先日、スルガ銀行のWebサイトを見ていたらこんな話が。
当社初!沼津駅支店が「キャッシュレス店舗」へ移行します (スルガ銀行)
スルガ銀行の1店舗で窓口での現金扱いをやめるという話。
店舗併設のATMでの現金扱いはありますが。
かなり実験的な試みなんだろうと思う。
というのもこの沼津駅支店のわずか650m南に本店営業部の窓口があるから。
もし窓口での現金扱いを必要とする人がいてもそちらに回ればよい。
おそらくは現金扱いをやめた銀行窓口がどれぐらい使われるか調べたいのだと思う。
現金扱いをやめた窓口ではどのような手続きができるのか。
銀行窓口に行く用事として比較的多いのが振込・公金納付だが、口座振替での取扱ならば可能である。
これはやっぱり現金で払う人も多いのかなぁ。
その銀行で取引がある人なら口座残高で払ってもいいんですよね。
口座と紐付くことで取引目的確認が省略されるメリットもある。
口座開設・解約も可能だが、現金扱いはできない点に注意が必要で、
残高0円での開設はともかく、解約時には振込で残高0円にするしかない。
「口座開設についてはスマ口座をおすすめします」とWebから Dバンク支店 での口座開設を推奨するような掲示もあるみたいだけど。
あと、入出金も現金扱いがなければ可能とある。
現金扱いのない入出金って? と思うけど、小切手・手形の入出金ですね。
あと、これはキャッシュレス店舗と関係があるのかわからないけど、
投資信託、外貨預金、公共債、保険の取扱もないと書いてある。
このあたりは現金扱いとはあまり関係のない業務だと思うし、
店舗詳細では投資信託・外貨預金は○が付いているんですよね。
資産運用の相談業務をやっている店舗なので何らかの形で対応できると思うが。
窓口での現金扱いに一石を投じたのが2022年のゆうちょ銀行の手数料改定だった。
従来設定していなかった硬貨の取扱に手数料を設定したことが多く取り上げられた。
特にATMについては硬貨が絡む取引に110円以上の手数料がかかるようになったことは大きい。
(一方で窓口では50枚までの手数料は無料なので、ATMの故障が相次いだことを踏まえての対応という面も大きい)
ただ、制度的に大きな話は窓口・ATMとも現金扱いでの振替手数料に110円加算するようになったことである。
料金受取人払の払込票(赤いやつ)でも現金での払込は払込人が110円払わないといけない。
ゆうちょ銀行の口座残高から払い込みを行えば回避できると。
手数料を取られるというとネガティブな話だが、裏返せば手数料を払えばやってくれるということである。
公金の納付、義援金などの無料送金についてはこれらの手数料も免除になる。
社会的意義の大きな業務については従来と変わらないのである。
ゆうちょ銀行は代理店の郵便局を含めると圧倒的なネットワークを持ち、
特に送金・貯蓄という分野では大きな役割を担っている。
窓口での現金扱いを閉ざしてはこの役目を十分果たせなくなってしまう。
そこは残していきたいというのが現時点での考え方ではないかと思う。
窓口での現金扱いをやめた銀行といえば新生銀行ですね。
今はSBI傘下に入りSBI新生銀行ですか。
一応、全廃というわけではなく、ATMの限度額を超えるなど、特別な事情があれば店舗を限って窓口での現金扱いはあるようだが。
それでATM手数料が全て有料だった時期もあった。(cf. 自社ATMをやめる)
SBI傘下に入ってからは全ての利用者にATM手数料の無料回数が設定されるようになったが。
スルガ銀行は静岡県東部・神奈川県西部の地域金融機関として役目を持っており、
なかなか窓口での現金扱いをやめるというのは難しいところだと思う。
ただ、もしも現金扱いをやめた店舗でもそこそこ役目を果たせるなら、
店舗網は維持しつつ、現金扱いをする店舗を集約する選択肢もあるかもしれない。
なかなかそうはならないような気もしますけどね。
インターネットバンキングやATMへの移行が進み、窓口の役目が激減したとなりそうな気もする。
銀行の店舗網に何を見いだすかというのは大きな問題なのだと思う。
多くの銀行は付加価値の高いコンサルタント業務とかに力を入れたいのだと思うが。
そうすると窓口での現金扱いは重要じゃないねという話はある。
このような取り組みが店舗網の維持につながればよいが、
実際には店舗網の整理を進めていくきっかけにもなりかねない話。
そうなってくると ゆうちょ銀行 が送金・貯蓄といった古典的なサービスで、
これを圧倒的な店舗網で扱うことの価値は大きくなってくるのかなと思う。
そこで適正な手数料を得ることができればよいわけである。
しかし、現金利用がしぼんだり、インターネットバンキングへの移行が進むと、
ゆうちょ銀行の店舗網の価値は結局減ってしまうのかもしれない。
このあたり、結局どうなるんでしょうね?
スルガ銀行のキャッシュレス店舗にしてもATMの存在を前提としているところだが、
ATMの整理というのも進んでいて、ATMもだんだんと減ってきている。
今後、新紙幣対応のATM更新というのもあるので、さらに整理が進むかも。
コンビニATMの活用という手はあるが、銀行にとって手数料が重い話はあり、
なかなか従来と同じ手数料と利便性を維持するのは難しくなってきている。
あるいは存続する場合も通帳・硬貨の機能を省いたものへの置き換えも考えられる。
(硬貨対応のATMの設置場所はもともと限られているが)
それで済むならまだよいかもしれないが。