イギリスでは昨日全場での競馬開催を行わないというストライキが行われた。
毎日どで開催がある英国から競馬が“消える”日?── 異例のブランクデーのワケとは (netkeiba)
ストライキといっても競馬関係者が国に向けた抗議として行うもので、
日程自体は別日に振り返られているので競馬開催自体が減る話ではない。
この背景にはイギリスの税制改正があるという。
ブックメーカーには現在General Betting Duty (GBD)という税金が課せられているが、
これをオンラインカジノなどに適用される Remote Gaming Duty(RGD)の税率と統一し、
これによりブックメーカーの負担が増加する見込みであると。
こうするとブックメーカーから競馬主催者にもたらされる資金が減少するだろうと。
さらに言えばブックメーカーの呈示するオッズ悪化も懸念され、
これによりブックメーカーの市場縮小となればなおさら影響が大きい。
イギリスにとっての伝統文化の1つである競馬にとっての危機であるとアピールするために競馬休止に出たようだ。
イギリスでは賭博の性質により異なる税制があって複雑らしい。
GBDはブックメーカーでの賭け金から払戻金を引いた額の15%を納めるもの。
厳密には競馬場内の賭けはGBDではなく Horserace Betting Levy (HBL)が課税され、
こちらの税率はまた違うっぽい。おそらくGBDより若干安い。
一方、RBDは同様に賭け金と払戻金の差の21%が課税されるという。
こういう税率の差を統一してRBD同様に21%にしよう。
さらに言えば将来的には全体的な増税も考えているという。
以前書いたことがあるが、ブックメーカーでの賭けは単勝・複勝が中心で、
1点に多額をドカンと賭ける形になり、ゆえに控除率は低めである。
5%程度かなと書いていたが、日本の公営競技が概ね25%と言われるのに比べると薄利である。
ちなみにこの記事ではWINNERの1試合予想について書いているが、
これは控除率50%(ただし払戻金は非課税)というので、
勝敗のみの予想では成り立たず得点を含めて予想してなんとかとなっている。
イギリス競馬が貧乏なのはたびたび話題にしていますが、
資金源となるブックメーカーがそもそもこういう商売だからねと。
ブックメーカーは競馬以外も賭けの対象としているわけで、
オンラインカジノと同様の扱いを受けるのもやむを得ない部分はあるかもしれないが、
特に競馬は賭けからの収入に頼る部分が大きく、そこへの貢献は考慮されるべきではというのは理由があるようにも思う。
ただ、賭ける先が他にあるなら競馬でなくてもという話になりそうではある。
日本では競馬・競輪などの公営競技、スポーツくじ、宝くじはいずれも公法人による運営である。
その収益の使い道にはそれぞれ目的があり、競馬は畜産、競輪は機械工業、
スポーツくじはスポーツ振興、宝くじは直接的に地方財政への貢献である。
さらに公営競技では生じた利益はJRAでは国、他は地方公共団体の財政に還元している。
ここが赤字になってしまう公営競技もあって、それが原因で廃止されたものも多い。
実は岩手競馬は設立団体から多額の借金をして乗りきって、今は利益が出ているが返済には相当時間を要する状況。
実態としては利益が出ていない状態で存続している。そういうのもある。
日本・香港・韓国は主催者と馬券の発売元が同じなのだが、
これは世界的には珍しく、だいたいは分離されている。
ただ、フランスの場合、馬券発売を行うPMUも、競馬開催を行うフランスギャロとシュヴァルフランセも公法人で、
PMUの馬券収入の一定割合はこれらの主催者にもたらされる。
このため実質的には一体経営と言える。
何でも賭けの対象にしてしまうブックメーカー文化と、
どうしてもお金がかかる競馬の相性は必ずしも良くないのかもしれない。
日本ではこの手の賭け事は透明性が重要だというところもあり、
パリミュチュエル方式で全て公法人による経営となっているところだが、この考えはフランスからもたされたものである。
もっとも日本でも特定複合観光施設(IR)のカジノは民間企業の経営となる。
IRの計画を遂行できることが前提なので、カジノの収益はIRの整備に回す必要があり、
その上でカジノ行為粗利益(すなわちカジノの賭け金と払戻金の差)の国庫納付金・都道府県納付金をあわせて30%納めるルールである。
ここはイギリスの制度にも似てるんですね。まぁどこもそうか。