こんなニュースを見た。
首都圏初、英名門私立校の日本校が開校へ 英議会模した討論場も (朝日新聞デジタル)
イギリスの中高一貫校、Rugby Schoolが柏市に日本校を開校するという話。
ちょうど200年前、同校の生徒が校庭でフットボールを手に抱えて走ったことがスポーツのラグビーの由来になっている。
といういわれのある学校である。
中高一貫校ということは、中等教育学校なの?
と気になって調べてみると、日本の法制度による学校ではないらしい。
外国人学校とかと同じような扱いだね。
このため、日本国籍の生徒の受け入れは下記のようになるよう。
日本国籍の子どもが就学しても義務教育を履行したことにはならない。そのため、日本人の生徒は義務教育を終えた高校以上の学年で主に受け入れる方針だ。
なるほどね。
小中学校については、保護者には子供に教育を受けさせる義務を負い、
一方で子供には無償で教育を受ける権利が与えられている。
この範囲は同じではないんですよね。
教育を受けさせる義務を負うのは、子供と保護者がともに日本在住・日本国籍の場合に限られる。
これに該当しないケースとしては下記が考えられる。
- 日本国籍の子供が外国在住
- 日本在住・日本国籍の子供だが保護者は外国在住
- 日本在住・日本国籍の子供だが保護者が全員外国人
- 日本在住・外国籍の子供 (保護者の住所・国籍によらず)
ただ、2~4のケースであっても、日本在住ならば義務教育を無償で受けることができる。
それとは逆にあえて授業料を払って私立学校に通わせても、
それが小学校・中学校であれば教育を受けさせる義務を履行したことになる。
中学校は中等教育学校でもよい。
ただ、制度外の学校に通わせては教育を受けさせる義務の履行にはならない。
冒頭で紹介したRugby School Japanは主なターゲットは外国人の子供である。
上記の4.に該当し、義務教育を無償で受ける権利はあるが、
自費であえて制度外の学校で通うことは自由ということになっている。
外国人学校に通うというのはそういうことですからね。それと同じだと。
一方、義務教育さえ終えてしまえば、日本の制度外の学校に入学することの不都合はだいぶ減る。
日本の大学入学資格は外国で12年の課程を終えた人にも認めている。
「外国の高等学校相当として指定した外国人学校」の修了者にも認めている。
Rugby School Japanはイギリスの学校制度で言う7~13年目の教育を担う。
おそらく高校相当であるという認定は受けることになるだろう。
このため、卒業後は高校卒業相当として扱われる可能性が高い。
進学先はイギリスを含む外国の大学という想定もあろうし、
イギリスまたは日本の制度で大学入学資格があれば問題ないだろう。
どうしてRugby School Japanは日本の学校制度によらないのかというと、
日本の法制度による学校の場合、小学校・中学校・高校では教科用図書を使うなど、
いろいろな制約があり、外国人の教育ニーズに合わないからではないか。
結果として、学校全体としては高校卒業相当で大学入学資格を認めるのに、
子供を通わせても教育を受けさせる義務を履行したことにならないという、
奇妙な気もするけど、義務教育の内容はそれだけ重いということだろう。
ただ、将来にわたって日本で暮らしていくつもりの外国人が、
日本の制度による小中学校に通う必要が無いのは本当にそれでいいの? という疑問はある。
実際には日本の小中学校に通っている外国人の子供が多いとは思うが。
日本国憲法の規定は日本国籍の人にしか適用されないという事情はあるが、
必要ならば外国人に同様の義務を課すことも可能ではある。
そのためには外国人学校も義務教育の担い手として定義することが求められるかも。
ただ、そうすると多少なりとも教育内容に制約が生じることになるだろう。
現状の日本の法制度は外国人学校の内容には立ち入らない仕組みである。
ということでそんな学校もあるんだ、という話だった。
中学卒業後からの入学でも進路によっては十分魅力的な学校かも知れませんね。
日本の学校とのギャップを埋めるための工夫は必要だろうが。