が良いとはいえないし、むしろ厳しいぐらいである。


そう思っていたのだが、案外抜け目ない対策なのかもと最近気づいた。

と言うのも、かつて「昼飲み」の反省もあってか、東京都は休業命令を出せる緊急事態宣言を使ったところだが、

そこには基本的対処方針の変更もあって、まん延防止等重点措置の段階から終日にわたる酒類提供中止要請を出せるようになった。

根拠となる条文の差はあるものの、まん延防止等重点措置が出た段階で飲食店での酒盛りはかなり困難になった。

酒のために藤沢まで行くというニュースもあったが、裏返せば東京・川崎・横浜といったところは酒盛りは難しいということである。

「東京飲めないから来た」観光地に人出増の理由? (Yahoo!ニュース)

ちなみに12日からは藤沢市も飲食店の営業時間短縮・酒類提供中止の要請が出ることになっている。


また、東京都は緊急事態宣言の延長に伴い、各種イベントの無観客化要請は取り下げた。影響が大きすぎるという判断か。

商業施設の生活必需品以外の売場、映画館、博物館などの休業要請は続けている。

一方で、お隣の神奈川県は12日から商業施設の営業時間短縮要請を出すと言っている。

神奈川県、「まん延防止」延長で商業施設に時短要請 (日本経済新聞)

これもまん延防止等重点措置の枠組みの中で行われるものだが、こうして見てみるとけっこう東京都の内容に似たり寄ったり。

違いは要請に従わない場合に緊急事態宣言の出ている東京都では罰則もありうることぐらい。

確かに東京都の内容は厳しいが、隣接地域もまぁまぁ厳しいという感じはする。


というわけで、制度面の差はあるが、意外にも南関東一円で面的に抑え込もうという姿勢は見られる。

隣接地域もまん延防止等重点措置の効果をできるだけ高めて、なんとか乗りきりたいという意図は伝わる。

これがうまく効果をなせばよいですけどね。ただ、なかなか劇的な効果を得るのは厳しそうですね。

感染者数の報告が横ばいでもマシと考えるしかないですね。

重症患者の増加が懸念だし、それ次第では悠長なことを言ってられなくなるが、とりあえずは。


しかし、ここを乗りきってもワクチン接種後が地獄かもなぁ。

ワクチン接種猛烈に進む「チリ」感染激増のなぜ (東洋経済オンライン)

ワクチンの接種が進むも、それに伴って気の緩みが進んで、感染者数が激増したと。

チリもブラジルで猛威を振るうP.1系統の変異株の影響は受けているでしょうし、

ワクチンの1回接種まではしたが、2回接種まで至っている人が少ないという事情もあるらしい。

いずれにせよ、ワクチン接種の効果を高めるためには、より厳しい措置を長く続ける必要があるとみられる。

ただ、そこを理解して動いてくれるかどうかというのはわからない。


東京都の要請内容で1つだけイマイチだなと思うのだが、映画館の休業要請が続くことですね。

確かに映画館のために出かけることでいろいろ影響をなす可能性はわかるのだけど、

一方で映画のために遠出するのはもともとある話で、神奈川県だの埼玉県だの行けば映画鑑賞できるっていうなら、

それは普通に越境するんじゃないかという話がある。

確かに映画鑑賞による懸念は小さくないのだが、課題は実効性だと思いますね。

商業施設の休業要請にも似たような印象は持つが、こちらは生活必需品の売場は営業できるということで、

衣食住に関係するものならば生活必需品であろうというわけで、大規模催事の取りやめなどで要請に従ってることになるんじゃないかと思う。

百貨店なども長期戦を見据えてか、どこまで開けて良いかというのを精査しているようだけど、

それはそれでよいと思うし、必ずしも悪い話ではないと思う。それでも商売的に厳しいことに変わりは無いと思うが。

酸素吸入ができれば少しは

最近、なんやかんやと新型コロナウイルス関係の話題が続いているがご勘弁。

急増する重症患者に追っつかないということで、大阪府ではこんな施設ができたらしい。

大阪の入院待機所 2カ所目を新設 36時間超の事例も (産経新聞)

どうも「入院患者待機ステーション」という施設があるらしい。


これってどういう施設なのかなと思ったんだけど、静止した救急車ということになろうと思う。

施設の病床は計8床。酸素吸入装置のほか、血中酸素飽和度や脈拍を測るモニターを各病床に設置し、救急車と同等の対応環境を整えた。救急救命士や府職員に加えて、医師1人も常駐する予定。

一応、医師もいるのだが、実務に当たるのは救急救命士ということで、施設も救急車同等ということで、

これでもあるとないでは大違いということなんだと思う。

病院では看護師の負担が重くて大変で、結果として救急患者の受入が滞り、救急隊の拘束時間も長くなりという状況で、

せめて救急車に縛り付けるんじゃなくて、固定施設に救急救命士の一部を配置することで、

多くの患者を救えるようにしたいという、そういう意図があったのかなと思った。

救急車同等ということでできることは限られるけど、患者の実情に照らせばそこそこ意味はあるんだろう。


特に酸素吸入装置ですよね。これは適切に取り扱えば、そこそこ効果が見込める装置である。

新型コロナウイルスの患者では酸素吸入を要するというのは中等症以上とされている。

今年2月に神奈川県で「かながわ緊急酸素投与センター」が設置されたことが報じられた。

神奈川県、「酸素投与センター」を公開 (日本経済新聞)

やってることとしては大阪府の待機センターとほぼ同じですね。入院までのつなぎという位置づけらしい。

大阪府では待機センターもそうですが、宿泊療養施設への酸素吸入装置の持込や、デキサメタゾンの在宅処方なんていう話も。

病床逼迫の大阪府、宿泊療養ホテルに酸素機器の配備開始…容体急変時に備え (読売新聞)

大阪のコロナ療養者へ、ステロイドのオンライン処方が可能に (Yahoo!ニュース)

デキサメタゾンの処方を要するような患者は入院して酸素吸入を受けるのが適するところだが、

それが間に合わない以上は、病院外での療養のための体勢を整えた方がよいという判断ではないかという話である。

Twitterを見てるとデキサメタゾンの在宅処方は危険じゃないかという指摘も多く見ている。

本来入院すべき患者が入院できないという状況をどうにかするためのやむを得ない選択ということかなと思う。


こういうニュースもありましたが。

政府、インドに人工呼吸器300台など供与へ コロナ感染急増 (毎日新聞)

正直、人工呼吸器なんて機械があってもそれを使う人がいないとどうにもならんわけで、

人工呼吸器の供与には疑問もあるものの、酸素濃縮器300台というのは助かるのかなと思った。

ここまで書いてきた通り、病院外での療養体勢というところで、酸素吸入装置の重要性は高い。

病院につなぐまでの時間稼ぎにもなるし、病状が安定していれば在宅(宿泊施設)療養というのも選択肢に入る。

ただ、インドは感染者数の激増、重症化しやすい変異株(B.1.617系統やB.1.618系統)の影響で、

酸素吸入を要する患者に酸素供給自体が追いついておらず、酸素を広域輸送するという事態に追い込まれている。

焦点:インドの医療用酸素不足、ここまで深刻化した理由 (ロイター)

一方で吸入用の酸素というのは空気から酸素を濃縮することでも作ることができる。電源は必要だけど。

日本では病院外での酸素吸入の方法としてはこちらが一般的らしく、そのための装置が酸素濃縮装置ってことですね。

ということでこれは直接的に助けにはなるんじゃないか。長期的にも役立つものだと思う。

PCR検査に頼りすぎたんじゃないの

先日、新型コロナウイルスの変異株のことをいくつか紹介した。

ウイルスの変異にこれほど苦しめられるとは

大阪府を含む世界各地で苦しめられているB.1.1.7系統、

ブラジルを中心とした地域で苦しめられているP.1系統のことを紹介している。

これはこれで問題なんですが、PCR検査で検出しにくいという変異もあるらしい。


仏 PCR検査で検出されにくい変異ウイルス見つかる 219人感染か (NHK)

3月末に流れたニュースなんですけどね。

PCR検査というのはウイルスの遺伝子のうち、変異しにくい特徴的な部分を増幅して検出する仕組みで、

すなわちPCR検査で検出できないなら、それはもはや別のウイルスということになろうと思う。

でも、これはそういうわけじゃなくて、検体の取り方によってはちゃんと検出できたとのこと。

鼻やのどの粘膜や唾液のウイルス量が少なくなるという特徴を持ってるんじゃないかとのことである。

そんなのもありなのかって思っちゃうけどね。


しかし、確かにウイルスが勢力を広げるためには、このような特徴を持つのは確かに合理的である。

無症状者に網羅的なPCR検査を実施するような場合、そこで検出されると隔離されることになる。

そうして隔離された人から勢力を広げることはできないということである。

しかし、ここをすり抜けることができれば、その人は陰性のお墨付きで、あれこれすることになる。

そうすれば、その人はより多くの人にウイルスをばらまき、ウイルスは勢力を広げることができるというわけである。


まぁそこまで想定していたのかといわれるとなんとも言えませんが、

PCR検査をしてるから大丈夫という話ではないってことですね。

もともとウイルス量が感染初期では検出しにくいという話はあったわけですから。

検出されようがされまいがするべき対策は同じであり、

その点では確定診断以外の目的でPCR検査をするということが正しくないということになる。

そもそも風邪のような症状があればむやみに出歩いてはいけないのだから、

この点でも確定診断があろうがなかろうがやるべきことは変わらない。


それはそれで正論なんですが、そうはいっても無症状の感染源がこれだけ問題になっている以上、

不十分であったとしても何らかの方法で感染源を少しでも除去したいというのはもっともな要望であり、

そのために渡航前にPCR検査を要するとかいうことをしているわけですけどね。

ただ、そういう選別を繰り返すと、PCR検査で検出しにくいという変異が勢力を広げやすくなる。

鼻や唾液などから検体を取って確定診断をするというフローが無効化されるようなことになれば、

これはより厄介なことになるんじゃないかという気はする。

現状そこまで深刻な問題にはなってないんですけどね。


なんてことをこのニュースを見て思ったんだけどね。

「帰省前に…」 大型連休にPCR検査の列 (読売テレビ)

これに対する答えは検査結果が陰性であってもするべき対策は変わらず、

大阪府の状況を考えれば、住民は厳重な感染防止策が求められているということであろうと思う。

もちろん移動する事情はいろいろですが、密接な状態が続く会食などは慎むべきということになろうと思う。

もちろん、業者は「陰性だから安心です」という言い方はしないんですけどね。

でも、そこを正しく解釈できるほどに客は賢くないと考えるのが相当ではないか。

客にそれだけの分別があるならば、連休前や連休始めに行列ができるということがおかしいのだから。

ウイルスの変異にこれほど苦しめられるとは

新型コロナウイルスで気がかりなのが変異株のこと。

インフルエンザからの類推で言えば、やはりいろいろな変異は起きるだろうと。

その結果、ワクチンが開発されても、例えば はしか のワクチンのような非常に高い感染抑止効果は期待できず、

不十分な成果に終わる可能性はけっこうあって、いたちごっこ は続くだろうと。

ただ、重症化を抑制する効果はわりと期待できるので、その点では期待度は高い。

そんなところでごまかしながら「Withコロナ」の道を行くのではないか。

そう思っていたのだが、思っていたよりひどい状況である。


日本国内でウイルスの変異による影響が大きいと言われているのが大阪府である。

意識のない患者の中には、40代や50代の働き盛りの人たちがいます。

私は去年の1回目の緊急事態宣言が明けた後から1年近くこの病院の取材を続けてきましたが、いままで見てきた患者は80代や90代の方々が中心でした。
今回の第4波は、これまでと明らかに違うと感じています。

(“第4波はまるで違う”大阪の記者が感じる医師の危機感 (NHK))

現在、大阪府での新型コロナウイルス患者のうち、サンプリング調査の8割以上がN501Yという特徴があるという。

この多くは、B.1.1.7系統というイギリスで報告があった変異の系統だとみられる。

B.1.1.7を指してイギリス型の変異株というならわからなくもないが、それもイギリスで発見されただけで由来はよくわからないし、

あとN501Yについては他のところでも独立に同様の変異を獲得しているので、用語的には疑問もあるところですが。

で、N501Yの特徴を持つウイルスが多く流行するようになった大阪府では、

まず感染性が高まっている。これは同じ対策を行っても従来よりも感染抑圧が難しいということである。

また、これまでに比べて若くても重症化する患者の割合が増え(といっても軽症・無症状のまま推移する割合の方がはるかに高い)、

そういう患者は集中治療に耐えうると判断して入院させたはよいものの、なかなか退院できないし、

新しい重症患者受入要請が来ても応じることができないというのが、大阪府で起きている実情だという。


近畿圏ではこのような状況だが、関東圏では少し事情が違うが、こちらも変異株の懸念がある。

こちらは大阪府と同じN501Yの変異株も3割ぐらいあるらしいんですけど、

実はそれ以外にE484Kという特徴を持つ変異株が多くて、N501Yの特徴を持たないがE484Kの特徴を持つウイルスが半分以上を占めているとのこと。

東京iCDCにおける変異株スクリーニング検査について (東京都)

これについては症状の重症化に寄与するものではなさそうだが、

すでに免疫を持ってる人が再感染したり、ワクチンの効果が得られないという、免疫逃避の特徴を持ってる可能性があると。

どちらかというと将来における地雷ですかね。感染性への影響もある可能性はありますが。


世界に目を向けるとひどいのがブラジルで、もとより政府のウイルス軽視の姿勢が強く、

政府がやらないならギャングが外出禁止を呼びかけたというトンデモニュース(cf. アングル:ブラジルの街に新型コロナの波、ギャングが外出禁止令 (ロイター))も流れた。

大量の犠牲者を出しながらWithコロナを突き進むブラジルだったが、これゆえ、今困ったことが起きているという。

それがP.1系統という変異株だが、若くても重症化する割合が高いということで、

これは死者数にも明確に表れているという。

ブラジル、若年層でコロナ感染拡大 死者数急増=報告書 (ロイター)

20~40代で今年初めから今月初頭までの間に、新型コロナウイルスによる死者数が10倍ぐらいに跳ね上がったと。

医療リソース不足も深刻であり、それも影響していると思うが、単純に重症化しやすいと取るべきである。

このような深刻なウイルスが生まれたことには、ブラジルでの感染者数の多さが影響しているはずで、

すなわち感染者が増えれば増えるほど、深刻な変異が起きる確率は増え、そうして発生した変異が広域に拡大するリスクも高まっていると。


程度の問題ではあって、厳格に抑え込んでいるオーストラリアなどを除けばこういうことはいくらでも起きうるんじゃないか。

オーストラリアが極めて厳格な対策を取ったのはお国柄(家畜伝染病などでも見られる)ということであって

一時は人々の往来が極めて困難になるなど、人道上の問題も発生したところである。

現在も突発的なロックダウンが起きるなど、それはそれで影響が大きいところである。

日本はインフルエンザ対策に準じて対策をしたわけだけど、それは一定程度の市中感染はある前提ということだろう。

その中でも影響度が大きいクラスタをつぶしていけば、深刻な問題は回避出来るはずとやっていた。

ただ、まさかここまで変異の影響が大きくなるとは……というのが正直な感想では?

このような状況を予測できた人なんているのかな?


ワクチンの効果が期待できないわけじゃないが、当初は重症化するのは高齢者が多いということで、

すなわち高齢者の重症化を抑止すれば、市中感染の抑制は不十分としても、それである程度楽になるという読みだったが、

どうもそう簡単な話ではないということで、これは困った困ったということだと思う。

かといって今さらウイルスを根絶するのはこれも不可能である。

例え一定の地域で根絶しても、再流入(しかも感染性や重症化リスクの高い変異株かもしれない)への警戒は続く。


オーストラリアはこれがあるから、国境を越えた人の移動が困難な状況が続いている。

最近になってオーストラリア・ニュージーランドの往来は現実的に可能になったみたいですね。

豪とNZ、双方向の自由渡航を再開 入国時の隔離なし (BBC)

これだけ読むと他の国との往来は隔離すればできそうに見えるが、実務的にはオーストラリア国民すら帰国が困難な状況らしい。

国境閉鎖のオーストラリアにスターが続々入国 「二重基準」に国民が怒り (BBC)

オーストラリアの方法はよいことばかりではないということである。

ただ、変異株に怯える現状からすれば、最善の選択肢だったのかなと今にしては思う。


でもそれを当時、合理的に説明できる人はいなかったと思うし、それで抑え込んでも社会的な影響度が大きすぎる。

今の日本ぐらいでのらりくらりと乗り越えられればそっちの方が……というのは立場によるか。

なにより大阪府の医療状況を考えると、何で命を落とすかわからない状況ですからね。

東京都はまだやりようはあるかなぁ……でも状況が悪化しうる要素はいろいろありますからね。

東京都で緊急事態宣言が必要な理由

話題にもなっていますが。

東京など4都府県に緊急事態宣言 政府が決定 (NHK)

大阪府はともかくとして、東京都がここで出てきたのはどういうことだと考えてみる。


そもそも、東京都は昨年12月の緊急事態宣言以後、全域で飲食店の営業時間短縮を求めている。

今月12日にまん延防止等重点措置が出て、特別区域と一部の市でより厳しい制限を出したものの、

根拠となる条文の差はあれど、それ以外の地域でも要請が出続けていることに変わりは無い。

多摩地域では八王子・立川・武蔵野・府中・調布・町田の6市がより厳しい制限となったので、こんなことも話題となった。

三鷹駅の北はまん延防止、南は対象外「基準は何なの?」 (朝日新聞デジタル)

三鷹駅は概ね南側は三鷹市、北側は武蔵野市となっており、両市ともに市役所最寄り駅である。

確かにここだけみればおかしい気がするが、しかし全体からすれば軽微な問題だと思う。


なぜ多摩地域の6市により厳しい措置を取ったのかというと、

特別区域に準じて対策をとるべき繁華街が存在するからということだろうと思う。

武蔵野市が対象になったのは吉祥寺地区を想定したものとみられる。位置関係的にも杉並区や練馬区に近いからね。

こういう繁華街で要請に従わない店があったときに強制力のある措置をとれるというのは重要なことであろう。

そういう観点で言えば、三鷹駅周辺は南北共にノーマークというのが実情だと思う。

しかし、武蔵野市内で対象か否かわかれるのは実務的ではありませんから、これは仕方ないことである。

なにより三鷹市も内容に多少の差はあるが営業時間短縮要請は出ているのだから。

ただ、地理的関係からすれば 三鷹市・狛江市・小金井市あたりは同様にしてもよかったと思いますけどね。


さて、そんなわけで一貫して飲食店の営業時間短縮要請を出してきた東京都が、

国に対して緊急事態宣言を出すように依頼していた(どうも水面下では粘り強く調整されてたらしい)のは、

まん延防止等重点措置ではできない休業要請に踏み込む必要があるということだったらしい。

それはこれから連休となれば、酒盛りなどするのに昼も夜も関係ないということも想定してのことだったと思う。

そもそも、東京都の対策はこれまでも飲食店の必死の営業活動に苦しめられてきた面はある。

営業時間短縮などの要請に応じても、その枠内で客を最大限に集めたり、あるいは従わないことが横行したと。

その極地が「昼飲み」である。昼間ならば営業時間短縮要請がかからないから自由に客が集められると。

でも、それは本来の意図ではないわけで、こうして火消しにかかったわけである。

(気の毒だけど飲食店は悪者かもしれない)

このような実績がある以上、酒類を提供する飲食店はすべからず営業してはならないとならざるを得ないわけである。


というわけで、これは仕方ないと思った。

従わない店が横行するのは想定されるが、そのような店に過料を科すこともできるようになった。

感染リスクの低減に向けて、東京都・市区町村が連携して穴をふさいでいくことになろうと思う。

ただ、それでさえ打つ手に乏しいのが路上や公園などでの宴会である。

環境問題でもあるし、いかに屋外でも長時間にわたり密な状態が続くのはリスクとして大きい。

呼びかけはすると思うんですけど、こういう形で宴会を決行するような人に実効的な効果があるかは疑問である。


そこで東京都はこういうことを言い出したわけである。

20時以降ですけれども、街頭の看板であるとか、明るい看板、照明を伴う看板、ネオン、イルミネーションなども停止をしていただくようにお願いをいたします。夜は暗いです。街灯のみが灯るということに結果としてなろうかと思います。(中略) 今回は人の流れを抑制するための措置ということであります。

(小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和3年4月23日)(東京都))

それって効果あるのか? という話だが、こういう形で人々の考えを揺り動かすのが効果的ということだろう。

百貨店にも休業要請を出す方針で、各種施設・各種興行についても休止・無観客を求める方針だという。

正直、これも直接的な効果があるとは思えないが、こういうことを積み重ねることで人が集まることを避けられるということだろう。

劇場が閉鎖されることについて「演劇が何か悪いことしたのか」と怒っている人を見たが、

そういうことではなく、悪いのは東京都に群がる住民らであり、その尻拭いがこういうところに来ているわけである。


東京都がこういう策をとらざるを得ない状況に追い込まれたのは、

各種対策をくぐり抜けるまでて、感染リスク軽減に不十分な住民がいるからということで、

こういう嫌がらせのようなことがあれこれ出てくるのは、いくら呼びかけても一向に効かないということで、

このようなことが起きていることに住民の1人としては大変恥ずかしいことだと思っている。

でも、こういうことをしなければならないのは、これまでの実績に裏付けられており納得感はある。

正直、これもいくらでも抜け道はあるんですけど、それでも効果は見込めるだろう。


なお、同時に大阪府・兵庫県・京都府にも緊急事態宣言が出ることとなったが、

こちらは東京都とはだいぶ違う経過をたどっている。

吉村知事「時短は大阪市内、午後9時まで」 宣言解除後 (朝日新聞デジタル)

これは2月下旬の話だが、緊急事態宣言解除とともに大阪市以外の大阪府域に出していた飲食店の営業時間短縮要請を外している。

これを見て大阪府は学ばないなと思ったのである。

というのも昨年11~12月ごろ、営業時間短縮要請の出ていない大阪市以外の地域で感染拡大し、

これにより大阪府全域で医療体制が危機的状況に追い込まれたのだから。


その経緯を傍から見ていたので、2月下旬時点でまた同じことやらかすなと思ったら、もっとひどかった。

妻が陽性と確認されて3日後の今月13日、妻が熱と全身の倦怠感に加え、胸の痛みを訴えたため、男性は救急車を呼びました。
しかし、救急隊員からは、病床がひっ迫しているため、保健所の許可がなければ、病院に搬送できないと断られたと言います。

(大阪 医療ひっ迫 救急搬送に4時間 倒れても搬送されない場合も (NHK))

感染症の患者を医療機関に搬送するのは保健所の業務とされている。

といっても実務的には消防署に依頼していることが多いようだが。

感染症に限らないが、病状の急変があったときはいきなり救急通報して救急車で搬送されることが多いが、

消防署は保健所からの指示がないから搬送を拒否していることがあるということである。

救急隊も病状など保健所に報告した上で搬送先を決めるように依頼したはずだが、保健所がそれを拒否したということである。


こういう状況は今日に始まったことではなく、4月に入る頃にはもはや危機的状況だったはずである。

そこに対して国が動かないのは不思議だと思っていたし、今回の緊急事態宣言も大阪府からの要請をうけてやっとのこと。

確かに大阪府の対策に問題が大きかったのは事実であるが、そこに対して積極的に介入しない国もどうかと思うのである。

結局は大阪府がこれ以上は限界と音を上げた形となったが、そうならなければ国はどうしていたのか。

大阪府が「かかれば死ぬのは当然のこと」などと開き直れば、国は動かなかったのだろうか?

本来は緊急事態宣言の要否は都道府県の判断することではなく、国が判断するべきことである。

実際、今年2~3月にかけて緊急事態宣言が不要になったかどうかというのは国の判断である。

(東京都が緊急事態宣言の解除前後で要請内容を大きく変えなかったのは、東京都と国の判断の違いを表しているとも言える)

逆に緊急事態宣言が必要という判断を都道府県に委ねてるのはおかしいよね。

実務的にはいろいろやりとりはあったのかもしれませんけど、これは国の対応にとって問題が大きいんじゃないか。


先日「ノーマスクピクニック」だとか「うちわ会食」とかいうことが話題となった。

「ノーマスクピクニック」については主催者の言動が問題視された面(cf. 「ノーマスクピクニック」復活運動に批判相次ぐ 発起人は「コロナは茶番」を主張…公園側は対応苦慮 (J-CASTニュース))はあるが、呼びかけ自体は こう言うと角が立つ が……という内容ではないかと思う。

マスク着用による弊害もある中で、屋外であれば極端な密にならない限りは比較的リスクは低い。

そこら辺を考慮して、家族など小グループで楽しむ分にはよいと思ったが、デモ集会のごとき動きは問題視されても仕方ない。

「うちわ会食」は兵庫県が口元をふさぐためのうちわを飲食店に配布しようとした話。

「うちわ会食」のうちわ配布を見合わせ 兵庫県、効果疑問視や批判相次ぐ (神戸新聞)

対策として全く理屈に合わないわけではないが、果たして現在の兵庫県(特に阪神地域と神戸市)にとって妥当かという話である。

感染の蔓延度が低いときには弱い対策ながら、他の対策と併用して意義はあったかもしれない。

でも、現状の状況を考えて、この対策で得られる効果なんてほとんどないし、逆に油断させるリスクの方が高い。


その上で東京都が求める対策を見ると、相当に強い内容だが、これまでの実績を踏まえた決断である。

ただ、それですら懐疑的な見方をしてしまうのも、これもこれまでの実績である。

女子校が多いもんだから

僕は高校を出ていないし、なんなら高専の合格内定も早かったから高校入試も受けてなかったが、

東京都の都立高校で男女で合格点に差がある場合があるという話がニュースでちらほら話題になっていた。

どうも男女の合格点に差がある場合は、必ず女子の合格点の方が高いらしい。

都立高校入試の“男女別定員制” 同じ点数なのに女子だけ不合格? (NHK)

その理由が掘り下げられていて、なるほどそういう理由だったのかと。


男女別の定員設定があるのは、全日制普通科のみで、工業・商業などの専門学科、定時制は対象外である。

どうも見た感じでは中学校卒業者のうち、都立高校の全日制普通科に入学が想定される人を、

全学校で同じ男女比で割り振っているように見え、

募集人数317人(8クラス)の学校はいずれも男165人・女152人(1人程度の差はあるかも)となっている。

そんなところからもわかるように、学校間で男女比に大きな偏りが発生しないようにするためという目的は予想できるが、

それならば男の方が合格点の高い学校があってもいいような気はする。


実はこのようなことが発生している要因というのが私立学校は女子の受入人数の方が多いということ。

都立高校が男女別定員制をやめて男女比のバランスが変わると、私立に入学する生徒の男女比にも影響が出る可能性があります。都立高校に合格する女子生徒が増えると、私立高校へ進学する女子生徒が減ることが予想されますが、そこで課題として浮上するのが「私立の女子校」です。都内の私立高校233校のうち、34%にあたる80校は女子校で、その数は男子校32校の倍以上です。

都立高校からあぶれたのが女子ならば、私立高校のあてもつきやすいが、

男があぶれると入学するところがないという事態が発生しかねないということで、

都立高校の定員は女子の人数を少なめに設定しているわけですね。

就職希望者・専門学科・高校以外(高専・専門学校など)への入学希望者なども勘案しての設定なので、

私立学校の事情は抜きにしても男女の定員に差が付く可能性はあるが、男女差は私立高校の定員が支配的のようである。


何が男女平等かというのは難しい。

歴史的には男女別定員は、学習機会に恵まれなかった女子を救済する目的があったという。

女子が通っていた旧制高等女学校では、理数科目の授業時間が少なく、外国語も必修ではなかったため、当時は男女間に大きな学力差がありました。そのため、男子が通っていた旧制中学校を共学化しても、女子の学力の水準では入学することが難しかったのです。そうした中、教育庁から、共学制を実現するために、男女で別の枠を設けて募集するよう指示が出されます。

しかし、現在は中学校での学習機会に男女差はなく、ほぼ同じか、若干女子の方が成績がよいぐらいだという。

現在は都立高校・私立高校であわせて男女の入学者数を確保するという目的で男女別定員を設定しているとすれば、

目的は多少変われども、これも学習機会の均等化という点では妥当であると考えられる。


一方で、男女で比較すると、女子の方が希望する学校へ入学することが難しいと言える。

特に都立高校と私立高校と二分して考えれば、明確に都立高校への入学には不利を受ける。

そして授業料やその他の費用負担は私立学校の方が高い傾向にある。

(というか今は都立高校なら授業料は不徴収でしたね)

すなわち男女ともに学校を選ばなければ高校に入学することは可能だが、

平均的に見れば、女子の方が私立学校への入学を強いられ、金銭的負担が重くなる傾向があるということになる。


この問題の原因としてある女子校は減少傾向ではあるものの、男子校に比べれば減少ペースは鈍い。

2000年では共学76校・女子104校・男子57校だったのが、2020年では共学121校・女子80校・男子32校と。

もともとそんなに女子校多かったんですね。そうすると都立学校をあぶれた男が行くべき高校がないのは現実的な危惧だったか。

男女ともに選べる学校が増えるという点では緩和傾向かもしれないが、全体としてはどうかはこの数字だけでは判断しにくいですね。

減ったとは言え、女子校が多すぎるということなのかな。

で、この女子校を支えているのが都立高校の男女別定員なわけだけど、それがなくなると女子校の入学者は減ることが予想される。

共学化という方向に行けばよいが、現実的にはアイデンティティの喪失から廃校へ進む道も考えられ、

それは結果として女子の修学環境を悪化させる懸念もある。

また、生徒が減って苦しむ私立女子校もあるでしょう。それは、建学の精神があって社会のために尽くしてきた学校が無くなるということで、その学校が受け入れてきた生徒の受け皿も新たに必要になります

そうなんですよ。こういう副作用も懸念されるわけですね。


というわけで単純ではないということである。

現在、男女別定員は若干の弾力的運用が図られており、男女の合格点の差を小さくする方向へは向かっている。

ただ、全面撤廃とすると、いろいろなリスクがあり、そのリスクは男女ともに及ぶ可能性もある。

そこを見極めようとしている段階かもしれないが、私立学校との協調が必要でしょうね。


このあたりの考えは高校と大学では若干の差があろうと思う。

国際人権規約の教育に関わる規定でも、中等教育(中学・高校相当)と高等教育(大学など)ではちょっと違って、

第十三条

2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。

(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。

(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。

(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)(外務省))

ここの無償化の規定を日本では長らく留保してきたが、公立高校の授業料不徴収で中等教育の無償化はしたという話。


で、中等教育と高等教育、いずれも全てのものに機会が与えられることが求められているが、

中等教育は限定なしに「すべての者に」と書いてあるが、高等教育では「能力に応じ」ということで若干の差がある。

すなわちは国際的な認識としても、高校レベルまでは学力によらず進学機会は与えられるべきという考えである。

一方で大学レベル以上は、大学進学レベルの学力を問うのは妥当であるという、ちょっとした考えの差がある。

高校の定員を男女問わずに成績上位から争えば、学力の高い人は高校に入学できるが、

女子校が多い実情からすると学力の低い男子はあぶれる可能性が出てくる。

それは能力に応じて機会を与えているからだ、というのは大学では許されても、高校では難しいかなと。


実は以前は、中学卒業後の進路として、進学以外の道を充実させることを前提として、進学の適性を問うべきではないか。

すなわち学力が足りないものは高校進学への道を閉ざすべきだと思っていたのだが、

高校程度までは学校を選べなければ希望する人は進学できるという形にするべきというのが国際的な認識だという。

とすると、学習機会の均等化のために男女別定員を取り入れている都立高校の対応は妥当ではないかと。

ただ、一方で授業料負担という点では女子の方が重くなるという課題はある。

定員は確保できても、授業料が払えなければ機会の均等化にはならないので、こっちが問題になる可能性もある。

それでも低所得世帯だと授業料減免とか公的な補助制度もあるから、学習機会の均等を重視するのも妥当だと思う。


好ましい制度とは言えないので、私立学校と協調して撤廃・緩和する方向へ持っていくべきとは思うけど、

そんなに単純な話ではないなと思ったのだった。こういう深掘りは大切ですね。

改善に取り組もうという人を叩くか?

ニュースでも話題となっているのですが。

ユーザーの個人情報に関する一部報道について (LINE)

LINEが個人情報保護委員会に対応の不備を報告したというニュースだったのですが、

ここに内容があれこれと記載されている。ちょっと複雑な面もあるが。

運用上の都合により、外国の関連会社のスタッフがアクセス出来る状態がいくつかあったと。

その中でもLINE Digital Technology (Shanghai) Limitedのアクセス権限は、現在は不要であるにも関わらず残存していたため、

これはアクセス権を取り消すなどの対応を行った上で、不備があったかもしれないと個人情報保護委員会に報告したとのこと。


この問題が発覚した経緯はいくつかあるようだが、Zホールディングスとの経営統合時の協議らしい。

両社のユーザーの個人情報を承諾を得た上で持ち寄って活用するようなことを模索していたのだろう。

さらに国内外の法規制対応も見据えて、いろいろ検討していたようである。

もともとLINEは外国への個人情報の移転自体はプライバシーポリシーにも示していて、確認してみると、

なお、当社は、パーソナルデータの提供にあたり、お客様のお住まいの国または地域と同等の個人データ保護法制を持たない第三国にパーソナルデータを移転する場合があります(2019年1月23日現在、欧州委員会は、日本がパーソナルデータについて十分な保護水準を確保していると決定しています。)。この場合、当社はお客様の国または地域で承認されたデータ保護に係る標準契約やその他手段を採用し、パーソナルデータの第三国移転を適用法の要件に従って行います。

ということで、一応は承諾を取っているということではある。

まぁ規約に書いてあるからよいとも言えないが、この内容は公序良俗に反するものではないだろう。

ただ、これは移転先の国を列挙していないなどの課題はあり、改善を行うつもりだということだろう。

(移転先の国の明記は昨年6月に成立した個人情報保護法改正で盛り込まれたが、この項目の施行は2年後とのこと)

確かにYahoo!のプライバシーポリシーを見ると、今年2月にこんな項目が追加されてた。

海外パートナー企業へのデータ連携について (Yahoo!)


背景として考えないといけないのは、LINEが複数の国で事業を営んでいることであり、

すなわち日本にとっては日本の事業所は国内だが、タイにとっては海外となると、そういうことである。

社内(グループ会社相互)での情報移転ではあっても、国境をまたぐというところに制約がある。

一方で各国で独立して運用するのは非効率ですから、どう折りあいを付けるかというところである。

そういえば、Zホールディングスの既存サービスってほとんどは日本国内のユーザー向けにしかやってないわけで、

LINE社のような国境をまたぐ運用体制はあまりなかったわけですから、そんなところでおかしいと気づいたところがあったのかも。

そんな中で個人情報保護委員会へ報告して、改善に取り組んだ方がよいという判断があったのだろうか。


ただ、今回の場合、国境をまたいではいるが、その先もグループ会社であり、

アクセス内容のトレーサビリティもあって、個人情報の流出があった可能性は低いとされている。

(アクセスログの精査などはこれからのようにも見えたけど)

あと、これは知らなかったんだけど、個人・グループでのメッセージ・音声のやりとりって、

End-to-Endでの暗号化が行われていて、管理者も基本的には見ることができないんですね。

LINE 暗号化状況レポート (LINE)

ただし、例外はあって、それが通報されたメッセージで、そういう形で秘密保護と運用管理を両立してるんですね。

今回の問題となったことの一部は通報されたメッセージに関するものではあるのだが。


なんて事情を考えたときに、これって本当にまずい問題なの? というのが僕の感想である。

しれっと直して、後に認証取得しましたとか、法規制対応のために規約変更をしますとか、

そういうリリースを出して、良いところだけアピールするという手も取れたような気はする。

ただ、Zホールディングスとしては、行政の関与も得ながら、確実な改善を行おうという意図はあったんじゃないかと思う。

現状に課題があるのはともかくとして、基本的にはよい姿勢だと思うのだが。


しかし世間からの評判は悪そうだし、ましてやこんな話まで出てくるほど。

LINEでの行政サービス停止 総務省 (NHK)

こういう形で行政機関がいきなり締め出しを図るような姿勢はどうなのかと思うのだが。

少なくとも個人・グループでのメッセージのやりとりについては暗号化して保護される仕組みがあるわけですけどね。

もちろんLINE社はこういう影響が出る可能性があるのは覚悟してはいただろうけど、想像以上の影響だったのでは?

こういう先例ができると、同じような事例を抱えた事業者が個人情報保護委員会に報告するのをためらうことにつながらないか。

その結果としてより深刻なプライバシー上の懸念が野放しになる可能性はないのかというのが心配である。


どうしてこんなに評判が悪いのかと、ちょっと掘ってみたのだが、

1つにおいてはLINE社の親会社が経営統合までは韓国のNAVERであったこと。

実際、運用面での連携はあって、データセンターの一部は韓国にあるようだ。(日本への移転を進める予定らしい)

そんなわけで「ほれ見たことか」というような論調が多いように見えた。

もう1つが個人情報の移転先として中国の関連会社が多かったということ。

過去にも中国を介した情報流出などもあったわけだし、ずさんな管理が行われている会社があることも事実だろうと思う。

国境をまたいではいるが、社内ではあるわけだし、そんなにいい加減な対応は取られていないように見えるのだが。

また、行政の介入リスクがあるのではないかというような話もあるが、それは陰謀論じゃないか?


というわけで、この問題について、正しい理解をした上で批判しているひとは限られるように見える。

報道機関も行政も政治家も本当にわかってるのか? という話である。

もちろんそれは今後の調査で明らかにしていかないといけない部分もあるので仕方ないのだが、

実害が及んでいる可能性は低いというのに、今の段階でここまで言われなくてはいけないか?

それは楽観的な見方か? でもリスクを過大に評価するのはかえって悪いことでしょうよ。


Zホールディングスとしても、週明けには早速、特別委員会を開催して検証・改善に取り組むようである。

外部有識者による、「LINE 社におけるグローバルなデータガバナンス」を検証・評価する 特別委員会の開催のお知らせ (Zホールディングス)

ZホールディングスとLINEとの経営統合まで、両社とも持ってなかった観点がいろいろあろうと思うので、

よりよいサービスとなるように改善に取り組んで欲しいと思う。