ダイエーを移管するのも大変だった

イオンのスーパーマーケット事業は地場スーパーの集合体だという話をしばしば書いている。

このため親会社のイオンとは別に上場を維持している会社も多いが、

それがゆえの難しい話があったという話を知った。


それが九州エリアのダイエーである。

ダイエーは経営再建の一環で2015年にイオンの完全子会社となった。

この段階ではダイエーは近畿・関東の食品スーパーに注力する方針だった。

(ダイエーという屋号もなくなりイオンフードスタイルになると言われていたが、これは撤回された)

このためこれと異なる店舗はイオングループ各社に継承されていった。

九州についてはイオン九州への継承を考えたのだが、そう単純にはいかなかった。

なぜならばイオン九州は上場企業で、九州エリアのダイエーは事業規模が大きかったためである。


この問題を打開するために設立された会社が イオンストア九州 である。

イオンストア九州は100%子会社、ダイエーとは兄弟会社にあたる。

いずれもイオンの完全子会社同士なので移管は容易である。

ここに九州エリアのダイエー店舗を移管したわけである。

その後、イオンストア九州は店舗運営をイオン九州に委託することにした。

イオン九州の店舗網と統合され、屋号も順次「イオン」に改められた。

対外的にはイオン九州の店舗と差はなかったが、あくまでもイオンストア九州の店舗なので、

レシートなど「イオンストア九州」と印字されていたそうである。


イオンストア九州への分社化後、改装される店舗もある一方、老朽化により閉店する店舗も多くあった。

全体として経営再建も進んだようである。

イオングループのスーパー事業再編の流れで、2020年にイオン九州・マックスバリュ九州・イオンストア九州は合併、

イオン九州は上場を維持、マックスバリュ九州(上場会社)とイオンストア九州の株主にはイオン九州株が付与された。

これにより九州エリアのダイエーは名実共にイオン九州に移管され、

イオンはイオンストア九州に相当するイオン九州株を得たことになる。


ところでダイエーは本州のGMSタイプの店舗をイオンリテールに移管しているが、

これもイオンリテールストアという会社を介して移管したそう。

すなわちダイエーからイオンリテールストアに分割した後、

店舗運営をイオンリテールに委託するという方法をとったと。

このため近年まで旧ダイエーのイオンではレシートなどでこの社名が見えることがあったよう。

近年までというのは今年3月にイオンリテールに合併するまでである。

イオン100%子会社同士なのにこのような方法をとっていた理由はよくわからないが、何らか事情があったのだろう。


ダイエーについては、2018年に近畿圏のスーパー統括会社になることが表明されている。

もっとも近畿圏といっても前身となった各社の事情により、

兵庫県播磨・但馬・淡路はマックスバリュ西日本→フジの管轄、

滋賀県は大津市内の1店舗を除いてマックスバリュ東海の管轄なんですが。

実態としては京阪神エリアってことですかね。

とはいえ、ダイエーには近畿圏とともに関東圏の店舗も残存していた。

この問題についてはこの時点では棚上げされていたのである。


どうしてなのか? それは当時はまだ不採算店舗も多かったためではないか。

イオングループでは関東圏のスーパー統括会社はUSMH(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)とされている。

この会社は上場会社で、かつて上場会社だったマルエツ、カスミ、いなげや の株主がいる。

ただ、この問題にも打開の目処がついたようである。

ダイエーの関東圏店舗とイオンマーケット(ピーコックストア)を来年3月にマックスバリュ関東に移管するそうである。

イオンはこれに相当するUSMH株を得ることになるのだろうが、どういう手法をとるのかはよくわからない。


ところでマックスバリュ関東という会社の事業規模はそう大きなものではない。

先期のUSMH各社の売上はマルエツが4013億円、カスミが2750億円、いなげや が2110億円に対して、

マックスバリュ関東は448億円である。1桁少ないという。

関東圏のダイエーが具体的にどれぐらいの事業規模かわかる資料はないが、

マックスバリュ関東の倍以上の規模があるのは間違いない。

すなわち新生マックスバリュ関東ってもはやダイエーじゃないのって?

ダイエーの現在の本社が東京(東陽町)にあることを考えると、

それがそのままマックスバリュ関東の新本社になるんじゃないのって。

関東圏の店舗を失ったダイエーの本社はダイエー茨木プロセスセンターに移転するんかね。


一見するとよくわからない話だが、ダイエーはそもそも大阪・千林が創業の地で、

現在も登記上の本店は神戸・ポートアイランドに置いている。

ダイエー神戸三宮店(三宮オーパ2内)が事実上の戦艦店なのだろう。

三宮オーパ2は元々ダイエーの食品フロア以外に移管されたものである。

このような歴史的経緯も踏まえてダイエーという屋号は近畿圏に残したということだろう。

関東圏のダイエー・グルメシティの屋号がどうなるのかはわからない。

他地域のようにマックスバリュになるのかなぁ。

ただ、マックスバリュというブランドも浸透していない地域なので、そこにこだわる理由もないとは思うが。


ともあれ、これにより長きにわたり続いてきたイオンの食品スーパー再編が完了することとなる。

その昔は愛知県内でマックスバリュの運営会社がバラバラなど、

屋号だけ統一して中身はバラバラというとんでもない時代もあった。

近年は屋号はあまり手を入れず、運営会社を地域別にまとめていく方向である。


統括会社として残った会社の歴史をたどってみると面白くて、

北海道の イオン北海道はかつてポスフール、さらに昔はニチイ北海道という社名だった。

元はニチイ→マイカルの関連会社だったが、マイカル経営破綻後に離脱、

独自のブランド、ポスフールに改め、北海道を代表するスーパーとして君臨していた時代があった。

結果としてはマイカル同様、イオン傘下に入り、ポスフールもイオンへの屋号統一が行われたのだが。

神奈川県から滋賀県にわたる東海エリアはマックスバリュ東海に統合されたが、

この会社の前身はヤオハンジャパン、一時は世界的小売業となったヤオハンにルーツを持つ。

1997年に経営破綻した後、イオン傘下で再建が進められていった。

この中でブランドもヤオハンからマックスバリュに改められている。


そして近畿圏の統括会社となるダイエーについては、かつての日本最大の小売業である。

その姿は大きく変わったしまったが、屋号は今後も残ると思われる。

イオン社内にはかつてのダイエーに由来する会社も存在する。

存続会社という観点ではビック・エー と オレンジフードコート(ディッパーダン) ぐらいだと思うが、

イオンモールの事業部門のうち都市型店舗はかつてのオーパに由来する部分が多い。

(ビブレ(旧マイカル)、フォーラス(旧ジャスコ)に由来する店舗もあるが)

使えるものはうまく使っているのである。