こうも暑くては熱中症が怖い

昼間に市内で買い物のために出かけていたが、やはり暑い。

オリンピックは開会式の日に競技あるんか? と調べたら、アーチェリーとボートをやってたようで。

いずれも東京港の埋立地が舞台ということで、日差しが大変そうだなと思ったが、案の定というべきか。

ROCのアーチェリー女子選手が熱中症でダウン 競技終了後に意識を失う (Yahoo!ニュース)

ロシアの選手が競技後に意識を失うということが起きたと。すぐに手当てされ意識は取り戻したとのとだが。

アーチェリーという集中力が問われる種目で競技を終えてホッとしたところで倒れてしまったのかもしれませんね。

ウラジオストクで合宿して暑さに慣れてから来たというのがロシアらしいが、そんなもんじゃないでしょう。


よくネタにされていますが。

この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である

これはオリンピックの招致資料に書かれていた東京オリンピックの特徴である。

といっても、これは後付けであって、夏の定められた期間内にオリンピック・パラリンピックをやるなら、

オリンピックを7月下旬~8月上旬、パラリンピックを8月下旬~9月上旬にせざるを得ないということである。

どちらも過酷だが、オリンピックの開催時期はもっとも暑い時期ですよね。

国際競技大会と暑さといえば、熱中症になる選手が多く出た2007年の世界陸上大阪大会が思い起こされるが、

大阪の暑さは日本でも特に過酷である一方で、開催時期が8月下旬~9月上旬とわずかに暑さが和らぐ時期だった。

東京の暑さはそれより少しマシだが、時期を考えれば単純に世界陸上大阪より楽とは言えないでしょう。

この時期は熱中症警戒レベルはほぼ毎日「厳重警戒」に達し、時に「危険」の水準に到達することもある。

晴れる日が多いことは事実だが、パフォーマンスを発揮するという点では課題が多い。


ところで、熱中症対策の指標として使われる数値はWBGTという数値である。

暑さ指数(WBGT)について (環境省)

気温・湿度・日差しといった要素で決まるもので、この数値と熱中症での救急搬送数の相関は高いとされている。

このことからWBGTは熱中症の警戒度の指標として使われるわけですね。

「危険」というのはWBGTが31以上ということだが、この領域では運動は原則中止とすることが推奨されている。

この領域までくると安静状態でも熱中症の危険があるので、気温・湿度の低いところや日差しを避けられるところへの避難が推奨される。

「厳重警戒」というのはWBGTが28~31の範囲で、この範囲で運動をする場合、10~20分おきの休憩と水分・塩分補給が求められる。

おそらく今回のオリンピックはこの状態で競技を行うことが多くなるんじゃないか。

大半無観客化されたものの、観客もこの状態での観戦には水分補給に注意するなど、熱中症予防のための対策が求められただろう。


「警戒」というのはWBGTが25~28の範囲で、この辺は安静にしている分はある程度リスクは低い。

労働安全衛生規則で定められた気温・湿度上限の気温28℃・湿度70%で日差しなしという条件だと、WBGTは27、なので警戒レベルだと。

オフィスワークをするのなら、適度に水分補給をしていれば、安全な環境ということですね。

ただ、運動や作業をするとなれば、積極的な休憩や水分・塩分補給が求められる。「警戒」ということの意味はそういうことですね。

注意すれば可能だが、熱中症リスクを下げるという点ではもう少し気温・湿度を下げたり、日差しを避けるなどした方がいいですね。

しかし、激しい運動となればこの範囲でも熱中症リスクは高い。30分おきなどの休憩を推奨している。

マラソン・競歩のような長時間にわたる競技はまさにそうで、スタート時間を前倒しにしても警戒レベルで競技を行うこととなり危険が高かった。

このことから札幌での開催となったわけだが、札幌だって昼は気温が上がるし、日差しは過酷である。

なので札幌開催でも早朝や夕方のスタートが予定されているわけですね。昼間について言えば札幌も過酷ですよ。


屋外競技ではWBGTを直接的に下げる手段は乏しい。日陰で競技できたりすれば楽になるんだけどね。

いかにして休憩・水分補給の時間を確保するかというところがポイントになるんでしょう。

競技によっては水分補給のための中断時間を取ることができるルールを用意したりしているようだ。

これで「厳重警戒」レベルの暑さに対応しようということなんじゃないかと思う。

しかしそれを上回る「危険」レベルに達したときに、果たしてそれでよいのかというのはある。

時間帯など工夫されている部分もあると思うが、想定以上の暑さになることもあるだろう。

スケジュールを守ることは重要だが、安全を考えれば時間変更や中断時間でスケジュールがズレることもあるのかも。


無観客化の理由は会場外での感染リスク軽減という意味が強いが、熱中症対策としてもよかったんじゃないですかね。

ある程度、覚悟はしてたと思うけど、それでも実際に観客がバタバタ倒れては辛いでしょう。

選手については、もともと日本である程度長く滞在して、暑さに慣れることが推奨されていたが、

日本滞在期間を短くすることを選んだチームが多く、暑さへの順応が不十分なところもあると思う。

熱中症で不調を来す選手が出ないわけはないのだが、それを少しでも減らせるように期待したい。

無国籍はいかにして解消するか

へぇーと思ったんですけど。

無国籍の子ども、2割以上が国籍を得られず 国が初調査 (朝日新聞デジタル)

日本国内に無国籍者がいるのは確かだけど、その実態はよくわかっていなかった。

こういう集計は珍しいんじゃないか。


最近、無国籍の子供の数が増えているらしいのだが、なにか実態として変わる要因があったとも思えず、

おそらくは実情に応じて無国籍を把握するようにしたんじゃないかなぁと。

行政機関はどうやって外国人の国籍を知るかというと、基本はパスポートを見て確認するわけですね。

例外的なケースとして「中華民国」のパスポートを呈示すると、国籍等の欄に「台湾」と記載されるというものがある。

これは日本は「中華民国」を国として認めていないが、台湾の権威ある機関と認めているための取扱である。

原則はこうだが、例外的なケースもあって、それは日本国内で生まれた人ですね。

両親のいずれも日本人でなく、日本で生まれれば外国人として在留資格を取得する必要がある。

ここで国籍国のパスポートを呈示できるとよいのだが、手続きに時間を要する場合もあるのでパスポート提出は必須ではない。

外国人でも適切な在留資格があればパスポートなしで生活することには何も問題ない。(在留カードがあるからね)

このため、パスポート取得が困難など、実質的に無国籍なのに親の国籍などが登録されているケースもあると。

もともとこのような隠れた無国籍が多いという話はあったので、それが無国籍とあぶり出されるのは不思議ではない。


2016~2020年の5年間で出生時点で無国籍として届出があった人のうち305人を抽出して調査したとのこと。

そのうち2021年4月時点でも無国籍のままなのは69人とのことである。

残りは数年のうちに国籍を証明する書類(通常はパスポート)を呈示しているということですね。

全体の76%は国籍を立証する書類の不足が原因、21%は日本国内で国籍取得手続きが完了しないケースだそうで、

これらは潜在的に国籍を取得できる人というわけですね。(とはいえ手続き困難なケースも混ざってそうだが)

残る8人は潜在的に無国籍ということですね。割合としては少ないが一定いるわけだ。


ところで日本では国籍について「国籍唯一の原則」を基本的な考え方としている。

両親のいずれかが日本人の場合は生まれながら日本国籍を取得することになる。

(かつては両親が未婚で父親だけが日本人の場合は国籍取得に制約があったが、2007年に違憲判決が出て解消された)

生まれながらにして重国籍となった場合は22歳までにいずれかの国籍を選択する必要がある。

それ以外のケースで日本国籍を取得する場合は、外国の国籍を持たないか放棄する必要がある。

けっこうここが厳格であって、日本国籍の取得で無国籍を解消しようとすると、どこの国籍も取得できないことの立証に苦労することになる。


無国籍を解消する方法としては、両親ともに無国籍または不明であるという規定にあたるか、帰化による必要がある。

両親ともに無国籍または不明というのは、なかなか厳しい条件ですね。

母親が外国人らしいが失踪して不明というケースで、母親の国籍国で親子関係での国籍取得ができないことが判明すれば、

両親共に不明という理由で日本国籍の取得ができるケースはあるらしいですけど、相当にめんどくさい。

帰化については、生まれながら無国籍の場合は、日本国内に3年住んでいれば、未成年でも帰化することができる。

親の国籍国の規定などから、国籍取得が不可能と判断できれば、この方法で無国籍を解消するのが便利だろう。


ただ、こういう明確に国籍が取得できないとわかるケースはいいんですけど、しかるべき手続きを取れば国籍取得できるだろと言われると困る。

日本と台湾の狭間で「無国籍」を生きた少年 (難民支援協会)

母親が台湾籍、父親は日本人ということで、当初は日本人だったが、後に父親との親子関係がなく2歳で抹消されて、無国籍になってしまった人の話。

とりあえず在留資格は問題はなかったが、パスポートの発行を受けられないことが課題である。

帰化条件の緩和を受けるのは難しいだろうと、就職して成人になって申請をしたが、ここでも相当に苦労したらしい。

結果的には母親との血縁関係により台湾籍を取得してから、これを放棄して日本への帰化をするという手続きを取ったということである。

こういう手続きを要したのは国籍唯一の原則によるものだろう。


世界的に見たときに、国籍について生地主義を基本としている国は少数派ではあり、

日本と同じく血統主義によるのが多いが、だからといって両親のいずれかが当該国籍があれば当然認められるとも限らないんですよね。

日本だってちょっと前までは父親だけが日本人の場合は国籍を取得できないケースがあったわけだし。

そういう穴をできるだけ小さくしたいのですが、国籍については各国の事情がありますからね。

どうしても国籍が取得できないケースで日本で生まれて、その後も日本で暮らしている人には、

できるだけ日本国籍が取得できるように配慮されてはいるのだが、どうしても国籍が取得できないことを立証することが難しい。


その一方で「国籍唯一の原則」というのは世界的に見れば必ずしも厳格に運用されているとは限らないというのがあって、

日本の法律に従って重国籍を解消しようとしても、外国籍を放棄する手続きが不可能だったり、極端に困難なケースがあることは知られている。

生まれながらの重国籍は解消する必要はないと考えている国はけっこう多いらしい。

重国籍により、複数の国の法令が適用される不都合を考えれば重国籍は解消されるべきだが、

一方で、地縁のある国の国籍を失うことの不都合もあるので、重国籍を解消することを強制できない国もまぁあると。


日本では歴史的経緯により朝鮮籍として登録されている人がいるが、これって実質的には無国籍者なんですよね。

朝鮮籍の由来は、朝鮮半島が日本領だった時代、内地在住で朝鮮戸籍に登録されていた人にある。

この人たちは元々日本人だったが、太平洋戦争後に日本が朝鮮半島を放棄したことで、日本人ではないという扱いになった。

ところがこの時点では朝鮮半島には国が成立していなかったので、仮に朝鮮籍として登録しておいたわけですね。

その後にこの地域には2つの国が成立して、日本は大韓民国のみと国交を結んでいる。

これにより韓国の国籍を取得すれば、朝鮮籍は韓国籍に書き換わることとなり、

日本国内でパスポートの発行を受けようとすると、韓国籍になるのがもっとも好都合なので、朝鮮籍のままの人は少数である。

(朝鮮籍の人も大半は韓国実効支配地域にルーツがあるというし、逆に北部にルーツがあっても韓国籍を取得している人はいるはず)

一方で朝鮮籍で困るかというと、パスポートの発行を受けられない以外はそこまで困らなくて、

なぜならば内地在住で日本国籍を失った人とその子孫は特別永住者として、無制限に日本国内に在住できるから。

制度上は外国人だけど、歴史的な経緯から日本人に準ずる扱いを受ける部分は多いわけですよね。


全体的な傾向としては、生まれた時点で国籍が取得できなくても、多くは早い内に国籍取得に向けて動いているとは言える。

ただ、潜在的に国籍があるとしても、実務的な難しさから、国籍取得に時間を要するケースがある。

日本に滞在し続ける分にはそれでも困らないが、パスポートの取得ができないないなどの課題もある。

なにより先延ばしにすると資料や証言を集めにくくなってしまうので、早期解決を進めなければならないだろう。

法務省の調査を信じるならば、生まれた時点で無国籍の人でも9割以上は国籍取得が可能なはずなので、

当地の法令も熟知した行政書士などに早期にアクセス出来るかが課題である。場合によっては費用の援助も必要かも知れませんね。


とはいえ、無国籍の背景には親の在留資格の不備などある場合もあり、それで子が外国人となると、親子もろとも帰国を迫られるケースもある。

それはそれで正しい対応かもしれないが、そういう不利益を考えて、積極的に動けないケースもあるんだと思いますね。

(法務省の調査は在留資格がある人が対象だろうから、親が不法滞在であるがために在留資格を認めるに至らなかった人は母数にも入ってない?)

そうなるとなおさら実態の把握は困難で、無国籍の解消が先延ばしになればなるほど困難さが増してしまう。

そう考えるとこの数字もどのぐらい実態を表しているかという話はあると思いますよ。

インドネシアから帰国したいので

インドネシアから特別便で駐在員が帰国というニュースがあって、

インドネシアが新型コロナウイルスで惨事なのは今に始まったことではないのではと調べると……

入院できず車中死続出 インドネシアで医療崩壊―コロナ感染爆発、政権批判拡大 (JIJI.COM)

まぁインドネシアはもともと患者数の報告がいい加減だという話はあったけど、

今まで1日1万人程度までで推移していたのが、6月から7月にかけて急増、直近では1日5万人を超えるほどになっているという。

検出率が向上した結果なんてことはなくて、検査の陽性率が30%程度とかいう状況だから、むしろ見逃しも相当に多いはず。

死者数で見ても1日800~1000人程度の報告が続いているという。

インドネシアは人口2.7億人と世界でも人口が多い国ではあるが、それを考慮しても感染者数・死者数とも多く、大変深刻な状況になっている。

在留日本人でも直近半月ほどで9人死亡との報もあり、駐在員の日本への退避を考えている企業も多いようだ。


しかし、ここで困った問題があって、それが厚生労働省検疫所の用意している隔離施設が足りないということである。

インドネシアから退避の邦人向け特別便を検討 企業や団体の保証必要 (朝日新聞デジタル)

現在、一部の出発地では検疫所の用意した隔離施設に規定日数(出発地により異なる)滞在して、検査を受ける必要がある。

そもそも出発地によらず、公共交通を使わず自宅・宿泊施設に行き、14日間待機することが求められているところだが、

出発前の検査、入国時の抗原定量検査をやってもすり抜けが起きるし、14日間の待機もなかなか完全とはいかない。

そこで出発地のリスクによって、検疫所の用意した施設に入り隔離の確実性を高め、時間をあけて検査することですり抜けを減らそうと。

なお、14日間の待機のために宿泊施設を使う場合の費用は自己負担だが、検疫所が用意した施設に入る間は食事代含め公費負担だそう。

選択肢があるかないかというところなんでしょうね。


で、この検疫所の用意している隔離施設が逼迫してるんだそうで。

世界各地で感染状況が悪化する中で対象地域や滞在日数が増加する傾向にあり、

インドネシアはまさにそうで、なんと10日間の隔離と入国後3・6・10日目の検査が要求されている。

いろいろ指定されている地域はあるけど、インドネシアほど交流が深くて制限の厳しい地域はないと思う。

3日間の隔離が要求される地域はタイ、フィリピンなど多数ありますけど。


このため航空会社に到着する乗客数を制限するように要請しているのだが、

この結果としてインドネシアから出国できなくても席が確保できないという問題が発生しており、

そこで企業が隔離施設の確保を行うことを条件として、枠外での到着を認めているということである。

なお、現在はオリンピック関係者も多く日本に到着しているが、これも制限の枠外とのこと。

これはオリンピックのルールによって待機・行動制限が課せられるからだろう。

いずれにせよ、隔離施設さえなんとかできるのなら、インドネシアから日本への退避は認めようということである。


これらの対策の目的は感染性・重症化リスクの高い変異株の流入スピードを抑えることが目的であろう。

結局はいろいろ穴はあるんですけど、人道上の理由もあるので完全にふさぐというのは難しい。

各自14日間の待機を行うことは対策の主なところではあるが、より強い対策として検疫所による隔離も併用しているということですね。

そうはいっても時間稼ぎにしかならないですけどね。

果たして対策に見合った効果が得られるのかというのはあるんだけどね。


インドネシアがこのような急激な悪化をしているのはウイルスの変異の影響と考えられている。

機関によって言い方は違うんだけど、東京都では変異を起こした遺伝子の場所を使って集計結果を示している。

東京iCDCにおける変異株スクリーニング検査について (東京都)

今年3~5月の感染拡大はN501Yの変異を持つウイルスによってもたらされ、直近でも6割程度はそう。

これはアルファ株(B.1.1.7系統)やガンマ株(P.1系統)などが持っている特徴とされている。

一方で最近6~7月の感染再拡大にはL452Rの変異を持つウイルスも寄与しており、直近では3割程度がそうだという。

これはデルタ株(B.1.617.2系統)などが持っている特徴で、これはインドネシアでの感染急拡大もそうだとされている。


これでも日本は高齢者へのワクチン接種がある程度進み、それで高齢者施設や医療機関での集団感染は少なくなったという。

(もちろん感染対策の強化など、ワクチン以外の対策も進んだことは要因としてあると思うが)

それでも、40~50代の重症患者の増加が問題であり、東京都では緊急事態宣言が出たし、

隣接地域はまん延防止等重点措置の枠組みで対策強化を進めているところである。

高齢者の重症化を防げることで、時間稼ぎはできたと思うのだが、厳しい制限を要することに変わりは無い。

このことから(高齢者へのワクチン接種を優先したことを含めて)ワクチンに失望した人は多いかも知れない。


でも、これはだいぶワクチンに助けられていると認識するべきだと思う。

インドネシアを見てもわかるが、対策を強化しても感染急拡大で大惨事ということも起きえたわけである。

この時点で50代まで行き渡ってればよかったけど、なかなかそれは難しい話である。

この先、できるだけ早く高年齢の人に行き渡るようにしていただきたいところである。

とはいえ、どれだけ接種しても時間稼ぎにしかならないような感じもする。


それにしてもインドネシアは大変だよなぁ。

以前も紹介したけど、インドネシアは大半がムスリムですから、亡くなれば土葬を行うことになる。

その土葬墓地が不足し、急拡大している状況だという。

ジャワ島は日本の本州をはるかに凌ぐ高い人口密度であり、住民の理解はあると思うが(なにしろムスリムばかりだから)、土地の確保は大変なんじゃないか。

土地の確保さえなんとかなれば掘るだけで済むというのは、もしかしたら火葬より有利なのかもしれないけど。

住民ではない接種対象者

調べごとに関連して東京都港区の新型コロナウイルスワクチン接種に関するページを見たら、不思議な記載が。

接種対象者

12歳から64歳までの区民

※このほか、区内約80か国の大使館関係者が接種対象となります。

(新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について(一般接種) (港区))

港区は多くの大使館があることで知られており、それを生かした国際交流も行われているとか。

そんな港区らしい話ではあるものの、そもそも住民であれば日本人・外国人は問わないはずなのに、。

なぜ大使館関係者だけ別書きされているのだろうか?


理由は外国公館の関係者は住民登録をしないからである。

現在、日本に中長期滞在する外国人は住民登録を行うわけだけど、この中長期在留者の定義は下記の通りだそう。

3か月を超える在留資格を有する方(短期滞在・外交・公用の在留資格を除く)

厳密に言うと特別永住者は中長期在留者ではないが、住民登録を行うことは同じなのであまり区別されていない。

短期滞在は例外的に3ヶ月超の在留資格が出ることがあるが、その場合も中長期在留者には該当しない。

(後で出てくるが、現在は各国入国制限のため、短期滞在の在留資格を延長して滞在している外国人が一定いる)

で、それと並んで外交・公用ということで、外国政府関係者も住民登録の対象外なんですね。

おそらくかつての外国人登録制度の趣旨にそぐわないということで対象外になってたのを引きずってるのだと思う。

住民登録できないということは、日本国内での居住を証明する手段がないということになりかねないのだが、

外務省に申し出ると「住居証明書」が発行されるようだ。(cf. 外交官等に対する住居証明書(外務省))


というわけで、外国公館の関係者は、実際に日本に住んでいるが、各市区町村は住民と認識できないのだが、

当然、外国公館の関係者がワクチンを接種できないということは好ましいことではないし、

住民登録がなくても実態として日本に住んでいるならば住民と同様に取り扱うべきであろうと。

そこで、外国公館の所在する市区町村が、外国公館からの申告に応じて関係者の接種券を発行する取り決めになったようで、

東京都港区は区内にいくつもある大使館関係者に接種券を発行する役目を担うこととなったわけである。

発行数としては全国でもダントツに多いんじゃないか。


新型コロナウイルスに限らないけど、予防接種は原則として住民登録をしている市町村で接種する。

しかし、実際には他の市町村での接種も可能である。

まず、医療機関での接種は隣接市町村などの医療機関とも取り決めをしていることが多い。

(接種できる医療機関のリストに平然と隣接市町村の医療機関が記載されていれば、それはそういうことである)

持病の関係で入院先・通院先での接種を希望する場合も、市町村によらず接種が可能である。

また、単身赴任などで家族と離れたところにいる場合は、居所市町村に「住所地外接種届」を提出すれば接種を受けられる。

(子供の予防接種だと、里帰り出産との関係で利用されることが多い制度らしい)

こと新型コロナウイルスのワクチンは広域接種・職域接種とそもそも接種者の住所地をほとんど問わない会場が多いのも実情だが、

住所地以外の市町村の集団接種会場での接種を希望する場合は、届出しないと認識できないので出してくれというのが多いようですね。


ただ、これは日本国内のいずれかの市町村に住民登録されているのが前提の話。

住所地の市町村から何らかの方法で接種券を受け取る必要がある。

単身赴任の場合は家族から転送してもらうのが1つの方法だし、

あるいは市町村に申し出れば、居所に送ってもらうこともできるらしい。

何らかの方法で接種券を受け取って、入院・通院先に提出したり、住所地外接種届をして集団接種会場に持参するなどするわけですね。


では、日本国内のいずれの市町村にも住民登録されていない人はどうするのかという話である。

一体どういうパターンがあるのかというと、こんなところらしい。

  1. 住民登録せず居住している外国人(=在留資格が短期滞在・外交・公用)
  2. 外国に転出した状態で一時帰国した日本人
  3. 日本に住んでいるが住民登録ができていない・抹消された人

1.の外国公館関係者は所在地の市区町村に申告して接種券の発行を受けるわけですね。

それが全てではないかと思ったかも知れないが、現在は帰国困難という理由で短期滞在の在留資格を延長して滞在している人もいる。

このような人も住民登録できないが日本国内に居住実態がある人とみなされる。


これらのケースはいずれも居所の市町村に接種券の発行を依頼することになる。

「接種券再発行申請書」のフォームを各市町村は用意している。

これは主に前住所地で2回のワクチン接種を完了していない転入者が利用するものなのだが、

ここに日本国内で住民登録がなくて接種券の発行を受けられないことを記載すれば、接種券が発行されるらしい。

ただし、そのためには居住実績を何らかの方法で確認しなければならない。

住宅の契約書や消印付きの郵便物などを証拠として提出することになるようだ。


ただ、難しいのがホームレスである。なにしろホームレスっていうからには家もポストもない。

これは支援団体の証言などを元に区域内に居住している実績を示すような形になるのだが、

もう1つの問題は、ワクチン接種にあたっての本人確認手段もない場合が多いこと。

これは接種券とともに接種用の証明書を発行するような形で対応することがあるようだ。

(実態としては本人確認をスキップして接種するということですね)

いずれにせよ、実態として日本国内に居住しているという事実が重要であるということだ。


先日届いた市の広報に書いてあったけど、市内医療機関でのワクチン接種の15%は市民以外にされているそうで。

他市区町村の医療機関で接種を受ける市民もいるわけだから、ある程度はお互い様ではあるんだよね。

ただ、市民以外への接種があまりに多くなると、これはワクチン配分上の不利益につながるのが課題である。

市内には大病院もあって、早期に接種を受けるべき人は住所地によらず打つべきと考えているというような言及はあった。

この市民以外というのは、ほとんどは日本国内の他市町村の住民ということだと思うけど、

細かい事を言えば、外国公館関係者・一時帰国者・ホームレスなんてのもあるわけですね。

あまり知られていないことだとは思いますが、そういうのもあるということです。

重点措置は不十分だが緊急事態宣言で十分か?

昨日、帰宅して休暇にもかかわらずリモートアクセスで会社にアクセスしたのは、

緊急事態宣言が出るということでなにかあるかということを確認するためだったが、

弁当販売が休みになることはわかったが、週明けの出勤予定のことには特に連絡がなく。

(もともと出勤者は絞るようにと言われていたのだから、変わらなくても不思議はないのだが)

とりあえず昼食は持って行かないといけないらしい。しゃあないなぁ。


そんなこんなで案の定、東京都では緊急事態宣言が出たのだった。

遅いぐらいだと思いましたがね。

この決断の背景には2つのことがあって、1つは東京都からの原則酒類提供停止の要請。

都、重点措置でも「酒提供の停止、原則化を」 国に要望 (朝日新聞デジタル)

都道府県はまん延防止等重点措置の場合、酒類の提供停止を要請することができる。

これは東京都の判断で可能であるものの、周辺地域と不整合があると「越境飲み」の問題が生じる。

実は南関東の4都県でも微妙にルールが違い、これが混乱を起こしているという背景もあったようだ。

これ自体は緊急事態宣言を提案したわけではないが、東京都で酒類提供停止を徹底するには緊急事態宣言が必要であろうと。

もう1つは専門家から緊急事態宣言の提案があったこと。

4度目の宣言、ためらった政府 専門家が突きつけたノー (朝日新聞デジタル)

実は5月に緊急事態宣言の対象区域に北海道・岡山県・広島県を加えたわけだが、

当初はまん延防止等重点措置で提案したら、分科会から拒否された結果、緊急事態宣言になったという話がある。

緊急事態宣言、追加へ 北海道・岡山・広島 分科会が当初案了承せず、政府一転 (朝日新聞デジタル)

東京都は明らかにステージ4に再到達していたわけだし、この状態で緊急事態宣言を出さないのは無理があると政府も認めたということである。

ワクチンで重症化が防げることに期待した人もいたらしいが、50代を中心に重症患者が増えている実情もある。


かくして、緊急事態宣言からまん延防止等重点措置への切り替え時に言っていたとおり、

東京都がステージ4の状態にあるということで、オリンピックは無観客での開催となることになった。

(南関東以外はその限りではないが、北海道・福島県は無観客化、茨城県は学校団体のみを提案して反映されている)

こういう口実を作るための緊急事態宣言解除だったのではないかと思っていたのだが、

無観客化に消極的な大臣が多かったらしいことが伝わっており、本当にステージ4を脱した状態を維持できると思っていたのだろうか?

本当に観客を入れるつもりなら、開幕まではステージ3以下という体裁をなんとしても作るべきだったわけで、

そのための手段を失わせる緊急事態宣言解除というのが信じられない判断だが。

同時進行的に多くの競技が行われ単一の会場の動員数は関係なく、全国広域から観客が集まることから無観客にしたという説明は、

専門家からの提言そのものであり、最初からこれを受け入れておけば、それですんなり収まったのにと思うよね。


ここまでは予定通りという感じもするが、問題は効果的な対策ができるかどうかである。

というのも、早々にステージ4に到達した要因はどう考えても「緊急事態宣言の」効果が不十分だったことによるからだ。

実は6月に入る頃から酒類提供停止の要請を公然と無視する店が増えていたという話があり、

確かにその概ね2週間後ぐらいから感染者数の報告が増加傾向に転じている。

そもそも緊急事態宣言が出た4月下旬時点では、イベントの無観客化・映画館や大型商業施設の休業要請も出ていたが、

連休明けには無観客化要請が外れ(制度的に十分な補償ができないという背景もあったらしい)、

映画館や商業施設の休業要請が外れて都心部の人出が増えても、感染者の減少傾向は続いた。

蔓延度を決めるのはほとんど酒であるということを証明してしまったわけである。


そうして思い出すのはまん延防止等重点措置下の浦安市にコンサートのために出かけた時のことである。

浦安の円形劇場で雑誌のイベント

このとき「飲食店などに寄らず直帰しましょう」という呼びかけがされていた。

これはいろいろなイベントで行われるようになった呼びかけだと言うが、

この業界にとってみれば、会場内の感染症対策とは無関係に人流を減らすという名目で一律無観客化の要請が出たわけで、

後に振り返ればそこまでやらなくてよかったよねとは思うものの、当時の大阪府の状況の悪さは知っての通りで、

大阪府はもちろん、その周辺や同様に悪化傾向にあった東京都も同じような懸念はあり、対策を出し惜しみできなかった事情もある。

ここから学んだのは、イベントが感染拡大に寄与するということに反論するには、

うちの客は酒盛りしないから感染拡大にはほぼ寄与しないとする必要があり、これはこのような呼びかけにつながったとみられる。

こんなところからもわかるが、飲食業はもはや守ってもらえない業種になってしまったのである。

もちろんこんなことは言いたくないだろうけど、自分たちの身を守るには仕方ないことである。


酒類提供停止というのがほぼ全てとなった緊急事態宣言だが、課題は実効性である。

緊急事態宣言が出ていれば休業命令に従わない店に過料を科すことができ、実際に過料決定も行われたようである。

しかし、過料覚悟で営業する店が一定あることも事実であり、ここの打開策が難しい。

実際のところ、要請に従っている店が大半だと思うが、要請に従わない店が客をかっさらっているのを見て不平を募らせるなど問題が多い。

本来は業界として連帯して対策に取り組んで欲しいところなのだが、実際のところ、そのような気概も乏しい。

「外食崩壊」の危機 酒提供で業界分断化も (日本食糧新聞)

18団体が連帯したところで網羅度はそんなに高いとは思えないが、言うのは規制緩和ばかりでは無理があるだろう。


「感染対策を徹底している店の認証制度による制限緩和」というのはもっともに見えるが、これも難しいと思う。

実はこれの先進事例があって、それが山梨県の「やまなしグリーンゾーン認証」である。

認証に当たっては行政の検査が必要で、逸脱があれば剥奪される。対策費用には県からの補助もあるんだとか。

実は今年3月頃まではかなりうまくいっていて、集団感染を起こすような事例はわずかだったらしい。

ところが今年3月以降はいくつかの集団感染が報告され、要件の見直しが行われたが、すぐには適合できず、

その間に山梨県内での感染状況が悪化するなど、一時期難しい状況になっていた。

より蔓延度が高く、客が酒盛りを求めがちな東京都では、困難なんじゃないか。


営業時間の短縮で収まらなくなった理由は昼飲みであり、まん延防止等重点措置の段階で酒類提供停止をする理由は越境飲みである。

これは飲食業がリスクを正しく認識できず、正しい対策ができなかった結果だろうと。

客の責任もあるが、客を正しく導くのも業界としての責務だろう。

イベントでの直行直帰の呼びかけもそうだし、振り返ればGoToトラベルのときに出た「新しい旅のエチケット」もそうですよね。

非常にリスクが高いにもかかわらず、ここが徹底できていないことは課題が大きい。

この結果、酒類提供停止という平易なルールに落ち着いたわけだが、これを公然と無視する店が多いのが問題である。

飲食業界に期待できないと、酒販業者に国税庁から要請を出したものの、酒の購入自体は迂回手段もある。

協力金が早期にわたるようにという話も、今公然と要請を無視する業者にとってどれぐらい効くか。


というわけで、非常に難しい状況に追い込まれてしまったなと思う。

ワクチンの効果に期待するにも、高齢者に次いで50代を最優先で接種しても3ヶ月ぐらいはかかるだろう。

さらなる変異株の脅威だって現実的な懸念である。

そんな中で酒盛りさえなんとかできれば、他の業種の影響はある程度抑えられる可能性が見えている。

なので、なんとしても酒類提供停止を徹底して欲しいのだが、この実効性が不十分だったので緊急事態宣言に至ったということである。


どうしたらいいんだろうなと思う。

あと、もう1つの課題が地域を越えた感染拡大の懸念がより高まっていることである。

ロック・イン・ジャパン・フェス開催断念 中止要請受け (朝日新聞デジタル)

茨城県ひたちなか市で予定されていた音楽フェスが、地元医師会から受け取った要請を受けて、中止を決断したという話である。

そもそもなんで医師会がこういうことを言ったのかという経緯をたどると、夏の屋外でのフェスということで、

熱中症での搬送も多く、一方で熱中症と新型コロナウイルスが症状が似ていて困るという話がもとよりあった。

こんなこともあって地元医師会に目を付けられてしまい、イベントが地域医療に与える影響を検討して要請を出したとみられる。

この要請は必ずしも中止を迫ったものではないが、主催者の検討の結果、中止に至ったようである。

主催者の説明も悪いのだが、今後も地域医療機関との協力体勢を維持するためには、これが最善という判断だったんじゃないだろうか。


この中で会場外でのリスクについて言及されていたが、酒類提供停止が長引いているだけに、現実的な懸念になってるのかなと思う。

東京から川崎に行った程度の越境で酒盛りは難しい。(もっとも神奈川県は原則提供停止に例外を設ける予定らしいが)

ところが茨城県まで行ってしまえば、それは現状の茨城県の蔓延状況などから飲食店の営業には制限がないはず。

ここで客や関係者が自らを律することができればよいのだが、そこまで行儀はよくないと思ったのだろう。

まぁ実際のところ、蔓延度の低い地域で油断していたら飛び火して集団感染なんていうのは今までなんども起きていて、

これまで類似するイベントで大丈夫だったとしても、変異株に酒類提供停止で対抗したという状況の変化は軽視できない。

このあたりはオリンピックで無観客化など要望した北海道・福島県・茨城県にも通ずるところはあると思う。


とりあえず、この先のオリンピック開幕合わせの4連休からお盆休みにかけて、

人々の警戒を促すという効果は期待してもいいんだと思う。

ただ、それだけで本当に効果があればこんなことにはなっていないわけだし……

緊急事態宣言の出口は見通せなくなったなと思う。今までも課題は多かったがなおさら厳しくなった。

ウイルスの変異の恐ろしさかなぁ。

モデルナ製ワクチンも足りないの?

先日、ファイザー製ワクチンの配分について、VRSへの登録状況を見て行うという話を書いた。

VRSへの登録が遅れると困る

現状、国レベルでワクチンの消化状況を知る方法がVRSしかないが、

各地の接種体制によりVRSへの登録が遅れているところがあり、

国から見れば各市町村に大量のワクチンが滞留しているように見えると。

全市町村からの要求数を合計すると供給可能数を超過するため、ワクチンの在庫があるように見えるところは供給量を減らすと。

これで必死こいてVRSへの入力が進んだが……まだ40日分の在庫が滞留しているように見えているらしい。


で、これはファイザー製ワクチンの話なので、モデルナ製ワクチンは別にある。

集団接種会場ではモデルナ製ワクチンの使用も可能ということだったから、

ファイザー製ワクチンの都道府県内での配分調整に加えて、モデルナ製ワクチンで不足分を補う考えが必要だと。

これはすでに国や都道府県などが設置している接種センターや、既設の市町村の接種会場の転換を含む。

医療機関での接種はファイザー製で貫くのは確定しているので、そこに影響がないように集団接種会場で調整すると。

そんなわけで準備を進めていた都道府県・市町村も多かったのだが……


なんとモデルナ製ワクチンの供給不足が明らかになったのである。

ワクチン職域接種、受付再開断念 供給量上回り対応困難 (朝日新聞デジタル)

原因は職域接種の申込みが相次いだことから。

モデルナ製ワクチンについて、当初は市町村の接種に影響しないようにと、

広域の接種センターでの利用を優先したが、それだけでは消化しきれないということや、

高齢者への接種完了の目処が見えてきたこともあって、それ以下の年代への接種を進めていく上でも、

職場で医師などのスタッフを確保してもらい、モデルナ製ワクチンを提供して接種してもらうという作戦に出たわけである。

それでいろいろな職場で体制を整えたわけだけど、提供可能数との調整をしていなかったので、

急遽申請は打ち切り、申請済みでも未確定分は精査が行われるという。


ワクチン足りず、配送は目詰まり?「五月雨式だから…」 (朝日新聞デジタル)

この絵に描いてあるんですが、モデルナ製ワクチンの行き先は「企業/大学」と「自治体/大規模接種」となっている。

で、後者については元々ファイザー製ワクチンも使ってたんだから、それも考えるという話だが、

一方で医療機関での接種分が確保できることが前提で、それが足りないからモデルナ製ワクチンを申請したところもある。

その点では解決になってるのかは微妙なところである。


実はこの点で不利を受けるんじゃないかと思っているのが東京都である。

そもそも、東京都は一般住民向けのモデルナ製ワクチンを使った接種センターは、

国が大手町に設置した接種センターが唯一だが、これは東京都の高齢者だけでは埋まりにくかった。

当初は世田谷区など高齢者接種完がやや遅れる見込みだった地域ではそこそこ利用されたが、

概して東京都は接種体制の立ち上がりが早く、高齢者がわざわざ遠出して接種に行く理由は乏しかった。


東京都は 築地市場跡地(まもなく代々木公園に移転予定)と都庁展望室に接種センターを作ったが、

前者は消防・警察職員、後者はオリンピック・パラリンピック関係者の接種を主としている。

また、医療従事者で未接種の人も対象としている。実はまだ回りきっていなかったのである。(システムの不具合も重なったらしい)

本来なら消防職員も含めて、最優先で接種が回っていてもよかったはずだが、回りきらなかったのを挽回してるんですね。

ところがこの接種センター、必ずしも東京都在住者だけが対象ではない。

警察職員にはオリンピックのために他府県から応援に来る警察官のうち、当地で優先接種が受けられない人も、

東京都で警察活動に従事する人には違いないからと、警視庁の警察官と同じく扱うことにしているそう。

また、オリンピック・パラリンピック関係者も他府県在住者を含む。

もちろん割合として多くは東京都民に回るとは思うが、住民の接種加速という点での寄与度はやや低い。


それは職域接種もそうで、東京都は大企業が多いので急速に立ち上がって、

おそらく配分数でみれば東京都は人口に比しても相当に多いんじゃないかと思うが、

ただ、それは東京都外からの通勤者や、あるいは隣接地域の事業所からの接種にも回されるとみられる。

例えば、日本郵政グループは多数の事業所(郵便局)があるのだが、本社(千代田区)と新宿郵便局の2箇所に関東圏の接種を集約している。

もちろんこういうことは認識しているはずだが、問題はそれが実際にどこの住民に接種されたか知るのは先になる。

なぜならばVRSへの登録には接種券が必要だが、職場での接種では接種券は後追いでの接種で問題ないからである。

ちなみに東京都では接種ペースが早い市町村が多く、すでに65歳以下で持病持ちの人の接種に移りつつあるところが多い。

6月下旬~7月上旬あたりで職域接種も考慮して対象全住民への接種券送付を行うところも多く、実は僕のところにもついさっき届いた。

なので、そこまで後追い登録にならない気もするけど、リアルタイムでの把握はできないことは前提にしないといけない。


僕が懸念しているのは、東京都では割と多くのモデルナ製ワクチンが供給されたが、

このペナルティとして市区町村や東京都に供給されるワクチンが減らされるんじゃないかということである。

他の地域の大規模接種センターは一般の高齢者、後にそれ以下の年齢の一般住民を対象としたものが多いが、

東京都の接種センターは本来最優先のはずの医療従事者、救急業務に関わりうる消防職員、オリンピックにも関連する警察職員や大会スタッフ、

といった高齢者ではないが、わりと明確な理由があって優先して接種を受ける人を対象としている。

実際の対象者はやや広すぎる感はあるが、名目は上の通りである。

その次には学校・保育園関係者の集団接種が予定されている。(府中市と立川市の病院で実施されるそうだ)

東京都 ワクチン大規模接種 新たに2か所設置へ 教職員など対象 (NHK)

これは夏休み期間に集中接種したいという事情もあったらしい。


ところが東京都が接種センターで必要なワクチンを国に要請してもなかなか確保されないということが報じられた。

【独自】官邸の“兵糧攻め”で小池都知事がダウン?東京都へのワクチン供給がストップし、大混乱  (AERA)

上のような事情により、東京都だけが不利な扱いを受けているとも言えないかもしれないが、

ただ、東京都は高齢者接種ではモデルナ製ワクチンをあまり使っていない。

このため、高齢者用と思って確保したワクチンを、接種会場が埋まらないからとそれ以下の年齢の住民に回すことはできない。

この点においては明らかに不利ではある。

かといって東京都内にモデルナ製ワクチンが来ていないわけではない。

大手町の接種センターは1回目接種があらかた完了し、逐次VRS登録しているので、接種者の在住地別の集計はできるが、

それ以外は東京都設置の会場、職域接種ともに他府県在住者にも接種するが、その実態はすぐにはわからない。

(さっきの学校・保育園関係者も、大半は都内在住者と思うが、都内在勤なら他県在住者も対象となっている)


一方で東京都在住者が明確に利益を受けたものとしては、大手町の接種センターの65歳未満への開放がある。

これは当時接種券を持っていた人が対象だったが、この時点で持っていた対象者というのは、

接種進度が早い一部の市区町村に限られ、東京都の一部に偏っていたとされている。

ここは明確にプラスに働いたものの、そもそも接種進度の早い地域の人がより早く接種を受けられるということがおかしく、

本来であれば接種進度を平準化する役割が期待されている広域接種センターの目的には反するところである。

ただ、当時は本当に急を要する状況で、1週間ぐらいは国の職員に打ったりして時間を稼いでたらしいが、

そのうちにはそれ以下の年齢に対象者を拡大しないと接種枠が無駄になるので、仕方なくというところはある。

市区町村も接種券送付の段取りがあるから、急に早めるのは難しいですしね。


なかなか先が見通しにくいところはあるものの、

このままいくと市町村の集団接種会場の開設日を減らしたり、場合によっては閉鎖ということにもなりかねない。

こうすると高齢者以外で直近で接種を受けられる人というのは、

  • 持病持ちの人 (医療機関での接種は普段から通院している人が優先だろう)
  • 勤務先で接種を受けられる人 (その職域接種の申請も早い者勝ち)
  • 大手町の接種センターの予約を早い者勝ちでつかんだ人

となり、持病持ちの人が優先されることは妥当だが、それ以外は相当な不公平があり、

本来ならば社会参加が活発で重症化リスクもそこそこ高い50代、それに準じて40代といったところに行き渡ることを優先したかったが、

どうもそれは怪しくなってきてしまったというのが今のところの感想である。


この点では市町村に接種を任せれば、それぞれの考えに多少の差はあれど、リスクの高い順に接種を回すことを考えただろう。

ただ、一方で職域接種に頼ったことにはそれなりの理由もある。

ワクチンがすでにあるのに、スタッフが確保できないなどという理由で接種は回らないのがもったいないが、

各社の産業医などに協力してスタッフ確保などの体制を整えることができればスムーズな接種ができると。

スタッフの確保は市町村の接種を邪魔しないようにという誓約事項もあった。


ここで、ワクチン管理上の都合もあって1接種会場1000人以上に接種することという制約が付いた。

これが職域接種の申請数を抑える歯止めになると思ったかも知れないが、実際はそうはならなかった。

1つは複数社が共同で接種する方法。工業団地などでは有効な方法だし、必ずしも悪い方法だとは思わないが。

ただ、こういう申請がはびこると地域の中小企業の従業者がドカッとまとまってやってくるので計算が狂う。

もう1つは家族も接種対象に含めて接種人数をかさ増しする方法である。

吉本興業の職域接種は、グループの従業員およびその家族、所属タレントとその家族を対象に実施。第1回では東京1500人、大阪1000人が接種予定。第2回は7月26日から30日に実施する。

(吉本興業、職域接種を開始 ペナルティ・ヒデら参加「お客様に安心・安全を」 (マイナビニュース))

同社の従業員と所属タレント(形式上、自営業者だが従業員と同一視してもよいだろう)はさておき、これだけだと人数は満たさないのだろう。

そこで、家族を加えて東京・大阪両拠点で1000人以上稼いだとみられる。

芸能業界ではガリバーの1つとして知られる吉本興業だが、それでさえ本来は論外なのだがやってしまったと。

それを先進事例であるかのように大臣が視察に行くのだから、これは市町村の怒りを買っても仕方ない。


職域接種は地域ごとの偏在がひどくなるだろうなとか、際限なく申請が来ては大変だろうなと思っていた。

接種人数1000人以上というのを1社でやることを考えれば大企業の多い地域に集中する。

なので共同での接種も地域によっては考えるべきだが、そのあたりの地域性は必ずしも考慮されてなかった。

地域ごとのターゲットというのを決めておくべきだったんじゃないかなとも思う。

これを後追いで調整しようとすると、東京都には多くのワクチンがあるとみなされて、市町村の集団接種会場は閉鎖に追い込まれるんじゃないか。

東京都も地域によるとは思うんですが、他の地域に比べると医療機関での接種の立ち上がりが早いような話を聞いている。

医療機関での接種にファイザー製ワクチンを回すのは最優先だし、そこを絞ってよいことはなにもない。

ところが医療機関での接種は多段階に移送されるだろうから、納入~接種で持つ在庫は集団接種より多めになりそうだし、

さらにVRSへの登録も遅れる傾向にあるから、システムでは過大な在庫があるとみなされてしまうのでは? と。

これによりファイザー製ワクチンの供給も削られれば、医療機関での接種まで影響を受けては大問題である。


全住民にワクチンを行き渡らせるという点では、今誰に打っても最終的には打つのだから変わらないと言えるが

早い者勝ちという面が強くなると、それが不平につながるというのは、今までの経緯を見てもわかる通りである。

あと、僕はあくまでもリスクが高いところを優先するべきだと思っていて、

その観点では50代以上は確実に先行できるようにするべきだったと思う。

逆に若い人は後回しの方がいいですよ。ただでさえ感染リスク軽減が不十分なのがワクチン接種でタガが外れかねないので。

半端にワクチン接種が進むほど怖い

職域接種で高年齢の人を優先してもらえば、結果としてこれは実現できるんじゃないかとか、

学校での集団感染を防ぐ観点では、学校関係者(場合によっては学生・生徒)を優先した方がいいんじゃないかというのはある

でも、基本は市町村での接種を持病・年齢に応じて進めることであって、それを補完するのが都道府県の接種だと思うんですよ。

その市町村・都道府県の接種を邪魔するようならそんなことはするなと怒られるのは当然のことだ。

大野知事 ワクチン配分で河野大臣に要望/埼玉県 (Yahoo!ニュース)


もちろんやむを得ない事情もあるし、何でもかんでも国の無策だというのはどうかと思う。

大手町の接種センターを接種進度の速い市区町村の住民が埋めてしまったことは明らかな失策だが、

一方で、当時それ以外の策は乏しかったということもまた理解しなければならない。

一貫して市町村とのコミュニケーションに問題があったことは、このセンターの最大の反省点である。

なにもかもダメだったわけじゃないし、その反省は予約開始はさておき早めに接種券を送るという形で反映された。

ただ、それでも大手町の接種センターの高齢者以外への開放には大概間に合わなかったですね。仕方ないね。

半端にワクチン接種が進むほど怖い

たびたび書いているけど、新型コロナウイルス対策で心配なのが、

ワクチン接種が進むことで感染者が増加することである。

なんで? って思う人もいるかもしれないが、おそらくこれは正しい懸念とみられる。

それだけ現状の対策がかなり厳しいことに対して、ワクチンの感染抑止効果は低いということである。


具体的にはイギリスがそうなんですよ。

英イングランド、ロックダウン緩和を4週間延期へ 感染拡大で (BBC NEWS)

イギリスと言えば新型コロナウイルスのワクチン接種の先進国の1つ、

2回接種完了が6割、1回接種にとどまる人を加えれば8割の成人がワクチンを打っているそうである。

一時期、1回以上接種を受けた人を増やすために、接種間隔を空けていた影響でギャップがあるのだが、

とはいえ、ここまで普及しているのは明らかにすごいことである。

ところがそれに伴ってロックダウンの緩和を進めると、感染者数が激増してしまったのである。


とはいえ、これはワクチンの効果がないという話ではなく、かなり効果は出ている。

というのも、入院者数や死者数は大きくは増えていないためである。

これはワクチンにより重症化を抑制できたためだと考えられている。

とはいえ、感染者数が増えたのに入院者数が増えないということはなく、

ワクチンの接種が進むことで得られる効果よりも、感染拡大の方が上回っているのは確からしい。

このことから制限緩和には慎重ということのようだ。


もっとも原因はワクチン接種で制限緩和を進めたことだけが理由でもなく、

ウイルスの変異が進む中で感染性が非常に高まっているということがあるらしい。

シドニーで1年ぶり都市封鎖 変異株「すれ違い感染」も (朝日新聞デジタル)

オーストラリアや台湾など「ゼロコロナ」を指向してきた地域で感染拡大が問題になっている。

こういう地域では追跡調査が可能なので、聞き取りやDNA解析などで経路を調査しているのだけど、

どうもすれ違い程度で感染したのでは? という疑惑がいくつかあるようだ。

ウイルスの変異が進む中で、拡散されるウイルス量が格段に増え、マスク着用・短時間でも感染するケースが出てきているのでは? と。

もちろんマスクをすることは大きな効果があるんですよ。でも、それだけでは太刀打ちできないらしいと。


一方でウイルスの変異がワクチンの効果に致命的な影響を及ぼすようなことは起きていない。

ただ、そもそものウイルスの量が増えては、ワクチンでついた免疫での対抗にも限度がある。

現在のイギリスで言われていることは、ワクチン接種は2回やらないと十分な効果が得られないということである。

イギリスでワクチン接種が始まった当初は1回接種でもそこそこ効果があると言っていたことに反するところで、

これはウイルスの感染性が高まったことにより、より強い抗体を付けないと重症化を防ぐことも難しいと。

2021年2月1日から6月14日の間にデルタ株に感染し、入院した806人の内訳は以下の通り。

  • 65%に当たる527人がワクチンを接種していなかった
  • 17%に当たる135人は、1回目のワクチンを打ってから21日以上経過していた
  • 10%に当たる84人は、2回目のワクチンを打ってから14日以上たっていた

また6月14日時点で、イングランドでデルタ株への感染が判明し28日以内に亡くなった73人の内訳は以下の通り。

  • 47%に当たる34人がワクチンを接種していなかった
  • 14%に当たる10人は、1回目のワクチンを打ってから21日以上経過していた
  • 36%に当たる26人は、2回目のワクチンを打ってから14日以上たっていた

(イギリスで感染なお拡大、デルタ株が猛威 ワクチンでリスク低減も (BBC NEWS))

母集団のワクチン未接種・1回接種・2回接種の割合がわからないから、この数字をどう読むかは難しいけど。


もちろん、ワクチン接種がされても従来の対策を維持すれば、それより悪くなるということはない。

ただ、問題は従来の対策を続けられるかどうかというところであり、どうもこれが心配なんですよね。

今日、朝のニュースでいかにして若い人(この場合は大学生)にワクチン接種を理解してもらうかという話で、

「若くても重症化するリスクはけっこうある」とかそれぐらいではどうも響かないので、

「ワクチンを打てば大切な人に会いに行けるかも知れない」とかそういうようなことも言っているとのことで、

これは全く間違いではないのだが、今すぐ無対策でよくなると考えると危ないわけである。


というのも、まずワクチン接種は未だ途上ということである。

打った本人が十分な免疫を得るには2回接種から1~2週間ぐらい経てばよいが、

社会全体でワクチンが普及するのはいつだと考えると、大臣は11月ぐらいとか言っていたけど、これはかなり楽観的な数字だと思っている。

確かにうまくいけば、この段階で集団接種は一段落しそうだが、この段階での普及率はどんなもんだろう?

今は予約が取れないとか、様子見だとかで消極的な人も、あらかた普及すると接種に動くことはありそうで、

このじわじわと伸びる期間は軽視できないんじゃないかと思う。

幸いにして、日本ではどうしてもワクチンを打ちたくないという人は1割強なのでそんなに多くないらしい。

ワクチン拒否は1割 全国ネット調査、若い女性目立つ (日本経済新聞)

なのである程度の期間をかけて普及するとは思うが、6割ぐらいまで普及したところから普及率が鈍るような展開は当然あるだろうと。


そこまでワクチン打った住民が素直に待ってくれればいいんですけどね……

“やがて40代や50代に広がるのでは…”感染再拡大へ懸念 東京 (NHK)

南関東以外では感染者数は順調に減っているらしいのだが、東京都を含む南関東では増加傾向。

特に東京都での増加傾向は明らかなものになっているが、これは緊急事態宣言解除がトリガじゃないと思うんだよね。

というのも6月に入った頃から酒類を提供する飲食店への休業要請に背く動きが出ているという話があって、

酒類の提供禁止で縛り付けようにも従わない以上は、制限付きで酒類の提供を許して秩序を取り戻すしかなかったというが、

これは飲食店に墓穴を掘らせただけで、まぁこれはやっぱりあかんかったねって休業要請を出すんでしょう。

国も解除前に再度の緊急事態宣言も辞さないと予告してたから、想定通りのシナリオなんでしょう。


飲食店での酒類提供禁止は明らかに効果のある対策だが、事業者・住民がその意義を理解できるかが課題である。

そもそも今は50代以下にはワクチンがほぼ普及していない状態だからこの程度で済んだかも知れんが、

俺もワクチン打った、俺もワクチン打ったで酒盛りしては、感染して、周りにまき散らして、

本人だってワクチンの効果が不十分で重症化する可能性はあるけど、周りの人がワクチン2回接種完了しているかというとそれは違うわけで、

そしたらワクチン打った人同士の酒盛りで、周りの人が重症化しては最悪死ぬではいかんわけである。

だからワクチン打って従来の暮らしを取り戻そうなんて宣伝してはいかんのですよ。

それが成り立たないという道理が理解できるような人は、緊急事態宣言下で酒盛りなんてしないだろうから。


かといって、ワクチンの効果を控えめに伝えてはワクチンの普及が進まないということになると思う。

ワクチンの普及度が高くなれば、同じ対策なら感染者数は減り、同じ感染者数なら重症患者・死者数は減るはずである。

基本的にワクチンの効果は本人に及ぶもので、周囲の人の感染リスクを減らすものではないと解するべきだと思う。

はしか のワクチンほどに感染自体を防ぐ効果はなく、インフルエンザより少しよい程度と考えるべきだろうから。

ただ、それが社会全体に普及することで医療機関の逼迫を防ぐことが出来る。

これは大きな意義なのでやはりワクチンは普及してこそ意味があるのである。

でも、その効果を最大限に得るためには、普及して重症者数を低く抑えられるまでは我慢が必要である。


一方でどこまで行ってもワクチンを接種しない人は一定いるはずで、体質などの事情もあろうと思う。

また、ワクチンを接種しても常に重症化を防げるわけではない。

ワクチン普及後にも残る重症化しうる患者をどうやって救えるかということも考えないといけない。

ワクチン接種が実質完成しても、こういう患者数が許容できなければ、特別な感染対策を一定維持しなければならないだろう。

これがどれぐらい問題になるのかはよくわからないんですよね。

感染後に効果的に重症化を防ぐ方法が明らかにならないと難しいかもしれないなと。


ワクチンの普及が進んでくると、ワクチンを接種せずに重症化した人がパッシングを受けるというのは、

これまでの流れからも容易に想像できるところで、これは大変なことだなと思う。

でも、少なくともこの夏はワクチン接種で何か変わることはないですよ。高齢で重症化する人は多少減るだろうが。

忘年会シーズンだって怪しいですよ。その時点でのワクチン普及率が8割とか行ってるとは思えないし、

それで重症患者数が爆発しないということを実証するにはある程度の期間をかけて様子見をしないといかんだろう。

しかし、このことが正しく伝わるかどうかは非常に課題であり、

ワクチン接種が急激に進むということは、ワクチンの効果の理解が不十分な人を増やすことと同義ではないだろうか。


というわけで懸念はしてるんですけど、一方でワクチン接種以外の策は難しい。

当初、1つの解と思われた「Withコロナ」は、ブラジルやインドなど変異株の蔓延で間違いと明らかになった。

ウイルスの変異にこれほど苦しめられるとは

集団免疫は得られないばかりか、人類は新たな脅威に晒されることになった。

オーストラリアのように「ゼロコロナ」で根絶を図る方法は、人道的な問題が大きいのも問題だったが、

きびしい制限にもかかわらず何らかの形ですり抜けると、急激な感染拡大にもなりかねないところである。

ワクチンは感染を防ぐ効果は不十分としても、重症化を防ぐ効果は高く評価できる。また変異にも一定程度の効果は期待できる。

このことからワクチン普及が進めば、ある程度の蔓延は許容できるということになろうと思う。

重症化を防ぐ治療の確立など、感染後の対策にも期待したいところだが、現時点ではその策には乏しい。

ゆえにワクチン接種は現在、確実に効果のある唯一の解なのでなんとしても普及させるべきとは導かれる。


ワクチン普及にせよ、厳しい感染対策にしても、住民の理解があってこそのことである。

過度な期待はさせてはいけないが、一方で長期的な作戦というのは正しく共有したいものである。

ただ、総理大臣は本当にこのことを理解してるのかな? とも思うわけである。

ワクチン接種を進めるべしという方向は正しいかも知れないが、それだけでは無理だと思うんですよね。

そういう現実を本当に直視しているのか。そのことは全く伝わってきませんから。多分わかってないと思うんですが。

新型コロナウイルスの検査方法いろいろ

最近、新型コロナウイルスの検査方法を調べることがあった。

このあたり、本来は医師の判断で、検査の要否、適切な検査方法が選択されるべきだが、

実際には医師があまり関与しない検査も行われている。

これはいろいろな事情があるのだが、おしなべて検査結果の正しい理解には課題があると言える。


健康保険の適用対象であるなど、公的機関が広く認める検査方式としては、

  • PCR検査(核酸検査) : 検体は 唾液・鼻咽頭ぬぐい液・鼻腔ぬぐい液
  • 抗原定量検査 : 検体は 唾液・鼻咽頭ぬぐい液・鼻腔ぬぐい液
  • 抗原定性検査: 検体は 鼻咽頭ぬぐい液・鼻腔ぬぐい液

PCR検査というのはよく聞きますけど、それが唯一の方法ではないし、いずれも確定診断に適用できる。

特に抗原定量検査は、PCR検査と似たような用途で使用でき、かつ検査に要する時間が短い。

この特徴から厚生労働省検疫所が日本に入国する人に広く検査するのに利用していることが知られている。

やっと入国できるようになる

この方式が導入される以前は、再入国許可を得ている外国人すら多くを上陸拒否にする異常状態だったが、

その後に段階的に外国人の入国対象が広げられ、また諸外国での感染拡大を受けて狭められたりはしたけど、

運用方法の工夫により、現在も水際対策の主要な手段として活用されているところである。


ところで新型コロナウイルスのインフルエンザなどと比較して厄介なところとして、

発症2日前から感染性のあるウイルスを排出することがある。潜伏期間もインフルエンザに比べるとやや長い。

無症状・ごく軽症のまま推移することも多く、かぜの症状がある人はむやみに外に出るなという対策では限度がある。

そこで症状の有無によらずマスクの着用が求められたりしているわけですね。

一方で、周囲にウイルスをまき散らす可能性のある人を除去するという点では非常に難しいわけですね。

そこで日本を含め、各国は入国者に出発前の検査を求めたり、入国前後の検査を行っているわけですが、

そもそも難しい要求なので、過信するとすり抜けが起きるわけですね。


一方で、インフルエンザの検査に比べて好都合なところもあって、それが検体として唾液が使える検査が多いことですね。

当初、鼻に長い綿棒を突っ込んで 鼻咽頭ぬぐい液 を採取していたが、くしゃみされたのを吸うと感染リスクがあるので、

むやみに検査をするのも危険ということで、これが大きな問題になってたわけですね。

ところが後にPCR検査と抗原定量検査では、唾液での検査も鼻咽頭ぬぐい液の検査もほぼ同等の結果ということが判明したと。

一見するとへんな感じがするのだが、口の細胞にも感染し、これが感染を広げる原因になっているという事情があるらしい。

口の細胞、コロナに直接感染 唾液から他人に広がる恐れ (朝日新聞デジタル)

というわけで、唾液の検査は、感染リスクが低く、本人が検体採取するのも容易ということで広く活用されている。


この3つの検査方式、どれがどういうときに適用できるのかということだが、ポイントは発症日である。

新型コロナウイルス感染症の検査を受けるタイミング (松前内科医院)

PCR検査で検査可能な期間は最長で発症2日前から発症後33日目ぐらいと非常に長い。

ただし、ウイルスの量が最も多くなる発症後2日目ぐらいでも、陽性になるのは7割ぐらいだという。

PCR検査は発症前から検出できる可能性があるため、無症状者への適用も可能とされている。

しかし、そこで課題なのが発症日が不明なことである。

実は発症後10日経過して、すでに症状が軽快していれば、PCR検査が陽性だったとしても、もはや感染性はないとされている。

(当初、PCR検査が陰性にならないため退院・転院できないことが問題となり、検査結果でなく発症日からの日数を重視することになった)

PCR検査は特定の遺伝子が存在することを確認する検査なので、感染性のないウイルスの残骸みたいなのも反応してしまうんですね。

無症状者に検査すると、知らないうちに治癒していたものも検出してしまうところに難しさがある。


抗原定量検査については、PCR検査と性質は似ており、発症前の診断も可能ではあるらしい。

ただ、さっき紹介したページでは発症日~発症後5日後ぐらいで書かれているのは、おそらくPCR検査より感度が劣ることを考えてのことだと思う。

無症状者を含め、発症後9日以内であれば、抗原定量検査とPCR検査の結果には高い相関があり、基本的に同様の目的で使用可能である。

(発症後10日経過するともはや感染性がないことを考えれば、後追いで検査する以外の用途ではPCR検査と同様に使えるという意味である)

検査時間が早くPCR検査に比べると検査装置が普及しているということで、

感度がやや劣るとしても、PCR検査だと検体の輸送や検査自体に時間がかかるより、利益があるという判断で利用されている。

(厚生労働省検疫所も早く大量に検査して、感染リスクのある入国者を早期に排除するために抗原定量検査を活用しているわけですね)

なお、抗原定量検査もPCR検査ほどではないがもはや感染性のないウイルスを検出することはあるらしい。


抗原定性検査は簡易検査キットなんて言われているけど、キット1つで検査が可能である。

どちらも「抗原」とあるように抗原定量検査と検出対象は同じだが、検出に必要なウイルス量はより多くなっている。

とはいえ、検査時間が短く、診療所での取扱にも便利ということで活用されており、

発症後2~9日目の検査においては、これを確定診断とすることができるということになっている。

しかし、無症状者の検査には適しないということもあり、他の2つの検査に比べると利用範囲は狭い。

インフルエンザの検査キットと同じですが発症直後の検査には適しないので、この点でも注意が必要である。


さて、無症状者が新型コロナウイルスの検査を受けることについて、必然性が高いのは海外渡航の目的である。

郵送での検査もそこをターゲットにしたものは多く、テレビ電話で医師の問診を受け、医師の指導のもと唾液を採取をして、

これを郵送して検査をして、診断書を作成するというようなことが行われているわけですね。

この目的で厚生労働省検疫所が認めている検査方式はPCR検査と抗原定量検査だが、

外国だとPCR検査が必須であることが多く、だいたいフォーマルな検査サービスはPCR検査なんじゃないか。

このような検査は無症状者であることが前提なんですよね。当たり前かも知れないが。


しかし、ここで課題は発症前のPCR検査は検出率が低いことである。

厚生労働省検疫所は入国者に出発前に取得した診断書を要求しているが、一方で入国前に抗原定量検査を実施している。

ここには2つの意図があるとみられ、1つは外国での検査の品質に疑問があること。

もう1つは出発前には検出できなかったが、そこから時間が経って、検出できるようになる場合があること。

抗原定量検査はPCR検査より感度がやや劣るとはいえ、それ以上に排出されるウイルス量が増えることの方が大きい場合があるわけですね。

これに加えて出発地によっては、3日とか検疫所の用意した宿泊施設(この滞在費は公費負担らしい)で停留した上で、

改めて検査を行った上で自宅や自己手配した宿泊施設などに移動するということを行っている。

このように期間を空けて改めて検査するのは、ウイルス量が増えるのを待ってるわけですね。

このことは検査方式以上に検査するタイミングが重要であることをよく表していると言えるんじゃないか。


というわけで無症状者への検査の適用は難しいと思いますね。

すり抜けもそうですが、もはや感染性がない人が延々と検査にかかり続けるのも問題である。

ただ、ここは海外渡航の目的では保守的に判断しているという考えはあると思う。

具体的に症状があれば、その症状や発症日との関係性などを考慮して判断することが出来る。

あえて発症直後に検査をしないということも選択肢になるわけですね。

インフルエンザのように早期に薬を飲むとよいとかそういうことはないわけですし、

陰性であっても、(新型コロナウイルスに限らず)感染を広げる可能性はあるわけですから。


抗原定性検査の適用にはさらに注意が必要である。

有症状である場合のみ適用でき、発症日から2~9日後でなければ診断できないからである。

医師がこの性質を理解して検査するなら問題ないのだが、必ずしもそういう用途だけで使われるわけではない。

というのも……

抗原検査キットを配布、厚労省 医療機関や高齢者施設に (日本経済新聞)

医療機関・高齢者施設・学校など、急激な感染拡大がしばしば問題になってきた施設に抗原検査キットを送っているらしい。

しかし、届いても使うのは難しい。

  • 無症状者には使えない診断方法なので、当然、何らかの症状がある人が対象
  • 検体が「咽頭鼻ぬぐい液」「鼻腔ぬぐい液」なので唾液に比べて採取の難易度が高い
    自己採取が可能ならよいが、他人がやる場合、原則は医師などが実施する必要があり、感染対策も必要(くしゃみは危険)
  • 特別な設備は不要だが、手順を誤ると容易に誤った結果が出る
  • この結果が陽性になったとしても、確定診断には医師の診察(場合によっては再検査)が必要である
  • この結果が陰性だったとしても、感染している可能性があるので自宅待機が必要

抗原定性検査は正しく使えば確定診断に使えるほどの方法である。しかし、なんとなく配布して正しく使うのは難しい。


おそらく、この検査はあまり特別ではない風邪の症状があったときの簡易な切り分けに使うものだろう。

発症後2日目とかに検査キットを使って陽性が出れば、まず本人を医師の診察につなげることができる。

このようにして施設内での蔓延状況を早期に知り、蔓延度が高まっていると判断すれば、対策を打つことが出来る。

ここで無症状者を含めて診断をするならば、それはPCR検査または抗原定量検査でなければならないので、検査キットは使えないわけだが。


検査の時期によって最適な検査方法や、それによって得られる意味は異なるということで、

その意味も考慮した上で本当に意味のある検査なのかということを考えなければならない。

無症状者向けの検査サービスや、市販の抗原検査キット(研究用という名目だが)なんてのもあるけど、

検査内容として妥当でも、その結果を正しく理解できるかというところはとても難しい。

実際、無症状者向けのPCR検査サービスで、企業・団体向けの検査結果と、個人向けの検査結果で陽性率がだいぶ違うという話がある。

これは無症状者が対象のはずのサービスを有症状者が受けているからではないかという話がある。

「安価な民間PCR検査」、「美容クリニック等のPCR検査」、「保険診療機関でのPCR検査」はいったい何が違うの? (CLINIC FOR)

ただ、こういう使い方をすると陽性になったとき不都合が多く、陰性になったことをもってリスクが低いと判断することも問題である。


結局のところは、手洗いなど基本的な感染症対策、マスク着用の励行、体調不良の早期把握というところに尽きるわけですね。

まぁ言うても海外渡航で出発前・入国前後での検査の要求はしばらく続きそうな感じはするけど。

今後、ワクチンの接種が進むと、重症化するリスクは減るが、その分、無症状・ごく軽症で推移する感染者も増えるとみられる。

感染を抑止する効果にも期待されるところだが、イギリスではワクチンの接種率が高いにもかかわらず感染者が急増している。

それでも死者数がそんなに増えていないのはワクチンの効果と考えてよいが、

油断すれば感染は容易に拡大し、それがワクチンの接種が適しない人、効果が不十分な人に及べばこれは危険ですから。

東京都にはドクターヘリはある? ない?

実は最近まで東京都にはドクターヘリはいなかったと言われると、

「えっ!?」と思われるかも知れないが、定義の問題である。

ドクターヘリを知るー拠点 (HEM-Net)

北海道に4機、静岡県など7県で2機、あと大半の府県で1機あるとなっている。

(ただし滋賀県・京都府は2府県で1機で、滋賀県拠点のヘリを共同利用している)

そして未導入となっているのが、香川県と東京都である。


香川県にしても東京都にしても離島を抱える中でドクターヘリがないというのは信じられないかも知れないが、

定義の問題ではあり、救急搬送にヘリコプターが使われることはある。

特に東京都は伊豆諸島・小笠原諸島は本土からの距離は相当にあり、空路での急患搬送は必須である。

小笠原諸島については遠すぎて固定翼機が必須のため、これは航空自衛隊に災害派遣要請を依頼しているのが実情だが、

伊豆諸島についてはヘリコプターでの輸送が効果的なので、東京消防庁はそのための体制を整えている。

これを「東京型ドクターヘリ」と呼んでいるそうである。やっぱりドクターヘリはあったのだ。

香川県も医師添乗のもとで消防のヘリコプターによる患者搬送は行われている。


一般的なドクターヘリは拠点病院にヘリコプターを常駐させ、これに乗り込んで現場へ急行する。

例えば、和歌山県、紀伊半島南部は全国有数の人口希薄地帯して知られ、道路状況も悪くドクターヘリの重要性は高いとみられるが、

和歌山大学病院(和歌山市)にヘリポートを設置して、ここにドクターヘリを常駐させている。

出動要請があれば、病院の医師・看護師などを乗せて現場に急行することになる。

このような形で拠点病院から飛んで拠点病院に搬送するというのが、一般的なドクターヘリである。


一方の東京都の「東京型ドクターヘリ」は、東京消防庁が 東京へリポート か 立川飛行場 に常駐させているヘリを使う。

出動要請が出れば、拠点病院の医師は拠点となるヘリポートに急行する、そしてそこから現場に急行、

その後、患者を乗せたヘリコプターは病院のヘリポートやその他のヘリポートに着陸、

病院のヘリポート以外に着陸した場合は救急車で病院へ搬送されることになる。

というわけでヘリコプターは病院にいないというところが一般的なドクターヘリと違うと。


なぜこんなことになっているのかというと、東京消防庁のヘリコプターは多目的に使用され、

場合によっては大勢の人を避難させる用途で使うこともあり、患者輸送の用途に限れば大きすぎるのである。

なお、離島からの患者輸送については、基本的には東京都立広尾病院への搬送になるようである。

同病院は離島の病院・診療所との連携体制があり、急患搬送の第一優先とされているようだ。

ただ、広尾病院のあるあたりは住宅地であり、ましてや東京消防庁のヘリコプターは大型な分だけ騒音も大きい。

そういう状況で非常に急を要する場合は昼間・夜間を問わず使ってかまわないことになったが、

むやみに直接の離発着をおこなうわけにもいかず、ましてやヘリコプターの拠点にもならないのだった。


これはヘリコプターによる急患輸送の先進的事例であるがゆえの悩みかも知れない。

とはいえ、やはり小回りが利かないことは課題であり、東京都も一般的なドクターヘリ導入に動き、

今年度より杏林大学病院(三鷹市)を拠点として、主に多摩地域で活動するそうである。

東京都がドクターヘリを導入 当院が基地病院を受託 (杏林大学医学部附属病院)

「小型の機体は、短時間での離陸など機動力が高く、比較的騒音が小さいなどのメリットがあります」というところがポイントなんですね。

東京都は本州の区域に限れば狭いけど、交通渋滞などで距離の割に搬送に時間がかかりすぎる可能性はある。

そんな中で機動性のあるドクターヘリができることは意義があるということなのだろう。

ヘリコプター自体は立川飛行場に常駐し、そこに医師・看護師も待機するようだ。

伊豆諸島からの搬送は距離も考慮して引き続き「東京型ドクターヘリ」を主に使う想定だそう。


ドクターヘリについて調べていたらこんな記事が見つかった。

「全県民を救命せよ」奈良県が自前でドクターヘリ導入、救命率アップへ  地域再生への足がかりになるか (産経新聞)

さっき和歌山県のドクターヘリの話を書きましたけど、紀伊半島南部といえば奈良県もありますよね。

奈良県は従来、和歌山県・大阪府・三重県と協定を結んで、これらの府県のドクターヘリの出動依頼をすることがあった。

ところが、これらの取り決めを使うのは重症例に限られるため、これらの府県に比べて出動数が少なかった。

さらにドクターヘリは基本的には拠点病院への搬送となるため、遠隔地の病院に入院となれば家族への負担が重い。

奈良県南部の道路状況の悪さを考えれば、ヘリコプターの搬送時間短縮効果が高いのは間違いないが、それだけを理由にしては使いにくかったと。

そこで2017年に奈良県はドクターヘリを導入する決断をしたという。

奈良県立医科大学病院(橿原市)の医師・看護師が、ヘリコプターの常駐する南奈良総合医療センター(大淀町)に待機、

ここから現場に急行し、搬送元や症状により県立医大病院や南奈良総合医療センターなどへ搬送することになる。


あと、空路での急患搬送という点では固定翼機というのもあるんですよね。

小笠原村は本土からの距離があまりに遠すぎて固定翼機しか使えない。

さらに小笠原村で一般の住民が住む父島・母島には空港がないので、飛行艇を使うか、

あるいは飛行場のある硫黄島(ここも小笠原村ではある)でヘリコプターと固定翼機を乗り換えるか。

これはわりと知られているが、実は北海道でも固定翼機を使った患者搬送が行われている。

北海道患者搬送固定翼機(メディカルウイング)運航事業について (北海道)

救急隊員から引き取るというよりは、病院間の搬送に使われているみたいですね。

空港自体がそこそこ限られますからね。札幌への搬送だと普段は丘珠空港経由だけど、冬期は新千歳空港経由みたいですね。

あと場合によっては道外への搬送もあって、石狩管内から大阪府吹田市(丘珠空港~伊丹空港で航空機利用)というのも。

道内で対応しきれず、定期航空便が適しないほど急を要するか患者の管理が難しい案件だったんでしょうね。


とはいえ、こういうのも運用するにはお金がかかりますよね。

東京都にとってみれば、どうせ東京消防庁は救助などのためにヘリコプターが必要なんだし、

それで本当に急を要する搬送には大抵対応できるでしょという判断があったんだと思う。

それはそれでお金を掛けてるのは間違えないんですよ。日本最大の消防本部として他地域の応援に出ることもあるし。

(厳密に言えば伊豆諸島は東京消防庁の管轄外ですが……東京都の組織なのでその点ではおかしくない)

でも、それじゃあ一刻を争うようなケースに対応しきれませんよ。他府県ではこういう成果を挙げていますよ。

というのを見て、じゃあ患者搬送専用のドクターヘリを用意する決断をしたんでしょう。

奈良県も似たような話だよね。隣接府県に助けてもらってドクターヘリの有用性を知っていたからこその決断でしょう。

アメリカ軍は地名の拾い方がおかしい

NHKの番組で、東京都にあるアメリカ軍基地として赤坂プレスセンターのことが紹介されていた。

名前からするとちょっとわかりにくいのだが、ヘリコプターの離発着場という意味合いが強いらしい。

プレスセンターというのは星条旗新聞(Stars and Stripes)の日本支部があるからだとみられる。

本来であれば航空法では人口密集地ではビルの高さ+300m以上の高度で飛行するルールなのだが、

アメリカ軍はこのルールに従う義務がなく、実際に従っていないらしい。

このため周辺地域では騒音被害に苦しめられているという。


このニュースでこの施設の所在地が港区六本木だと聞いて、おかしくない? と思った。

というのも、港区は大きく芝・赤坂・麻布の3地区に分けられ、

六本木には麻布警察署があるように麻布地区にあたるわけで、赤坂だと隣の地区じゃないかと。

確かに近くには青山霊園(青山は赤坂地区にあたる)があるなど、境界に近い地域ではあるのだが……

そこで気になって調べたら、この施設のルーツはかつての 陸軍歩兵第3連隊 の施設だったようである。

通称「麻布三連隊」とのことだから、その当時の認識ではここは麻布だったんですね。

にも関わらず、太平洋戦争後にアメリカ軍が占用して付けた名前は「赤坂プレスセンター」だという。


変な話だが、似たような事例は同じく東京都多摩地域にもある。

それが横田基地である。アメリカ空軍と航空自衛隊の共用施設ですね。

複数の市町にまたがっているが、主たる部分は福生市であり、所在地も福生市になっている。

面積としては北東側にある瑞穂町にあたる部分も多いが、滑走路の部分が多くなっている。

ここで気になるのが「横田」とはどこの地名を拾ったのかということである。

実は現在の武蔵村山市のルーツになった村の1つに横田村というのがあって、そこに由来するらしい。

現在は横田という町名は存在しない。そもそも1908年に消滅した村の名前であり、町名変更などの結果、もはや存在しないのである。

また、武蔵村山市は西側に横田基地の一部がかかるものの、横田村があったのは武蔵村山市の東側で、直接関係ない。


なぜこんなことになったかというと、地図を見て横田という地名が近くに見えたからということらしい。

そもそもここは陸軍多摩飛行場だったものを太平洋戦争後にアメリカ軍が占有したものなのだが、

陸軍の飛行場だった時代は福生飛行場と通称されていたそうである。

そう、もともとこの飛行場は福生だと認識されてたんですね。

にも関わらず、太平洋戦争後に占用したアメリカは、このことを忘れて、適当に地図から地名を拾って、

なんだかよくわからない横田基地(Yokota Air Base)と名付けてしまったんですね。


それに比べれば赤坂プレスセンターなんて正しいぐらいだろうと思うけど、歴史的経緯を踏まえた命名でないということは確かな話である。

なお、かつての陸軍歩兵第3連隊の敷地は、東京大学生産技術研究所として使われた時期を経て、現在は国立新美術館として使われている部分もある。

こんなところに常設のヘリポート置く? って感じはあるが。

市街地に常設のヘリポートが置かれること自体はあるが、たいていは屋上への設置である。(障害物が問題になりにくいから)

ただ、赤坂プレスセンターは地上設置なんですよね。青山霊園が隣接しているので、そこを進入経路にしてるのかなぁ。


このヘリポートの主たる目的は要人輸送のためとされている。

ただ、訓練目的か、市街地での低空飛行を繰り返しており、環境への影響もさることながら、住民の不安にもつながっているようである。

東京都も港区も赤坂プレスセンターの返還を要請しているという。

一方で返還のあてがたたない現実もあり、島しょ部からの救急搬送などのために同ヘリポートを利用できる協定を結んでいるよう。

災害時等のための米軍との協定 (東京都)

基本は東京ヘリポート(江東区新木場)で救急車に乗り換えだと思うけど。

しかし、赤坂プレスセンターで乗換ができると、その近くには赤十字医療センターをはじめとする大病院がありますから、

使用した場合は搬送時間が15分程度短縮されているとのことで、直接的に住民の役に立っている一面もある。

ただ、それ以上に周辺環境への影響がひどく、この協定を結んで利用している東京都さえも継続的に返還要求をしているのが実情である。


直接的にアメリカ軍に日本の法規制が及ばないこと自体が問題だが、

それでもすでに存在するルールに準じて動くことは自分たちを守ることにもつながるはずである。