新川崎駅とは

ガールズバンドクライで主人公らのバンドに「トゲナシトゲアリ」の名前が付く前、

「新川崎(仮)」というよくわからない名前を付けていたわけだが、

これは横須賀線の電車が停車する新川崎駅に由来するものに違いない。


しかし新川崎駅というのも変な駅名だなと思う。

この駅が開業したのは1980年のことである。

従来は東海道線と横須賀線の列車は東京~大船で同じ線路を走って、東京発着で走っていた。

ところがこれでは持たないということで増線を行うことを決定。

鶴見~大船はもともと並行して貨物線があったのでこれを転用。

代替となる貨物線を作り、ここに新しい貨物駅、横浜羽沢駅を作った。

後にこの横浜羽沢駅に隣接して相鉄との接続点となる羽沢横浜国大駅を作り、JR~相鉄の直通運転に使われることになる。

代替の貨物線は鶴見で南武支線に入り浜川崎駅へ、そこから東京貨物ターミナルや汐留駅に向かうルートを新設した。

もっとも東京貨物ターミナルから先はかなり短命に終っている。

そんなところに貨物線あったの?

ただ、この線路は羽田空港アクセス線に転用されることが決まっている。


というわけで鶴見~品川も貨物線の線路が利用できるわけだが、

鶴見~品川については貨物線と東海道線のルートが大きく異なった。

この貨物線の上は東海道新幹線を作るときに線路を通す空間として使われている。

で、元々貨物線なので途中駅は事実上なかったわけですよ。

一応、新鶴見操車場という貨物の振り分けを行う施設はあったが、一般的な駅ではない。

品川~東京~錦糸町は新設の地下線を経て総武快速線につなげられている。

この総武快速線と一体化するという方策は、秋葉原駅の混雑対策という側面もあって、

総武快速線ができる前は総武線の東京側の乗換が秋葉原に極度に集中していた。

これを東京駅・品川駅に分散するのと、横須賀線を東京駅まで引っ張ってくるのを合わせたと。

ここは国鉄初めての地下鉄区間である。


横浜~品川では東海道線の快速は川崎駅のみ停車するが、

同区間にも1駅ぐらい停車駅があってもよいじゃないかという話があったとみられる。

それで請願駅としてできたのが新川崎駅、開業当初は同区間唯一の中間駅である。

命名自体は東海道線の川崎駅の代替で新川崎駅というものだが、

そんなに近いわけでもなく、幸区の中央付近にある駅である。


ただ、かつてはこの駅は川崎区方面へのアクセスに使われることもあった。

なぜならば南武線の鹿島田駅が近いからである。

このため鹿島田駅と乗り換えて利用する人がいたという。

特に東海道線が運休になり迂回運転のときはその重要性が増す。

この特徴から、新鹿島田駅という仮称だった時期もあるらしい。

ただ、乗換駅としては仕立てられなかったんですよね。


その後、品川~鶴見には1986年に西大井駅が開業、地域対策らしい。

そして2001年、湘南新宿ラインの運行が開始された。

この湘南新宿ラインは山手貨物線を利用して、宇都宮線・高崎線と東海道線・横須賀線を新宿経由で直通運転するものである。

山手貨物線は東京都心を貫通して貨物列車を走らせるルートとして活用されてきた。

今は東京都心と考えられている、池袋・新宿・渋谷もかつては田舎だった。

しかし武蔵野線の開業により貨物列車のルートとしての意義が薄れていった。

それと入れ替わるように埼京線の運行が開始、まずは新宿まで、

1996年には渋谷駅・恵比寿駅にホーム新設(この渋谷駅のホームが大きくズレていた)、

2001年に大崎駅通過で湘南新宿ラインの運行が開始。

2002年に埼京線・りんかい線直通化のときから大崎駅停車になっている。


この湘南新宿ラインは大崎駅で山手貨物線と接続する都合、

大崎~大船では必ず横須賀線の線路を通るという特徴がある。

もともとは東海道線の代替ルート上にあるに過ぎなかった新川崎・西大井だったが、

新宿・池袋まで直通の電車が停まるようになったわけである。

これによりこのルートの重要度が増したわけだが、また事情が変わる出来事があって、

それが武蔵小杉駅への横須賀線ホーム新設である。

実は横須賀線ルートと南武線の交差点付近には、一大ターミナルである武蔵小杉駅があった。

ここにホームを新設して乗換駅にする話があり、2010年開業している。

最初は乗換ルートが遠かったりいろいろあったけど、多くの人が利用するようになった。

これにより新川崎-鹿島田の非公式乗換ルートを使う人は減ったという。


相鉄・JR直通線は埼京線の延長運転のような体裁になっているが、

運行経路の都合、「各停」でも武蔵小杉~羽沢横浜国大がノンストップ、

新川崎駅は近くは通るのだが、ホームのあるところを通れないので通過である。

このルートは利用者が少ないのだが、武蔵小杉~新宿に限っては利用者が多く、

湘南新宿ラインが与えた影響の大きさというのを感じることができる。


というわけで結局はおいしいところは武蔵小杉駅に持って行かれてしまったわけだが、

この周辺の人が東京方面に向かうには便利なので活用されているはず。

川崎市内の移動は南武線で、東京・横浜へは横須賀線(湘南新宿ライン含む)と。

それにしてももうちょっといい命名はなかったんかいとは思うんですよね。

新鹿島田ではあんまりだという意見もわかるんですけど。